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  • 昭和61年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
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  • 保険給付

健康保険及び船員保険の傷病手当金等の支給が適正でなかったもの


(18) 健康保険及び船員保険の傷病手当金等の支給が適正でなかったもの

会計名及び科目  (1)厚生保険特別会計(健康勘定)  (項)保険給付費
(2)船員保険特別会計  (項)保険給付費
部局等の名称  (1)北海道ほか12都府県 (40社会保険事務所)
(2)長崎県 (1社会保険事務所)
支給の相手方  (1)健康保険  419人
(2)船員保険  2人
傷病手当金等の支給額の合計  (1)健康保険  72,777,234円
(2)船員保険  1,130,595円

健康保険では、上記の419人に傷病手当金等72,777,234円を支給しているが、支給に当たって、請求に対する調査確認及び指導が十分でなかったため、19,214,619円(傷病手当金16,699,848円、出産手当金2,514,771円)が不適正に支給されていた。また、船員保険では、上記の2人に傷病手当金1,130,595円を支給しているが、支給に当たって、請求に対する調査確認が十分でなかったため、1,121,825円が不適正に支給されていた。これらについては、本院の注意により、すべて返還の処置が執られた。これを都道府県ごとに集計して健康保険及び船員保険の別に掲げると別表1 及び別表2 のとおりである。

 これは、健康保険については北海道ほか26都府県の82社会保険事務所において傷病手当金等の支給を受けた13,842人について、また、船員保険については宮城県ほか9府県の7保険課及び3社会保険事務所において傷病手当金の支給を受けた1,241人について本院が調査した結果である。

(説明)

1 健康保険の傷病手当金等について

 健康保険(前掲の「健康保険及び厚生年金保険の保険料の徴収に当たり、徴収額が不足していたもの」の説明参照 )において行う給付のうち、傷病手当金は、被保険者が療養のため労務に服することができなくなった日から起算して4日目から1日につき標準報酬日額の100分の60(被扶養者のいない被保険者が入院した場合は100分の40)に相当する額を1年6箇月を限度として、また、出産手当金は、被保険者が分娩のため労務に服さなくなった日から1日につき標準報酬日額の100分の60(被扶養者のいない被保険者が入院した場合は100分の40)に相当する額を分娩した日前42日、分娩した日以後56日(分娩の日が昭和61年4月1日の前42日以前の場合は42日)を限度として支給することとなっているが、労務に服さなかった期間について事業主から報酬が支給された者については、その報酬の額が傷病手当金又は出産手当金の額以上のときは支給せず、報酬の額が傷病手当金又は出産手当金の額より少ないときはその差額を支給することとなっている。また、傷病手当金については、その支給事由と同一の疾病又は負傷及びこれにより発した疾病に関し障害年金又は障害厚生年金(以下、これらを「障害年金」という。)の支給を受けている間は、当該年金の額を360で除した額が、傷病手当金の日額以上のときは支給せず、傷病手当金の日額より少ないときはその差額を支給することなどとなっている。

 傷病手当金及び出産手当金の支給に当たっては、都道府県は、被保険者(被保険者資格の喪失の際、現に給付を受け又は給付を受けることができる者を含む。以下同じ。)から労務に服さなかった期間及びその期間の報酬、障害年金の額等並びにこれについての事業主の証明及び医師の意見を記載した傷病手当金請求書又は出産手当金請求書の提出を受け、その記載内容を調査確認することとなっている。

 しかして、傷病手当金及び出産手当金の支給の適否について検査したところ、前記の27都道府県のうち北海道ほか12都府県では、被保険者及び事業主が誠実でなかったり、制度の理解が十分でなかったりなどして、被保険者が労務に服さなかった期間について事業主から報酬を受けているのに受けていないとしていたもの、労務に服している期間について労務に服さなかったとしていたもの、障害年金を受給しているのに受給していないとしていたものなど傷病手当金請求書及び出産手当金請求書の記載内容が事実と相違しているものがあったにもかかわらず、これに対する調査確認及び指導が十分でないまま支給の決定を行ったため、本院が調査した受給者7,830人分の支給のうち419人分72,777,234円について19,214,619円(傷病手当金16,699,848円、出産手当金2,514,771円)が不適正に支給されていた。

