ページトップ
  • 国会からの検査要請事項に関する報告(検査要請)|
  • 会計検査院法第30条の3の規定に基づく報告書|
  • 平成24年10月

公共建築物における耐震化対策等に関する会計検査の結果について


3 東日本大震災に伴う被災等の状況

(1) 内閣府による被害額の推計

 内閣府は、23年6月に、東日本大震災における、国有、民間施設等を含む全ての建築物、ライフライン施設、社会基盤整備等のストックの被害額を約16兆9千億円と推計しており、その項目別の内訳は図表3-1 のとおりである。この推計は、内閣府が東日本大震災の被災を受けた各県及び関係府省等からストック(国有財産を含む。)の毀損額相当分に関する情報提供を受けて、取りまとめたものである。

図表3-1  東日本大震災における被害額(平成23年6月24日現在)
項 目 被害額
東日本大震災 (参考)
阪神・淡路大震災
(国土庁)(注)
 建築物等
 (住宅・宅地、店舗・事務所、工場、機械等)
10兆4千億円   6兆3千億円  
 ライフライン施設
 (水道、ガス、電気、通信・放送施設)
1兆3千億円   6千億円  
 社会基盤施設
 (河川、道路、港湾、下水道、空港等)
2兆2千億円   2兆2千億円  
 農林水産関係
 (農地・農業用施設、林野、水産関係施設等)
1兆9千億円   5千億円  
 その他
 (文教施設、保健医療・福祉関係施設、廃棄物処理施設、その他公共施設等)
1兆1千億円  
総 計 16兆9千億円   9兆6千億円  
 阪神・淡路大震災の被害額推計を当時の国土庁が発表したものである。

 この被害額は、各県及び関係府省等からの報告をまとめたものであり、ストック価格(国有財産台帳価格を含む。)、業者による見積額、復旧工事費及び被害状況からの被害推計額が計上されるなどしている。

(2) 官庁施設、教育施設、医療施設等の被災状況及び所在都道府県別の被災状況

 東日本大震災において、多数の建築物が被災したが、会計検査院は、それらの被災状況について、会計実地検査を実施するとともに各府省等及び各独立行政法人等(図表0-3 参照)から調書の提出を受けて、その内容を分析等した。
 一方、会計検査院は、日本国憲法第90条に定められた国の収入支出の決算のほか、国有財産、国の債権、債務等の会計を毎年検査しており、その一環として会計検査院法第27条において、会計検査院の検査を受ける会計経理に関し、現金、有価証券その他の財産の亡失を発見したときは、本属長官又は監督官庁その他これに準ずる責任のある者から、直ちに、その旨の報告(以下「第27条報告」という。)を受けている。また、国有財産法施行令(昭和23年政令第246号)第19条において、各省各庁の長は、天災等の事故により、500万円を超えて国有財産を滅失又は損傷したときは、直ちにその原因、損害見積価額等を財務大臣に通知(以下「滅失損傷通知」という。)しなければならないと定められている。このため、東日本大震災において被災した官庁施設等については、第27条報告及び滅失損傷通知が行われており、これらについても分析した。
 なお、本項における被災状況には、東北地方太平洋沖地震(23年3月11日)に加え、同時期に発生した長野県北部の地震(同年3月12日)及び静岡県東部の地震(同年3月15日)並びにその余震による被災が含まれている。

ア 官庁施設の建築物における被災状況等

(ア) 官庁施設の建築物における被災状況

 東日本大震災において、被災した官庁施設の建築物は、図表3-2 のとおり、15府省等で1,362棟となっていて、府省等の別では、防衛省439棟、法務省240棟、国土交通省206棟の順となっている。これを主な被害要因である地震、津波、液状化の別に分類すると、地震によるものが1,209棟、津波によるものが131棟、液状化によるものが22棟となっている。
 そして、被災後に被災建築物応急危険度判定を受けるなどして、危険(当該建築物内に立ち入ることは危険)又は要注意(当該建築物内に立ち入ることは十分注意)に相当する建築物は、7府省等の116棟となっていて、府省等別では、防衛省63棟、国土交通省31棟、法務省7棟の順となっている。

