厚生省では、市町村が行う老人保健事業に要する費用の一部及び市町村等が国民健康保険の保険者として拠出する費用の一部を負担しており、このうち、特別養護老人ホーム(以下「特養ホーム」という。)の入所者である老人等に対して嘱託医が行った生活指導管理については、市町村及び保険医療機関等に対して生活指導管理料(以下「管理料」という。)の保険請求を行うことができない旨の指導はしているが、その周知徹底が十分図られていないこと、ほとんどの都道府県で管理料の保険請求についての指導が行われていないこと、市町村で管理料に対する審査が十分でないまま支払を行っていることなどのため、特養ホームの嘱託医が老人措置事業の中で行っている生活指導管理について、同嘱託医の所属する保険医療機関等が別途に診療報酬として保険請求し、市町村等もこれを十分調査することなくそのまま支払っている不適切な事態が多数見受けられたので、同省において市町村、保険医療機関等に対し特養ホームの入所者に係る管理料の適正な取扱いについて周知徹底を図るとともに、都道府県に対し保険医療機関等に対する指導を強化させるなどし、もって保険請求及びその支払の適正を期する要があると認め、昭和62年12月に是正改善の処置を要求した。
これに対して、厚生省では、本院指摘の趣旨に沿い、62年12月及び63年3月に都道府県に対し通知を発して、都道府県、市町村等及び保険医療機関等に対し保険医が特養ホームの医師である場合は、特養ホームの入所者に係る管理料の算定はできないものであることなどその取扱いについて周知徹底を図り、また、保険医が特養ホームに赴き診療を行った場合は、診療報酬明細書にその旨の表示をさせることとして、保険請求及びその審査、支払の適正化に必要な処置を講じた。