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(2) 東日本大震災復旧・復興事業の実施状況


会計検査院は、24年報告において、16府省庁等に措置された平成23年度一般会計における東日本大震災関係経費に係る決算の数値を把握して、復旧・復興予算の執行状況について分析を行った。その数値は、歳出予算現額(歳出予算額(当初予算額、補正予算額及び予算移替額の合計)に、前年度繰越額、予備費使用額及び流用等増減額を加減したもの。以下「予算現額」という。)14兆9243億余円、支出済歳出額(以下「支出済額」という。)9兆0513億余円、翌年度繰越額(以下「繰越額」という。)4兆7694億余円、不用額1兆1035億余円等であったとしている(10026_224年報告参照)。

そして、24年報告は24年8月末時点で整理したものであり、決算数値の一部が確定していなかったことから、確定値に基づく数値でみると、支出済額は9兆0513億余円、繰越額は4兆7695億余円、不用額は1兆1034億余円となっている。

そこで、24年度においては、上記の23年度一般会計における繰越額4兆7695億余円の24年度末時点における執行状況はどのようになっているか、また、16府省庁等に措置された前記復興特会の東日本大震災関係経費計4兆9706億余円は、どのような経費に配分されて、どのように執行されているかなどについても着眼して、引き続き分析を行うこととした。

また、各府省庁等において、復旧・復興事業の進捗状況を逐次全て把握できる体制とはなっていないことから、補助事業等の実施状況を正確に把握することは、事業主体に直接確認するなどしない限り極めて困難である。しかし、各事業の進捗状況は、予算の執行状況に現れてくるものもあることから、本年次も各府省庁等から特別調書を徴するなどして、東日本大震災復旧・復興関係経費に係る決算の数値を把握し、復旧・復興予算の執行状況について分析を行うこととした。分析に用いた数値は、各府省庁等において25年8月末現在で整理したものであり、この時点では、経費項目別等の分類が確定していないことなどから、今回の分析により集計した決算数値は、例年11月に公表される決算額と相違する場合がある。

ア 経費項目別の執行状況

各府省庁等所管の復旧・復興事業の実施状況として、23年度補正予算のうち翌年度繰越分(以下「23年度繰越分」という。)と24年度復興特会予算について、経費項目別に、予算現額、支出済額、繰越額、23年度繰越分のうち、避け難い事故により24年度内に支出が終わらなかったため、25年度へ再度繰り越した額(以下「事故繰越額」という。)及び不用額を調査した。そして、復旧・復興事業に係る支出済額の予算現額に対する割合(以下「執行率」という。)、予算措置年度から現年度末までの累計の支出済額の予算現額に対する割合(以下「累計執行率」という。)、繰越額の予算現額に対する割合(以下「繰越率」という。)、事故繰越額の予算現額に対する割合(以下「事故繰越率」という。)、不用額の予算現額に対する割合(以下「不用率」という。)及び予算措置年度から現年度末までの累計の不用額の予算現額に対する割合(以下「累計不用率」という。)をそれぞれ求めて、各経費の執行状況を分析した。

なお、24年度復興特会の執行状況は、24年度当初予算及び24年度1次補正の区分ごとに算出することとなっていないため、24年度1次補正で実施している事業については24年度当初予算の経費項目の区分により整理している。

(ア) 平成23、24両年度東日本大震災関係経費の執行状況

23年度一般会計の予備費及び23年度1次補正から23年度3次補正までの予算現額計14兆9243億余円、24年度復興特会の予算現額4兆9706億余円、合計19兆8949億余円の24年度末時点における執行状況についてみると、表14のとおり、支出済額15兆3644億余円、繰越額2兆2030億余円、不用額2兆3274億余円、また、執行率は77.2%、繰越率は11.0%、不用率は11.6%となっている。

表14 平成23、24両年度東日本大震災関係経費の24年度末時点における執行状況

(単位:億円、%)

区分 平成23年度予算 24年度復
興特会
合計
予備費 1次補正 2次補正 3次補正
予算現額 A 503 39,537 16,763 92,438 149,243 49,706 198,949
支出済額 B 503 29,351 14,018 78,249 122,122 31,522 153,644
繰越額  C 1,449 297 3,956 5,702 16,327 22,030
うち事故繰越額 1,449 297 3,956 5,702 75 5,778
不用額 D=A-B-C 8,737 2,447 10,232 21,417 1,857 23,274
執行率  B/A 100.0 74.2 83.6 84.6 81.8 63.4 77.2
繰越率  C/A 3.6 1.7 4.2 3.8 32.8 11.0
不用率  D/A 22.0 14.6 11.0 14.3 3.7 11.6
(注)
平成23年度予算の執行状況は、2か年度における執行状況である。

図8-1 平成23年度予備費及び補正予算の 図8-2 平成24年度復興特会の24年度末
24年度末時点における執行内訳 時点における執行内訳

平成23年度予備費及び補正予算の24年度末時点における執行内訳平成24年度復興特会の24年度末時点における執行内訳

(イ) 平成23年度東日本大震災関係経費の執行状況

23年度一般会計の予算現額14兆9243億余円の23年度末時点における執行状況についてみると、表15-1のとおり、支出済額9兆0513億余円、繰越額4兆7695億余円、不用額1兆1034億余円となっていて、執行率は60.6%(1次補正61.8%、2次補正75.1%、3次補正57.3%)、繰越率は31.9%、不用率は7.3%となっている。

また、23年度繰越分の24年度末時点における執行状況についてみると、表15-2のとおり、予算現額4兆7695億余円、支出済額3兆1609億余円、事故繰越額5702億余円、不用額1兆0383億余円となっていて、執行率は66.2%(1次補正60.4%、2次補正44.1%、3次補正69.5%)、事故繰越率は11.9%、不用率は21.7%となっている。なお、2次補正の執行率が、1次補正及び3次補正に比べて低くなっているのは、2次補正の被災者支援関係経費において、主に住宅の解体、住宅再建の前提となる土地区画整理事業等が進捗していないため、被災者生活支援金の申請が少ないこと、また、原子力損害賠償法等関係経費において、中間貯蔵施設の決定がなされていないため放射線量低減事業が進捗していないことなどによる。

この結果、23年度補正予算の2か年度における執行状況についてみると、表15-3のとおり、支出済額12兆2122億余円、事故繰越額5702億余円、不用額2兆1417億余円となっていて、累計執行率は81.8%(1次補正74.2%、2次補正83.6%、3次補正84.6%)、事故繰越率は3.8%、累計不用率は14.3%となり、大半の事業が進捗している一方、前記のとおり、2か年度を経過してもなお事業が完了せず、25年度に事業の一部を繰り越している事故繰越しとなっていたり、不用額を生じていたりしている。

表15-1 平成23年度予算の23年度末時点における執行状況(①)

(単位:億円、%)

補正
予算
予備費 1次補正 2次補正 3次補正
予算現額 A 503 39,537 16,763 92,438 149,243
支出済額 B 503 24,435 12,595 52,978 90,513
繰越額 C 8,138 3,219 36,337 47,695
不用額 D=A-B-C 6,964 948 3,122 11,034
執行率 B/A 100.0 61.8 75.1 57.3 60.6
繰越率 C/A 20.5 19.2 39.3 31.9
不用率 D/A 17.6 5.6 3.3 7.3

表15-2 平成23年度から24年度に繰り越された予算の24年度末時点における執行状況(②)

(単位:億円、%)

補正
予算
予備費 1次補正 2次補正 3次補正
予算現額(23年度繰
越額) C
8,138 3,219 36,337 47,695
支出済額E 4,915 1,422 25,271 31,609
事故繰越額F 1,449 297 3,956 5,702
不用額G=C-E-F 1,773 1,499 7,110 10,383
執行率E/C 60.4 44.1 69.5 66.2
事故繰越率F/C 17.8 9.2 10.8 11.9
不用率G/C 21.7 46.5 19.5 21.7

表15-3 平成23年度予算の24年度末時点における執行状況(①)+(②)

(単位:億円、%)

補正
予算
予備費 1次補正 2次補正 3次補正
予算現額A 503 39,537 16,763 92,438 149,243
支出済額H=B+E 503 29,351 14,018 78,249 122,122
事故繰越額F 1,449 297 3,956 5,702
不用額I=D+G 8,737 2,447 10,232 21,417
累計執行率H/A 100.0 74.2 83.6 84.6 81.8
事故繰越率F/A 3.6 1.7 4.2 3.8
累計不用率I/A 22.0 14.6 11.0 14.3

各補正予算別の累計執行率をみると、表15-4から表15-6までのとおり、各補正予算とも74.2%から84.6%までとなっている一方、経費項目別にみると、20.1%と低くなっているものも一部見受けられた。

そこで、累計執行率が低い主な経費項目についてみると、「23年度1次補正(3)災害対応公共事業関係費②一般公共事業関係費」(25.6%)、「23年度1次補正(4)施設費災害復旧費等②社会福祉施設等災害復旧費等」(20.1%)、「23年度3次補正(3)公共事業等の追加①災害復旧等事業費」(23.0%)となっており、これらは、いずれも災害復旧に係る経費項目となっている。上記の経費により実施された災害復旧事業のうち、事業に着手できなかったことなどのため、多額の不用額を生ずるなどしている事業は次のとおりである。

① 「23年度1次補正(3)災害対応公共事業関係費②一般公共事業関係費」

本件事業のうち、漁港施設等の補修を行う事業は、津波によって甚大な被害を受けた沿岸部地域においては復興計画等の工程調整や土地利用計画の見直しなどにより早期に着工できなかったり、年度内に完成が見込めず復旧事業に着手できなかったりしたことなどにより、不用額を生ずるなどしている。

② 「23年度1次補正(4)施設費災害復旧費等②社会福祉施設等災害復旧費等」

本件事業のうち、介護関係施設等の復旧工事は、津波によって甚大な被害を受けた沿岸部の施設が地域の復興計画の遅れなどから早期に着工ができなかったり、警戒区域内にある施設等が今後の復旧の見通しが立たないことなどから復旧事業に着手できなかったりしたことなどにより、不用額を生ずるなどしている。

③ 「23年度3次補正(3)公共事業等の追加①災害復旧等事業費」

本件事業のうち、水産基盤整備施設、農地・農業用施設及び山林施設の災害復旧工事は、事業実施の前提となる復旧方針について地域住民の理解を得ることができなかったり、農地に係る区画整理について地元住民等との合意に至らなかったりしたことなどから、年度内に完成が見込めず復旧事業に着手できなかったことなどにより、不用額を生ずるなどしている。

表15-4 23年度1次補正における経費項目別の執行状況

(単位:億円、%)

経費項目 平成23年度 24年度 累計執
行率
事故繰
越率
累計不
用率
予算現額 支出済額 不用額 予算現額
(23年度
繰越分)
支出済額 繰越額
(事故繰
越)
不用額
A B C D E F G=D-E-F (B+E)/A F/A (C+G)/A
(1)災害救助等関係経費 4,828 4,647 181 96.2 3.7
①災害救助費 3,750 3,750 100.0
②災害援護貸付金 224 195 29 87.0 12.9
③生活福祉資金貸付事業費 256 203 53 79.1 20.8
④災害弔慰金等 485 389 95 80.2 19.7
⑤被災者緊急支援経費 111 109 2 97.7 2.2
(2)災害廃棄物処理事業費 3,519 2,530 249 739 650 57 31 90.3 1.6 7.9
(3)災害対応公共事業関係費 12,019 2,731 4,297 4,989 3,051 1,049 888 48.1 8.7 43.1
①災害復旧等事業費 10,438 2,379 3,176 4,882 2,998 1,040 843 51.5 9.9 38.5
②一般公共事業関係費 1,581 352 1,121 107 53 9 44 25.6 0.5 73.7
(4)施設費災害復旧費等 3,884 1,096 1,030 1,757 832 217 707 49.6 5.5 44.7
①文教施設災害復旧費 1,840 633 541 665 337 55 272 52.7 3.0 44.2
②社会福祉施設等災害復旧費等 844 94 277 472 76 49 346 20.1 5.8 73.9
③農業・林業施設等災害復旧費等 358 79 154 124 89 25 9 47.2 6.9 45.7
④消防防災施設災害復旧費 207 21 1 184 95 51 37 56.2 24.6 19.0
⑤中小企業組合等共同施設等災害
復旧費
189 99 9 79 65 8 5 87.3 4.5 8.1
⑥港湾荷役機械等災害復旧費 97 19 7 69 39 21 8 61.1 21.9 16.8
⑦警察施設等災害復旧費 55 30 13 12 5 6 63.6 36.3
⑧その他 290 117 23 149 122 6 19 82.6 2.3 15.0
(5)災害関連融資関係経費 6,403 6,308 94 98.5 1.4
①中小企業等関係費 5,121 5,121 100.0
②災害復興住宅融資等緊急対策費 560 560 100.0
③農林漁業者等関係費 396 301 94 76.0 23.9
④その他 325 325 100.0
(6)地方交付税交付金 1,200 1,200 100.0
(7)その他の東日本大震災関係経費 7,682 5,920 1,110 651 381 124 145 82.0 1.6 16.3
①被災者生活再建支援金補助金 520 520 100.0
②市町村行政機能応急復旧補助金 37 25 0 11 11 0 99.9 0.0
③教育研究設備等災害復旧費 393 383 9 97.5 2.4
④被災児童生徒等支援関係経費 219 204 14 93.1 6.8
⑤医療保険制度等の保険料減免等
に対する特別措置
1,142 1,085 57 95.0 4.9
⑥雇用対策費 513 503 10 97.9 2.0
⑦漁船保険・漁業共済の支払支援
経費
939 827 112 88.0 11.9
⑧漁場・養殖施設等復旧対策費 681 188 92 400 210 104 86 58.5 15.2 26.1
⑨農林水産業共同利用施設災害復
旧事業費等
185 88 71 25 13 2 9 55.2 1.3 43.4
⑩中小企業対策費 23 21 2 91.5 8.4
⑪燃料安定供給対策費 136 136 100.0
⑫企業等の電力需給対策費 178 178 100.0
⑬原子力災害対策費 49 39 9 79.8 20.1
⑭自衛隊活動経費等 2,297 1,519 617 160 130 16 13 71.8 0.7 27.4
⑮その他 365 198 113 53 14 1 37 58.3 0.3 41.2
39,537 24,435 6,964 8,138 4,915 1,449 1,773 74.2 3.6 22.0

表15-5 23年度2次補正における経費項目別の執行状況

(単位:億円、%)

経費項目 平成23年度 24年度 累計執
行率
事故繰
越率
累計不
用率
予算現額 支出済額 不用額 予算現額
(23年度
繰越分)
支出済額 繰越額
(事故繰
越)
不用額
A B C D E F G=D-E-F (B+E)/A F/A (C+G)/A
1原子力損害賠償法等関係経費 2,754 2,566 131 55 28 26 94.2 5.7
(1)原子力損害賠償法関係経費 2,473 2,380 37 55 28 26 97.3 2.6
①原子力損害賠償補償金 1,200 1,200 100.0
②健康管理・調査事業費 781 781 100.0
③特別緊急除染事業費 179 179 100.0
④環境放射線モニタリング強化事
業費
192 153 25 13 13 0 86.7 13.2
⑤対外発信強化事業費 52 30 2 19 12 7 80.8 19.1
⑥校庭等の放射線低減事業費 49 27 0 22 2 19 60.5 39.4
⑦原子力損害賠償和解仲介業務経
10 3 6 37.8 62.1
⑧その他 7 4 3 55.9 44.0
(2)原子力損害賠償支援機構法関係
経費
280 186 93 66.4 33.5

①交付国債の償還財源に係る利子
負担
200 110 89 55.2 44.7
②原子力損害賠償支援機構に対す
る出資
70 70 100.0
③東京電力に関する経営・財務調
査委員会経費
10 5 4 57.0 42.9
2被災者支援関係経費 3,773 1,770 33 1,970 541 12 1,415 61.2 0.3 38.3
(1)二重債務問題対策関係経費 773 607 33 132 105 12 14 92.2 1.6 6.1
①旧債務 255 229 0 25 17 8 96.5 3.4
②新債務 518 378 32 107 88 12 5 90.0 2.4 7.4
(2)被災者生活再建支援金補助金 3,000 1,162 1,837 435 1,401 53.2 46.7
3東日本大震災復興対策本部運営経費 5 3 1 67.7 32.2
4東日本大震災復旧・復興予備費 5,656 3,681 781 1,193 852 284 56 80.1 5.0 14.8
5地方交付税交付金 4,573 4,573 100.0
16,763 12,595 948 3,219 1,422 297 1,499 83.6 1.7 14.6

表15-6 23年度3次補正における経費項目別の執行状況

(単位:億円、%)

経費項目 平成23年度 24年度 累計執
行率
事故繰
越率
累計不
用率
予算現額 支出済額 不用額 予算現額
(23年度
繰越分)
支出済額 繰越額
(事故繰
越)
不用額
A B C D E F G=D-E-F (B+E)/A F/A (C+G)/A
(1)災害救助等関係経費 941 794 45 101 97 2 1 94.8 0.2 4.9
①災害救助費 300 300 100.0
②生活福祉資金貸付事業費 165 82 82 82 100.0
③被災者緊急支援経費 475 412 45 18 14 2 1 89.7 0.4 9.8
(2)災害廃棄物処理事業費 3,859 656 1 3,202 2,333 826 42 77.4 21.4 1.1
(3)公共事業等の追加 14,734 1,611 1,784 11,338 3,820 2,674 4,843 36.8 18.1 44.9
①災害復旧等事業費 8,705 514 1,215 6,975 1,495 1,923 3,556 23.0 22 54.8
②一般公共事業関係費 1,990 429 19 1,541 1,099 49 391 76.8 2.4 20.6
③施設費等 4,038 666 549 2,822 1,224 702 895 46.8 17.3 35.7
(4)災害関連融資関係経費 6,711 6,684 27 99.5 0.4
①中小企業等関係費 6,530 6,530 100.0
②農林漁業者等関係費 181 154 27 84.8 15.1
(5)地方交付税交付金 16,635 16,635 100.0
(6)東日本大震災復興交付金 15,611 2,506 0 13,105 13,104 0 0 99.9 0.0 0.0
(7)原子力災害復興関係経費 3,557 1,474 291 1,791 304 71 1,415 50.0 2.0 47.9
(8)全国防災対策費 5,751 1,107 190 4,453 4,002 78 372 88.8 1.3 9.7
①学校施設耐震化・防災機能強化 2,050 71 -10 1,989 1,763 33 191 89.5 1.6 8.8
②一般公共事業関係費 2,492 624 57 1,810 1,763 1 45 95.7 0.0 4.1
③海上保安庁船舶建造費等 338 82 21 234 161 23 49 72.1 7.0 20.8
④警察・消防関係費 301 2 32 266 209 1 56 70.1 0.4 29.4
⑤医療施設等防災対策費等 245 192 39 12 11 0 0 83.2 0.3 16.3
⑥自衛隊の災害対処能力の向上 145 42 34 68 50 14 3 63.8 9.7 26.3
⑦地下タンク環境保全対策促進事
業費
69 69 100
⑧その他 107 20 14 71 42 3 25 59.1 3.5 37.2
(9)その他の東日本大震災関係経費 24,635 21,508 781 2,345 1,608 302 434 93.8 1.2 4.9
①震災関係資料収集、デジタル化
促進、被災実態調査等
27 4 9 12 12 0 63.0 36.9
②警察・消防関係 229 96 56 77 59 6 11 67.9 2.6 29.4
③情報通信関係 168 5 3 160 134 17 7 83.3 10.2 6.4
④国際協力等を通じた復興 176 175 1 99.3 0.6
⑤復旧・復興に向けた教育支援等 411 298 11 100 100 0 97.0 2.9
⑥医療、介護、福祉等 1,230 1,145 8 76 76 0 99.3 0.6
⑦雇用対策費 3,779 3,766 13 99.6 0.3
⑧農業関係 197 130 37 28 19 0 9 75.8 0.2 23.8
⑨森林・林業の復興 1,399 1,399 100.0
⑩水産業の復旧・復興 1,579 937 259 382 205 44 131 72.3 2.8 24.7
⑪中小企業対策 455 270 4 181 125 55 86.8 13.1
⑫立地補助金 5,000 5,000 100.0
⑬資源権益確保関連経費 282 282 100.0
⑭節電エコ補助金等 2,324 1,956 11 355 196 0 158 92.6 0.0 7.3
⑮住宅関係 3,112 3,112 100.0
⑯自立・分散型エネルギー供給等
によるエコタウン化事業
840 839 0 99.9 0.0
⑰自衛隊施設及び装備品等の復旧
1,469 892 304 272 200 63 8 74.3 4.3 21.2
⑱その他 1,949 1,193 59 696 477 169 50 85.6 8.6 5.6
92,438 52,978 3,122 36,337 25,271 3,956 7,110 84.6 4.2 11.0

