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  • 平成21年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第9 文部科学省|
  • 不当事項|
  • 補助金

科学研究費補助金が過大に交付されていたもの


(3) 科学研究費補助金が過大に交付されていたもの

12件 不当と認める国庫補助金 25,657,484円

 科学研究費補助金は、我が国の学術を振興するために、人文・社会科学から自然科学まであらゆる分野における優れた独創的・先駆的な研究を格段に発展させることを目的として、〔1〕 大学、大学共同利用機関等の学術研究を行う機関(以下「研究機関」という。)に所属する研究者が1人で科学研究を行う場合は、当該研究機関の代表者、〔2〕 研究者2人以上が同一の研究課題について共同して科学研究を行う場合は、当該研究者の代表者(以下「研究代表者」という。)又は研究代表者の所属する研究機関の代表者(平成16年度からは、〔1〕 、〔2〕 いずれの場合も研究代表者)等に対して、科学研究等に必要な経費を国が補助するものである。
 この補助金の交付額は、「科学研究費補助金(科学研究費及び学術創成研究費)の取扱いについて」(平成15年文科振第92号文部科学省研究振興局長通知)等により、研究に使用する消耗品等(以下「研究用物品」という。)の購入費等の研究計画の遂行等に必要な経費(直接経費)のほか、一部の研究種目については、研究の実施に伴い研究機関において必要となる管理等に係る経費(間接経費)を補助対象経費とし、その全額を補助することとなっている。
 本院が、31研究機関において会計実地検査を行ったところ、公立大学法人和歌山県立医科大学(18年3月31日以前は和歌山県立医科大学)の12研究代表者において、研究代表者Cが業者に架空の取引を指示して虚偽の納品書、請求書等を作成させ同大学に架空の取引に係る購入代金を支払わせて、これを業者に預けて別途に経理していたり、研究代表者Dほか10名の研究代表者が随時、業者に研究用物品を納入させた上で、後日、納入された研究用物品とは異なる物品の請求書等を提出させて、これらの物品が納入されたとする虚偽の内容の関係書類を作成することなどにより同大学にその購入代金を支払わせたりなどしていたため、国庫補助金計25,657,484円が過大に交付されていて不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、大学長及び研究代表者において、補助金の原資は税金等であり、事実に基づく適正な会計経理を行うという基本的な認識が欠けていたこと、補助金を管理する同大学において研究用物品の納品検査等が十分でなかったこと、文部科学省において研究代表者及び研究機関に対して補助金の不正使用の防止について必要な措置の導入や指導を行っていたものの、その周知徹底が十分でなかったことによると認められる。
 これを事業主体(研究代表者(注) )別に示すと次のとおりである。

  部局等 事業主体
(研究代表者)
補助事業 年度 補助対象経費 左に対する国庫補助金交付額 不当と認める補助対象経費 不当と認める国庫補助金 摘要
        千円 千円 千円 千円  
(94) 文部科学本省 C
(C)
科学研究費補助 18 11,700 11,700 3,419 3,419 不適正な経理処理
(95) D
(D)
18、19 12,090 12,090 4,748 4,748
(96) 大学長及び a
(a)
15〜19 6,700 6,700 3,664 3,664
(97) b
(b)
18 2,300 2,300 2,074 2,074
(98) 大学長及び c
(c)
14〜18 5,300 5,300 1,998 1,998
(99) d
(d)
16、17 3,400 3,400 1,846 1,846
(100) e
(e)
18、19 2,000 2,000 1,706 1,706
(101) 大学長及び f
(f)
15〜19 5,000 5,000 1,680 1,680
(102) 大学長
(g)
14、15 2,900 2,900 1,393 1,393
(103) h
(h)
18 1,500 1,500 1,113 1,113
(104) i
(i)
17、18 3,300 3,300 1,007 1,007
(105) j
(j)
17、18 3,000 3,000 1,002 1,002
(94)—(105)の計 14〜19 59,190 59,190 25,657 25,657  

 研究代表者  公立大学法人和歌山県立医科大学については、本件以外にも不当事項(4か所参照 1  2  3  4 )を掲記しており、同一の研究(代表)者名を同一のアルファベット(A〜G、a〜t)で表示している。