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  • 昭和62年度|
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雇用保険の雇用調整助成金の支給が適正でなかったもの


(139) 雇用保険の雇用調整助成金の支給が適正でなかったもの

会計名及び科目 労働保険特別会計(雇用勘定) (項)雇用安定等事業費
部局等の名称 北海道ほか10都府県(支給庁)
室蘭公共職業安定所ほか28公共職業安定所(支給決定庁)
支給の相手方 37事業主
雇用調整助成金の支給額の合計 6,197,742,448円

 上記の37事業主に雇用調整助成金6,197,742,448円を支給しているが、支給決定に当たって申請に対する調査確認が十分でなかったため、61,038,200円が不適正に支給されていた。これらについては、本院の注意により、すべて返還の処置が執られた。これを都道府県ごとに集計して掲げると別表 のとおりである。
 これは、北海道ほか25都府県(支給決定庁札幌公共職業安定所ほか149公共職業安定所)において401事業主に対して支給した12,217,309,568円について本院が調査した結果である。

(説明)

 雇用調整助成金は、雇用保険(前掲の「雇用保険の失業給付金の支給が適正でなかったもの」の説明参照 )で行う事業のうちの雇用安定事業の一環として、失業の予防その他雇用の安定を図るため、景気の変動、産業構造の変化その他の経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされ、雇用する労働者について休業、教育訓練又は出向を実施した事業主に対して、休業手当、教育訓練受講日について支払った賃金又は出向労働者に係る賃金負担額(以下「手当等」という。)の一部を助成するもので、労働大臣が指定する業種の事業主等が、所定の期間内に、労使間の協定により、一定規模以上の休業を行うこと、同一受講者について1箇月に2日以上の教育訓練を行うことなどが支給要件となっており、その支給額は事業主が支払った手当等に2分の1、3分の2又は4分の3の支給率を乗じて得た額(教育訓練については、このほか定額の訓練費が支給される。)となっている。
  そして、その支給に当たっては、事業主から各公共職業安定所に、事前に休業、教育訓練又は出向の実施に関する労使間の協定書を添付した実施計画届を提出させるとともに、実施後に資本の額、事業の種類、対象被保険者数、休業延日数、対象手当額、教育訓練延日数、対象賃金額等を記載した支給申請書を提出させて、これらの書類により各公共職業安定所で支給要件等に適合しているかどうかを審査して支給の決定を行い、これに基づいて各都道府県が支給することになっている。

  しかして、雇用調整助成金の支給決定の適否について検査したところ、前記の150公共職業安定所のうち室蘭公共職業安定所ほか28公共職業安定所において、87事業主のうち37事業主について、事業主が制度を十分に理解していなかったなどのため、労働日に休業又は教育訓練(以下「休業等」という。)を行う一方で、休日出勤させながら振替休日を与えていない者に係る休業等を支給対象としたり、休日を労働日に変更して労働日数を増加させる一方で、休業等を行ってこれを支給対象としたりなどしていて、支給対象とならない休業等を含めて申請していたものがあったのに、これに対する調査確認が十分でないまま支給の決定を行ったため、これに基づいて北海道ほか10都府県が上記37事業主に対して支給した6,197,742,448円のうち、61,038,200円が不適正に支給されていた。

(別表)

都道府県名 公共職業安定所 本院が調査した事業主数 不適正受給事業主数 左の事業主に支給した雇用調整助成金 左のうち不適正雇用調整助成金

北海道

室蘭ほか4

15

5
千円
1,146,693
千円
8,619
岩手県 釜石 1 1 675,020 1,973
秋田県 秋田ほか1 10 4 70,132 8,498
千葉県 千葉ほか4 13 7 870,405 9,472
東京都 大森ほか3 11 5 127,067 1,359
静岡県 磐田 2 2 7,156 4,097
愛知県 半田ほか2 5 4 808,260 12,476
大阪府 3 1 403,180 4,308
兵庫県 神戸ほか3 8 5 2,058,190 5,534
広島県 広島ほか1 9 2 27,794 1,831
長崎県 長崎 10 1 3,841 2,865
 計 29箇所 87 37 6,197,742 61,038