(ウ) 平成24年度東日本大震災関係経費の執行状況

24年度復興特会の予算現額4兆9706億余円の24年度末時点における執行状況についてみると、表16のとおり、支出済額3兆1522億余円、繰越額1兆6327億余円、不用額1857億余円、執行率63.4%、繰越率32.8%、不用率3.7%となっている。

執行率は、23年度補正予算の23年度末時点における執行率60.6%(前記表15-1参照)と比べてほぼ同じ割合になっているが、不用額は、23年度の1兆1034億余円(不用率7.3%)と比べて大幅に減少している。これは、23年度の予算現額が24年度の約3倍の14兆9243億余円と多額であったことにもよるが、24年度は、被災した地方公共団体の事業実施体制が被災直後の23年度に比べて整ってきたことなどに伴い、復旧・復興事業の実施が本格化してきたことなどによると推定される。

表16 平成24年度復興特会の執行状況

(単位:億円、%)

区分 平成24年度復興特会
予算現額A 49,706
支出済額B 31,522
繰越額C 16,327
不用額D=A-B-C 1,857
執行率B/A 63.4
繰越率C/A 32.8
不用率D/A 3.7

経費項目別の執行状況についてみると、表17のとおり、執行率が100%となっているものが「(5)地方交付税交付金」(予算現額6704億余円)、「(4)災害関連融資関係経費①中小企業等関係費」(同1194億円)、「(1)災害救助等関係経費①災害救助費」(同1089億余円)、「(9)その他の東日本大震災関係経費⑫立地補助金」(同280億円)の4項目ある一方、執行率が3.1%となっている「(6)東日本大震災復興交付金」(同2867億余円)があるなど、経費項目によって大きな開差が見受けられる。

執行率が100%となっている経費項目は、24年報告と同様に実施方法が基金等の事業となっていて(10026_2_424年報告参照)、国から事業主体である地方公共団体等に全額交付されていること、また、地方交付税交付金は、交付税及び譲与税配付金特別会計へ全額繰り入れていることなどから執行率が100%となっている。執行率が20%未満となっている経費項目のうち、「(2)災害廃棄物処理事業費」は、23年度繰越分3202億余円から事業を執行していて、結果的に地方公共団体からの申請が少なかったことなどの理由により、2926億余円が繰越しとなり、執行率が14.6%にとどまっている。また、「(6)東日本大震災復興交付金」は、特定地方公共団体の復興計画を具体的に事業化するための調整や関係省庁との協議に時間を要したことなどの理由により2776億余円が繰越しとなったため、執行率が3.1%にとどまっている。

表17 平成24年度復興特会における経費項目別の執行状況

(単位:億円、%)

経費項目 予算現額 支出済額 繰越額 不用額 執行率 繰越率 不用率
A B C D=A-B-C B/A C/A D/A
(1)災害救助等関係経費 1,357 1,256 0 101 92.5 0.0 7.4
①災害救助費 1,089 1,089 100.0
②被災者緊急支援経費 268 166 0 101 62.1 0.0 37.7
(2)災害廃棄物処理事業費 3,442 504 2,926 10 14.6 85.0 0.3
(3)公共事業等の追加 5,197 1,563 3,206 427 30.0 61.6 8.2
①災害復旧等事業費 2,149 519 1,535 94 24.1 71.4 4.3
②一般公共事業関係費 2,429 849 1,485 93 34.9 61.1 3.8
③施設費等 618 194 184 239 31.4 29.8 38.6
(4)災害関連融資関係経費 1,350 1,322 27 97.9 2.0
①中小企業等関係費 1,194 1,194 100.0
②農林漁業者等関係費 156 128 27 82.3 17.6
(5)地方交付税交付金 6,704 6,704 100.0
(6)東日本大震災復興交付金 2,867 90 2,776 0 3.1 96.8 0.0
(7)原子力災害復興関係経費 5,125 1,865 3,139 121 36.3 61.2 2.3
(8)全国防災対策費 5,939 2,846 2,886 205 47.9 48.6 3.4
①学校施設耐震化・防災機能強化 2,442 666 1,756 18 27.3 71.9 0.7
②一般公共事業関係費 2,768 1,732 921 114 62.5 33.2 4.1
③警察・消防関係費 73 57 4 12 77.6 5.8 16.4
④自衛隊の災害対処能力の向上 242 142 95 4 58.7 39.2 1.9
⑤社会福祉施設整備費等 72 45 25 1 62.7 35.4 1.7
⑥その他 339 202 83 53 59.5 24.6 15.7
(9)その他の東日本大震災関係経費 5,515 3,857 1,390 267 69.9 25.2 4.8
①被災地への情報提供、震災関係
資料収集等
11 8 2 76.1 23.8
②警察・消防関係 70 25 36 8 36.3 51.9 11.7
③情報通信関係 74 22 35 16 29.6 47.6 22.6
④大学等を活用した地域の再生等 362 205 155 2 56.5 42.7 0.7
⑤復興に向けた教育支援等 100 89 11 88.3 11.6
⑥医療、介護、福祉等 148 148 0 99.8 0.1
⑦雇用関係 608 520 87 85.5 14.4
⑧農林業関係 360 327 11 21 90.8 3.1 6.0
⑨水産業関係 280 176 58 45 63.0 20.7 16.2
⑩中小企業対策 157 156 0 99.4 0.5
⑪中小企業組合等共同施設等災害
復旧費
1,300 294 1,004 0 22.6 77.2 0.0
⑫立地補助金 280 280 100.0
⑬住宅関係 549 540 8 98.4 1.5
⑭自衛隊関係 793 692 76 23 87.3 9.7 2.9
⑮その他 417 369 11 36 88.4 2.8 8.6
(10)国債整理基金特別会計への繰入 10,351 10,259 92 99.1 0.8
(11)東日本大震災復旧・復興予備費 1,855 1,251 603 67.4 32.5
49,706 31,522 16,327 1,857 63.4 32.8 3.7
(注)
24年度1次補正で実施している事業については、24年度当初予算の経費項目の区分により整理している。

イ 事業別の執行状況

23年度補正予算及び24年度復興特会予算では、多数の復旧・復興事業が実施されており、その内容も多岐にわたっている。

各経費項目に係る事業についてみると、事業数は、23年度では、23年度1次補正で237件、23年度2次補正で56件、23年度3次補正で635件、計928件、24年度では、483件となっており、その執行率は0%から100%までと事業により区々となっている(巻末別表2参照)。

そこで、復旧・復興事業が円滑かつ迅速に実施されているかなどに着眼して、各府省庁等から各復旧・復興事業の内容、執行状況等について調書を徴するとともに、繰越額及び不用額が発生している事業については、調書を徴するなどして主な事由等を整理した。

なお、事業数については、同一の事業が複数の府省庁等で実施されている場合には、府省庁等別に事業を整理して各府省庁等に計上して集計している。また、同一の事業が複数の事業で実施されていても、事業の実施方法等が相違するものが含まれている場合には、事業を分割して各府省庁等に計上して集計しているものもある。

(ア)執行率の状況

各府省庁等において実施されている23年度繰越分の事業457件、24年度復興特会分の事業483件、計940件の復旧・復興事業の執行状況についてみると、表18-2及び表20のとおり、予算現額の全額を執行している経費がある一方で、予算現額の全額が、年度内に全く執行されずに翌年度に繰り越されたり、不用とされたりしているものが見受けられるなど態様が区々となっている。

そこで、執行率別、補正予算等別の事業数についてみると、執行率が80%以上となっている事業は、23年度繰越分では、表18-1のとおり、計269件(58.8%)となっており、24年度復興特会分では、表20のとおり、計255件(52.7%)となっている。

また、執行率が20%未満となっている事業は、23年度繰越分では、計47件(10.2%)となっており、24年度復興特会分では、計74件(15.3%)となっている。

23年度繰越分の事業の24年度末における執行状況及び24年度復興特会分の事業の執行状況についてみると、「80%以上100%以下」の区分の件数が共に全体の半数以上となっている。

表18-1 平成23年度繰越分の事業の執行率別・予算別の事業数

(単位:件、%)

予算区分
執行率
平成23年度繰越分
1次補正 2次補正 3次補正
事業数 割合 事業数 割合 事業数 割合 事業数 割合
80%以上100%以下 45 49.4 4 33.3 220 62.1 269 58.8
100% 14 15.3 0 0.0 61 17.2 75 16.4
90%以上100%未満 18 19.7 3 25.0 117 33.0 138 30.1
80%以上90%未満 13 14.2 1 8.3 42 11.8 56 12.2
60%以上80%未満 15 16.4 4 33.3 46 12.9 65 14.2
40%以上60%未満 12 13.1 0 0.0 32 9.0 44 9.6
20%以上40%未満 8 8.7 1 8.3 23 6.4 32 7.0
0%以上20%未満 11 12 3 25.0 33 9.3 47 10.2
10%以上20%未満 8 8.7 2 16.6 13 3.6 23 5.0
0%超10%未満 3 3.2 0 0.0 12 3.3 15 3.2
0% 0 0 1 8.3 8 2.2 9 1.9
91 100 12 100.0 354 100.0 457 100.0
(注)
3次補正のうち、支出率が100%の61件は、執行率が100%超となっている2件を含んだ件数である。

23年度繰越分の事業の執行率別・予算現額別の事業数についてみると、表18-2のとおり、457件の事業のうち、10億円未満の事業は259件(56.6%)、10億円未満を含めた100億円未満の事業は406件(88.8%)となっている。

表18-2 平成23年度繰越分の事業の執行率別・予算現額別の事業数

(単位:件、%)

予算現額
執行率
10億円未満 10億円以上
100億円未満
100億円以上
500億円未満
500億円以上
1000億円未満
1000億円以上
2000億円未満
2000億円以上
80%以上100%以下 183 72 8 3 2 1 269
100% 55 17 2 0 1 0 75
90%以上100%未満 92 39 5 1 0 1 138
80%以上90%未満 36 16 1 2 1 0 56
60%以上80%未満 27 30 5 0 2 1 65
40%以上60%未満 14 20 8 1 0 1 44
20%以上40%未満 13 10 6 1 2 0 32
0%以上20%未満 22 15 7 0 2 1 47
10%以上20%未満 11 9 1 0 1 1 23
0%超10%未満 5 5 4 0 1 0 15
0% 6 1 2 0 0 0 9

(割合)
259 147 34 5 8 4 457
(56.6) (32.1) (7.4) (1.0) (1.7) (0.8) (100.0)

また、予算現額が100億円以上の事業は51件(11.1%)となっており、このうち執行率が0%以上20%未満となっているものは10件となっている。

これを事業別に示すと、表19のとおりである。

表19 予算現額が100億円以上かつ執行率が20%未満となっている10事業(23年度繰越分)

(単位:億円、%)

補正
区分
所管 経費項目 事業名 実施方法 平成23年度 24年度
大分類 小分類 予算現
支出済
不用額 予算現
額(23
年度繰
越分)
支出済
事故繰
越額
不用額 執行率 事故繰
越率
不用率
A B C D E F G=D-E-
F
E/D F/D G/D
3次
補正
農林
水産
(3)公共
事業等の
追加
①災害復
旧等事業
災害復旧等事業費
(水産)
直轄、補
助等
2,346 162 39 2,144 384 856 902 17.9 39.9 42.0
3次
補正
国土
交通
(3)公共
事業等の
追加
①災害復
旧等事業
災害復旧等事業費
(補助)
補助 2,143 761 1,381 119 106 1,154 8.6 7.7 83.5
3次
補正
環境

(7)原子
力災害復
興関係経

放射性物質により汚
染された土壌等の除
染の実施
直轄、補
助等
1,996 739 0 1,256 197 67 991 15.7 5.3 78.9
1次
補正
厚生
労働
(4)施設
費災害復
旧費等
②社会福
祉施設等
災害復旧
費等

介護関係施設等の災
害復旧事業
補助 563 30 203 329 21 40 267 6.5 12.2 81.1

3次
補正
厚生
労働
(3)公共
事業等の
追加
①災害復
旧等事業
水道施設の災害復旧 補助 303 13 0 289 18 14 256 6.5 4.8 88.6

3次
補正
環境
(7)原子
力災害復
興関係経
放射性物質汚染廃棄
物処理事業費
直轄 268 0 0 268 21 0 246 7.9 0.1 91.8
3次
補正
文部
科学
(3)公共
事業等の
追加
③施設費
公立学校施設災害復
旧費
補助 476 2 313 160 28 41 90 17.7 25.5 56.6
3次
補正
文部
科学
(3)公共
事業等の
追加
③施設費
社会教育施設災害復
旧費
補助 156 0 0 156 12 0 143 8.1 0.1 91.6
3次
補正
環境
(7)原子
力災害復
興関係経
放射性物質汚染廃棄
物処理業務委託費
直轄 148 1 146 146 100.0
3次
補正
経済
産業
(9)その
他の東日
本大震災
関係経費
⑱その他 浮体式洋上ウィンド
ファーム実証研究事
直轄 124 0 124 124 100.0

23年度から24年度に多額の予算が繰り越された事業のうち、24年度においても執行率が低くなっている事業についてみると、津波被害を受けた沿岸部の災害復旧事業や、放射性物質により汚染された土壌等の除染の実施に係る事業等となっており、予算現額の大半を不用額としていたり、一部を25年度に事故繰越ししたりしている。

24年度復興特会による事業の執行率別・予算現額別の事業数についてみると、表20のとおり、483件の事業のうち、10億円未満の事業は315件(65.2%)、10億円未満を含めた100億円未満の事業は429件(88.8%)となっている。

表20 平成24年度復興特会による事業の執行率別・予算現額別の事業数

(単位:件、%)

予算現額
執行率
10億円未満 10億円以上
100億円未満
100億円以上
500億円未満
500億円以上
1000億円未満
1000億円以上
2000億円未満
2000億円以上
事業数 割合
80%以上100%以下 173 58 18 3 1 2 255 52.7
100% 43 18 14 2 1 1 79 16.3
90%以上100%未満 90 28 2 1 0 1 122 25.2
80%以上90%未満 40 12 2 0 0 0 54 11.1
60%以上80%未満 38 16 4 0 0 0 58 12.0
40%以上60%未満 28 11 4 0 1 1 45 9.3
20%以上40%未満 34 10 4 0 3 0 51 10.5
0%以上20%未満 42 19 8 2 1 2 74 15.3
10%以上20%未満 11 7 4 0 1 1 24 4.9
0%超10%未満 14 11 3 1 0 0 29 6.0
0% 17 1 1 1 0 1 21 4.3

(割合)
315 114 38 5 6 5 483 100.0
(65.2) (23.6) (7.8) (1.0) (1.2) (1.0) (100

また、予算現額が100億円以上の事業は54件(11.1%)となっており、このうち執行率が0%以上20%未満となっているものは13件となっている。これを事業別に示すと、表21のとおりである。

表21 予算現額が100億円以上かつ執行率が20%未満となっている13事業(24年度復興特会分)

(単位:億円、%)

所管 経費項目 事業名 24年度
実施方
予算現額 支出済額 繰越額 不用額 執行率 繰越率 不用率
大分類 小分類 A B C D B/A C/A D/A
環境
(2)災害廃
棄物処理
事業費
災害等廃棄物処理事業費補助金 補助 2,958 446 2,502 9 15 84.6 0.3
復興
(6)東日本
大震災復
興交付金
復興交付金
基幹事業にかかる復興交付金
(地方負担軽減に係る1/2国庫負担分)
効果促進事業にかかる復興交付金
補助 2,776 2,776 100.0
文部
科学
(8)全国防
災対策費
①学校施
設耐震
化・防災
機能強化
学校施設の耐震化等の推進(公立学
校施設整備)
補助 1,864 280 1,575 8 15 84.5 0.4
環境
(7)原子力
災害復興
関係経費
放射性物質汚染廃棄物処理事業 直轄、
補助等
772 68 641 62 8.8 83.0 8.0
財務
(11)東日
本大震災
復旧・復
興予備費
予備費 その他 603 603 100.0
環境
(2)災害廃
棄物処理
事業費
震災がれき処理促進地方公共団体緊
急支援基金事業(グリーンニュー
ディール基金)
補助 321 40 281 12.5 87.4
復興
(3)原子力
災害等対
策費
福島原子力災害避難区域等帰還・再
生加速事業
直轄 208 0 207 0 0.1 99.7
厚生
労働
(3)公共事
業等の追
①災害復
旧等事業
水道施設の災害復旧 補助 200 0 199 0 0.1 99.8
環境
(2)災害廃
棄物処理
事業費
災害廃棄物処理代行事業 直轄 160 16 142 1 10 88.9 1.0
農林
水産
(3)公共事
業等の追
②一般公
共事業関
係費
水産基盤整備事業(本土)【被災
地・補助】
補助 156 29 78 48 18.9 50.3 30.7
文部
科学
(9)その他
の東日本
大震災関
係経費
⑮その他 日本海溝海底地震津波観測網の整備 直轄、
補助等
126 17 109 0 13.4 86.5
環境
(3)原子力
災害等対
策費
新たに発生した汚染廃棄物の処理加
速化事業
補助 104 104 100.0
農林
水産
(3)公共事
業等の追
③施設費
水産業共同利用施設復旧整備事業 補助 100 0 85 14 0.2 85.4 14.2
注(1)
復興交付金が繰越率100%となっているのは、各府省等に配分した残額が予算現額となることから、同額が繰越額として計上されることによる。
注(2)
予備費が不用率100%となっているのは、各府省等に配分した残額が予算現額となることから、同額が不用額として計上されることによる。

これらの事業は、復興計画を具体的に事業化するための調整等に時間を要したこと、関係者や住民との合意が得られなかったことなどの理由により24年度の執行率が低くなっており、事業費の大半を翌年度に繰り越すなどしている。

(イ) 平成23年度繰越分における事故繰越しの状況

23年度繰越分の事故繰越しは、完了すべき契約等の履行が避け難い事故のために遅延して、24年度に支出が終わらなかったことから25年度へ再び繰り越したものである。

事故繰越額についてみると、表15-3のとおり、23年度1次補正1449億余円、23年度2次補正297億余円、23年度3次補正3956億余円、計5702億余円となっていて、23年度事業予算現額計14兆9243億余円に対して3.8%が事故繰越しとなっている。

また、事故繰越しとなった事業の事業数についてみると、表22のとおり、23年度1次補正38件、23年度2次補正2件、23年度3次補正87件、計127件となっている。

