この公庫は、中小企業者の行う事業の振興に必要な長期資金であって、一般の金融機関が供給することを困難とするものを供給すること、又は一般の金融機関による供給を支援するための貸付債権の譲受け、債務の保証等を行うこと並びに中小企業者に対する貸付けに係る債務の保証等についての保険及び信用保証協会に対する資金の貸付けを行うことを目的として設置されているものである。その資本金は19年度末現在で1兆5263億6409万余円となっている。
同公庫の会計は、融資、証券化支援買取業務、証券化支援保証業務、信用保険等業務、機械保険経過業務及び破綻金融機関等関連特別保険等特別の6勘定に区分して経理されている。
同公庫の19年度の収入支出決算、損益、借入金等及び主な業務実績は次のとおりである。
(ア) 収入支出決算
区分
|
19年度
千円
|
(18年度)
千円
|
(収入)
|
||
収入済額
|
492,280,722
|
513,210,163
|
(支出)
|
||
支出予算現額
|
712,827,423
|
789,004,332
|
支出済額
|
682,435,727
|
626,350,855
|
不用額
|
30,391,695
|
162,653,476
|
不用額の主なものは、中小企業信用保険保険金(支出予算現額5973億8470万余円)の168億2518万余円、債券発行諸費(同57億2636万余円)の47億8123万余円及び機械保険経過業務保険金(同45億2827万余円)の27億5179万余円である。
(イ) 損益
区分
|
19年度
千円
|
(18年度)
千円
|
a 融資勘定
|
||
経常収益
(うち貸付金利息)
|
166,814,024
(111,277,740)
|
168,299,081
(116,123,836)
|
経常費用
(うち借入金利息)
|
166,794,471
(21,432,425)
|
168,220,720
(17,054,832)
|
特別利益
|
−
|
30,149
|
特別損失
|
19,552
|
108,510
|
b 証券化支援買取業務勘定
|
||
経常収益
(うち雑収入)
|
915,167
(318,084)
|
537,742
(329,242)
|
経常費用
(うち債券発行諸費)
|
568,327
(249,562)
|
474,286
(176,732)
|
当期利益金
|
346,807
|
63,455
|
(利益金の処理)
|
||
翌年度に積立金として整理
|
173,403
|
31,727
|
翌年度に国庫へ納付
|
173,403
|
31,727
|
c 証券化支援保証業務勘定
|
||
経常収益
(うち保証料)
|
2,101,045
(475,437)
|
1,131,660
(573,107)
|
経常費用
(うち事務費)
|
3,206,346
(154,875)
|
1,670,983
(127,132)
|
当期損失金
|
1,105,333
|
539,323
|
(損失金の処理)
|
||
翌年度に繰越欠損金として整理
|
1,105,333
|
539,323
|
d 信用保険等業務勘定
|
||
経常収益
(うち保険料)
|
429,096,139
(165,432,924)
|
447,642,496
(162,280,818)
|
経常費用
(うち保険金)
|
706,388,592
(580,559,516)
|
623,023,457
(518,390,599)
|
特別利益
|
17,973
|
−
|
特別損失
|
1,209
|
1,956
|
当期損失金
|
277,275,689
|
175,382,916
|
(損失金の処理)
|
||
翌年度に準備基金を減額して整理
|
277,275,689
|
175,382,916
|
(うち融資基金からの組み入れ)
|
(12,650,882)
|
(−)
|
e 機械保険経過業務勘定
|
||
経常収益
(うち保険料)
|
6,391,008
(6,943)
|
11,687,772
(14,437)
|
経常費用
(うち保険金)
|
4,950,376
(1,776,482)
|
9,705,506
(4,009,544)
|
特別利益
|
5,738
|
−
|
特別損失
|
214
|
480
|
当期利益金
|
1,446,155
|
1,981,785
|
(利益金の処理)
|
||
翌年度に積立金として整理
|
1,446,155
|
1,981,785
|
f 破綻金融機関等関連特別保険等特別勘定
|
||
経常収益
(うち保険料)
|
512,346
(1,042)
|
315,247
(3,684)
|
経常費用
(うち保険金)
|
340,860
(170,635)
|
286,333
(100,397)
|
特別損失
|
3
|
−
|
当期利益金
|
171,483
|
28,914
|
(利益金の処理)
|
||
翌年度に積立金として整理
|
85,741
|
14,457
|
翌年度に国庫へ納付
|
85,741
|
14,457
|
(ウ) 借入金等
区分
|
19年度末
千円
|
(18年度末)
千円
|
a 融資勘定
|
||
借入金残高
(財政融資資金等)
|