図表3-2  官庁施設の被害の要因別の被災状況 上段:棟数 (単位: 棟)
下段:延床面積 (単位:m2
要因
府省等
地震 津波 液状化
  うち危険
又は要注意
  うち危険
又は要注意
  うち危険
又は要注意
  うち危険
又は要注意
内閣 1 1
16,179 16,179
内閣府 70 3 1 71 3
186,989 2,243 254 187,243 2,243
総務省 2 2
48,403 48,403
法務省 237 7 3 240 7
577,899 17,489 3,822 581,721 17,489
外務省 2 2
59,536 59,536
財務省 111 4 8 3 119 7
616,797 8,548 10,070 1,036 626,867 9,585
文部科学省 4 1 4 1
171,565 347 171,565 347
厚生労働省 127 127
291,507 291,507
農林水産省 60 3 2 1 62 4
100,592 2,415 2,410 249 103,002 2,665
経済産業省 1 5 6
47,071 3,904 50,976
国土交通省 141 13 52 16 13 2 206 31
541,989 61,430 49,187 21,124 9,522 2,067 600,698 84,622
環境省
防衛省 370 27 60 32 9 4 439 63
1,387,117 59,819 91,570 66,926 5,139 2,695 1,483,827 129,441
国会 19 19
237,591 237,591
裁判所 63 63
463,404 463,404
会計検査院 1 1
6,628 6,628
1,209 58 131 52 22 6 1,362 116
4,753,272 152,294 161,219 89,338 14,661 4,763 4,929,153 246,395

 また、東日本大震災において、被災した借受官庁施設は、図表3-3 のとおり、7府省等の15棟となっていて、府省等の別では厚生労働省の7棟が最も多くなっている。

図表3-3  借受官庁施設の府省等別の被災状況
被災状況
府省等
棟数(棟) 借受面積(m2
内閣
内閣府 2 1,403
総務省 2 2,306
法務省 1 1,604
外務省
財務省 1 597
文部科学省
厚生労働省 7 12,612
農林水産省
経済産業省
国土交通省 1 1,667
環境省
防衛省 1 240
15 20,432

(イ) 官庁施設の建築物の構造体、建築非構造部材及び建築設備の被災状況

 官庁施設の建築物のうち、地震又は液状化を要因とする被害を受けた建築物における構造体、建築非構造部材及び建築設備の被災状況は、次のとおりである。

a 構造体の被災状況

 被災があった都道府県に所在する官庁施設の建築物11,089棟のうち、地震又は液状化を要因とする被害を受けた建築物は、1,231棟である。そして、このうち建築物が全半壊(構造体が著しく損傷して建築物の全部又は一部が倒壊したもの)したものはなく、構造体が損傷(建築物全体の耐力が低下し、人命の安全確保が図られない状況となっているもの)したものは31棟となっている。なお、この損傷した31棟は、いずれも23年3月11日14時46分に発生した地震では、震度5強以上を記録した地区に所在していたものである。
 構造体が損傷した官庁施設の建築物の被災状況は、図表3-4-1 及び図表3-4-2 のとおりである。

図表3-4-1  構造体の被災状況(官庁施設の建築物)
損傷の程度
耐震安全性の評価
損傷 被災都道府県所在建築物
棟数(棟) 割合(棟数/(ア)) 棟数(ア)(棟) 注(1)
d 6 0.8‰ 7,330
c 118
b 2 4.1‰ 487
a 1 4.4‰ 225
診断未実施 22 7.5‰ 2,929
31 2.8‰ 11,089
 被災都道府県所在建築物の欄は、被災があった都道府県に所在する官庁施設の建築物を耐震安全性の評価の別に集計したものである。

注(2)  耐震安全性の評価は、図表1-5 参照。図表3-4-2 も同じ。
注(3)  当初設計が計画標準又は計画基準に基づいた設計となっている建築物は、耐震安全性の評価を「d」としている。図表3-4-2図表3-5-1図表3-5-2図表3-6-1 及び図表3-6-2 も同じ。図表3-13図表3-14図表3-15図表3-19図表3-20図表3-21図表3-24図表3-25 及び図表3-26 において独立行政法人等が計画標準又は計画基準を使用している場合も同じ。
注(4)  耐震性能が確保されていないため、耐震改修を実施したものは耐震改修後の評価により、耐震診断を実施したが、耐震改修未実施のものは耐震診断後の評価により、それぞれ分類している。図表3-4-2図表3-5-1図表3-5-2図表3-6-1 及び図表3-6-2 も同じ。
注(5)  表中の網掛けは、計欄の割合(平均値の割合)と比較して、高い割合を示す。図表3-5-1図表3-6-1図表3-13図表3-14図表3-15図表3-19図表3-20図表3-21図表3-24図表3-25 及び図表3-26 も同じ。
注(6) 割合の単位の‰は、1000分の1を1とする単位である。図表3-5-1図表3-5-2図表3-6-1図表3-6-2図表3-13図表3-19図表3-24図表3-25 及び図表3-26 も同じ。

