検査対象 | 36省庁等 | |
検査の概要 | 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項として検査報告に掲記したものについて、当該処置が履行されるまでその履行状況を継続して検査するもの | |
改善の処置の履行状況を検査した本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項の件数 | 126件 | (検査報告年度 平成14年度〜20年度) |
上記のうち改善の処置が一部履行されていなかったものの件数 | 5件 |
本院は、検査の過程において会計検査院法第34条又は第36条の規定による意見表示又は処置要求を必要とする事態として指摘したところ、その指摘を契機として省庁及び団体(以下「省庁等」という。)において改善の処置を講じたものを、検査報告に本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項(以下「処置済事項」という。)として掲記している。
一方、本院は、毎年次策定している会計検査の基本方針にのっとり、検査の結果が予算の編成・執行や事業運営等に的確に反映されて実効あるものとなるよう、その後の是正改善等を継続して検査することとしている。このため、検査報告に掲記した処置済事項についても、省庁等が通知等を発するなどして講じた改善の処置(以下、当該処置を「改善の処置」という。)が履行されること(改善の処置に基づき、その後の会計経理等が適切に行われることをいう。以下同じ。)により初めて実効あるものとなることから、当該改善の処置が履行されるまでその履行状況を継続して検査している。
本院は、平成20年度決算検査報告に、平成14年度から19年度までの決算検査報告に掲記した処置済事項のうち平成19年度決算検査報告において改善の処置の履行状況を継続して検査していくこととしていた146件から掲記後に制度自体が廃止されたもの1件を除いた145件についての検査の結果を掲記した。
その内訳は、改善の処置が履行されていたもの(以下「履行済」という。)が56件、検査した範囲では改善の処置が履行されていたもの(以下「検査分履行済」という。)が83件、改善の処置が一部履行されていなかったもの(以下「一部不履行」という。)が6件、改善の処置が全く履行されていなかったもの(以下「不履行」という。)が0件となっていた。
本院は、合規性等の観点から、改善の処置が履行されているかなどに着眼して、上記の平成20年度決算検査報告に検査分履行済として掲記したもの83件と一部不履行として掲記したもの6件との計89件及び平成20年度決算検査報告に新たに掲記した処置済事項46件の合計135件について、改善の処置の履行状況を対象として、関係する36省庁等の会計実地検査を行った。
上記の135件のうち、制度を廃止することが改善の処置であるものなど9件を除いた126件について検査したところ、履行済が67件、検査分履行済が54件、一部不履行が5件、不履行が0件となっていた。これを、平成20年度決算検査報告に掲記した処置済事項に係る改善の処置の履行状況と平成14年度から19年度までの決算検査報告に掲記した処置済事項に係る改善の処置の履行状況とに分けて記述すると、次のとおりである。
ア 平成20年度決算検査報告に掲記した処置済事項に係る改善の処置の履行状況
平成20年度決算検査報告に掲記した処置済事項46件のうち、制度を廃止することが改善の処置であるものなど6件を除いた40件について検査したところ、履行済が29件、検査分履行済が11件となっていた。
イ 平成14年度から19年度までの決算検査報告に掲記した処置済事項に係る改善の処置の履行状況
平成14年度から19年度までの決算検査報告に掲記した処置済事項のうち、改善の処置の履行状況を継続して検査していくこととしていたものは89件である。このうち、掲記後に制度自体が廃止されているもの3件を除いた86件について検査したところ、履行済が38件、検査分履行済が43件、一部不履行が5件となっていた。
なお、平成20年度決算検査報告に一部不履行のものとして掲記した6件のうち2件については改善の処置が履行されていたことから、履行済38件に含まれている。上記ア及びイに係る改善の処置の履行状況を検査報告年度別及び省庁等別に示すと、表1
及び表2
のとおりである。
検査報告年度 | 改善の処置の履行状況を継続して検査していくこととした処置済事項数 (A) |
||||||
制度を廃止することが改善の処置であるものなどの事項数 (B) |
