検査対象
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63省庁等
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検査の概要
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本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項として検査報告に掲記したものについて、当該処置が履行されるまでその履行状況を継続して検査するもの
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改善の処置の履行状況を検査した本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項の件数
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218件
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(検査報告年度 平成14年度〜18年度)
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上記のうち改善の処置が一部履行されていなかったものの件数
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7件
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本院は、検査の過程において会計検査院法第34条又は第36条の規定による意見表示又は処置要求を必要とする事態として指摘したところ、その指摘を契機として省庁や団体(以下「省庁等」という。)において改善の処置を執ったものを、検査報告に「本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項」(以下「処置済事項」という。)として掲記している。
そして、本院は、毎年次策定している会計検査の基本方針にのっとり、検査の結果が予算の編成・執行や事業運営等に的確に反映されて実効あるものとなるよう、その後の是正改善等を継続して検査することとしている。検査報告に掲記した処置済事項についても、省庁等が通知等を発するなどして講じた改善の処置(以下、当該処置を「改善の処置」という。)が履行されること(改善の処置に基づき、その後の会計経理等が適切に行われることをいう。以下同じ。)により実効あるものとなることから、当該改善の処置が履行されるまでその履行状況を継続して検査している。
本院は、合規性等の観点から、改善の処置が履行されているかなどに着眼して検査した。そして、平成14年度から18年度までの過去5か年の決算検査報告に掲記した処置済事項について、関連する63省庁等における改善の処置の履行状況を対象として、56省庁等において会計実地検査を行うとともに、残りの7団体については、報告を求めて、報告内容を確認するなどの方法により、検査を行った。
過去5か年の決算検査報告に処置済事項として掲記した事項の総件数は250件である。このうち、掲記後に制度自体が廃止されているものなど32件を除いた218件について検査したところ、改善の処置が履行されていたもの(以下「履行済」という。)が127件、検査した範囲では改善の処置が履行されていたもの(以下「検査分履行済」という。)が84件、改善の処置が一部履行されていなかったもの(以下「一部不履行」という。)が7件、改善の処置が全く履行されていなかったもの(以下「不履行」という。)が0件となっていた。
上記の改善の処置の履行状況を検査報告年度別及び省庁等別に示すと、表1及び表2のとおりである。
検査報告
年度
|
処置済
事項数
(A=B+C)
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||||||
掲記後に制度自体が廃止されているものなどの事項数
(B)
|
検査対象の処置済事項数
(C)
|
||||||
改善の処置の履行状況
|
|||||||
履行済
|
検査分
履行済
|
一部不履行
|
不履行
|
||||
平成
14年度
|
38
|
13
|
25
|
9
|
14
|
2
|
0
|
15年度
|
47
|
8
|
39
|
26
|
12
|
1
|
0
|
16年度
|
59
|
6
|
53
|
33
|
18
|
2
|
0
|
17年度
|
41
|
2
|
39
|
21
|
17
|
1
|
0
|
18年度
|
65
|
3
|
62
|
38
|
23
|
1
|
0
|
計
|
250
|
32
|
218
|
127
|
84
|
7
|
0
|
省庁等名
(平成20年7月31日現在)
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検査対象の
処置済
事項数
|
改善の処置の履行状況
|
|||
履行済
|
検査分
履行済
|
一部不履行
|
不履行
|
||
国会(衆議院)
|
2
|
2
|
|||
国会(国立国会図書館)
|
1
|
1
|
|||
裁判所
|
4
|
4
|
|||
内閣
|
1
|
1
|
|||
内閣府(内閣府本府)
|
2
|
2
|
|||
内閣府(警察庁)
|
1
|
1
|
|||
総務省
|
4
|
4
|
|||
法務省
|
3
|
2
|
1
|
||
外務省
|
3
|
2
|
1
|
||
財務省
|
6
|
5
|
1
|
||
文部科学省
|
8
|
4
|
3
|
1
|
|
厚生労働省
|
11
|
3
|
6
|
2
|
|
農林水産省
|
25
|
5
|
20
|
||
経済産業省
|
6
|
6
|
|||
国土交通省
|
31
|
20
|
9
|
2
|
|
環境省
|
4
|
4
|
|||
防衛省
|
12
|
10
|
2
|
||
国民生活金融公庫
|
1
|
1
|
|||
農林漁業金融公庫
|
1
|
1
|
|||
中小企業金融公庫
|
1
|
1
|
|||
日本銀行
|
3
|
1
|
2
|
||
商工組合中央金庫
|
2
|
1
|
1
|
||
関西国際空港株式会社
|
1
|
1
|
|||
成田国際空港株式会社
