林野庁においては、国有林野事業特別会計に属する国有財産について、各森林管理局長等がその管理等の事務を分掌している。しかし、各森林管理局管内の森林管理署等において、国が所有する建物は表示に関する登記の申請義務の適用が除外されているとして、借地に新築等した建物について、財産の保全のため第三者に対する対抗要件を備える必要があるかどうか十分検討することなく、登記所への登記の嘱託を行わないままとなっている事態が多数見受けられた。
したがって、林野庁において、借地に新築等した建物について、どのような場合に登記の嘱託を行わなければならないかを明確に定めて、これを森林管理署等の長に周知するとともに、登記の嘱託を行うことが必要と判断された建物については登記の嘱託を行わせるなどの 処置を講ずるよう、林野庁長官に対して平成21年10月に、会計検査院法第36条の規定により改善の処置を要求した。
本院は、林野庁において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、林野庁は、本院指摘の趣旨に沿い、21年12月に、林野庁長官通知を発して、国等以外の者からの借地に建物を新築等した場合は登記の嘱託を行うことを明確に定めて各森林管理局長等に周知するなどの処置を講じていた。
そして、借地上の既存の建物について登記の嘱託を行うことについては、「国有林野の有する公益的機能の維持増進を図るための国有林野の管理経営に関する法律等の一部を改正する等の法律」(平成24年法律第42号)により25年4月1日に国有林野事業特別会計が廃止され、同特別会計に所属する権利義務は一般会計に帰属することとされたことなどから、林野庁は、国有林野事業の一般会計化後の業務及び組織の在り方の検討状況を踏まえて、対応可能なものから順次行っていくこととしている。