この特別会計は、国有林野事業を国有林野の有する公益的機能の維持増進を基本としつつ企業的に運営し、その健全な発達に資することを目的として、その経理を一般会計と区分して行うため設置されているものである。
なお、国有林野事業の危機的な財務状況に対処するため、平成10年10月、「国有林野事業の改革のための特別措置法」(平成10年法律第134号。以下「特措法」という。)及び「国有林野事業の改革のための関係法律の整備に関する法律」(平成10年法律第135号)が成立し、特定の債務の一般会計への帰属その他国有林野事業の改革のために必要な特別措置が執られた。
同特別会計は、国有林野事業及び治山の2勘定に区分して経理されており、その勘定別の10年度の歳入歳出決算、損益、借入金及び主な業務実績は次のとおりである。
(国有林野事業勘定)
1 歳入歳出決算
区分 | 10年度 | (9年度) |
千円 | 千円 | |
(歳入) | ||
徴収決定済額 | 462,918,792 | 553,525,256 |
収納済歳入額 | 461,523,144 | 551,683,553 |
不納欠損額 | 2,137 | 3,038 |
収納未済歳入額 | 1,393,510 | 1,838,665 |
(歳出) | ||
歳出予算現額 | 528,668,597 | 629,390,832 |
支出済歳出額 | 461,131,233 | 557,677,180 |
翌年度繰越額 | 41,294,654 | 44,724,217 |
不用額 | 26,242,708 | 26,989,434 |
翌年度繰越額はすべて国有林野事業費(歳出予算現額5271億6859万余円)の分である。また、不用額の主なものは国有林野事業費の247億4270万余円である。
2 損益
区分 | 10年度 | (9年度) |
利益 (うち売上高) |
千円 116,106,638 (44,640,371) |
千円 154,479,757 (67,453,029) |
損失 (うち経営費) |
216,954,279 (63,536,700) |
293,930,453 (72,571,478) |
損失金 | 100,847,641 | 139,450,695 |
前年度繰越損失金 翌年度繰越損失金 |
1,753,776,166 − |
1,614,325,470 1,753,776,166 |
損失金1008億4764万余円及び前年度繰越損失金1兆7537億7616万余円(合計額1兆8546億2380万余円)については、特措法第22条の規定に基づき、資本剰余金を減額して整理し、翌年度繰越損失金は計上されていない。
3 借入金
区分 | 10年度末 | (9年度末) |
借入金現在額 (資金運用部資金等) |
千円 1,076,377,253 |
千円 3,744,615,427 |
借入金現在額が減少したのは、特措法第15条第1項の規定に基づき、同法施行時(10年10月)における累積債務3兆8875億3675万余円のうち、2兆8421億3675万余円を一般会計に帰属させ、同特別会計で1兆0454億円を負担することとしたためである。
4 主な業務実績
区分 | 10年度 | (9年度) |
立木売払い | 3,395千m3 | 3,942千m3 |
製品売払い | 980千m3 | 1,339千m3 |
立木の保育 | 81千ha | 74千ha |
林道新設 | 136m | 118m |
(治山勘定)
1 歳入歳出決算
区分 | 10年度 | (9年度) |
千円 | 千円 | |
(歳入) | ||
徴収決定済額 | 245,943,683 | 226,450,357 |
収納済歳入額 | 245,943,683 | 226,450,357 |
(歳出) | ||
歳出予算現額 | 292,389,022 | 232,804,611 |
支出済歳出額 | 244,505,366 | 225,929,616 |
翌年度繰越額 | 47,772,916 | 6,767,218 |
不用額 | 110,739 | 107,776 |
翌年度繰越額の主なものは、治山事業費(歳出予算現額2484億0822万余円)の441億4135万余円及び北海道治山事業費(同235億2505万余円)の25億2858万余円である。
2 主な業務実績
区分 | 10年度 | (9年度) |
直轄治山事業 | 3,486箇所 | 2,809箇所 |
治山事業に対する補助 | 9,213箇所 | 10,277箇所 |
なお、この特別会計について検査した結果、「第3章 個別の検査結果」に「復旧治山事業の実施に当たり、アンカー工費等の積算を誤ったため、工事費が割高となっているもの」(参照) 及び「林道開設工事等の機械土工における軟岩押土積込費の積算を軟岩の状態に応じて適切に行うよう改善させたもの」(参照) を掲記した。