そして、23年度繰越分の事業の繰越率別の事業数と全事業に占める割合についてみると、最も事業数の割合が高くなっているのは、事故繰越率0%超20%未満で、67件、14.6%となっている。また、事故繰越率100%となっている事業数は、23年度3次補正の4件となっている。これらは、事業実施に当たり判明した地層強度不足、土壌汚染、耐震強度不足等により、年度内の事業完了が見込めないことから全額が事故繰越しとなったものである。

表22 平成23年度繰越分の事故繰越率別・予算別の事業数

(単位:億円、%)

予算区分
事故繰越率
平成23年度繰越分
1次補正 2次補正 3次補正
事業数 割合 事業数 割合 事業数 割合 事業数 割合
80%以上100%以下 0 0.0 0 0.0 9 2.5 9 1.9
100% 0 0.0 0 0.0 4 1.1 4 0.8
90%以上100%未満 0 0.0 0 0.0 2 0.5 2 0.4
80%以上90%未満 0 0.0 0 0.0 3 0.8 3 0.6
60%以上80%未満 1 1.0 0 0.0 3 0.8 4 0.8
40%以上60%未満 3 3.2 0 0.0 14 3.9 17 3.7
20%以上40%未満 10 10.9 2 16.6 18 5.0 30 6.5
0%超20%未満 24 26.3 0 0.0 43 12.1 67 14.6
10%以上20%未満 12 13.1 0 0.0 11 3.1 23 5.0
0%超10%未満 12 13.1 0 0.0 32 9.0 44 9.6
計A 38 41.7 2 16.6 87 24.5 127 27.7
24年度内完了事業B 53 58.2 10 83.3 267 75.4 330 72.2
合計A+B 91 100.0 12 100.0 354 100.0 457 100.0

これらの事業は、復興計画を具体的に事業化するための調整等に時間を要したこと、関係者や住民との合意が得られなかったことなどの理由により24年度の執行率が低くなっており、事業費の大半を翌年度に繰り越すなどしている。

(イ) 平成23年度繰越分における事故繰越しの状況

23年度に支出が終わらなかったことから24年度へ繰り越した事業457件のうち、24年度内に事業が完了した330件を除いた127件について、各府省庁等から調書を徴するなどして主な事故繰越事由を整理して、財務省が復興事業の円滑な執行に資するよう特例措置を定めた「被災地域における事故繰越事務手続について」に記載されている事故繰越要因類型(巻末別表4参照)ごとに示すと、表23のとおりとなっている。

事故繰越事由のうち、件数が最も多くなっているのは、23年度1次補正で「作業員」10件(26.3%)、23年度2次補正で「建築制限」2件(100.0%)、23年度3次補正で「事業実施に当たり発生した障害」20件(22.9%)となっている。このうち、「事業実施に当たり発生した障害」の内容についてみると、地層強度不足の懸念、土壌汚染の判明、新たな修復箇所の判明等が多数を占めている。そして、23年度繰越分全体で件数の多い順にみると、「作業員」及び「事業実施に当たり発生した障害」がともに23件(18.1%)、「建築資材」20件(15.7%)となっていて、この三つの事由で全体の約50%を占めている。

また、事故繰越事由のうち、金額が最も多くなっているのは、23年度1次補正で「建築資材」677億余円(46.7%)、23年度2次補正で「建築制限」297億余円(100.0%)、23年度3次補正で「他事業等との関係」1167億余円(29.5%)となっている。そして、23年度繰越分全体で金額の多い順にみると、「他事業等との関係」1546億余円(27.1%)、「建築資材」1250億余円(21.9%)、「地元住民等調整」1053億余円(18.4%)となっていて、この三つの事由で全体の約65%を占めている(事業別の事故繰越事由は2巻末別表2参照)。

これらの繰越事由から、復旧・復興事業の実施に当たり、建築資材の不足等により建築資材の確保が困難となっていること、主事業が進捗しないことから付帯事業が実施できないこと、事業の集中等により作業員の確保が困難になっていることなどが推察される。

なお、各府省庁等は事故繰越しとなっている事業について、25年度中に完了できる予定であるとしている。

表23 平成23年度繰越分の事故繰越事由別・予算別の事業数及び事故繰越額

(単位:件、億円、%)

補正予算
事故繰越事由
平成23年度繰越分
1次補正 2次補正 3次補正
事業数 事故繰越額 事業数 事故繰越額 事業数 事故繰越額 事業数 事故繰越額
割合 割合 割合 割合 割合 割合 割合 割合
自然災害 0 0.0 0 0.0 5 5.7 3 0.0 5 3.9 3 0.0
建築資材 8 21.0 677 46.7 0 0.0 12 13.7 573 14.4 20 15.7 1,250 21.9
作業員 10 26.3 275 19.0 0 0.0 13 14.9 681 17.2 23 18.1 957 16.7
入札不調 4 10.5 18 1.2 0 0.0 6 6.8 163 4.1 10 7.8 182 3.1
地元住民等調整 3 7.8 74 5.1 0 0.0 11 12.6 979 24.7 14 11.0 1,053 18.4
地中埋設物 1 2.6 5 0.4 0 0.0 7 8.0 129 3.2 8 6.2 135 2.3
地権者等 0 0.0 0 0.0 0 0.0 0 0.0
請負業者の倒産 0 0.0 0 0.0 0 0.0 0 0.0
他事業等との関係 6 15.7 378 26.1 0 0.0 10 11.4 1,167 29.5 16 12.5 1,546 27.1
事業実施に当たり発生した障害 3 7.8 1 0.1 0 0.0 20 22.9 228 5.7 23 18.1 230 4.0
用地の確保 2 5.2 7 0.5 0 0.0 1 1.1 8 0.2 3 2.3 15 0.2
行方不明者の捜索 0 0.0 0 0.0 0 0.0 0 0.0
建築制限 1 2.6 8 0.5 2 100.0 297 100.0 2 2.2 20 0.5 5 3.9 326 5.7
38 100.0 1,449 100.0 2 100.0 297 100.0 87 100.0 3,956 100.0 127 100.0 5,702 100.0

図9 平成23年度繰越分の事故繰越額の事由別内訳

平成23年度繰越分の事故繰越額の事由別内訳

(ウ) 平成24年度復興特会における繰越しの状況

24年度復興特会の繰越額についてみると、表16のとおり、1兆6327億余円となっていて、24年度予算全体の32.8%が25年度に繰り越されている。

上記繰越額のうち、繰越額が2000億円以上になっている経費項目についてみると、表17のとおり、「(3)公共事業等の追加」3206億余円、「(7)原子力災害復興関係経費」3139億余円、「(2)災害廃棄物処理事業費」2926億余円、「(8)全国防災対策費」2886億余円、「(6)東日本大震災復興交付金」2776億余円となっている。

そして、事業の繰越率別の事業数と全事業に占める割合についてみると、表24のとおり、どの区分においても全事業に占める割合は10%未満となっていて、おおむね均等に分布している。このうち、繰越率が100%となっている事業は、12件となっている。これらの事業のうち5件は、原子力災害復興関係経費に係る新たに発生した汚染廃棄物の処理加速化事業、放射性物質対処型森林・林業復興対策実証事業等となっていて、汚染廃棄物の処理計画等の策定に時間を要したこと、降雪の影響により放射線量を正確に測定することができないことなどから、事業を年度内に完了することが困難であったため全額を翌年度に繰り越したとしている。

表24 平成24年度復興特会による事業の繰越率別の事業数

(単位:件、億円、%)

予算区分
繰越率
平成24年度復興特会
事業数 割合
80%以上100%以下 34 7.0
100% 12 2.4
90%以上100%未満 9 1.8
80%以上90%未満 13 2.6
60%以上80%未満 23 4.7
40%以上60%未満 22 4.5
20%以上40%未満 33 6.8
0%超20%未満 30 6.2
10%以上20%未満 10 2.0
0%超10%未満 20 4.1
計A 142 29.3
24年度内完了事業B 341 70.6
合計A+B 483 100.0

24年度復興特会分の事業483件のうち、事業が完了した341件を除いた142件について、各府省庁等から調書を徴するなどして主な繰越事由を整理したところ、その大半が明許繰越しとなっていた。そこで、財務省が作成した「箇所別調書及び理由書の繰越事由欄の記載方法」に記載されている繰越事由分類基準(巻末別表3参照)に基づき区分した繰越事由ごとに、事業数及び繰越額を整理したところ、表25のとおりとなっている(事業別の繰越事由は巻末別表2参照)。

繰越事由のうち、件数が最も多くなっているのは、「計画に関する諸条件」で、105件(73.9%)となっている。「計画に関する諸条件」のうち、事業数及び繰越額が最も多い繰越事由は「公害等に係る地元との調整」の34件(23.9%)、5196億余円(31.8%)となっている。その主な内容は、事業実施に際して発生する騒音、振動、悪臭等の生活環境に係る諸問題について地域住民等との調整に時間を要したことなどとしている。

表25 平成24年度復興特会による事業の繰越事由別の事業数及び繰越額

(単位:件、百万円、%)

予算区分
繰越事由
平成24年度復興特会
事業数 事故繰越額
割合 割合
計画に関する諸条件 105 73.9 1,472,430 90.1
公害等に係る地元との調整 34 23.9 519,677 31.8
状況変化による施行能率の低下 5 3.5 158,311 9.6
運搬路に係る地元との調整 1 0.7 19,975 1.2
基本計画の策定・変更 25 17.6 76,992 4.7
他事業との調整 3 2.1 872 0.0
関係機関との協議・許認可等 9 6.3 281,943 17.2
その他 28 19.7 414,658 25.3
設計に関する諸条件 7 4.9 6,415 0.3
工法選択 2 1.4 3,718 0.2
設計変更等 4 2.8 2,559 0.1
その他 1 0.7 137 0.0
気象の関係 2 1.4 942 0.0
豪雨
豪雪 2 1.4 942 0.0
風浪
その他
用地の関係 6 4.2 97,196 5.9
用地買収交渉 4 2.8 92,689 5.6
工事用用地の借上げ 1 0.7 4,320 0.2
その他 1 0.7 186 0.0
補償処理の困難
補償交渉
地元との調整
その他
資材の入手難 11 7.7 25,568 1.5
資材不足 4 2.8 3,508 0.2
労務者手配調整 5 3.5 17,440 1.0
資材運搬不能
特注品納期遅延 1 0.7 49 0.0
その他 1 0.7 4,569 0.2
試験研究に際しての事前の調査又は
研究方式の決定困難
3 2.1 4,500 0.2
事前調査
研究方式 3 2.1 4,500 0.2
その他
上記以外のもの 3 2.1 1,287 0.0
その他のやむを得ない事由
(事故繰越しを含む。)
5 3.5 24,380 1.4
142 100.0 1,632,720 100.0

(エ) 不用の状況

23年度繰越分に係る24年度末時点における不用額についてみると、表15-2のとおり、23年度1次補正1773億余円、23年度2次補正1499億余円、23年度3次補正7110億余円、計1兆0383億余円となっている。

23年度繰越分のうち、最も不用額が多い経費項目についてみると、表15-4から表15-6までのとおり、23年度3次補正「(3)公共事業等の追加①災害復旧等事業費」3556億余円となっている。

また、23年度繰越分の事業457件のうち不用額が生じている事業数についてみると、表28-1のとおり、23年度1次補正76件、23年度2次補正12件、23年度3次補正276件、計364件となっている。

23年度繰越分の事業457件の不用率別の事業数と全事業に占める割合についてみると、表26のとおり、23年度1次補正、23年度2次補正、23年度3次補正ともに、「0%以上20%未満」の区分が最も多くなっていて、全体で321件(70.2%)となっている。このうち、不用率が0%となっている事業についてみると、全体で95件(20.7%)となっている一方、不用率が100%となっている事業は、4件(0.8%)となっている。この4件については、自治体や地元住民との調整が難航したこと、復興計画等の調整に時間を要したことなどから、事業の着手に至らなかったなどとして、全額を不用としている。

表26 平成23年度繰越分の事業の不用率別・予算別の事業数

(単位:件、%)

予算区分
不用率
平成23年度繰越分
1次補正 2次補正 3次補正
事業数 割合 事業数 割合 事業数 割合 事業数 割合
80%以上100%以下 7 7.6 3 25.0 17 4.8 27 5.9
100% 0 0.0 1 8.3 3 0.8 4 0.8
90%以上100%未満 1 1.0 0 0.0 7 1.9 8 1.7
80%以上90%未満 6 6.5 2 16.6 7 1.9 15 3.2
60%以上80%未満 7 7.6 1 8.3 17 4.8 25 5.4
40%以上60%未満 7 7.6 0 0.0 22 6.2 29 6.3
20%以上40%未満 2 13.1 2 16.6 41 11.5 55 12.0
0%以上20%未満 58 63.7 6 50.0 257 72.5 321 70.2
10%以上20%未満 14 15.3 1 8.3 40 11.2 55 12.0
0%超10%未満 29 31.8 5 41.6 137 38.7 171 37.4
0% 15 16.4 0 0.0 80 22.5 95 20.7
91 100.0 12 100.0 354 100.0 457 100.0
(注)
3次補正のうち、不用率が0%の80件は、不用率がマイナスとなっている2件を含んだ件数である。

24年度復興特会の不用額についてみると、表16のとおり、1857億余円となっていて、全体の3.7%が不用となっている。

また、24年度復興特会分の事業483件のうち不用が生じている事業数についてみると、表28-2のとおり、374件となっている。

24年度復興特会による事業のうち、不用額が多い経費項目についてみると、表17のとおり、「(11)東日本大震災復旧・復興予備費」603億余円、「(3)公共事業等の追加」427億余円(このうち「③施設費等」239億余円)となっている。

そして、事業の不用率別の事業数と全事業に対する割合についてみると、表27のとおり、「0%以上20%未満」に区分された事業数が最も多くなっていて、356件(73.7%)となっている。このうち、不用率が0%となっている事業についてみると、109件(22.5%)となっている一方、不用率が100%となっている事業は、9件(1.8%)となっている。これらは、他の事業等で代替されていて需要がなかったことなどにより、全額を不用としている。

表27 平成24年度復興特会による事業の不用率別の事業数

(単位:件、%)

予算区分
不用率
平成24年度復興特会
事業数 割合
80%以上100%以下 30 6.2
100% 9 1.8
90%以上100%未満 12 2.4
80%以上90%未満 9 1.8
60%以上80%未満 24 4.9
40%以上60%未満 29 6.0
20%以上40%未満 44 9.1
0%以上20%未満 356 73.7
10%以上20%未満 59 12.2
0%超10%未満 188 38.9
0% 109 22.5
483 100.0

23年度繰越分及び24年度復興特会で不用が生じている事業について、不用額が生じた事由を、各府省庁等から調書を徴するなどして主な不用事由を整理したところ、①予定より実績が下回ったもの、②事業計画の変更により減額したもの、③事業執行に伴い節減したもの、④契約価格が予定を下回ったもの、⑤執行停止、⑥その他となっていた。

そして、これらを不用事由別及び予算別に区分してみると、表28-1から表28-3までのとおりとなっている。

23年度繰越分で不用額が生じている事業364件について、不用額が生じた事由として最も多かったものは、④契約価格が予定を下回ったもので146件となっており、不用額が最も多額となっている事由は、①予定より実績が下回ったもので5395億余円となっている。

24年度復興特会による事業のうち、不用事由として最も多かったものは、①予定より実績が下回ったもので158件となっており、不用額が最も多額となっている事由は、⑥その他で898億余円となっている。

上記の①予定より実績が下回ったものの具体的な内容は、他の事業等で代替されたことなどから需要が少なかったこと、住民合意、復興計画等の調整に時間を要したなどのため事業に着手できなかったことなどとなっていた。

表28-1 平成23年度繰越分の事業の不用事由別・予算別の事業数及び不用額

(単位:件、百万円)

予算区分
不用事由
平成23年度繰越分
1次補正 2次補正 3次補正
事業
不用額 事業
不用額 事業
不用額 事業
不用額
①予定より実績が下回ったもの 24 52,278 6 141,736 69 345,575 99 539,590
②事業計画の変更により減額したもの 15 67,235 34 174,743 49 241,979
③事業執行に伴い節減したもの 6 23,392 3 6,533 23 4,794 32 34,721
④契約価格が予定を下回ったもの 27 2,687 1 23 118 38,871 146 41,582
⑤執行停止 12 11,663 12 11,663
⑥その他 4 31,753 2 1,675 20 135,370 26 168,799
76 177,347 12 149,969 276 711,018 364 1,038,335

表28-2 平成24年度復興特会による事業の不用事由別の事業数及び不用額

(単位:件、百万円)

予算区分
不用事由
平成24年度復興特会
事業
不用額
①予定より実績が下回ったもの 158 58,644
②事業計画の変更により減額したもの 50 18,055
③事業執行に伴い節減したもの 27 1,221
④契約価格が予定を下回ったもの 120 10,339
⑤執行停止 1 7,598
⑥その他 18 89,854
374 185,715

表28-3 平成23年度繰越分及び24年度復興特会による事業の不用事由別・予算別の事業数及び不用額

(単位:件、百万円)

予算区分
不用事由
平成23年度繰越分 24年度復興特会
事業
不用額 事業
不用額 事業
不用額
①予定より実績が下回ったもの 99 539,590 158 58,644 257 598,235
②事業計画の変更により減額したもの 49 241,979 50 18,055 99 260,034
③事業執行に伴い節減したもの 32 34,721 27 1,221 59 35,943
④契約価格が予定を下回ったもの 146 41,582 120 10,339 266 51,922
⑤執行停止 12 11,663 1 7,598 13 19,261
⑥その他 26 168,799 18 89,854 44 258,653
364 1,038,335 374 185,715 738 1,224,050

このように、復旧・復興事業の不用事由についてみると、契約価格が予定を下回ったものなど、事業費の節減等による事由が多く見受けられる一方、前記のとおり、住民合意等に時間を要したことなどにより事業に着手できないまま不用とせざるを得なかったものも見受けられる。

ウ 実施方法別の執行状況

東日本大震災からの復旧・復興事業には、国自らが直轄事業として実施する事業と、地方公共団体等が国からの補助金を受けて実施する事業等があるが、これらの実施方法は多様なものとなっている。

そこで、東日本大震災からの復旧・復興事業940件について、次の実施方法に区分して整理することとした。

① 直轄

各府省庁等が、請負契約や委託契約を締結する場合も含めて、直接事業を実施するもの

② 補助

国以外の者が行う事業等に助成等を行う補助事業の実施方法のうち、基金造成、運営費交付金及び拠出金(以下、これらの方法をそれぞれ「補助(基金)」、「補助(運営費交付金)」、「補助(拠出金)」という。)による方法を除いたもの

③ 直轄、補助等

①又は②を含めて複数の方法で行うもの

④ 補助(基金)

国が地方公共団体、公益法人その他団体等に対して、基金の設置、積増し又は充当(以下、これらを合わせて「設置造成等」という。)を行って事業を実施するのに必要な費用を補助等しているもの

⑤ 補助(運営費交付金)

国が独立行政法人等に対して、業務に必要な金額の一部又は全部を交付等しているもの

⑥ 補助(拠出金)

国が団体等に対して、拠出金として交付しているもの

⑦ 出資

国が団体等に対して、出資金として出資しているもの

⑧ 地方交付税交付金

国が地方公共団体の財源の偏在を調整するために、資金を交付しているもの

⑨ その他

①~⑧以外のもの

上記の実施方法別に各予算の予算現額、支出済額及び執行率をみると、表29-1から表29-3までのとおりとなっている(経費項目別・実施方法別の執行状況は、6289巻末別表5参照)。