2,560,867,000
|
2,675,970,000
|
中小企業債券発行残高
|
2,820,729,000
|
3,355,229,000
|
b 証券化支援買取業務勘定
|
||
中小企業債券発行残高
|
3,200,000
|
1,900,000
|
(エ) 主な業務実績
区分
|
19年度
|
(18年度)
|
|||
a 融資勘定
|
|||||
貸付け等
|
件数
|
20,465件
|
21,641件
|
||
金額
|
953,739,875千円
|
1,028,923,733千円
|
|||
貸付金回収等
(うち貸付金償却)
|
金額
|
1,595,128,617千円
(63,024,396千円)
|
1,631,674,723千円
(64,260,030千円)
|
||
年度末貸付金等残高
|
件数
|
185,436件
|
191,561件
|
||
金額
|
5,814,260,579千円
|
6,455,649,322千円
|
|||
上記のうち民間金融機関のリスク管理債権の開示基準を参考に公庫において開示している債権
|
|||||
破綻先債権
|
111,474,994千円
|
119,520,503千円
|
|||
延滞債権
|
518,973,988千円
|
589,509,791千円
|
|||
3カ月以上延滞債権
|
−
|
−
|
|||
貸出条件緩和債権
|
227,291,799千円
|
263,876,130千円
|
|||
計
|
857,740,782千円
|
972,906,425千円
|
|||
貸倒引当金
|
16,802,853千円
|
11,770,361千円
|
|||
(貸倒引当金計上率)(注)
|
(2.9/1000)
|
(1.8/1000)
|
|||
貸倒引当金に計上できる金額は、当該事業年度末における貸付金残高(貸付受入金残高を控除)に6/1000を乗じて得た金額の範囲内とされている。
|
|||||
b 証券化支援買取業務勘定
|
|||||
貸付債権元本
|
件数
|
1,714件
|
1,579件
|
||
金額
|
41,846,000千円
|
38,793,000千円
|
|||
c 証券化支援保証業務勘定
|
|||||
債務保証
|
件数
|
96件
|
241件
|
||
金額
|
2,202,200千円
|
7,861,000千円
|
|||
d 信用保険等業務勘定
|
|||||
(a) 中小企業信用保険事業
|
|||||
保険関係成立
|
件数
|
1,099,745件
|
1,181,927件
|
||
保険価額
|
12,865,421,078千円
|
13,443,971,604千円
|
|||
保険金支払
|
件数
|
83,876件
|
78,623件
|
||
金額
|
580,559,516千円
|
518,390,599千円
|
|||
支払保険金等回収
|
金額
|
165,758,740千円
|
183,944,710千円
|
||
(b) 融資事業
|
|||||
貸付け
|
件数
|
297件
|
283件
|
||
金額
|
462,175,000千円
|
462,956,000千円
|
|||
貸付金回収
|
金額
|
462,956,000千円
|
476,392,000千円
|
||
年度末貸付金残高
|
件数
|
297件
|
283件
|
||
金額
|
462,175,000千円
|
462,956,000千円
|
|||
e 機械保険経過業務勘定
|
|||||
保険金支払
|
件数
|
1,731件
|
3,392件
|
||
金額
|
1,776,482千円
|
4,009,544千円
|
|||
支払保険金等回収
|
金額
|
1,656,372千円
|
2,503,225千円
|
||
f 破綻金融機関等関連特別保険等特別勘定
|
|||||
保険関係成立
|
件数
|
2件
|
−
|
||
保険価額
|
50,000千円
|
−
|
|||
保険金支払
|
件数
|
5件
|
4件
|
||
金額
|
170,635千円
|
100,397千円
|
|||
支払保険金回収
|
金額
|
14,220千円
|
16,274千円
|
なお、この公庫について検査した結果、「第3章 個別の検査結果」に「統合して株式会社日本政策金融公庫となる3公庫における職員住宅の管理運営に当たり、空室の情報を共有するなどして所有住宅の有効活用を図ることにより、借上住宅の賃借に係る費用を節減する措置を講ずるよう適宜の処置を要求し及び是正改善の処置を求めたもの 」、「中小企業信用保険事業の実施に当たり、中小企業信用保険法等に基づき保険種類の選択はできないこととなっているのに、し意的に選択された保険種類で保険を引き受けているもの 」及び「中小企業信用保険事業の実施に当たり、包括保証保険契約における保険引受けの進ちょく状況を適切に把握する体制を整備することなどにより、保険契約の管理を適切に行い、引受限度額による統制が十分に機能するよう改善させたもの 」)を、「第4章 国会及び内閣に対する報告並びに国会からの検査要請事項に関する報告等」に「国及び国が資本金の2分の1以上を出資している法人における談合等に係る違約金条項の導入状況等について 」を掲記した。