独立行政法人都市再生機構(以下「機構」という。)は、賃貸住宅等の管理等に関する業務を行っているが、賃貸住宅団地内における駐車場事業については、当初駐車場の整備及び経営に人員等を振り向けることが困難であったため、機構の出資会社である日本総合住生活株式会社(以下「JS」という。)に行わせてきた。しかし、住宅供給に係る経営方針が変化するなどしているのに、本来機構が賃貸住宅と一体的に管理すべき駐車場事業を競争性及び透明性が十分でないまま引き続きJSに行わせている事態が見受けられた。
したがって、機構において、JSの駐車場事業の経営及びその資産を承継することにより駐車場と賃貸住宅を一体的に管理して事業の一層の効率化を図るとともに、JSに対する投資の利益を回収して事業運営に資するよう、独立行政法人都市再生機構理事長に対して平成22年10月に、会計検査院法第36条の規定により意見を表示した。
本院は、機構本社において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、機構は、本院指摘の趣旨に沿い、24年3月にJSとの間で駐車場事業を機構に譲渡することなどを約定した事業譲渡契約を締結し、同年7月をもって同事業の経営及びその資産を承継していた。そして、機構は、同事業の承継後、駐車場利用者からの問合せ対応、契約・解約手続、料金収納、修繕等の駐車場の管理業務を賃貸住宅の管理業務と一体的に行うことにより、事業の一層の効率化を図ることとしていた。
そして、機構は、JSに対する投資の利益の回収については、国土交通省に設置された「独立行政法人都市再生機構の関係会社における利益剰余金の取扱いに関するワーキンググループ」の検討結果を踏まえるとともに、23年7月に国土交通省が策定した「独立行政法人都市再生機構の改革に係る工程表」に基づいて、24年3月に「関係会社の整理・合理化方針」を公表しており、今後、同方針等により適切に対応することとしている。