23年度繰越分及び24年度復興特会による事業の実施方法別の予算現額及び支出済額についてみると、①直轄は8194億余円、5098億余円、②補助は3兆6643億余円、1兆6566億余円、③直轄、補助等は1兆6361億余円、6049億余円、④補助(基金)は1兆6285億余円、1兆6285億余円などとなっていて、両者共に②補助が最も多額となっている。実施方法別の執行率についてみると、①直轄は、23年度繰越分62.7%、24年度復興特会61.1%、計62.2%、②補助は、23年度繰越分55.8%、24年度復興特会30.8%、計45.2%、③直轄、補助等は、23年度繰越分39.1%、24年度復興特会34.8%、計36.9%となっていて、②補助の24年度復興特会は、23年度繰越分と比べて執行率が低くなっている。これは、23年度繰越分の事業の執行が進捗している一方、24年度復興特会は、23年度繰越分の執行を終えてから24年度復興特会に係る事業に着手していること、24年度1次補正が成立したのは25年2月だったことなどから執行が遅れていると推定される。

④補助(基金)、⑤補助(運営費交付金)、⑥補助(拠出金)、⑦出資及び⑧地方交付税交付金等の執行率は、23年度繰越分及び24年度復興特会はともにほぼ100%となっている。これは、補助(基金)等は国から事業主体等に資金が支出された時点で全額が執行されることとなるためである。

表29-1 平成23年度繰越分及び24年度復興特会による事業の実施方法別の執行状況

(単位:件、億円、%)

予算区分
実施方法
平成23年度繰越分 24年度復興特会
事業
予算現額 支出済額 執行率 事業
予算現額 支出済額 執行率 事業
予算現額 支出済額 執行率
a A B C=B/A b D E F=E/D c=a+
b
G=A+D H=B+E I=H/G
①直轄 155 5,237 3,289 62.7 192 2,956 1,808 61.1 347 8,194 5,098 62.2
②補助 257 20,995 11,733 55.8 202 15,648 4,833 30.8 459 36,643 16,566 45.2
③直轄、補助等 32 8,011 3,137 39.1 28 8,349 2,912 34.8 60 16,361 6,049 36.9
④補助(基金) 10 13,426 13,426 99.9 16 2,859 2,858 99.9 26 16,285 16,285 99.9
⑤補助(運営費交付金) 1 11 11 100.0 15 263 263 99.9 16 274 274 99.9
⑥補助(拠出金) 3 5 5 99.9 3 5 5 99.9
⑦出資 10 1,461 1,461 100.0 10 1,461 1,461 100.0
⑧地方交付税交付金 1 6,704 6,704 100.0 1 6,704 6,704 100.0
⑨その他 2 13 11 89.6 16 11,457 10,673 93.1 18 11,470 10,685 93.1
457 47,695 31,609 66.2 483 49,706 31,522 63.4 940 97,402 63,131 64.8

表29-2 平成23年度繰越分による事業の実施方法別・予算別の執行状況

(単位:件、億円、%)

予算区分
実施方法
平成23年度繰越分
1次補正 2次補正 3次補正
事業
予算現額 支出済額 執行率 事業
予算現額 支出済額 執行率 事業
予算現額 支出済額 執行率 事業
予算現額 支出済額 執行率
a A B C=B/A b D E F=E/D c G H I=H/G d=a+
b+c
J=A+D+G K=B+E+H L=K/J
①直轄 27 1,371 928 67.7 3 167 153 91.7 125 3,699 2,207 59.6 155 5,237 3,289 62.7
②補助 56 6,222 3,680 59.1 9 3,052 1,269 41.5 192 11,720 6,783 57.8 257 20,995 11,733 55.8
③直轄、補助等 7 533 295 55.3 25 7,477 2,841 38.0 32 8,011 3,137 39.1
④補助(基金) 10 13,426 13,426 99.9 10 13,426 13,426 99.9
⑤補助(運営費交付金) 1 11 11 100.0 1 11 11 100.0
⑥補助(拠出金)
⑦出資
⑧地方交付税交付金
⑨その他 2 13 11 89.6 2 13 11 89.6
91 8,138 4,915 60.4 12 3,219 1,422 44.1 354 36,337 25,271 69.5 457 47,695 31,609 66.2

表29-3 平成24年度復興特会による事業の実施方法別・予算別の執行状況

(単位:件、億円、%)

予算区分
実施方法
平成24年度復興特会
事業
予算現額 支出済額 執行率
A B C=B/A
①直轄 192 2,956 1,808 61.1
②補助 202 15,648 4,833 30.8
③直轄、補助等 28 8,349 2,912 34.8
④補助(基金) 16 2,859 2,858 99.9
⑤補助(運営費交付金) 15 263 263 99.9
⑥補助(拠出金) 3 5 5 99.9
⑦出資 10 1,461 1,461 100.0
⑧地方交付税交付金 1 6,704 6,704 100.0
⑨その他 16 11,457 10,673 93.1
483 49,706 31,522 63.4

エ 国庫補助金により設置造成等された基金の実施状況

国は、地方公共団体、公益法人及びその他団体が、基金を設置造成等して、東日本大震災からの復旧・復興事業を実施する場合には、その事業に必要な資金を国庫補助金等により交付し、交付を受けた地方公共団体、公益法人及びその他団体(以下「基金団体」という。)は、上記の国庫補助金等を既存の基金に積み増したり、新規に基金を設置造成したりして、各種復旧・復興事業を実施している(以下、この事業を「復興関連基金事業」という。)。

補助(基金)等は、国から事業主体に資金が支出された時点で全額が執行されることになることから執行が100%などと高くなっているが、復興関連基金事業に係る経費は、事業完了後に基金団体が基金を取り崩して支出するものが大半であり、上記の執行率には、このような基金の取崩しなどの状況は反映されていない。

そこで、会計検査院は、基金の取崩し状況に着眼して、基金団体から7府省(注3)に提出された事業実施状況報告書等を基に、23年度82事業、24年度18事業、計100事業に係る国庫補助金等交付額、取崩額等の状況等を分析することにより、復興関連基金事業の実施状況を把握することとした。分析に当たっては、国庫補助金等が交付された年度別、各事業に設定された事業実施期限(以下「終了年度」という。)別に集計するとともに、東日本大震災関係経費に係る経費項目を基に区分した生活福祉資金貸付事業等19項目(注4)(以下「基金事業経費項目」という。)の別に整理するなどして執行状況を把握することとした。

(注3)
7府省  内閣府、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省
(注4)
19項目  「生活福祉資金貸付事業費」、「被災者緊急支援経費」、「災害廃棄物処理事業費」、「施設費等」、「災害関連融資関係経費」、「原子力災害関係経費」、「医療施設等防災対策費等」、「教育支援等」、「医療、介護、福祉等」、「雇用対策費」、「農業関係」、「森林・林業の復興」、「水産業関係」、「中小企業等」、「立地補助金」、「燃料安定供給対策費」、「節電エコ補助金等」、「住宅関係」、「その他」

(ア) 復興関連基金事業別の執行状況

復興関連基金事業100事業についてみると、表30のとおり、国庫補助金等交付額は計3兆1370億余円となっている。100事業のうち、既存の基金と復興関連基金事業とを区分して経理していない8事業及び25年8月末時点において基金団体から国庫補助金等交付額の全額が国庫に返納された2事業の計10事業を除いた90事業についてみると、国庫補助金等交付額は計2兆8674億余円、24年度末時点における取崩額は計8244億余円、基金事業執行率は平均で28.7%となっている。

90事業の基金事業執行率別の事業数をみると、90%以上となっているものが3事業ある一方、10%未満となっているものが40事業あった。

また、国庫補助金等交付額の全額が国庫に返納された2事業は、特定被災地域石油製品供給支援事業(事業番号54、国庫補助金等交付額9億余円)及び産業技術研究開発拠点推進事業費補助金(先端技術実証・評価設備整備費等補助金)(同82、同100億円)の2事業である。

このうち、特定被災地域石油製品供給事業は、事業の申請が全くないことから国庫に返納されたものであり、また、産業技術研究開発拠点推進事業費補助金(先端技術実証・評価設備整備費等補助金)は、24年11月の復興関連事業等を効率的・効果的に実施する観点から議論が行われた行政刷新会議の「新仕分け」の評価結果を踏まえて、被災地の復興に直接的に関連性が認められる案件のみ採択するよう要件を厳格化し、25年度以降の新規採択は認めないこととしたことなどから、全額が国庫に返納されている。

表30 平成23、24年両年度に予算措置された復興関連基金事業別の執行状況等

(単位:百万円、%)




復興予算
区分
基金事業
経費項目
事業名 国庫補助金
等交付元府
基金団体名 国庫補助金
等交付額
平成24年
度末まで
の取崩額
基金事
業執行
24年度末
に保有す
る国庫補
助金等相
当額
当初の終
了年度
延長された終了年度等
(A) (B) (B)/(A) (A)-(B)
1 23年度
2次補正
原子力災害
関係経費
福島県特別緊急除染事業 内閣府(内閣
府本府)
福島県 17,981 7,467 41.5 10,514 定めてい
ない。
-
2 23年度
3次補正
被災者緊急
支援経費
被災者への心のケア対策等の推
進事業(自殺対策)
内閣府(内閣
府本府)
47都道府県 3,700 24年度 25年度
3 23年度
3次補正
被災者緊急
支援経費
復興支援型地域社会雇用創造事
内閣府(内閣
府本府)
一般財団法人
ニューメディア開
発協会
3,200 2,867 89.6 332 24年度 25年7月に3億余円を国
庫返納
4 23年度
3次補正
被災者緊急
支援経費
新しい公共支援事業 内閣府(内閣
府本府)
岩手県、宮城県、
福島県
879 24年度 -
5 23年度
2次補正
原子力災害
関係経費
東北地方太平洋沖地震に伴う原
子力発電所の事故により放出さ
れた放射性物質の除染事業等に
必要な経費
内閣府(内閣
府本府)
福島県 199,999 170,945 85.4 29,054 定めてい
ない。
-
6 23年度
2次補正
原子力災害
関係経費
東北地方太平洋沖地震に伴う原
子力発電所の事故による被害に
係る応急の対策に関する事業に
必要な経費
内閣府(内閣
府本府)
福島県 40,385 35,079 86.8 5,305 定めてい
ない。
-
7 24年度
当初予算
原子力災害
関係経費
消費者行政活性化事業 内閣府(消
費者庁)
岩手県、宮城県、
福島県、茨城県
364 138 37.8 226 25年度 -
8 23年度
1次補正
教育支援等 初等中等教育等就学支援 文部科学省 47都道府県 11,313 18,674 45.4 22,383 26年度
9 23年度
3次補正
教育支援等 初等中等教育における就学支援
(幼稚園から高校)
文部科学省 47都道府県 29,744 26年度 -
10 23年度
3次補正
施設費等 幼稚園等の認定こども園として
の再開支援(安心こども基金)
文部科学省 岩手県、宮城県、
福島県、茨城県、
千葉県
1,810 809 44.6 1,000 24年度 25年度(25年度中に施
設整備に着手し、26年
度に完了が見込まれる
場合は、26年度まで)
11 23年度
3次補正
原子力災害
関係経費
低線量域における被ばく線量モ
ニターの開発
文部科学省 福島県 625 238 38.1 387 定めてい
ない。
-
12 23年度
3次補正
原子力災害
関係経費
放射性薬剤の研究開発・製造拠
点の整備
文部科学省 福島県 11,362 2,582 22.7 8,780 定めてい
ない。
-
13 23年度
3次補正
原子力災害
関係経費
放射線核種の生態系における環
境動態調査等
文部科学省 福島県 2,245 76 3.3 2,169 定めてい
ない。
-
14 23年度
3次補正
原子力災害
関係経費
福島県環境創造センター 文部科学省 福島県 8,042 230 2.8 7,812 定めてい
ない。
-
15 23年度
3次補正
教育支援等 奨学金事業(高校生) 文部科学省 34都府県 18,946 26年度 -
16 23年度
3次補正
教育支援等 教育研究環境整備に向けた取組
支援(高等学校等)
文部科学省 岩手県、宮城県、
福島県
4,487 1,233 27.4 3,253 26年度 -
17 23年度
3次補正
教育支援等 教育研究環境整備に向けた取組
支援(専修学校等)
文部科学省 岩手県、宮城県、
福島県
1,934 162 8.3 1,772 26年度 -
18 23年度
1次補正
被災者緊急
支援経費
地域支え合い体制づくり事業の
積み増し
厚生労働省 9県 7,020 5,749 81.8 1,271 23年度 25年度
19 23年度
1次補正
被災者緊急
支援経費
安心こども基金(地域子育て創
生事業)の活用による、被災児
童の生活復旧支援
厚生労働省 20都県 2,719 23年度 25年度
20 23年度
1次補正
雇用対策費 重点分野雇用創造事業の拡充 厚生労働省 18道都県 50,000 44,994 89.9 5,005 24年度 25年度(被災9県のみ
(25年度までに開始し
た事業は26年度ま
で)、それ以外は24年
度まで(24年度までに
開始した事業は25年度
まで))
21 23年度
3次補正
生活福祉資
金貸付事業
生活福祉資金貸付 厚生労働省 32都道府県 15,190 8,487 55.8 6,702 24年度 25年度
22 23年度
3次補正
施設費等 被災地における保育所等の複合
化・多機能化による子どもを地
域で支える基盤の構築
(安心こども基金の追加)
厚生労働省 青森県、岩手県、
福島県、茨城県、
千葉県
1,553 516 33.2 1,036 24年度 25年度(25年度中に施
設整備に着手し、26年
度に完了が見込まれる
場合は、26年度まで)
23 23年度
3次補正
医療施設等 医療施設等の防災対策の強化 厚生労働省 15都県 15,633 9 0 15,624 24年度 25年度
24 23年度
3次補正
防災対策費 社会福祉施設等耐震化等臨時特
例基金
厚生労働省 茨城県、長野県、
和歌山県、広島
県、福岡県、熊本
県、沖縄県
72,000 4,362 6 67,637 27年度 25年度
25 23年度
3次補正
医療、介
護、福祉等
被災地における医療提供体制の
再構築(既存の地域医療再生基
金に積み増し)
厚生労働省 岩手県、宮城県、
福島県
72,000 4,362 6 67,637 27年度 -
26 23年度
3次補正
医療、介
護、福祉等
社会的包摂・「絆」再生事業 厚生労働省 24都府県 17,549 7,405 42.1 10,143 24年度 25年度
27 23年度
3次補正
医療、介
護、福祉等
パーソナル・サポート・サービ
スモデル・プロジェクト
厚生労働省 19都道府県 2,215 1,984 89.5 231 24年度 -
28 23年度
3次補正
医療、介
護、福祉等
被災生活保護受給者等に対する
生活再建サポート事業
厚生労働省 38都道府県 1,771 41 2.3 1,730 24年度 25年度
29 23年度
3次補正
医療、介
護、福祉等
介護等のサポート拠点の設置・
運営等
(介護基盤整備基金(支え合い事
業)に積み増し)
厚生労働省 10道県 9,035 1,273 14 7,761 24年度 25年度
30 23年度
3次補正
医療、介
護、福祉等
介護基盤復興まちづくり整備事
業(介護基盤整備基金(ハード)
への追加)
厚生労働省 岩手県、宮城県、
福島県
2,850 504 17.7 2,345 24年度 25年度

(単位:百万円、%)




復興予算
区分
基金事業
経費項目
事業名 国庫補助金
等交付元府
基金団体名 国庫補助金
等交付額
平成24年
度末まで
の取崩額
基金事
業執行
24年度末
に保有す
る国庫補
助金等相
当額
当初の終
了年度
延長された終了年度等
(A) (B) (B)/(A) (A)-(B)
31 23年度
3次補正
医療、介
護、福祉等
被災3県の革新的医療機器創
出・開発促進事業(既存の地域
医療再生基金に追加)
厚生労働省 岩手県、宮城県、
福島県
4,320 467 10.8 3,852 27年度 -
32 23年度
3次補正
医療、介
護、福祉等
被災地における保健師巡回相談
等の健康支援(介護基盤整備基
金への追加)
厚生労働省 岩手県、宮城県、
福島県、茨城県、
千葉県、長野県、
2,893 1,049 36.2 1,843 24年度 25年度(た
だし被災3県
のみ)
33 23年度
3次補正
医療、介
護、福祉等
被災者の心のケア事業
(障害者自立支援対策臨時特例
基金の追加、災害時等心のケア
支援体制整備事業費の一部)
厚生労働省 岩手県、宮城県、
福島県
2,791 1,414 50.6 1,377 24年度 -
34 23年度
3次補正
医療、介
護、福祉等
被災地障害福祉サービス基盤整
備事業
(障害者自立支援対策臨時特例
基金の追加)
厚生労働省 岩手県、宮城県、
福島県
1,521 844 55.4 677 24年度 -
35 23年度
3次補正
雇用対策費 重点分野雇用創造事業の拡充
(震災対応事業の延長)
厚生労働省 47都道府県 200,000 126,961 63.4 73,038 24年度
(24年度
までに開
始した事
業は25年
度まで)
25年度(被 災9県のみ
(25年度ま でに開始し
た事業は26 年度ま
で)、それ 以外は24年
度まで(24 年度までに
開始した事 業は25年度
まで))
36 23年度
3次補正
雇用対策費 重点分野雇用創造事業の拡充
(雇用復興推進事業の創設)
厚生労働省 9県 151,000 17,342 11.4 133,657 27年度 28年度
37 23年度
3次補正
雇用対策費 新卒者就職実現プロジェクト事
業の被災地に係る特例措置の延
長等
厚生労働省 中央職業能力開発
協会
23,520 9,685 41.1 13,834 23年度 24年度(震 災特例措置
以外は24年6 月末まで、
震災特例措 置は24年度
末まで)
38 24年度
1次補正
雇用対策費 震災等緊急雇用対応事業 厚生労働省 9県 50,000 - - 50,000 25年度
(25年度
までに開
始した事
業は26年
度まで)
39 24年度
予備費
医療、介
護、福祉等
地域医療提供体制の再構築 厚生労働省 岩手県、宮城県、
福島県、茨城県
38,000 - - 38,000 27年度 -
40 23年度
3次補正
原子力災害
関係経費
農地土壌等の浄化の研究拠点施
設整備調査事業(福島基金分)
農林水産省 福島県 100 2 2.7 97 32年度 -
41 23年度
3次補正
農業関係 配合飼料価格安定対策事業 農林水産省 公益社団法人配合
飼料供給安定機構
9,700 定めてい
ない。
23年度第1、 第2四半期の
飼料価格上 昇のため補
填した101億 円に対し
て、基金に 97億円が積
み増された もので、今
後取り崩す ものではな
い。
42 23年度
3次補正
農業関係 被災者向け農の雇用事業 農林水産省 全国農業会議所 700 220 31.5 479 24年度 -
43 23年度
3次補正
森林・林業
の復興
森林整備加速化・林業再生事業 農林水産省 45道府県(東京都
及び神奈川県を除
く。)
139,945 36,438 26.0 103,507 26年度 -
44 23年度
3次補正
水産業関係 漁業・養殖業復興支援事業 農林水産省 特定非営利活動法
人水産業・漁村活
性化推進機構
81,753 31,505 34.1 60,853 28年度 -
45 24年度
当初予算
水産業関係 漁業・養殖業復興支援事業 農林水産省 特定非営利活動法
人水産業・漁村活
性化推進機構
10,605 28年度 -
46 23年度
3次補正
水産業関係 漁業経営セーフティーネット構
築事業
農林水産省 一般社団法人漁業
経営安定化推進協
3,980 2,013 50.5 1,966 定めてい
ない。
-
47 24年度
当初予算
農業関係 被災者向け農の雇用事業 農林水産省 全国農業会議所 422 17 4.0 405 25年度 -
48 24年度
1次補正
農業関係 福島発農産物等戦略的情報発信
事業
農林水産省 福島県 1,299 - - 1,299 25年度 -
49 24年度
1次補正
農業関係 福島県営農再開支援事業 農林水産省 福島県 23,185 101 0.4 23,083 27年度 -
50 24年度
1次補正
災害関連融
資関係経費
中小企業の資金繰り支援
(無利子化)
経済産業省 (独)中小企業基盤
整備機構
10,000 581 5.8 9,418 定めてい
ない。
-
51 24年度
1次補正
災害関連融
資関係経費
中小企業の資金繰り支援
(保証)
経済産業省 一般社団法人全国
信用保証協会連合
39,600 156 0.2 69,543 定めてい
ない。
-
52 23年度
3次補正
災害関連融
資関係経費
経営安定関連保証等対策費補助
事業
経済産業省 一般社団法人全国
信用保証協会連合
30,100 定めてい
ない。
-

