検査対象 | 35省庁等 | |
検査の概要 | 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項として検査報告に掲記したものについて、当該処置が履行されるまでその履行状況を継続して検査するもの | |
改善の処置の履行状況を検査した本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項の件数 | 93件 | (検査報告年度 平成14年度〜21年度) |
上記のうち改善の処置が一部履行されていなかったものの件数 | 5件 |
本院は、検査の過程において会計検査院法第34条又は第36条の規定による意見表示又は処置要求を必要とする事態として指摘したところ、その指摘を契機として省庁及び団体(以下「省庁等」という。)において改善の処置を講じたものを、検査報告に本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項(以下「処置済事項」という。)として掲記している。
一方、本院は、毎年次策定している会計検査の基本方針にのっとり、検査の結果が予算の編成・執行や事業運営等に的確に反映されて実効あるものとなるように、その後の是正改善等を継続して検査することとしている。検査報告に掲記した処置済事項についても、省庁等が制度を改めるなどして講じた改善の処置(以下、当該処置を「改善の処置」という。)が履行されること(改善の処置に基づき、その後の会計経理等が適切に行われることをいう。以下同じ。)により初めて実効あるものとなることから、当該改善の処置が履行されるまでその履行状況を継続して検査している。
本院は、平成21年度決算検査報告に、平成14年度から20年度までの決算検査報告に掲記した処置済事項のうち平成20年度決算検査報告において改善の処置の履行状況を継続して検査していくこととしていた135件から制度の廃止により処置済事項となったものなど9件を除いた126件についての検査の結果を掲記した。
その内訳は、改善の処置が履行されていたもの(以下「履行済」という。)が67件、検査した範囲では改善の処置が履行されていたもの(以下「検査分履行済」という。)が54件、改善の処置が一部履行されていなかったもの(以下「一部不履行」という。)が5件、改善の処置が全く履行されていなかったもの(以下「不履行」という。)が0件となっていた。
本院は、合規性等の観点から、改善の処置が履行されているかなどに着眼して、上記の平成21年度決算検査報告に検査分履行済として掲記したもの54件と一部不履行として掲記したもの5件との計59件及び平成21年度決算検査報告に新たに掲記した処置済事項39件の合計98件について、関係する35省庁等のうち、34省庁等において会計実地検査を行うとともに、残りの1団体については、報告を求めて、その報告内容を確認するなどの方法により検査した。
上記の98件のうち、制度の廃止により処置済事項となったものなど5件を除いた93件について改善の処置の履行状況を検査したところ、履行済が47件、検査分履行済が41件、一部不履行が5件、不履行が0件となっていた。これを、平成21年度決算検査報告に掲記した処置済事項に係る改善の処置の履行状況と平成14年度から20年度までの決算検査報告に掲記した処置済事項に係る改善の処置の履行状況とに分けて記述すると、次のとおりである。
ア 平成21年度決算検査報告に掲記した処置済事項に係る改善の処置の履行状況
平成21年度決算検査報告に掲記した処置済事項39件のうち、制度の廃止により処置済事項となったものなど5件を除いた34件について改善の処置の履行状況を検査したところ、履行済が26件、検査分履行済が8件となっていた。
イ 平成14年度から20年度までの決算検査報告に掲記した処置済事項に係る改善の処置の履行状況
平成14年度から20年度までの決算検査報告に掲記した処置済事項のうち、改善の処置の履行状況を継続して検査していくこととしていたもの59件について改善の処置の履行状況を検査したところ、履行済が21件、検査分履行済が33件、一部不履行が5件となっていた。
なお、平成21年度決算検査報告に一部不履行として掲記した5件のうち2件については改善の処置が履行されていたことから、履行済21件に含まれている。
上記のア及びイに係る改善の処置の履行状況を検査報告年度別及び省庁等別に示すと、表1 及び表2 のとおりである。
検査報告年度 | 改善の処置の履行状況を継続して検査していくこととした処置済事項数 (A)
|
||||||
制度の廃止により処置済事項となったものなどの事項数 (B)
|
検査対象の処置済事項数 (A)−(B)
|
||||||
改善の処置の履行状況 | |||||||