図表3-4-2  損傷した建築物の耐震安全性の評価

図表3-4-2損傷した建築物の耐震安全性の評価

 図表3-4-1 及び図表3-4-2 のとおり、損傷した建築物全31棟の耐震安全性の評価は、a評価が1棟、b評価が2棟及び耐震診断未実施が22棟となっていて、新耐震設計手法によらない耐震安全性の評価が低い建築物及び耐震診断未実施の建築物が計25棟と多数を占めていた。
 構造体が損傷した建築物の事例を示すと次のとおりである。

建物名 所在地 分類 建築年次 構造・規模
構造 地上 地下 延床面積
仙台駐屯地内の庁舎 宮城県仙台市 II類 昭和43年 RC 3階 4,902m2
 仙台駐屯地内の後方支援隊本部庁舎(II類、構造体の評価a、評価値0.16)は、地震(震度6強)及びその後の余震により、庁舎の南側に面している柱数本にせん断破壊が生じたほか、窓の建具が変形したり、壁面に亀裂が生じたりしていた。このため、同庁舎を使用することが困難となり建て替えることになった。なお、同駐屯地内の他の施設も被災があったことなどから、本件に係る滅失損傷通知は、取りまとめに時間を要しており、平成24年7月24日現在、提出されていない。
 なお、本駐屯地内では、重要度の高い施設から順次耐震改修工事が進められており、同庁舎は今後、建替えが計画されていた。

建物名 所在地 分類 建築年次 構造・規模
構造 地上 地下 延床面積
須賀川税務署 福島県須賀川市 III類 昭和46年 RC 3階 722m2
 須賀川税務署は、地震(震度6強)及びその後の余震により、庁舎(III類、構造体の評価b、評価値0.61)の西側の耐震壁や柱に亀裂が生じたり、北西部の柱の脚部が損傷して主筋が露出したりしたため、同庁舎の増築部分を除く部分について庁舎を取り壊すこととなった。同庁舎については、滅失損傷通知が提出されており、取り壊された庁舎に係る損害見積価額は、36,410,517円となっている。

b 建築非構造部材の被災状況

 被災した官庁施設の建築物1,231棟について、建築非構造部材である天井材、外壁及び建具の別の被災状況は、図表3-5-1 のとおりとなっていて、建築非構造部材が損傷(建築非構造部材の被害が大きく、補修が困難な状態であり、機能を回復するためには全てを取り替える必要があるもの)したものは、天井材で9棟、外壁で23棟、建具で8棟となっている。また、一部損傷(建築非構造部材に被害があり、機能を回復するためには専門技術者による補修が必要なもの)したものは、天井材で153棟、外壁で171棟、建具で151棟となっている。

図表3-5-1  建築非構造部材の被災状況(官庁施設の建築物)
(単位:棟、‰)
損傷の程度
耐震安全性の評価
天井材 外壁 建具 被災都道府県所在建築物(ア)注(1)
損傷
(棟数/(ア))
一部損傷
(棟数/(ア))

(棟数/(ア))
損傷
(棟数/(ア))
一部損傷
(棟数/(ア))

(棟数/(ア))
損傷
(棟数/(ア))
一部損傷
(棟数/(ア))

