住宅金融公庫では、昭和40年度から、大都市、地方中心都市又はこれらの周辺都市の既成市街地で居住環境の良好な地域に中高層共同住宅の建設を促進し、これらの地域における土地の合理的利用を図ることを目的として、土地担保中高層建築物貸付けを実施しているが、この貸付けが店舗、事務所等の非住宅部分の併設を認めている一般中高層建築物貸付けより借入者にとって有利な貸付条件となっているにもかかわらず、貸付時の審査及び貸付け後の実態調査に当たって、非住宅部分に用途変更されやすい建物について格別の配慮が払われていなかったため、貸付契約に違反して、建物の一部が店舗等に用途変更されている事態が多数見受けられたので、審査体制及び管理体制の整備を図る要があると認め、58年10月に是正改善の処置を要求した。
これに対し、住宅金融公庫では、本院指摘の趣旨に沿い、契約に違反した貸付けについて繰上償還等の措置を執るとともに、59年4月に通ちょうを発して、本件貸付けの貸付対象地域を原則として商業地域及び近隣商業地域以外の地域に限定するなど貸付方針を改め、また、同年10月に通ちょうを発して、59年度以降の実態調査については、建物の立地条件や構造等に応じて適切に調査対象を選択し、重点的、効果的に実施することとするなどの処置を講じた。