履行済 | 検査分履行済 | 一部不履行 | 不履行 | ||||
平成 14年度 |
3 | 0 | 3 | 2 | 1 | 0 | 0 |
15年度 | 5 | 0 | 5 | 1 | 4 | 0 | 0 |
16年度 | 8 | 0 | 8 | 5 | 1 | 2 | 0 |
17年度 | 10 | 0 | 10 | 2 | 7 | 1 | 0 |
18年度 | 10 | 0 | 10 | 4 | 5 | 1 | 0 |
19年度 | 12 | 0 | 12 | 4 | 7 | 1 | 0 |
20年度 | 11 | 0 | 11 | 3 | 8 | 0 | 0 |
小計 | 59 | 0 | 59 | 21 | 33 | 5 | 0 |
21年度 | 39 | 5 | 34 | 26 | 8 | 0 | 0 |
計 | 98 | 5 | 93 | 47 | 41 | 5 | 0 |
省庁等名 (平成23年7月31日現在) |
検査対象の処置済事項数 | 改善の処置の履行状況 | |||
履行済 | 検査分履行済 | 一部不履行 | 不履行 | ||
裁判所 | 2 | 2 | |||
内閣府(警察庁) | 1 | 1 | |||
総務省 | 2 | 2 | |||
法務省 | 3 | 3 | |||
外務省 | 2 | 2 | |||
財務省 | 3 | 2 | 1 | ||
文部科学省 | 2 | 2 | |||
厚生労働省 | 8 | 3 | 3 | 2 | |
農林水産省 | 21 | 6 | 13 | 2 | |
経済産業省 | 2 | 2 | |||
国土交通省 | 9 | 6 | 2 | 1 | |
環境省 | 2 | 1 | 1 | ||
防衛省 | 4 | 2 | 2 | ||
株式会社日本政策金融公庫 | 1 | 1 | |||
日本銀行 | 3 | 1 | 2 | ||
東京地下鉄株式会社 | 1 | 1 | |||
東日本高速道路株式会社 | 1 | 1 | |||
中日本高速道路株式会社 | 1 | 1 | |||
西日本高速道路株式会社 | 2 | 2 | |||
本州四国連絡高速道路株式会社 | 1 | 1 | |||
独立行政法人森林総合研究所 | 1 | 1 | |||
独立行政法人造幣局 | 1 | 1 | |||
独立行政法人国立印刷局 | 2 | 2 | |||
独立行政法人農畜産業振興機構 | 1 | 1 | |||
独立行政法人福祉医療機構 | 1 | 1 | |||
独立行政法人日本貿易振興機構 | 1 | 1 | |||
独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構 | 1 | 1 | |||
独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構 | 1 | 1 | |||
独立行政法人雇用・能力開発機構 | 1 | 1 | |||
独立行政法人中小企業基盤整備機構 | 1 | 1 | |||
独立行政法人都市再生機構 | 2 | 2 | |||
日本放送協会 | 1 | 1 | |||
首都高速道路株式会社 | 1 | 1 | |||
東日本電信電話株式会社 | 2 | 2 | |||
西日本電信電話株式会社 | 5 | 2 | 3 | ||
計 | 93 | 47 | 41 | 5 | 0 |
検査の結果、一部不履行のもの5件のうち2件については、本章中に不当事項として掲記しており、これらの概要を示すと表3 のとおりである。
処置済事項の件名 | 平成22年度決算検査報告における掲記状況 |
中山間地域等直接支払制度の実施に当たり、対象農用地の選定等を適切に行うことなどにより、制度の適切かつ効果的な実施が確保されるよう改善させたもの (農林水産省・平成17年度決算検査報告 参照) |
「中山間地域等直接支払交付金が交付の対象とならない農用地について交付されるなどしていたもの」(事業主体:高知市、室戸市、高知県安芸郡東洋町) 参照 |
生活保護事業の実施に当たり、事業主体に被保護者の収入把握を適切に行わせることなどにより、生活保護費負担金の交付が適正なものとなるよう改善させたもの (厚生労働省・平成19年度決算検査報告 参照) |
「生活保護費等負担金が過大に交付されていたもの」(事業主体:渋谷区、豊島区、葛飾区、三鷹市、町田市、塩尻市、伊丹市) 参照 |
一部不履行のもの5件については、関係省庁等において改善の処置について更なる周知徹底を図るなどして、改善の処置が確実に履行されることが肝要である。
本院は、上記の一部不履行のもの5件、前記の検査分履行済のもの41件及び平成22年度決算検査報告に掲記した処置済事項54件の計100件について、改善の処置の履行状況を継続して検査していくこととする。