(単位:百万円、%)




復興予算
区分
基金事業
経費項目
事業名 国庫補助金
等交付元府
基金団体名 国庫補助金
等交付額
平成24年
度末まで
の取崩額
基金事
業執行
24年度末
に保有す
る国庫補
助金等相
当額
当初の終
了年度
延長された終了年度等
(A) (B) (B)/(A) (A)-(B)
53 23年度
1次補正
燃料安定供
給対策費
被災地(東北6県+茨城・千葉)
SS向け緊急資金繰り対策
経済産業省 一般社団法人全国
石油協会
5,079 63 1.2 5,016 25年度 27年度
54 23年度
1次補正
燃料安定供
給対策費
特定被災地域石油製品供給支援
事業
経済産業省 一般社団法人全国
石油協会
910 定めてい
ない。
23年度末で
終了。全額
国庫返納。
55 23年度
1次補正
その他 旧鉱物採掘区域災害復旧費補助
経済産業省 宮城県(社団法人
宮城県農業公社)
248 248 100.0 - 27年度 -
56 23年度
2次補正
原子力災害
関係経費
原子力被災者の健康確保・管理
関連交付金(仮称)(福島県向け)
経済産業省 福島県 78,182 定めてい
ない。
-
57 23年度
2次補正
中小企業等 再生可能性を判断する間の利子
負担の軽減
経済産業省 (独)中小企業基盤
整備機構
18,400 625 3.3 17,774 定めてい
ない。
-
58 23年度
3次補正
原子力災害
関係経費
医療福祉機器・創薬産業拠点整
備事業
経済産業省 福島県 39,493 4,144 10.4 35,348 定めてい
ない。
-
59 23年度
3次補正
その他 被災地域等地下タンク環境保全
対策促進事業(全国防災)
経済産業省 一般社団法人全国
石油協会
6,986 5,672 64.9 3,064 24年度 25年7月に14
億余円を国
庫返納
60 23年度
3次補正
その他 被災地域等地下タンク環境保全
対策促進事業(被災地向け)
経済産業省 一般社団法人全国
石油協会
1,749 24年度
61 23年度
3次補正
中小企業等 被災中小企業復興支援リース補
助事業
経済産業省 日本商工会議所 10,049 1,003 9.9 9,046 30年度 -
62 23年度
3次補正
中小企業等 中小企業人材対策事業 経済産業省 全国中小企業団体
中央会
2,487 1,081 43.4 1,406 26年度 25年7月に14
億余円を国
庫返納
63 23年度
3次補正
立地補助金 国内立地推進事業費補助金 経済産業省 一般社団法人環境
パートナーシップ
会議
295,000 707 0.2 294,292 26年度 25年7月に
216億余円を
国庫返納
64 23年度
3次補正
立地補助金 がんばろうふくしま産業復興企
業立地支援事業
経済産業省 福島県 170,000 5,665 2.6 204,558 28年度 -
65 24年度
予備費
立地補助金 地域経済産業復興立地推進事業 経済産業省 福島県 40,224 28年度 -
66 23年度
3次補正
立地補助金 産業技術研究開発拠点立地推進
事業費補助金(希少金属使用量
削減・代替技術開発設備整備費
等補助金)
経済産業省 一般社団法人環境
パートナーシップ
会議
8,499 84 0.9 8,415 25年度 25年7月に1
億余円を国
庫返納
67 23年度
3次補正
立地補助金 産業技術研究開発拠点立地推進
事業費補助金(先端技術実証・
評価設備整備費等補助金)
経済産業省 一般社団法人環境
パートナーシップ
会議
26,500 115 0.4 26,384 33年度 25年7月に56
億余円を国
庫返納
68 23年度
3次補正
節電エコ補
助金等
住宅用太陽光発電導入支援復興
対策基金造成事業費補助金
経済産業省 一般社団法人環境
パートナーシップ
会議
86,992 37,955 43.6 49,037 26年度 -
69 23年度
3次補正
節電エコ補
助金等
住宅用太陽光発電高度普及促進
復興対策基金造成事業費補助金
経済産業省 一般社団法人環境
パートナーシップ
会議
32,394 16,979 52.4 15,415 26年度 -
70 23年度
3次補正
節電エコ補
助金等
エネルギー管理システム導入促
進事業費補助金
経済産業省 一般社団法人環境
パートナーシップ
会議
30,000 2,293 7.6 27,706 25年度 25年7月に51
億余円を国
庫返納
71 23年度
3次補正
節電エコ補
助金等
電力需要ピークカット蓄電池導
入支援事業
経済産業省 一般社団法人環境
パートナーシップ
会議
20,999 1,062 5.0 19,937 25年度 25年7月に53
億余円を国
庫返納
72 23年度
3次補正
節電エコ補
助金等
建築物節電改修支援事業費補助
経済産業省 一般社団法人環境
パートナーシップ
会議
15,000 10,090 67.2 4,909 25年度 25年7月に47
億余円を国
庫返納
73 23年度
3次補正
節電エコ補
助金等
再生可能エネルギー固定価格買
取制度施行事業
経済産業省 一般社団法人低炭
素投資促進機構
7,000 7,000 100.0 定めてい
ない。
-
74 23年度
3次補正
その他 再生可能エネルギー発電設備等
導入促進支援復興対策事業費補
助金
経済産業省 一般社団法人太陽
光発電協会
32,599 186 0.5 32,413 27年度 -
75 23年度
3次補正
その他 スマートコミュニティ導入促進
事業費補助金
経済産業省 一般社団法人新エ
ネルギー導入促進
協議会
8,059 185 2.2 7,873 27年度 -
76 23年度
3次補正
その他 スマートエネルギーシステム導
入促進事業費補助金
経済産業省 一般社団法人新エ
ネルギー導入促進
協議会
4,346 17 0.3 4,329 27年度 -
77 23年度
3次補正
その他 火力発電運転円滑化対策費補助
経済産業省 一般社団法人環境
パートナーシップ
会議
9,000 1,654 18.3 7,345 定めてい
ない。
25年7月に7
億余円を国
庫返納

(単位:百万円、%)




復興予算
区分
基金事業
経費項目
事業名 国庫補助金
等交付元府
基金団体名 国庫補助金
等交付額
平成24年
度末まで
の取崩額
基金事
業執行
24年度末
に保有す
る国庫補
助金等相
当額
当初の終
了年度
延長された終了年度等
(A) (B) (B)/(A) (A)-(B)
78 23年度
3次補正
その他 温排水利用施設整備等対策費交
付金
経済産業省 静岡県 995 345 34.7 649 定めていな
い。
-
79 23年度
3次補正
その他 被災地域石油製品販売業再建等
支援事業費
経済産業省 一般社団法人全国
石油協会
2,349 301 12.8 2,048 定めていな
い。
-
80 23年度
3次補正
その他 旧鉱物採掘区域災害復旧費 経済産業省 岩手県(公益財団
法人岩手県土木技
術センター)、宮
城県(社団法人宮
城県農業公社)、
福島県(財団法人
福島県農業振興公
社)
495 237 47.9 258 27年度 -
81 24年度
当初予算
立地補助金 産業技術研究開発拠点立地推進
事業費補助金(産業連携イノ
ベーション促進事業費補助金)
経済産業省 一般社団法人環境
パートナーシップ
会議
4,000 2 0.0 3,997 26年度 25年7月に32
百万余円を
国庫返納
82 24年度
当初予算
立地補助金 産業技術研究開発拠点立地推進
事業費補助金(先端技術実証・
評価設備整備費等補助金)
経済産業省 一般社団法人環境
パートナーシップ
会議
10,000 25年度 25年7月に
100億円の全
額を国庫返
83 24年度
当初予算
立地補助金 国内立地推進事業費補助金(原
子力災害周辺地域産業復興企業
立地補助事業)
経済産業省 一般社団法人環境
パートナーシップ
会議
14,000 3 0.0 13,996 28年度 -
84 24年度
1次補正
その他 旧鉱物採掘区域災害復旧事業 経済産業省 宮城県(社団法人
宮城県農業公社)
132 - - 132 27年度 -
85 24年度
予備費
原子力災害
関係経費
福島県医療機器開発・安全性評
価センター整備事業
経済産業省 福島県 13,390 - - 13,390 31年度 -
86 23年度
1次補正
災害関連融
資関係経費
災害復興住宅融資等事業 国土交通省 (独)住宅金融支援
機構
52,600 1,492 2.8 51,107 27年度(申
込受付終了
年度)
-
87 23年度
1次補正
災害関連融
資関係経費
既往貸付者に係る返済方法の変
更事業
国土交通省 (独)住宅金融支援
機構
3,400 949 27.9 2,450 27年度(申
込受付終了
年度)
-
88 23年度
3次補正
災害関連融
資関係経費
災害復興住宅融資等 国土交通省 (独)住宅金融支援
機構
135,800 - - 135,800 27年度(申
込受付終了
年度)
-
89 23年度
3次補正
災害関連融
資関係経費
既往貸付者に係る返済方法の変
国土交通省 (独)住宅金融支援
機構
14,900 1,480 9.9 13,419 27年度(申
込受付終了
年度)
-
90 23年度
3次補正
住宅関係 住宅エコポイント 国土交通省 一般社団法人環境
パートナーシップ
会議
72,300 26年度
(ポイント
交換終了年
度)
-
91 23年度
3次補正
住宅関係 優良住宅取得支援制度の拡充に
よる復興の推進
国土交通省 (独)住宅金融支援
機構
15,900 839 5.2 15,060 24年度(申
込受付終了
年度)
-
92 24年度
当初予算
災害関連融
資関係経費
災害復興住宅融資等 国土交通省 (独)住宅金融支援
機構
53,900 - - 53,900 27年度(申
込受付終了
年度)
-
93 23年度
3次補正
災害廃棄物
処理事業費
地域グリーンニューディール基
金の拡充(災害廃棄物処理事業
の地方支援)
環境省 10道県 67,963 67,024 98.6 938 25年度 -
94 23年度
3次補正
原子力災害
関係経費
放射性物質により汚染された土
壌等の除染の実施
環境省 福島県 70,644 100,676 61.2 63,786 定めていな
い。
-
95 24年度
当初予算
原子力災害
関係経費
放射性物質により汚染された土
壌等の除染の実施
環境省 福島県 93,819 定めていな
い。
-
96 23年度
3次補正
住宅関係 住宅エコポイント 環境省 一般社団法人環境
パートナーシップ
会議
72,300 26年度
(ポイント
交換終了時
期)
-
97 23年度
3次補正
その他 グリーンニューディール基金の
拡充(自立・分散型エネルギー
供給等によるエコタウン化事
業)
環境省 青森県、岩手県、
宮城県、秋田県、
山形県、福島県、
茨城県、仙台市
83,977 5,808 6.9 78,168 27年度 -
98 24年度
当初予算
災害廃棄物
処理事業費
震災がれき処理促進地方公共団
体緊急支援基金事業(グリーン
ニューディール基金)
環境省 8県 4,030 2,401 59.5 1,628 25年度 -
99 24年度
予備費
原子力災害
関係経費
福島健康管理拠点の緊急整備 環境省 福島県 5,980 30 0.5 5,949 定めていな
い。
100 24年度
1次補正
その他 福島県環境創造センター(仮
称)整備事業
環境省 福島県 11,337 - - 11,337 定めていな
い。
-
計(100事業) 3,137,087
うち90事業 2,867,449 824,402 28.7 2,043,046
注(1)
復興関連基金事業のうち、既存の基金と復興関連基金事業とを区分して経理していないもの及び国庫補助金等交付額の全額が国庫に返納されたものは、「平成24年度末までの取崩額」、「基金事業執行率」、「24年度末に保有している国庫補助金等相当額」の欄を「/」としている。
注(2)
復興関連基金事業数は、予算別、復興関連基金事業別に集計している。また、国土交通省及び環境省から国庫補助金等が交付されている「住宅エコポイント」は、省別に区分して国庫補助金等額を集計している。
注(3)
「当初の終了年度」の欄は、復旧・復興予算が措置された際に設定された事業の終了期限の年度を記載している。

(イ) 復旧・復興予算措置年度別の執行状況

23、24両年度における復興関連基金事業の年度別事業数、国庫補助金等交付額、国庫補助金等交付額に対する取崩額の割合(以下「基金事業執行率」という。)についてみると、表31のとおり、23年度に予算が措置されている事業(以下「23年度措置分」という。)は70事業、2兆1803億余円(基金事業執行率31.3%)、24年度に予算が措置されている事業(以下「24年度措置分」という。)は14事業、2200億余円(同1.2%)であり、その他、23、24両年度に交付された国庫補助金等を一体として管理している事業は6事業、4670億余円(同29.5%)となっていて、事業数、国庫補助金等交付額、取崩額のいずれも23年度措置分が大半を占めている。また、基金事業執行率では、24年度措置分の基金事業執行率が低調となっているのは、上記14事業のうち7事業が全く取り崩されていないことによる。

表31 復旧・復興予算措置年度別の復興関連基金事業の執行状況等

(単位:件、百万円、%)

復興予算
措置年度
復興関
連基金
事業数
国庫補助金等
交付額
平成24年度末ま
での取崩額
基金事業執
行率
24年度末に保有
している国庫補
助金等相当額
(A) (B) (B)/(A) (A)-(B)
23年度 70 2,180,359 683,858 31.3 1,496,501
24年度 14 220,042 2,695 1.2 217,346
23、24両年度 6 467,047 137,848 29.5 329,199
90 2,867,449 824,402 28.7 2,043,046

(ウ) 事業実施期限別の執行状況

復興関連基金事業は、単年度で完結しない事業を実施するため、事業の実施期限が設けられている。そこで、90事業について、事業が終了する期限の年度別の事業数、国庫補助金等交付額及びその執行状況についてみると、表32のとおり、26年度以降終了分に多額の国庫補助金等が交付されており、今後、これらの資金を活用した多数かつ多額の復興関連基金事業の実施が見込まれる。

26年度以降終了分の終了年度についてみると、集中復興期間が終わる27年度が最も多くなっており、17事業となっている。また、28年度以降を終了期限としているものは10事業、終了年度未定のものは21事業となっており、これらについてみると、原子力災害からの復興再生が長期にわたると想定される福島県に交付されたものや、除染事業等の原子力災害関係経費に係るものが16事業と多く見受けられた。

表32 復興関連基金事業終了年度別の執行状況等

(単位:件、百万円、%)

終了年度
(平成25年度以
降は予定)
復興関
連基金
事業数
国庫補助金等
交付額
24年度末ま
での取崩額
基金事業執
行率
24年度末に保
有している国
庫補助金等相
当額
(A) (B) (B)/(A) (A)-(B)
24年度 9 58,585 23,529 40.1 35,056
25年度 23 526,553 282,251 53.6 244,302
26年度以降 37 1,658,966 184,471 11.1 1,474,495
26年度 10 608,300 113,234 18.6 495,066
27年度 17 533,042 15,599 2.9 517,443
28年度 6 467,583 54,516 11.6 413,066
30年度 1 10,049 1,003 9.9 9,046
31年度 1 13,390 - - 13,390
32年度 1 100 2 2.7 97
33年度 1 26,500 115 0.4 26,384
終了年度未定 21 623,342 334,150 53.6 289,192
90 2,867,449 824,402 28.7 2,043,046

そして、事業終了年度別の個々の復興関連基金事業の執行状況についてみると、終了年度が24年度である9事業の基金事業執行率は、5.2%から89.6%までとなっていて、復興関連基金事業によって大きな開差が見受けられた。このうち、基金事業執行率が50%以下となっている復興関連基金事業は、新卒者就職実現プロジェクト事業の被災地に係る特例措置の延長等(事業番号37)、被災者向け農の雇用事業(同42)及び優良住宅取得支援制度の拡充による復興の推進(同91)の3事業となっている。この3事業のうち、新卒者就職実現プロジェクト事業の被災地に係る特例措置の延長等(事業番号37)及び被災者向け農の雇用事業(同42)の2事業は、申請件数の実績が当初の想定を大幅に下回ったことなどにより基金事業執行率が低くなっている。

また、地域支え合い体制づくり事業の積み増し(事業番号18)についてみると、基金事業執行率が81.8%と高くなっているものの、一部の基金団体では、他事業により補完され代替されたことなどにより、基金が全く取り崩されておらず余剰金を生じているところも見受けられた((4)イ(イ)参照)。

(エ) 基金事業経費項目別の執行状況

90事業のうち、23年度に復旧・復興予算で措置された70事業、国庫補助金等交付額2兆1803億余円について基金事業経費項目別の執行状況をみると、表33のとおり、国庫補助金等交付額が2000億円以上と多額に上っているものは雇用対策費4245億余円、立地補助金3300億円、原子力災害関係経費3202億余円及び災害関連融資関係経費2864億円であり、これらの項目の合計(1兆3611億余円)で全体の約60%を占めている。

また、基金事業経費項目別に24年度末の基金事業執行率をみると、0.2%(立地補助金)から98.6%(災害廃棄物処理事業費)まで(平均31.3%)となっていて、執行の状況に大きな開差が見受けられた。このうち、立地補助金が0.2%と低率になっているのは、事業採択はおおむね全額について行われているものの、企業立地に係る用地の取得から建屋の建設及び設備の設置までに数年の事業期間が必要なことなどから、事業が完了するのが25年度以降となるものが大半となっていることによる。

表33 平成23年度に予算措置された復興関連基金事業の基金事業経費項目別の執行状況等

(単位:件、百万円、%)

基金事業経費項目 復興関
連基金
事業数
国庫補助金等
交付額
平成24年度
末までの取
崩額
基金事業
執行率
24年度末に保有
している国庫補
助金等相当額
(A) (B) (B)/(A) (A)-(B)
雇用対策費 4 424,520 198,984 46.8 225,535
立地補助金 3 330,000 907 0.2 329,092
原子力災害関係経費 9 320,235 220,766 68.9 99,469
災害関連融資関係経費 7 286,400 4,659 1.6 281,740
節電エコ補助金等 6 192,387 75,381 39.1 117,006
森林・林業の復興 1 139,945 36,438 26 103,507
医療、介護、福祉等 10 116,948 19,348 16.5 97,600
災害廃棄物処理事業費 1 67,963 67,024 98.6 938
教育支援等 4 47,479 20,070 42.2 27,409
中小企業等 3 30,937 2,709 8.7 28,227
医療施設等防災対策費等 2 18,298 1,344 7.3 16,954
住宅関係 1 15,900 839 5.2 15,060
生活福祉資金貸付事業費 1 15,190 8,487 55.8 6,702
被災者緊急支援経費 2 10,220 8,617 84.3 1,603
燃料安定供給対策費 1 5,079 63 1.2 5,016
水産業関係 1 3,980 2,013 50.5 1,966
施設費等 2 3,363 1,325 39.4 2,037
農業関係 1 700 220 31.5 479
その他 11 150,807 14,657 9.7 136,150
70 2,180,359 683,858 31.3 1,496,501