|
3
|
2
|
1
|
||
東日本高速道路株式会社
|
4
|
4
|
|||
中日本高速道路株式会社
|
4
|
4
|
|||
西日本高速道路株式会社
|
4
|
4
|
|||
独立行政法人国立文化財機構
|
1
|
1
|
|||
独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構
|
4
|
4
|
|||
独立行政法人農業生物資源研究所
|
2
|
2
|
|||
自動車検査独立行政法人
|
1
|
1
|
|||
独立行政法人農畜産業振興機構
|
1
|
1
|
|||
独立行政法人日本スポーツ振興センター
|
2
|
2
|
|||
独立行政法人日本貿易振興機構
|
1
|
1
|
|||
独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構
|
4
|
4
|
|||
独立行政法人雇用・能力開発機構
|
1
|
1
|
|||
独立行政法人労働者健康福祉機構
|
1
|
1
|
|||
独立行政法人中小企業基盤整備機構
|
1
|
1
|
|||
独立行政法人都市再生機構
|
2
|
1
|
1
|
||
独立行政法人奄美群島振興開発基金
|
1
|
1
|
|||
独立行政法人日本原子力研究開発機構
|
2
|
2
|
|||
独立行政法人住宅金融支援機構
|
1
|
1
|
|||
国立大学法人秋田大学
|
1
|
1
|
|||
国立大学法人筑波大学
|
1
|
1
|
|||
国立大学法人千葉大学
|
1
|
1
|
|||
国立大学法人東京大学
|
1
|
1
|
|||
国立大学法人東京医科歯科大学
|
1
|
1
|
|||
国立大学法人福井大学
|
1
|
1
|
|||
国立大学法人山梨大学
|
1
|
1
|
|||
国立大学法人広島大学
|
1
|
1
|
|||
国立大学法人佐賀大学
|
1
|
1
|
|||
日本放送協会
|
1
|
1
|
|||
首都高速道路株式会社
|
4
|
4
|
|||
阪神高速道路株式会社
|
3
|
3
|
|||
北海道旅客鉄道株式会社
|
2
|
2
|
|||
四国旅客鉄道株式会社
|
2
|
2
|
|||
九州旅客鉄道株式会社
|
3
|
3
|
|||
エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
|
1
|
1
|
|||
東日本電信電話株式会社
|
10
|
1
|
9
|
||
西日本電信電話株式会社
|
11
|
1
|
10
|
||
郵便事業株式会社
|
2
|
2
|
|||
株式会社ゆうちょ銀行
|
1
|
1
|
|||
放送大学学園
|
1
|
1
|
|||
計
|
223
|
132
|
84
|
7
|
0
|
注(1)
|
下記の理由により、表1及び表2の「検査対象の処置済事項数」のそれぞれの計は一致しない。
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〔1〕 平成17年度の経済産業省と日本銀行に係る処置済事項は、同一事案として整理されているため、表1では1件としているが、表2ではそれぞれ1件を計上している。
〔2〕 東日本高速道路株式会社、中日本高速道路株式会社及び西日本高速道路株式会社に係る「改善の処置の履行状況」には、16年度の日本道路公団に係る処置済事項2件を上記3会社にそれぞれ計上している。 |
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注(2)
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国民生活金融公庫、農林漁業金融公庫及び中小企業金融公庫は、平成20年10月1日以降は株式会社日本政策金融公庫となった。
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注(3)
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商工組合中央金庫は、平成20年10月1日以降は株式会社商工組合中央金庫となった。
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一部不履行のもの7件のうち、特に、2件については検査の結果、本章に不当事項として掲記した。
この2件の処置済事項の件名及び不当事項として掲記したものの概要を示すと次のとおりである。
ア 生活保護費に係る返還金等の調定額の算出を適切に行わせることなどにより、生活保護費国庫負担金の算定が適正なものとなるよう改善させたもの
(厚生労働省・平成16年度決算検査報告参照)
厚生労働省は、事業主体に対して、返還金等の調定額の適正な算出方法について周知徹底を図るなどの改善の処置を講じていたが、千葉県木更津市は、国庫負担金の算定に当たり、調定すべき返還金等の全額ではなく、当該年度に納入が可能な額についてのみ調定して、これを返還金等の調定額として費用の額から控除していて、国庫負担金が過大に算定される事態が生じており、不当事項として掲記した(前掲の「生活保護費負担金の経理が不当と認められるもの」
参照)。
イ 私立高等学校等経常費助成費補助金の加算単価の対象となる生徒等数の確認を適切に行うことにより、補助金の算定を適正なものとするよう改善させたもの
(文部科学省・平成17年度決算検査報告参照)
文部科学省は、事業主体に対して、補助対象の要件に該当する具体例を示すなどして加算単価の対象となる各事由の内容を明確に示すなどの改善の処置を講じていたが、兵庫県は、加算単価の算定に当たり、県が特別な助成をしていないため加算単価の対象とならない生徒数を含めるなどしていて、補助金が過大に交付される事態が生じており、不当事項として掲記した(前掲の「私立高等学校等経常費助成費補助金の経理が不当と認められるもの
」参照)。
一部不履行のものについては、関係省庁等において当該改善の処置について更なる周知徹底を図るなどして、当該改善の処置が確実に履行されることが肝要であり、本院は、改善の処置の履行状況を継続して検査していく。また、本院は、平成19年度決算検査報告に掲記した処置済事項及び検査分履行済のものについても、同様に改善の処置の履行状況を継続して検査していくこととする。