2 船員保険の傷病手当金について

 船員保険(前掲の「船員保険の保険料の徴収に当たり、徴収額が不足していたもの」の説明参照 )において行う給付のうち、傷病手当金は、被保険者又は被保険者であった者が被保険者期間中の疾病又は負傷及びこれにより発した疾病につき療養のため職務に服することができなくなった日から、職務外の事由による疾病等の場合には、1日につき標準報酬日額の100分の60(被扶養者のいない受給者が入院した場合は100分の50)に相当する額を3年を限度として支給することとなっているが、その支給事由と同一の疾病等に関し障害年金の支給を受けている間は、当該年金の額を360で除した額が、傷病手当金の日額以上のときは支給せず、傷病手当金の日額より少ないときはその差額を支給することなどとなっている。

 傷病手当金の支給に当たっては、都道府県は、被保険者又は被保険者であった者から職務に服することができなかった期間及びその期間の障害年金の額等並びにこれについての医師の意見等を記載した傷病手当金請求書の提出を受け、その記載内容を調査確認することとなっている。

 しかして、傷病手当金の支給の適否について検査したところ、前記の10府県のうち、長崎県では、被保険者であった者が制度の理解が十分でなく、障害年金を受給しているのに受給していないとしていて傷病手当金請求書の記載内容が事実と相違しているものがあったにもかかわらず、これに対する調査確認が十分でないまま支給の決定を行ったため、本院が調査した受給者53人分の支給のうち2人分1,130,595円について1,121,825円が不適正に支給されていた。

(別表1)  健康保険

都道府県名 社会保険事務所 本院が調査した受給者数 不適正受給者数 左の受給者に支給した傷病手当金等 左のうち不適正傷病手当金等
千円 千円
北海道 札幌北ほか2社会保険事務所 (22)
283
(2)
27
(660)
3,338
(86)
605
茨城県 水戸南ほか2社会保険事務所 (37)
637
(11)
62
(2,571)
8,024
(589)
2,188
千葉県 船橋ほか2社会保険事務所 (34)
644
(1)
16
(156)
3,344
(11)
687
東京都 神田ほか7社会保険事務所 (46)
1,265
(4)
86
(1,042)
16,286
(598)
4,161
神奈川県 保土ヶ谷ほか2社会保険事務所 583 16 3,360 847
愛知県 昭和ほか2社会保険事務所 (12)
501
(3)
25
(716)
3,175
(126)
609
大阪府 市岡ほか3社会保険事務所 (13)
691
(3)
59
(583)
12,730
(311)
3,353
兵庫県 姫路ほか1社会保険事務所 (7)
350
(1)
45
(180)
5,701
(19)
842
奈良県 奈良ほか1社会保険事務所 401 16 3,527 948
岡山県 岡山東ほか1社会保険事務所 507 14 3,232 714
福岡県 東福岡ほか2社会保険事務所 (42)
794
(1)
26
(176)
2,936
(47)
665
長崎県 長崎南ほか1社会保険事務所 (125)
569
(3)
13
(895)
1,664
(700)
969
宮崎県 宮崎ほか1社会保険事務所 (75)
605
(3)
14
(609)
5,455
(24)
2,619
40箇所 (413)
7,830
(32)
419
(7,593)
72,777
(2,514)
19,214

(注) ( )書きは出産手当金の分で内数である。

(別表2)  船員保険

県名 社会保険事務所 本院が調査した受給者数  不適正受給者数 左の受給者に支給した傷病手当金  左のうち不適正傷病手当金
千円 千円
長崎県 長崎南社会保険事務所 53 2 1,130 1,121