90事業のうち、24年度に復興関係予算で措置された14事業、国庫補助金等交付額2200億余円について基金事業経費項目別の執行状況をみると、表34のとおり、国庫補助金等交付額が多額となっているものは、災害関連融資関係経費539億円、雇用対策費500億円及び医療、介護、福祉等380億円であり、これらの項目の合計(1419億円)で全体の約60%を占めている。

また、基金事業経費項目別に24年度末の基金事業執行率をみると、災害関連融資関係経費等4項目が0%となっている一方、災害廃棄物処理事業費は59.5%、平均では1.2%となっている。このうち、上記の4項目が全く取り崩されていないのは、雇用対策費のように、24年度末に各基金団体に基金が設置造成等されたため、25年度以降に事業の実施が予定されていることなどによる。

表34 平成24年度に予算措置された復興関連基金事業の基金事業経費項目別の執行状況等

(単位:件、百万円、%)

基金事業経費項目 復興関
連基金
事業数
国庫補助金等
交付額
平成24年度
末までの取
崩額
基金事業
執行率
24年度末に保有
している国庫補
助金等相当額
(A) (B) (B)/(A) (A)-(B)
災害関連融資関係経費 1 53,900 53,900
雇用対策費 1 50,000 50,000
医療、介護、福祉等 1 38,000 38,000
農業関係 3 24,907 119 0.4 24,788
原子力災害関係経費 3 19,735 168 0.8 19,566
立地補助金 2 18,000 6 0 17,993
災害廃棄物処理事業費 1 4,030 2,401 59.5 1,628
その他 2 11,469 11,469
14 220,042 2,695 1.2 217,346

(オ) 基金団体別の国庫補助金等交付額の交付状況

復興関連基金事業を実施するに当たって、どのような基金団体に対して国庫補助金等が交付されているかに着眼して、基金団体別に復興関連基金事業数及び国庫補助金等交付額の状況についてみると、表35のとおり、都道府県で57事業、1兆8435億余円(国庫補助金等交付額の総額に占める割合58.7%)、政令指定都市である仙台市で1事業、64億余円(同0.2%)、公益法人等で43事業、1兆2870億余円(同41.0%)となっている。

このうち、基金団体が都道府県であるものについて、基金事業数、国庫補助金等交付額等をみると、福島県が52事業、国庫補助金等交付額1兆0289億余円(国庫補助金等交付額の総額に占める割合32.8%)と最も多くなっている。これは、主に原子力災害関係経費に係る復興関連基金事業が福島県のみで実施されていることによるものである。また、基金は全都道府県に設置造成等されているが、岩手県、宮城県、福島県及び茨城県以外の43都道府県における国庫補助金等交付額は、いずれも総額の1%未満となっている。

表35 平成23、24年両年度に交付された基金団体別の国庫補助金等交付額等

(単位:件、百万円、%)

基金団体名 復興
関連
基金
事業
国庫補助金等
交付額
国庫補助
金等交付
額の総額
に占める
左の額の
割合
基金団体名 復興
関連
基金
事業
国庫補助金等
交付額
国庫補助
金等交付
額の総額
に占める
左の額の
割合
北海道 11 18,292 0.5 滋賀県 10 3,783 0.1
青森県 17 20,997 0.6 京都府 10 10,545 0.3
岩手県 33 147,785 4.7 大阪府 9 12,516 0.3
宮城県 33 262,958 8.3 兵庫県 9 8,472 0.2
秋田県 11 17,931 0.5 奈良県 7 5,568 0.1
山形県 11 19,218 0.6 和歌山県 7 4,354 0.1
福島県 52 1,028,980 32.8 鳥取県 6 6,291 0.2
茨城県 22 36,351 1.1 島根県 10 6,557 0.2
栃木県 15 12,904 0.4 岡山県 9 4,646 0.1
群馬県 10 7,148 0.2 広島県 11 5,600 0.1
埼玉県 10 9,085 0.2 山口県 7 4,168 0.1
千葉県 21 9,755 0.3 徳島県 9 6,655 0.2
東京都 12 21,004 0.6 香川県 8 1,492 0.0
神奈川県 10 9,856 0.3 愛媛県 7 7,252 0.2
新潟県 15 8,978 0.2 高知県 9 7,898 0.2
富山県 8 4,328 0.1 福岡県 13 10,574 0.3
石川県 10 5,959 0.1 佐賀県 7 3,090 0.0
福井県 8 3,060 0 長崎県 8 4,517 0.1
山梨県 9 3,928 0.1 熊本県 10 8,020 0.2
長野県 18 10,681 0.3 大分県 8 8,311 0.2
岐阜県 8 8,527 0.2 宮崎県 8 9,392 0.2
静岡県 13 8,357 0.2 鹿児島県 7 8,531 0.2
愛知県 9 8,631 0.2 沖縄県 11 4,939 0.1
三重県 9 5,595 0.1 都道府県(計) 57 1,843,502 58.7
仙台市 1 6,497 0.2
公益法人等 43 1,287,088 41.0
合計 100.0 3,137,087 100.0
注(1)
国庫補助金等交付額は、各府省から聴取した金額を集計している。
注(2)
基金団体が都道府県所管の公益法人その他団体の場合は、各都道府県に含めて集計している。
注(3)
都道府県(計)の復興関連基金事業数は、同一事業で複数の都道府県に国庫補助金等が交付されている場合であっても、1件として集計している。
注(4)
復興関連基金事業数は、同一事業を県及び市で行っているものがあるため、都道府県(計)、仙台市及び公益法人等の計と合計は一致しない。

このように、復興関連基金事業は、多額の復旧・復興予算が投じられて全国で実施されていることから、国は基金団体と十分連携し、適切かつ有効に事業が実施されるよう努める必要がある。また、復興関連基金事業の中には、予算を措置した時点では基金事業規模の想定が困難であったことなどにより、余剰金が生ずるなどしているものがあり、これらについては、国が適切な基金規模になっているかの検証を行う必要がある。国は、このような検証を行い、余剰金が生ずると見込まれる場合には、余剰金を国庫に返納することを基金団体に対して要請するなど、資金を適切かつ有効に活用するよう努める必要がある。

オ 復興施策等別の執行状況

会計検査院は、24年報告(10026_2_5参照)において、復興基本方針に基づき、各府省庁一体となって実施している復興施策等がどのように実施されているかなどに着眼して、23年度3次補正で実施している562事業を対象として検査し、各府省庁等や市町村が掲げる施策の特徴や執行状況を分析するなどした結果を報告した。

そこで、本報告では、上記の復興施策等が引き続きどのように実施されているか、特に、復興施策等の項目別の事業件数、予算現額、支出済額及び執行率はどのようになっているかなどに着眼して、23年度3次補正のうち翌年度に繰り越した分(以下「23年度3次補正繰越分」という。)で実施している354事業及び24年度復興特会で実施している483事業のうち、復興基本方針における復興施策等との関連が明確である23年度3次補正繰越分306事業及び24年度復興特会425事業を対象として検査した。

なお、24年報告と同様に、一部の事業は複数の復興施策等の項目に該当していることから、それぞれの項目に該当するとして、事業数、予算現額及び支出済額を重複して計上して分析している。

(ア) 平成23年度3次補正繰越分の復興施策等別の執行状況

上記の23年度3次補正繰越分306事業についてみると、表36-1のとおり、復興基本方針の「5 復興施策」に掲げられた4項目に関連する事業は延べ368件、「6 原子力災害からの復興」に掲げられた3項目に関連する事業は延べ27件、計395件執行されていた。

23年度3次補正繰越分の復興施策等の執行状況についてみると、「5 復興施策」は、予算現額2兆2830億余円、支出済額1兆6079億余円、執行率70.4%となっている。また、「6 原子力災害からの復興」は、予算現額1822億余円、支出済額324億余円、執行率17.8%となっている。

このうち、補助(基金)等を除いた復興施策等の執行状況についてみると、「5 復興施策」は、予算現額計2兆2490億余円、支出済額計1兆5741億余円、執行率69.9%となっている。なお、「6 原子力災害からの復興」には、補助(基金)等の事業は含まれていない。

補助(基金)等を除いた執行率をみると、11.9%から93.5%まで(平均66.0%)となっていて、大きな開差が見受けられた。このうち、「5 復興施策」では「(3)地域経済活動の再生」の内訳項目である「⑩再生可能エネルギーの利用促進とエネルギー効率の向上」が11.9%と低率になっている。これは、事業の実施により発生した地層強度不足の懸念、土壌汚染の判明等のため、事業が遅延したことなどによる。また、「6 原子力災害からの復興」では、「(1)応急対策、復旧対策」の内訳項目である「④放射性物質の除去等」が14.9%と低率になっている。これは、自治体や地元住民との調整が難航したことなどのため、事業の着手に至らなかったことなどによる。

このように、23年度3次補正繰越分の復興施策等に係る各項目は、23年度末からおおむね進捗しているが、「④放射性物質の除去等」など、一部の項目については進捗していないものも見受けられる。

表36-1 平成23年度3次補正繰越分の復興施策等別の執行状況

(単位:件、億円、%)

復興基本方針における
復興施策等
事業数 予算現額 支出済額 執行率
うち
補助
(基
金)
等を
除い
た件
うち補助
(基金)
等を除い
た額
うち補助
(基金)
等を除い
た額
うち補助
(基金)
等を除い
た率
A B C D E=C/A F=D/B
5 復興施策 368 361 22,830 22,490 16,079 15,741 70.4 69.9
(1)災害に強い地域づくり 44 44 5,045 5,045 2,812 2,812 55.7 55.7
①高齢化や人口減少等に対応した新しい地域づくり 5 5 114 114 75 75 65.4 65.4
②「減災」の考え方に基づくソフト・ハードの施策の総動員 29 29 4,367 4,367 2,255 2,255 51.6 51.6
③土地利用の再編等を速やかに実現できる仕組み等 3 3 14 14 12 12 87.9 87.9
④被災者の居住の安定確保 3 3 522 522 445 445 85.2 85.2
⑤市町村の計画策定に対する人的支援、復興事業の担い手等 4 4 25 25 23 23 92.7 92.7
(2)地域における暮らしの再生 41 37 1,495 1,339 707 551 47.3 41.1
①地域の支え合い 17 13 550 395 361 206 65.6 52.1
②雇用対策 1 1 1 1 1 1 68.5 68.5
③教育の振興 16 16 898 898 322 322 35.8 35.8
④復興を支える人材の育成 1 1 1 1 1 1 93.5 93.5
⑤文化・スポーツの振興 6 6 43 43 20 20 48.2 48.2
(3)地域経済活動の再生 112 111 7,949 7,778 5,438 5,267 68.4 67.7
①企業、産業・技術等 44 44 1,002 1,002 736 736 73.4 73.4
②中小企業 7 7 124 124 76 76 61.4 61.4
③農業 13 13 176 176 152 152 85.9 85.9
④林業 7 7 278 278 161 161 58.0 58.0
⑤水産業 12 12 1,293 1,293 523 523 40.5 40.5
⑥観光 1 1 5 5 4 4 80.7 80.7
⑦コミュニティを支える生業支援 1 1 2 2 2 2 85.6 85.6
⑧二重債務問題等 1 1 50 50 16 16 32.1 32.1
⑨交通・物流、情報通信 18 18 1,606 1,606 1,379 1,379 85.8 85.8
⑩再生可能エネルギーの利用促進とエネルギー効率の向上 2 2 175 175 21 21 11.9 11.9
⑪環境先進地域の実現 1 1 1 1 1 1 83.2 83.2
⑫膨大な災害廃棄物の処理の促進 5 4 3,232 3,062 2,364 2,193 73.1 71.6
(4)大震災の教訓を踏まえた国づくり 171 169 8,339 8,326 7,120 7,108 85.3 85.3
①電力安定供給の確保とエネルギー戦略の見直し 4 3 69 68 63 62 92.2 92.1
②再生可能エネルギーの導入促進及び省エネルギー対策等の推進 15 15 1,687 1,687 1,411 1,411 83.6 83.6
③世界に開かれた復興 15 15 86 86 76 76 88.8 88.8
④社会的包摂の実現と「新しい公共」の推進 1 1 1 1 1 1 91.9 91.9
⑤今後の災害への備え 124 123 6,345 6,332 5,430 5,420 85.5 85.5
⑥震災に関する学術調査、災害の記録と伝承 12 12 150 150 136 136 90.3 90.3
6 原子力災害からの復興 27 27 1,822 1,822 324 324 17.8 17.8
(1)応急対策、復旧対策 27 27 1,822 1,822 324 324 17.8 17.8
①応急対策、各種支援、情報提供等 9 9 48 48 37 37 76.7 76.7
②安全対策・健康管理対策等 2 2 1 1 1 1 91.7 91.7
③賠償・行政サービスの維持等 4 4 40 40 26 26 65.7 65.7
④放射性物質の除去等 12 12 1,732 1,732 259 259 14.9 14.9
(2)復興対策
①医療産業の拠点整備
②再生可能エネルギーの拠点整備
(3)政府系研究機関の関連部門等の福島県への設置等の促進
395 388 24,653 24,313 16,404 16,065 66.5 66.0

 

(イ) 平成24年度復興特会の復興施策等別の執行状況

24年度復興特会425事業についてみると、表36-2のとおり、復興基本方針の「5復興施策」に掲げられた4項目に関連する事業は延べ408件、「6 原子力災害からの復興」に掲げられた3項目に関連する事業は延べ60件、計468件執行されていた。

24年度の復興施策等の執行状況についてみると、「5 復興施策」は、予算現額2兆9655億余円、支出済額1兆4510億余円、執行率48.9%となっている。また、「6 原子力災害からの復興」は、予算現額827億余円、支出済額478億余円、執行率57.8%となっている。

このうち、補助(基金)等を除いた復興施策等の執行状況についてみると、「5 復興施策」は、予算現額計2兆4968億余円、支出済額計9912億余円、執行率39.6%となっている。また、「6 原子力災害からの復興」は、予算現額計500億余円、支出済額計152億余円、執行率30.5%となっていて、上記の支出済額478億余円のうち補助(基金)等が326億余円であることから、補助(基金)等を含めた場合と比べて大きな差異が見受けられた。

補助(基金)等を除いた執行率をみると、15.4%から99.4%まで(平均39.5%)となっていて、大きな開差が見受けられた。このうち、「5 復興施策」の「(3)地域経済活動の再生」の内訳項目である「⑫膨大な災害廃棄物の処理の促進」が15.4%と低率になっている。これは、地元住民と生活環境保全上の調整が必要となったことなどによる。

このように、24年度復興特会における各復興施策等に係る項目は執行率が高くなっているものがある一方、執行率が低くなっているものもあり差異が見受けられた。

表36-2 平成24年度復興特会の復興施策等別の執行状況

(単位:件、億円、%)

復興基本方針における
復興施策等
事業数 予算現額 支出済額 執行率
うち
補助
(基
金)
等を
除い
た件
うち補助
(基金)
等を除い
た額
うち補助
(基金)
等を除い
た額
うち補助
(基金)
等を除い
た率
A B C D E=C/A F=D/B
5 復興施策 408 355 29,655 24,968 14,510 9,912 48.9 39.6
(1)災害に強い地域づくり 49 44 8,627 7,868 4,196 3,436 48.6 43.6
①高齢化や人口減少等に対応した新しい地域づくり 6 6 37 37 35 35 94.7 94.7
②「減災」の考え方に基づくソフト・ハードの施策の総動員 14 12 1,729 1,665 537 473 31.0 28.4
③土地利用の再編等を速やかに実現できる仕組み等 6 6 28 28 18 18 66.0 66.0
④被災者の居住の安定確保 16 14 6,483 5,788 3,524 2,829 54.3 48.8
⑤市町村の計画策定に対する人的支援、復興事業の担い手等 7 6 348 347 80 78 22.9 22.6
(2)地域における暮らしの再生 53 43 1,702 756 1,372 431 80.6 56.9
①地域の支え合い 13 10 566 181 558 178 98.7 98.3
②雇用対策 20 18 702 198 600 96 85.4 48.3
③教育の振興 12 9 391 339 188 135 48.0 39.9
④復興を支える人材の育成 5 4 17 12 14 10 86.3 81.8
⑤文化・スポーツの振興 3 2 24 24 10 10 43.4 42.3
(3)地域経済活動の再生 155 127 10,575 7,754 4,668 1,895 44.1 24.4
①企業、産業・技術等 29 21 1,551 295 1,465 209 94.4 70.9
②中小企業 12 6 2,254 1,307 1,247 299 55.3 22.9
③農業 36 31 607 315 447 155 73.6 49.2
④林業 8 7 87 85 75 74 86.8 86.5
⑤水産業 30 27 737 591 322 176 43.7 29.8
⑥観光 7 7 18 18 8 8 47.4 47.4
⑦コミュニティを支える生業支援 1 1 1 1 1 1 94.8 94.8
⑧二重債務問題等 5 3 30 7 25 1 83.2 27.9
⑨交通・物流、情報通信 20 17 1,803 1,648 535 428 29.6 26.0
⑩再生可能エネルギーの利用促進とエネルギー効率の向上
⑪環境先進地域の実現 1 1 0 0 0 0 96.0 96.0
⑫膨大な災害廃棄物の処理の促進 6 6 3,481 3,481 537 537 15.4 15.4
(4)大震災の教訓を踏まえた国づくり 151 141 8,749 8,589 4,272 4,148 48.8 48.2
①電力安定供給の確保とエネルギー戦略の見直し
②再生可能エネルギーの導入促進及び省エネルギー対策等の推進 5 5 8 8 2 2 23.0 23.0
③世界に開かれた復興 15 11 37 29 34 27 90.6 90.6
④社会的包摂の実現と「新しい公共」の推進 4 4 21 21 21 21 99.4 99.4
⑤今後の災害への備え 123 118 8,655 8,503 4,189 4,072 48.4 47.8
⑥震災に関する学術調査、災害の記録と伝承 4 3 25 25 25 24 97.8 97.8
6 原子力災害からの復興 60 51 827 500 478 152 57.8 30.5
(1)応急対策、復旧対策 58 51 580 500 231 152 39.9 30.5
①応急対策、各種支援、情報提供等 24 21 366 361 70 66 19.1 18.3
②安全対策・健康管理対策等 11 9 61 46 48 33 78.1 71.0
③賠償・行政サービスの維持等 3 2 24 24 15 15 64.2 64.6
④放射性物質の除去等 20 19 127 67 97 37 76.4 55.5
(2)復興対策 1 133 133 100.0
①医療産業の拠点整備 1 133 133 100.0
②再生可能エネルギーの拠点整備
(3)政府系研究機関の関連部門等の福島県への設置等の促進 1 113 113 100.0
468 406 30,482 25,469 14,989 10,065 49.1 39.5

カ 復興予算の計上、執行等の状況

国は、東日本大震災からの復旧・復興に係る経費として、23年度補正予算及び24年度復興特会予算により多額の予算を措置している。これらの予算は、被災地域の復旧・復興及び被災者の暮らしの再生等の施策を実施するものであり、復興基本方針においては、次の①から③までの施策に関する事業を行うに当たり、復興のために真に必要かつ有効な施策を実施することとして、事業の立案段階から、効率性、透明性、優先度等の観点による適切な評価を行うこととされている。

① 被災地域の復旧・復興及び被災者の暮らしの再生のための施策に関する事業等(以下「復興直結事業」という。)

② 被災者の避難先となっている地域や震災による著しい悪影響が社会経済に及んでいる地域など、被災地域と密接に関連する地域において、被災地域の復旧・復興のために一体不可分のものとして緊急に実施すべき施策に関する事業等(以下「復興関連事業」という。)

