ページトップ
  • 国会からの検査要請事項に関する報告(検査要請)|
  • 会計検査院法第30条の3の規定に基づく報告書|
  • 平成28年4月|

東日本大震災からの復興等に対する事業の実施状況等に関する会計検査の結果について


2 平成26年度決算検査報告に掲記した復旧・復興予算の執行状況に関する会計検査院の検査状況

会計検査院が平成27年次に検査を実施した結果、平成26年度決算検査報告に掲記した事項等のうち、東日本大震災関係経費に係る事項は次のとおりである。

(1)復旧・復興事業等に係る経費の積算や算定が適切とは認められないなどのもの(9件)

① 東日本大震災復興特別会計に納付させるべき基金の残額等を一般会計に誤って納付させていて、会計法令に違反していたもの(内閣府)

内閣府は、平成23年度一般会計補正予算(第3号)に復興費用として計上されて、23年度内に交付された交付金により設置造成等された、社会的企業支援基金及び新しい公共支援事業基金に係る残額等約3億9400万円について、特別会計に関する法律の一部を改正する法律(平成24年法律第15号)の規定に基づき、東日本大震災復興特別会計に納付させるべきであったところ、誤って一般会計に納付させていた。

② 緊急雇用創出事業臨時特例交付金及びふるさと雇用再生特別交付金により造成した基金を活用して実施した事業において基金を補助の目的外に使用していたもの(厚生労働省)

緊急雇用創出事業臨時特例交付金及びふるさと雇用再生特別交付金により造成した基金を活用して実施した委託事業等において、受託者等が基金事業の対象とならない経費を計上したり、新規に雇用する失業者の募集に当たり公募を行っていなかったりなどしていて基金が補助の目的外に使用されていた。(東日本大震災関係経費を含む約2億2200万円)

③ 自家発電設備導入促進事業の補助対象事業費に、補助事業期間終了後に購入した燃料費を含めるなどしていたもの(経済産業省)

株式会社知床グランドホテルは、休止していた自家発電設備を再稼働させて、A重油270,000Lの燃料費を要したとして国庫補助金の交付を受けていたが、補助対象事業費に、補助の対象とならない補助事業期間終了後に購入したA重油36,000Lなどの燃料費を含めるなどしていたため、補助対象事業費1414万円(国庫補助金約700万円)が過大となっていた。

④ 自家発電設備導入促進事業の補助対象事業費の算定に当たり、電気の供給量を誤って転記したため、補助対象事業費を過大に精算していたもの(経済産業省)

日本製紙株式会社は、石炭及びC重油により増出力した電気の供給量から算出した燃料費に係る事業費を対象として国庫補助金の交付を受けていたが、実績報告書を作成するに当たり、C重油による実際の電気の供給量は490,212kWhであったのに、石炭による電気の供給量1,045,584kWhを誤って転記していたため、1642万円(国庫補助金約540万円)が過大に精算されていた。

⑤ 交付対象事業費の算定が適切でなかったため、交付金が過大に交付されていたもの(国土交通省)

石巻市においては、東日本大震災復興交付金事業の一環として市街地再開発事業等と一体となって実施する市街地復興効果促進事業の実施に当たり、市町村が実施する市街地再開発事業等の基幹事業の事業費の合計額から民間事業者等が負担する額を減ずることなく交付対象事業費を算定していたため、東日本大震災復興交付金が約2340万円過大に交付されていた。

⑥ 防災行政無線の親局等の設備を耐震性が確保されていない建物に設置していたもの(国土交通省)

高浜市は、都市防災総合推進事業の一環として、防災行政無線の親局等の設備(社会資本整備総合交付金相当額約950万円)を耐震性が確保されていない市庁舎に設置していたため、同設備は地震発生時に防災行政無線として有効に機能しない状態になっていた。

⑦ 港湾荷役機械等災害復旧事業において、補助の対象とならない工事の費用を含めていたもの(国土交通省)

茨城県は、港湾荷役機械等災害復旧事業において、利用者の利便性向上のための改修等を目的とした工事であって災害復旧を目的としたものとは認められない工事に係る工事費について、誤って補助対象事業費に含めていたため、これに係る国庫補助金相当額約130万円が過大に交付されていた。

⑧ 再生可能エネルギー等導入地方公共団体支援基金により実施した事業において、事業の対象とならないなどのもの(環境省)

山形県は、地域環境保全対策費補助金により造成した再生可能エネルギー等導入地方公共団体支援基金を活用して実施した事業において、県立施設に太陽光発電設備等を設置しているが、同施設は防災拠点施設として位置付けられておらず、設置した太陽光発電設備等は事業の対象とならないものとなるなどしていた。このため、取り崩された基金(約4900万円)の使用が適切でなかった。

⑨ 大型破壊機救難消防車(A-MB-3)の調達に当たり、装備施設本部の契約担当官等が受領検査官に対して適切な指示をしなかったため、契約内容に適合した履行が確保されていないのに契約金額の全額を支払っていたもの(防衛省)

大型破壊機救難消防車(A-MB-3)の調達に当たり、契約内容に適合した履行が確保されていないのに、装備施設本部(平成27年10月1日以降は防衛装備庁)の契約担当官等が受領検査官に対して適切な指示をしなかったため、適正に履行されたとして受領検査を合格と判定する受領検査調書が作成されて、これに基づき契約金額約7億6440万円の全額を支払っていた。