文部省が毎年度都道府県に交付している義務教育費国庫負担金の算定の基礎の一つである共済費(長期給付負担金及び追加費用)は、法令の規定に基づき、公立学校共済組合の組合員である公立の義務教育諸学校の教職員について都道府県が負担する経費であるが、(1)地方交付税の交付団体(以下「一般県」という。)のうち、一部の県において、法令上組合員資格を有しない産休等補助教職員を公立学校共済組合(以下「組合」という。)に加入させ、その者に係る共済費を国庫負担対象額に計上していて、また、(2)地方交付税の不交付団体(以下「政令県」という。)については、組合に加入していない者や法令上組合員資格がないのに組合に加入している産休等補助教職員の実数を一律に教職員定数に算入して共済費に係る国庫負担対象額を算定することになっており、地方公務員等共済組合法(昭和37年法律第152号)等の趣旨に照らし、また、一般県との比較において均衡を欠くことになっていて、適切とは認められない事態が見受けられた。
これは、一般県については、同省の指導が徹底しておらず、審査が十分でなかったこと、政令県については、同省において地方公務員等共済組合法等の趣旨に対する配慮が十分でなかったことによると認められたので、同省において、一般県については、都道府県が産休等補助教職員に係る組合員資格の適正な取扱いを行うよう指導するとともに、これについての審査を徹底するなど所要の措置を講じ、政令県については、共済費に係る国庫負担対象額の算定方法を適切なものに整備し、もって共済費に対する国庫負担の適正を期する要があると認め、昭和62年11月に改善の処置を要求した。
これに対し、文部省では、本院指摘の趣旨に沿い、62年12月に義務教育費国庫負担金における共済費の取扱いについて都道府県に対し通知を発するなどの処置を講じ、また、63年11月に政令県に対する共済費に係る国庫負担対象額の算定方法を適切に行うことを内容とする「義務教育費国庫負担法第2条但書の規定に基き教職員給与費等の国庫負担額の最高限度を定める政令」(昭和28年政令第106号)の一部を改正し、共済費に対する国庫負担の適正な実施を図る処置を講じた。