③ 上記と同様の施策のうち、東日本大震災を教訓として、全国的に緊急に実施する必要性が高く、即効性のある防災、減災等のための施策に関する事業等(以下「全国防災等事業」という。)

そして、上記の①から③までの事業に係る復興予算の計上及び執行について徹底した検証を行うために、24年10月に、衆議院決算行政監視委員会は、復旧・復興予算で行われている全ての事業を各府省庁等が総点検して、優先順位及び予算の配分を見直すべきであるとし、その上で、不適切と認められた予算の執行停止も視野に入れて、被災地に必要かつ十分な支援が確実に届くよう最大限の努力をするよう求めており、さらに、経済産業省所管国内立地推進事業費補助金等について真に被災地支援に資するものであるか説明責任を果たすべきであるなどの7項目を決議し、決議された事項に対する反映状況を報告するよう求めるとの決議を行った。

一方、24年11月に、復興推進会議において、前記1(2)イ(カ)のとおり、23年度の1次補正から3次補正まで及び24年度当初予算に計上された事業の実態や国会での議論、行政刷新会議の整理等を踏まえて、「基本的な考え方」が決定された。「基本的な考え方」では、復興施策の予算の計上について、復興直結事業のみを復興特会に計上することを基本とし、復興関連事業及び全国防災等事業は、海岸堤防等の津波対策事業(以下「津波対策事業」という。)、学校施設の耐震化事業(以下「学校耐震化事業」という。)等を除き、復興特会には計上しないこととして、23年度3次補正及び24年度当初予算において各府省庁等が計上した事業のうち、35事業(168億余円)の執行を停止することとした。

その後、25年1月に内閣総理大臣の指示を受けて、同月の復興推進会議において「今後の復旧・復興事業の規模と財源について」(平成25年1月復興推進会議決定)が決定され、毎年度の予算編成において、被災地の復旧・復興に必要となる施策及び事業を見直した上で、そのための財源の検討を行い、必要な予算を確保するとともに、復興予算について、不適切な使用であるなどの批判を招くことがないよう、使途の厳格化を行うこととされた。

前記の「基本的な考え方」では、国から支出済みであるものは執行停止の対象から除外することとされたため、基金については執行停止の対象外とされていたが、上記使途の厳格化に関する決定等を踏まえて、25年7月に、基金について使途の厳格化を徹底するため、「復興関連予算で造成された「全国向け事業に係る基金」の使途の厳格化の徹底について」が公表されるとともに、復興庁及び財務省から各府省庁等に「復興関連予算で造成された全国向け事業に係る基金への対応について」(平成25年7月復本第957号・財計第1690号。以下「基金使途通知」という。)が発出された。これにより、復興庁及び財務省から基金事業の所管府省に対して、16基金の23事業に係る予算執行額1兆1570億余円のうち、執行済み及び執行済みと認められたものを除く1428億余円について、被災地又は被災者に対する事業に使途を限定するとともに、基金からの執行を見合わせて、国へ返還することを各基金の所管大臣に要請することとした。

以上のとおり、復興予算の計上及び使途については、様々な議論がなされ、国はその適正を検証するなどして対応を図っている。そこで、会計検査院は、復興予算の計上及び使途について、23年度1次補正から23年度3次補正までの復興事業928件及び24年度1次補正を含む復興事業483件、計1,411件を対象として、衆議院決算行政監視委員会の決議に対する報告の状況や「基本的な考え方」による執行停止事業の状況を検査するとともに、各府省庁により実施されている復旧・復興事業を「基本的な考え方」に基づいて復興直結事業、復興関連事業等に分類するなどして検査した。

(ア)衆議院決算行政監視委員会の決議事項に対する各省庁の対応状況

衆議院決算行政監視委員会の決議に対して、8省庁は、その反映状況を25年5月に同委員会に報告している。そこで、衆議院決算行政監視委員会の決議及び決議の反映状況についてみると、表37のとおり、7項目の決議のうち経済産業省所管国内立地推進事業費補助金、農林水産省所管鯨類捕獲調査安定化推進対策、総務省所管及び国土交通省所管庁舎の耐震改修等5項目について、復興に直接関連しているかなどの疑義が呈されている。

このうち、国内立地推進事業費補助金については、同補助金の案件採択の審査に当たり、被災地への波及効果が見込まれることが必須の要件とされており、補助対象企業に対して具体的な波及効果の報告を求めることなどの徹底を図っている。また、鯨類捕獲調査安定化推進対策等3項目に係る事業については、一般会計で対応することとしており、庁舎の耐震改修等2項目に係る事業については、被災庁舎の復旧等に限定していて、全国防災対策事業として計上されたものは、現に契約を締結しているものを除き執行停止としている。

表37 衆議院決算行政監視委員会の決議に対する反映状況

衆議院決算行政監視委員会
「東日本大震災復興予算の使途に関する決議」
関係府省
「東日本大震災復興予算の使途に関する決議」の反映状況
1 国内立地推進事業費補助金及び中小企業組合等共同施設等災害復旧事業(経済産業省)
 国内立地推進事業費補助金については、その経済波及効果、特
に被災地に対する詳細な定量的分析を厳密に行うとともに、補助
の採択の審査基準を明確化し、本補助金が真に被災地支援に資す
るものであるかどうかの説明責任を果たすべきである。
 国内立地推進事業費補助金の案件採択の審査では、被災地企業
と取引関係があるなど被災地への波及効果が見込まれることが必
須の要件。この点、決議の趣旨を踏まえ、補助対象企業に対し
て、具体的な波及効果の報告を求めるなど改めて徹底を図ったと
ころ。現在、補助対象企業において国内での設備投資が着実に進
められており、今後、生産が本格化された段階で可能となる被災
地への実際の経済波及効果の定量的分析についてもしっかりと対
応していく。
 中小企業組合等共同施設等災害復旧については、被災者からの
要望に対して十分対応可能となるよう必要な予算額を確保すべき
である。また、事業者の本格的な復興に長期間を要するとの事情
を十分に踏まえ、複数年度にわたる事業継続が可能となるよう、
繰り越しの要件の緩和、都道府県に対する基金の造成等について
検討すべきである。さらに、特に大きな被害を受けた中小企業の
申請者に対する支援体制の強化を図るべきである。
 中小企業等共同施設等災害復旧事業については、平成25年度に
おいて250億円の予算を確保するとともに、事業の進捗が遅れてい
る事業者については、事故繰越の柔軟な対応、再申請の書類の簡
素化といった対応を講じたところである。その上で、事業者から
の申請に際しては、各県と連携して、計画内容を向上させるため
に具体的かつきめ細かな相談対応を行ってきているところであ
る。
2 地域医療提供体制の再構築(厚生労働省)
 医療施設等災害復旧費補助金の民間医療機関に対する補助要件
の緩和と補助対象の医療機器への拡充を早急に検討するととも
に、医師等の人材確保への対応を強化すべきである。また、地域
医療再生基金については、既に再建した民間医療機関に対しても
遡及適用できるよう検討すべきである。さらに、地域医療の復興
に向けて、創意工夫によりまちづくりと一体になって行われてい
る取組に対しては積極的に後押しすべきである。
災害復旧費補助金については、民間医療機関に対する補助要件
の緩和や、大規模災害により医療機器に被害が生じた場合の設備
整備に係る補助制度を創設することとしている。地域医療再生基
金については、決議の趣旨を踏まえ、平成24年度予備費により積
み増しを行い、医師等の確保対策や、民間医療機関の再建支援の
ほか、創意工夫によりまちづくりと一体になって行われている取
組に対する支援など地域医療体制の再構築に向けた措置を講じて
いる。
3 鯨類捕獲調査安定化推進対策(農林水産省)
 本事業については、被災地の鯨産業の復興に直接関連したもの
とは認められず、復興予算として支出したことに疑問がある。に
もかかわらず、農林水産省による本事業の被災地の復興との関連
性に係る説明が極めて不十分であったことは遺憾である。被災地
の鯨産業に対する本事業の貢献について徹底した検証を行うとと
もに、鯨産業復興のために真に政府が果たすべき役割について再
検討すべきである。
調査捕鯨の安全かつ円滑な実施を確保するために必要な経費に
ついては、平成24年度以降、一般会計で対応している。決議の趣
旨を踏まえ、南極海調査捕鯨の副産物の販売に当たり、石巻周辺
地域の鯨関連産業の需要に優先的かつ最大限に対応している。
4 東日本大震災に係る復旧・復興関連事業(道路関係)(国土交通省、復興庁)
道路に限らず、全国防災対策事業の予算措置に上限を限定する
ことや全国の防災事業と被災地の復興事業について予算区分上明
確に切り分けることの重要性を認識すべきである。今後被災地に
おける復興予算が不足する事態を防止するための方策として、全
国防災対策事業については、復興財源の趣旨を尊重し、緊急性等
の観点から一層厳しく対応すべきである。
 全国向け予算は原則として全廃し、例外として、①巨大津波に
よる被害を受けた新たに認識された技術上の課題に対応するため
の公共事業(道路関係であれば高台道路への避難階段の付加に限
る。)、②子どもの安全確保に係る学校の耐震化事業、③国庫債
務負担行為に基づき既に契約された歳出化経費に限り計上してい
る。これらの予算に必要な財源は、被災地向け予算に不足を来す
ことのないよう、一般会計から繰り入れることとしている。
5 庁舎の耐震改修(国土交通省、総務省)
 本事業については、被災庁舎以外に復興財源を使用せず、緊急
性等の観点から一層厳しく対応することを検討すべきである。ま
た、将来における倒壊した被災地の自治体庁舎の建て替え費用の
手当てについては、十分な配慮を行うべきである。
決議の趣旨を踏まえ、平成23度第3次補正予算及び平成24年度予
算において措置された庁舎の耐震改修等に係る全国防災対策事業
については、現に契約締結されているものを除き、執行停止した
ところである。さらに、平成25年度東日本大震災復興特別会計に
おいても、復興財源の使用は被災庁舎の復旧に限定している。東
日本大震災で壊滅的な被害を受けた自治体の庁舎の建替え費用に
ついては、標準的な事業費を対象として、震災復興特別交付税で
措置することとしている。
6 アジア大洋州地域及び北米地域との青少年交流(外務省)
 本事業については、被災地の復興に直接関連したものとは認め
られず、復興予算として支出したことに疑問がある。また、外務
省において補助対象の団体における具体的な交流の実施状況を即
答できないなど、ガバナンスの欠如が認められた。本事業が真に
被災地の復興に資するものであったかについて真摯な検証を行う
とともに、今後の青少年交流プロジェクトについては、内容の改
善、透明性の向上、効果的な風評被害対策の在り方の観点から、
抜本的な見直しを行うべきである。
青少年交流の実施に必要な経費については、平成24年度以降、
一般会計で対応している。決議の趣旨を踏まえ、被災地滞在日程
を増やしたほか、「アジア青少年交流室」の立上げ、在外公館担
当官の指名等により、事業の実施状況の把握と事後のフォロー
アップのための取組を強化した。
7 被災地域における再犯防止施策の充実・強化(法務省)
 本事業については、復興予算として支出することの合理的な説
明はなかったことから、今後、復興予算での予算要求はやめるべ
きである。
被災地域における再犯防止施策の充実・強化に必要な経費につ
いては、平成25年度予算では一般会計で対応している。
(注)
衆議院決算行政監視委員会「東日本大震災復興予算の使途に関する決議」(平成24年11月議決)及び同決議の反映状況(平成25年6月配布)を基に作成した。

(イ) 執行を停止した事業の状況

執行を停止した35事業、168億余円を年度別、復興施策等の事業別にみると、表38のとおり、23年度3次補正14件、24年度当初予算31件となる。この24年度当初予算31件のうち内閣所管高度情報集約システムの拡充に係る経費(事業番号2)等8件は、「基本的な考え方」が示された時点において実施されていなかったことなどから予算現額全額の執行を停止している。このほか他の37件の予算現額に対する執行停止額の割合についてみると、国土交通省所管河川津波対策等(直轄)(同27)の0.05%から厚生労働省所管日本社会事業大学における防災対策・節電対策(同15)の96.5%までとなっている。

これら45件のうち、23年度3次補正の14件は、今後支出する見込みがないなどの理由から執行停止額を不用額として計上し、24年度当初予算の31件は、24年度1次補正において、執行停止額を減額補正することにより執行を停止している。

なお、上記45件の事業には、従来、一般会計予算により支出されていたものが多く含まれている。このため、45件のうち39件の事業に係る経費は、各府省において、改めて復興特会以外の一般会計等に計上し、実施されている。

表38 執行を停止した35事業

(単位:千円、%)




所管 年度 巻末別
表2に
おける
No
事業名 当初予算額 予算現額 執行停止額
平成23年
度執行停
止率
24年度
執行停
止率
「基本的
な考え
方」によ
る区分
24年度以降に
予算を計上し
た会計名
A B C D=C/B E=C/A
1 内閣・内閣
24 4326 内閣の重要政策に関する指針検討経費 34,403 15,719 17,922   - 52.0 b 一般会計
2 24 高度情報集約システムの拡充に係る経費 10,500 - 10,500   - 100 a 一般会計
3 24 社会的包摂に関する検討経費 35,349 - 35,349   - 100 b 一般会計
4 総務省 24 政府情報システム分散拠点整備 826,000 - 826,000   - 100 a 一般会計
5 法務省 23 3677 矯正施設等の耐震対策 - 202,897 27,626 13.6   - a 一般会計
5 24 4304 175,710 59,489 110,192   - 62.7 a 一般会計
6 24 4454 震災からの復興に向けた矯正処遇等の体制整備 370,572 193,983 53,000   - 14.3 a 一般会計
7 24 4469 震災に伴う人権擁護活動の充実強化 24,857 24,725 132   - 0.5 a 一般会計
8 24 4284 法務省における災害時の対処能力の強化 2,085,541 1,088,839 571,415   - 27.3 a 一般会計
9 外務省 24 4474 日本ブランドの講師派遣事業経費 13,168 1,960 11,208   - 85.1 a 一般会計
10 財務省 23 3668 国税庁施設費(庁舎の耐震改修) - 1,204,146 603,142 50   - a 一般会計
11 24 4198 酒類等に関する放射性物質の分析等経費 64,784 59,302 5,482   - 8.4 a 一般会計
12 文部科学省 24 4358 防災教育推進事業 254,642 252,766 1,400   - 0.5 a 一般会計
13 厚生労働省 24 発達障害者への災害時支援 45,000 - 45,000   - 100 a -
14 24 臨床研究中核病院(仮称)の整備 511,056 - 511,056   - 100 a 一般会計
15 24 4127 日本社会事業大学における防災対策・節電対策 358,581 11,232 346,083   - 96.5 a -
16 24 厚生労働科学研究費補助金(臨床研究中核病院等の整備
及び機能強化)
100,000 - 100,000   - 100 a 一般会計
17 農林水産省 24 4282 農山漁村活性化プロジェクト支援交付金 2,690,000 1,455,226 1,234,774   - 45.9 a 一般会計
18 24 4230 農業水利施設等の
震災対策
(本土)【全国・直轄】 6,271,000 5,453,594 800,000   - 12.7 a 一般会計
24 4231 (北海道)【全国・直轄】 5,489,000 4,778,928 700,000   - 12.7 一般会計
24 4239 (本土)【全国・補助】 1,849,000 1,804,050 33,000   - 1.7 一般会計
19 経済産業省 23 3811 中小企業の高度グローバル経営人材育成事業 - 500,660 302,334 60.3   - a -
20 23 3828 自家発電設備導入促進事業 - 29,988,438 2,238,168 7.4   - a 一般会計
21 24 ライフライン物資供給網強靭化実証事業 800,000 - 800,000   - 100 a -
22 24 4278 災害対応型拠点石油基地等整備事業 14,500,000 14,407,582 92,418   - 0.6 a 一般会計
23 国土交通省 23 3598 港湾整備事業(直轄・全国防災分)など - 6,077,000 35,160 0.5   - a 一般会計
24 23 3642 沿岸防災二次元水路の改修 - 94,667 38,715 40.8   - a 一般会計
25 23 3635 防災に資する官庁施設の省エネ・節電対策 - 542,042 118,741 21.9   - a -
26 23 3628 地震・津波等に対する観測・監視体制の強化 - 2,640,242 25,000 0.9   - a 一般会計
27 23 3596 河川津波対策等(直轄) - 42,144,358 15,299 0.0   - b 社会資本整備事業
特別会計
24 4227 河川津波対策等他 26,306,000 25,992,362 313,638   - 1.1 b 社会資本整備事業
特別会計
28 23 3594 LED道路照明等の整備、庁舎等の耐震補強等、道路の防
災・震災対策等
- 108,005,000 102,085 0.0   - b 社会資本整備事業
特別会計
24 4226 道路の防災・震災対策等(被災地以外)【直轄】
31,653,000 31,192,389 460,611   - 1.3 b 社会資本整備事業
特別会計
内閣・内閣
24 4236 道路の防災・震災対策等(被災地以外)【直轄】〈沖縄〉 2,038,000 2,038,000 a 社会資本整備事業
特別会計
国土交通省 24 4244 道路の防災・震災対策等(被災地以外)【直轄】
1,277,000 1,272,950 4,050   - 0.2 b 社会資本整備事業
特別会計
内閣・内閣
24 4254 道路の防災・震災対策等(被災地以外)【直轄】〈沖縄〉 152,000 152,000 a 社会資本整備事業
特別会計
29 国土交通省 23 3626 官庁施設の防災機能強化(防災拠点施設の機能強化) - 5,369,683 2,047,653 38.1 - a 一般会計
23 3631 官庁施設の防災機能強化(既存不適格建築物等の耐震化) - 1,303,515 261,481 20.0 - a 一般会計
24 4290 官庁施設の防災機能強化 3,151,240 604,806 2,546,434   - 80.8 a 一般会計
30 24 4241 管制部・管制塔等耐震対策事業(全国防災分)など 1,676,000 1,607,281 68,400   - 4 b 社会資本整備事業
特別会計
31 環境省 23 3543 「原子力安全庁(仮称)」発足に向けた準備経費 - 2,174,580 153,404 7/0   - a エネルギー対策特
別会計
32 23 3675 節電・電源セキュリティ向上緊急事業(病院等へのコ
ジェネレーションシステム緊急整備事業)
- 525,000 162,714 30.9   - a エネルギー対策特
別会計
33 24 放射性物質監視推進事業(可搬型モニタリングポストの
配備等)
858,440 - 858,440   - 100 a 一般会計及びエネ
ルギー対策特別会
34 24 4214 原子力安全庁(仮称)設置に伴う核防護室移転及び地方環
境事務所組織整備
87,612 13,607 73,062   - 83.3 a エネルギー対策特
別会計
35 24 4208 原子力安全庁(仮称)設置に伴う防災携帯・防災服整備 91,229 22,887 68,342   - 74.9 a -
23年度3次補正 14件 - 200,772,228 6,131,523 20.8   - - 12件
24年度当初予算 31件 103,799,684 92,503,677 10,697,908   - 50.5 - 27件
計45件 103,799,684 293,275,905 16,829,431 - - 39件
注(1)
平成23年度執行停止率は、執行停止額を予算現額で除して算出しており、24年度の執行停止額は当初予算と同額又は当初予算から減額調整等されているため、24年度執行停止率は、執行停止額を当初予算額で除して算出している。
注(2)
「基本的な考え方」による区分欄のaは復興関連事業・全国防災等事業、bは復興直結事業及び復興関連事業・全国防災等事業又は津波対策事業及び復興関連事業・全国防災等事業が混在している事業である。
注(3)
予算現額が「-」となっている事業は、24年度1次補正において、事業費の金額を減額補正したものである。このため、これら事業については事業の執行がないことから、巻末別表2「東日本大震災復旧・復興事業一覧」の掲記の対象から除外している。
注(4)
復興関連基金事業数は、同一事業を県及び市で行っているものがあるため、都道府県(計)、仙台市及び公益法人等の計と合計は一致しない。