検査対象の処置済事項数 (A)−(B) |
||||||
改善の処置の履行状況 | |||||||
履行済 | 検査分履行済 | 一部不履行 | 不履行 | ||||
平成 14年度 |
10 | 0 | 10 | 7 | 3 | 0 | 0 |
15年度 | 8 | 0 | 8 | 3 | 5 | 0 | 0 |
16年度 | 17 | 1 | 16 | 8 | 5 | 3 | 0 |
17年度 | 15 | 1 | 14 | 4 | 10 | 0 | 0 |
18年度 | 19 | 1 | 18 | 8 | 9 | 1 | 0 |
19年度 | 20 | 0 | 20 | 8 | 11 | 1 | 0 |
20年度 | 46 | 6 | 40 | 29 | 11 | 0 | 0 |
計 | 135 | 9 | 126 | 67 | 54 | 5 | 0 |
省庁等名 (平成22年7月31日現在) |
検査対象の処置済事項数 | 改善の処置の履行状況 | |||
履行済 | 検査分履行済 | 一部不履行 | 不履行 | ||
裁判所 | 4 | 2 | 2 | ||
内閣府(警察庁) | 1 | 1 | |||
総務省 | 2 | 2 | |||
法務省 | 4 | 1 | 3 | ||
外務省 | 2 | 2 | |||
財務省 | 4 | 2 | 2 | ||
文部科学省 | 3 | 1 | 2 | ||
厚生労働省 | 11 | 5 | 3 | 3 | |
農林水産省 | 25 | 6 | 19 | ||
経済産業省 | 2 | 1 | 1 | ||
国土交通省 | 18 | 11 | 5 | 2 | |
環境省 | 3 | 1 | 2 | ||
防衛省 | 5 | 5 | |||
株式会社日本政策金融公庫 | 2 | 2 | |||
日本銀行 | 2 | 2 | |||
東日本高速道路株式会社 | 1 | 1 | |||
中日本高速道路株式会社 | 1 | 1 | |||
西日本高速道路株式会社 | 1 | 1 | |||
日本年金機構 | 1 | 1 | |||
独立行政法人情報通信研究機構 | 1 | 1 | |||
独立行政法人森林総合研究所 | 1 | 1 | |||
独立行政法人日本貿易保険 | 1 | 1 | |||
独立行政法人造幣局 | 1 | 1 | |||
独立行政法人国立印刷局 | 1 | 1 | |||
独立行政法人農畜産業振興機構 | 1 | 1 | |||
独立行政法人中小企業基盤整備機構 | 1 | 1 | |||
独立行政法人国際協力機構 | 2 | 2 | |||
独立行政法人国際交流基金 | 1 | 1 | |||
独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構 | 3 | 3 | |||
独立行政法人水資源機構 | 1 | 1 | |||
日本放送協会 | 2 | 1 | 1 | ||
首都高速道路株式会社 | 2 | 2 | |||
阪神高速道路株式会社 | 1 | 1 | |||
東日本電信電話株式会社 | 11 | 10 | 1 | ||
西日本電信電話株式会社 | 3 | 3 | |||
日本下水道事業団 | 1 | 1 | |||
計 | 126 | 67 | 54 | 5 | 0 |
検査の結果、一部不履行のもの5件のうち2件については、本章中に不当事項として掲記しており、これらの概要を示すと表3 のとおりである。
処置済事項の件名 | 平成21年度決算検査報告における掲記状況 |
生活保護費に係る返還金等の調定額の算出を適切に行わせることなどにより、生活保護費国庫負担金の算定が適正なものとなるよう改善させたもの(厚生労働省・平成16年度決算検査報告 ) | 前掲の「生活保護費等負担金が過大に交付されていたもの 」参照 |
生活保護事業の実施に当たり、事業主体に被保護者の収入把握を適切に行わせることなどにより、生活保護費負担金の交付が適正なものとなるよう改善させたもの(厚生労働省・平成19年度決算検査報告 ) | 前掲の「生活保護費等負担金が過大に交付されていたもの 」参照 |
一部不履行のもの5件については、関係省庁等において改善の処置について更なる周知徹底を図るなどして、改善の処置が確実に履行されることが肝要である。
本院は、上記の一部不履行のもの5件、前記の検査分履行済のもの54件及び平成21年度決算検査報告に掲記した処置済事項39件の計98件について、改善の処置の履行状況を継続して検査していくこととする。