また、「基本的な考え方」において執行を停止することとされた前記35事業の対象とされた府省庁のほか、表39のとおり、最高裁判所においても復興予算の計上及び使途に関する議論等の状況を踏まえて自らの判断により3件の事業の執行を停止している。最高裁判所は、23年度3次補正及び24年度当初予算に、「裁判所庁舎耐震化による司法基盤強化(被災地)」等3件を計上していたが、これらの事業については、23年度予算現額19億1669万余円を不用額として計上し、24年度当初予算額3億2624万余円を減額補正することにより、執行を停止している。そして、同裁判所は、これらの事業に係る経費を24年度一般会計1次補正予算に計上している。

表39 復興推進会議の議論を踏まえて執行を停止した事業

(単位:千円、%)




所管 年度 巻末
別表2
の№
事業名 当初予算額 減額補正 予算現額 執行停止額 平成23年
度事業に
係る執行
停止率
24年度
事業に
係る執
行停止
「基本
的な考
え方」
による
区分
24年度以
降に予算
を計上し
た会計名
A B C D E=D/C F=D/A
1 最高裁
判所
23 3437 裁判所庁舎耐震化
による司法基盤強
化(被災地)
- - 5,140,955 1,133,805 22.0   - a 一般会計
2 23 3672 裁判所庁舎耐震化
による司法基盤強
化(全国防災)
- - 843,529 782,888 92.8   - a 一般会計
3 24 4124 裁判所庁舎耐震化
による司法基盤強
化(被災地)
364,433 326,245 38,188 326,245  - 89.5 a 一般会計
23年度3次補正 2件 - - 5,984,484 1,916,693 32.0   - - 2件
24年度当初予算 1件 364,433 326,245 38,188 326,245  - 89.5 - 1件
計3件 364,433 326,245 6,022,672 2,242,938 - - 3件
注(1)
平成23年度執行停止率は、執行停止額を予算現額で除して算出しており、24年度の執行停止額は当初予算から減額調整等されているため、24年度執行停止率は、執行停止額を当初予算額で除して算出している。
注(2)
「基本的な考え方」による区分欄のaは復興関連事業・全国防災等事業である。

(ウ) 復興予算で造成された基金の使途の状況

基金使途通知により、基金の使途についても被災地又は被災者に対する事業に限定することとされたことから、復興予算で造成された基金の状況について検査した。

基金使途通知の対象とされた前記16基金の23事業を、年度別、復興施策等の事業別にみると、23年度28件、24年度1件、計29件となる。そして、29件の事業の基金の執行状況についてみると、表40のとおり、基金造成額1兆1570億余円のうち執行済み又は執行済みと認められる額は1兆0141億余円となっている。

前記のとおり、復興庁及び財務省は、内閣総理大臣の指示を受けて、基金についても、被災地又は被災者に対する事業に使途を限定することとし、25年7月に、16基金の23事業について、内閣府等7府省に対して、既に執行済みとなっている額及び今後事業の実施が見込まれる復興直結事業の事業費を除いた額に残額が生ずる場合、当該残額を国に返還するように当該基金団体に要請するよう通知している。その結果、25年8月末時点では、経済産業省において3基金の10事業に係る564億余円を基金団体から返還させて、これを国庫に返還している。

表40 復興予算で造成された「全国向け事業に係る基金」の返還状況(平成25年8月末現在)

(単位:千円)

事業番号 所管 年度 巻末別表2における№ 基金名 事業名 基金設置団体による基金造成額 基金所管大臣への要請に係る額 執行済み及び執行済みと認められるもの 被災地/被災者限定 返還見込額 「基本的な考え方」による区分
返還済み額 返還予定額
A B C=A-B D E F G
1 内閣府 平成23 3297 地域自殺対策緊急強化基金 被災者への心のケア対策等の推進事業(自殺対策) 3,700,000 2,276,777 1,423,222 629,017 794,204 - 312,010 b
2 文部科学省 23 3720 高校生修学支援基金(高等学校授業料減免事業等支援臨時特例交付金) 奨学金事業(高校生) 18,946,984 17,893,344 1,053,640 304,724 748,916 - - a
3 厚生労働省 23 3735 緊急雇用創出事業臨時特例基金 社会的包摂・「絆」再生事業 36,726,890 28,780,447 7,946,443 6,841,898 1,104,545 - 316,947 a
23 3738 被災生活保護受給者等に対する生活再建サポート事業
23 3295 生活福祉資金貸付
23 3742 パーソナル・サポート・サービスモデル・プロジェクト
4 23 3754 重点分野雇用創造事業の拡充(震災対応事業の延長) 200,000,000 189,206,497 10,793,503 7,589,138 3,204,365 - 7,104,471 b
5 23 3756 緊急人材育成・就職支援基金 新卒者就職実現プロジェクト事業の被災地に係る特例措置の延長等 23,520,108 15,580,675 7,939,432 - 7,939,433 - 7,939,433 b
6 23 3662 社会福祉施設等耐震化等臨時特例基金 社会福祉施設等耐震化等臨時特例基金 2,664,900 2,662,242 2,658 2,658 - - - a
7 23 3661 医療施設耐震化臨時特例基金 医療施設等の防災対策の強化 15,633,775 15,633,775 - - - - - a
8 23 3762 異常補てん積立基金 配合飼料価格安定対策事業 9,700,000 9,700,000 - - - - - b
9 農林水産省 23 3781 森林整備加速化・林業再生基金 森林整備加速化・林業再生事業 139,945,500 94,332,913 45,612,587 13,142,833 32,469,754 - - b
10 23 3788 漁業経営セーフティネット構築事業基金 漁業経営セーフティ-ネット構築事業 3,980,493 2,013,562 1,966,931 1,966,931 - - - b
11 経済産業省 23 3802 人材対策基金 中小企業人材対策事業 2,487,398 1,081,022 1,406,375 - 1,406,376 1,406,903 - a
12 23 3822 環境対応車普及促進基金 産業技術研究開発拠点立地推進事業費補助金 35,000,000 29,210,400 5,789,599 - 5,789,599 5,789,599 - a
24 4420 国内立地補助事業(イノベ) 14,000,000 3,967,359 10,032,640 - 10,032,640 10,032,640 - a
13 23 3820 国内立地推進事業費補助金 295,000,000 274,700,226 20,299,774 - 20,299,774 21,691,287 - a
14 23 3847 火力発電運転円滑化対策費補助金 9,000,000 8,209,652 790,348 - 790,348 790,348 - a
15 23 3827 エネルギー管理システム導入促進事業費補助金 30,000,628 24,813,724 5,186,903 - 5,186,903 5,186,903 - a
16 23 3829 電力需要ピークカット蓄電池導入支援事業 20,999,753 15,608,615 5,391,137 - 5,391,137 5,391,137 - a
17 23 3830 建築物節電改修支援事業費補助金 15,000,019 10,265,381 4,734,637 - 4,734,637 4,734,637 - a
18 23 3666 環境・安全等対策基金 被災地域等地下タンク環境保全対策促進事業(全国防災) 6,986,704 7,292,526 1,443,895 - 1,443,895 1,443,895 - a
23 3865 被災地域等地下タンク環境保全対策促進事業(被災地向け) 1,749,718 a
19 23 3825 住宅用太陽光発電導入支援基金 住宅用太陽光発電導入支援復興対策基金造成事業費補助金 86,992,681 86,992,681 - - - - - a
20 23 3826 住宅用太陽光発電高度普及促進復興対策基金造成事業費補助金 32,394,881 32,394,881 - - - - - a
21 23 3831 省エネルギー設備導入促進基金 再生可能エネルギー固定価格買取制度施行事業 7,000,000 7,000,000 - - - - - a
22 23 3880 静岡県社会環境基盤整備資金 温排水利用施設整備等対策費交付金 995,213 670,857 324,355 - 324,355 - 324,355 a
23 国土交通省 23 3835 環境対応住宅普及促進基金 住宅エコポイント 72,300,000 66,950,000 5,350,000 5,350,000 - - - b
環境省 23 3836 72,300,000 66,950,000 5,350,000 5,350,000 - - - b
23年度計28件 1,143,025,645 1,010,220,202 132,805,442 41,177,199 91,628,243 46,434,711 15,997,216 -
24年度計1件 14,000,000 3,967,359 10,032,640 - 10,032,640 10,032,640 - -
計29件 1,157,025,645 1,014,187,561 142,838,083 41,177,199 101,660,884 56,467,352 15,997,216 -
注(1)
「基本的な考え方」による区分欄のaは復興関連事業・全国防災等事業、bは復興直結事業及び復興関連事業・全国防災等事業又は津波対策事業及び復興関連事業・全国防災等事業が混在している事業である。
注(2)
返還見込額欄が「-」となっている事業は、執行残額が発生した場合のみ返還される予定のものである。
注(3)
返還見込額欄が記載されていて返還予定額欄「-」となっている事業は、返還予定額が未確定のものである。

(エ)「基本的な考え方」に基づく復旧・復興事業の分類

復興予算の計上と使途については、衆議院決算行政監視委員会において決議がなされており、また、「基本的な考え方」において復興直結事業のみを復興特会に計上することを基本とするなど、被災地の復興に真に資するものとして適正であるかという観点から様々な議論、検証等が行われていて、その過程において、23年度3次補正及び24年度当初予算に計上された復興事業の一部が執行停止とされて、基金造成額の返還が要請されるなどしている。

そこで、前記23、24両年度の復興事業計1,411件のうち、特別交付税、人件費等を除く1,401件を対象として、被災地又は被災者の復興との関連性について検査した。

検査に当たっては、各府省庁等が実施した復旧・復興事業と復興との関連性について説明を受けたり調書を徴したりなどして、上記1,401件の復旧・復興事業を「基本的な考え方」の区分に基づいて、①復興直結事業、②復興関連事業又は全国防災等事業(以下「関連事業」という。)、③復興直結事業と関連事業が混在している事業(以下「混在事業」という。)に3分類した上で、関連事業については②の1津波対策事業又は学校耐震化事業(以下「津波対策事業等」という。)と②の2その他事業の二つに細分して、集計し、分析した。

なお、分析に当たっては、各事業の予算計上時における目的、対象等により件数を整理することとし、予算現額及び支出済額については、各事業が上記3分類ごとに区分して算出されていないなどのため、上記件数の整理に基づいて計上している。

その結果、復旧・復興事業1,401件は、表41及び図10のとおり、①復興直結事業計912件、②関連事業計353件、③混在事業計136件となっていて、①復興直結事業と③混在事業を合わせた事業数は1,048件であり、事業数全体の74.7%を占めている。さらに、②関連事業計353件についてみると、②の1津波対策事業等が計27件、「基本的な考え方」において復興特会に計上しないこととされた②の2その他事業が計326件となっていて、このうち38件は執行を停止しており、288件は事業完了又は執行中となっている。

表41 復旧・復興事業の「基本的な考え方」に基づく分類

(単位:件、%、千円)

所管 年度 復興直結事業 関連事業 混在事業
津波対策事業
その他事業
執行停止等
事業
完了又は実
施中の事業
②=②の1
+②の2
②の1 ②の2=a+b a b ④=①+②+③
国会 平成23 3 3 - 3 - 3 - 6
24 2 1 - 1 - 1 - 3
裁判所 23 1 2 - 2 2 - - 3
24 - 1 - 1 1 - - 1
内閣・内閣府 23 39 20 - 20 - 20 3 62
24 20 37 1 36 1 35 6 63
復興庁 23 8 - - - - - - 8
24 6 - - - - - - 6
総務省 23 28 6 - 6 - 6 5 39
24 6 7 - 7 1 6 2 15
法務省 23 9 6 - 6 1 5 - 15
24 5 4 - 4 4 - - 9
外務省 23 4 4 - 4 - 4 3 11
24 3 2 - 2 1 1 3 8
財務省 23 8 3 - 3 1 2 6 17
24 1 4 - 4 1 3 2 7
文部科学省 23 109 15 9 6 - 6 2 126
24 45 5 4 1 1 - - 50
厚生労働省 23 58 28 - 28 - 28 11 97
24 22 15 - 15 4 11 6 43
農林水産省 23 136 25 4 21 - 21 15 176
24 106 21 5 16 4 12 5 132
経済産業省 23 72 44 - 44 2 42 31 147
24 23 5 - 5 2 3 6 34
国土交通省 23 93 57 3 54 6 48 21 171
24 42 22 1 21 1 20 6 70
環境省 23 25 5 - 5 2 3 3 33
24 31 6 - 6 3 3 - 37
防衛省 23 5 3 - 3 - 3 - 8
24 2 2 - 2 - 2 - 4
23年度計 598 221 16 205 14 191 100 919
 1次補正及び2次補正 240 25 1 24 - 24 23 288
 3次補正 358 196 15 181 14 167 77 631
24年度計 314 132 11 121 24 97 36 482
合計 912 353 27 326 38 288 136 1,401
割合(合計) 65.0 25.1 1.9 23.2 - - 9.7 100.0
予算現額(合計) 11,182,948,410 1,828,532,034 379,527,026 1,449,005,008 - - 2,143,737,280 15,155,217,724

図10 「基本的な考え方」の分類別構成(平成23年度補正予算及び24年度復興特会予算全体)

ア 件数(全1,401件)

「基本的な考え方」の分類別構成(平成23年度補正予算及び24年度復興特会予算全体) 件数(全1,401件)

イ 予算現額(計15兆1552億余円)

予算現額(計15兆1552億余円)

ウ 支出済額(計11兆3540億余円)

支出済額(計11兆3540億余円)

そして、1,401件の事業について、年度別、予算別及び3分類等別の件数についてみると、図11のとおり、東北地方太平洋沖地震の発生直後に措置された23年度1次補正及び23年度2次補正では、①復興直結事業が全288件のうち240件(83.3%)、③混在事業が23件(7.9%)と、被災地又は被災者を対象とした事業の占める割合が多くなっており、②の2その他事業が24件(8.3%)となっている。

また、復興基本方針が決定された後の23年度3次補正についてみると、①復興直結事業が全631件のうち358件(56.7%)、24年度復興特会では全482件のうち314件(65.1%)となっており、②の2その他事業が、23年度3次補正では181件(28.6%)、24年度復興特会では121件(25.1%)と、いずれも23年度1次補正及び23年度2次補正に比べて大幅に増加している。

これは、復興基本方針により、「災害に強い地域づくり」、「地域における暮らしの再生」等の復興施策を総合的かつ計画的に実施することとされて、全国向け予算を計上することが可能となったことなどにより、その他事業に該当する事業がより多く実施されるようになったことによると認められる。

図11 「基本的な考え方」の分類別構成(件数)

ア 23年度1次補正及び23年度2次補正(全288件)

「基本的な考え方」の分類別構成(件数) 23年度1次補正及び23年度2次補正(全288件)

イ 23年度3次補正(全631件)

23年度3次補正(全631件)

ウ 平成24年度復興特会(計482件)

平成24年度復興特会(計482件)

図12 「基本的な考え方」の分類別構成(予算現額)

ア 23年度1次補正及び23年度2次補正(計4兆9757億余円)

「基本的な考え方」の分類別構成(予算現額) 23年度1次補正及び23年度2次補正(計4兆9757億余円)

イ 23年度3次補正(計7兆5733億余円)

23年度3次補正(計7兆5733億余円)

ウ 平成24年度復興特会(計2兆6061億余円)

平成24年度復興特会(計2兆6061億余円)

図13 「基本的な考え方」の分類別構成(支出済額)

ア 23年度1次補正及び23年度2次補正(計3兆7573億余円)

「基本的な考え方」の分類別構成(支出済額) 23年度1次補正及び23年度2次補正(計3兆7573億余円)

イ 23年度3次補正(計6兆1548億余円)

23年度3次補正(計6兆1548億余円)

ウ 平成24年度復興特会(計1兆4419億余円)

平成24年度復興特会(計1兆4419億余円)

これらの事業について、各府省庁等では、いずれも復興基本方針に基づく事業として各予算に計上したものであるが、今後の復興特会による復旧・復興事業の予算の計上に当たっては、「基本的な考え方」に基づくとともに、優先順位や有効性等の観点から、①復興直結事業に絞り込んで予算を計上するなどとしている。

(オ) 復興予算の執行状況に関する会計検査院の検査状況

会計検査院は、従来、東日本大震災の復旧・復興事業等の実施状況等について検査を行っており、23、24両年度における東日本大震災に対する復興予算の執行状況についても検査を行った。

その結果、本年次の検査において、復旧・復興予算の透明性の確保や効果の発現が十分とは認められないもの(2件)、復旧・復興事業等に係る経費の積算や算定が適切とは認められないなどのもの(5件)、会計経理や制度等について是正改善や改善の要があると認められるものなど(9件)が見受けられたほか、国会及び内閣に対して報告した事項や国会からの検査要請を受けて取りまとめを行った事項(6件)がある。

上記について示すと次のとおりである。

a 復旧・復興事業等の執行が、被災者や被災地に直接資するものとなっているかについて透明性が十分確保されていなかったり、その効果が十分に発現されていなかったりしているもの

  • ① 求職者支援制度に係る復興関連予算の執行が被災者に直接資するものとなっているかについて透明性が十分確保されていないもの(厚生労働省)
  • ② 予算執行の効果が一部しか被災地のためにはなっていないと考えられるため、復興関連事業としての効果が十分に発現していないもの(農林水産省)

b 復旧・復興事業等に係る経費の積算や算定が適切とは認められないなどのもの

c 復旧・復興事業等の執行等に当たり、会計経理や制度等について是正改善や改善の要があると認められるなどのもの

d 復旧・復興事業等に関して国会及び内閣に対して報告した事項及び国会からの検査要請を受けて取りまとめを行った事項

キ まとめ

東日本大震災からの復旧・復興事業は、23年度一般会計予算及び24年度復興特会等により実施され、復興事業の本格化に伴い、その関係予算が多額に上る一方、原子力災害による復興の長期化等も予想されている。

前記のとおり、23年度補正予算及び24年度復興特会の執行状況について、経費項目別、事業別、実施方法別、復興施策別にみると、おおむね復旧・復興事業が進捗していることがうかがえる一方、津波によって甚大な被害を受けた沿岸地域や原子力発電所の事故に伴う警戒区域等における災害復旧事業、除染に係る事業等について進捗していないものも見受けられる。また、復興関連基金事業の執行状況等をみると、25年度以降に事業が完了するものが大半を占めていることから、25年度以降に基金の取崩しが進むと思料される一方、今後の使用見込みのない余剰金が生じていると思料される事業も見受けられる。

このようなことから、国は、復旧・復興予算の執行に当たり、今後とも、関係行政機関等が実施する事業の進捗状況を的確に把握するとともに、施策の実施の推進及び総合調整を行いつつ、関係行政機関等との連絡調整を速やかに行い、事業が進捗していない地方公共団体等に対してより一層の支援を行うなどして、復旧・復興事業が円滑かつ迅速に実施されるよう努める必要がある。また、復興関連基金事業については、設置造成等された基金規模の検証を行うなどして、適切かつ有効な活用に努める必要がある。

一方、復興予算の計上及び執行に当たっては、各事業が被災地及び被災者の復興に真に必要かつ有効なものとなっているかなどの視点からの議論もなされている。

これらのことから、復興事業を実施する各府省庁等関係機関は、復興予算の計上や執行に当たり、効率性、有効性及び透明性の確保はもちろんのこと、復興予算が今後の増税による国民負担等を財源にしていることなどから、事業の優先度等を適切に考慮するとともに当該事業に係る説明責任を果たすことが必要である。