(棟数/(ア))
d 4 66 70 1 75 76 5 58 63 5,730
0.7‰ 11.5‰ 12.2‰ 0.2‰ 13.1‰ 13.3‰ 0.9‰ 10.1‰ 11.0‰
c 13 13 1 21 22 1 17 18 540
24.1‰ 24.1‰ 1.9‰ 38.9‰ 40.7‰ 1.9‰ 31.5‰ 33.3‰
a 2 2 7 7 5 5 92
21.7‰ 21.7‰ 76.1‰ 76.1‰ 54.3‰ 54.3‰
診断未実施 5 72 77 21 68 89 2 71 73 4,726
1.1‰ 15.2‰ 16.3‰ 4.4‰ 14.4‰ 18.8‰ 0.4‰ 15.0‰ 15.4‰
9 153 162 23 171 194 8 151 159 11.088
0.8‰ 13.8‰ 14.6‰ 2.1‰ 15.4‰ 17.5‰ 0.7‰ 13.6‰ 14.3‰
  被災都道府県所在建築物の欄は、被災があった都道府県に所在する官庁施設の建築物を耐震安全性の評価の別に集計したものである

  耐震安全性の評価は、図表1-6 参照。図表3-5-2 も同じ。


図表3-5-2  損傷等した建築非構造部材の耐震安全性の状況

図表3-5-2損傷等した建築非構造部材の耐震安全性の状況

 建築非構造部材が損傷等した官庁施設の建築物の被災状況は、図表3-5-1 及び図表3-5-2 のとおりであり、建築非構造部材において、耐震安全性の評価が低い建築物(a評価及びc評価)又は耐震診断未実施の建築物は、いずれも損傷等の割合が高くなっている。

c 建築設備の被災状況

 被災した官庁施設の建築物1,231棟において、建築設備である電力供給設備、照明設備、給排水・衛生設備及び空気調和設備の別の被災状況は、図表3-6-1 のとおりとなっていて、建築設備が損傷(建築設備の被害が大きく、補修が困難な状態であり、機能を回復するためには全てを取り替える必要があるもの)したものは、空気調和設備で11棟、給排水・衛生設備で10棟、電力供給設備で8棟等となっている。また、一部損傷(建築設備に被害があり、機能を回復するためには専門技術者による補修が必要なもの)したものは、給排水・衛生設備で114棟、空気調和設備で81棟、照明設備で68棟等となっている。

図表3-6-1  建築設備の被災状況(官庁施設の建築物)
(単位:棟、‰)
損傷の程度
耐震安全性の評価
電力供給設備 照明設備 被災都道府県所在建築物(ア)注(1)
損傷
(棟数/(ア))
一部損傷
(棟数/(ア))

(棟数/(ア))
損傷
(棟数/(ア))
一部損傷
(棟数/(ア))

(棟数/(ア))
d 2 2 4 2 25 27 5,529
0.4‰ 0.4‰ 0.7‰ 0.4‰ 4.5‰ 4.9‰
c 3 1 4 4 4 245
12.2‰ 4.1‰ 16.3‰ 16.3‰ 16.3‰
b 3 3 6 6 562
5.3‰ 5.3‰ 10.7‰ 10.7‰
診断未実施 3 23 26 2 33 35 4,751
0.6‰ 4.8‰ 5.5‰ 0.4‰ 6.9‰ 7.4‰
8 29 37 4 68 72 11,087
0.7‰ 2.6‰ 3.3‰ 0.4‰ 6.1‰ 6.5‰

損傷の程度
耐震安全性の評価
給排水・衛生設備 空気調和設備
損傷(棟数/(ア)) 一部損傷(棟数/(ア)) 計(棟数/(ア)) 損傷(棟数/(ア)) 一部損傷(棟数/(ア)) 計(棟数/(ア))
d 5 38 43 8 35 43
0.9‰ 6.9‰ 7.8‰ 1.4‰ 6.3‰ 7.8‰
c 1 6 7 1 4 5
4.1‰ 24.5‰ 28.6‰ 4.1‰ 16.3‰ 20.4‰
b 15 15 7 7
26.7‰ 26.7‰ 12.5‰ 12.5‰
診断未実施 4 55 59 2 35 37
0.8‰ 11.6‰ 12.4‰ 0.4‰ 7.4‰ 7.8‰
10 114 124 11 81 92
0.9‰ 10.3‰ 11.2‰ 1.0‰ 7.3‰ 8.3‰
  被災都道府県所在建築物の欄は、被災があった都道府県に所在する官庁施設の建築物を耐震安全性の評価の別に集計したものである。

注(2)
  耐震安全性の評価は、図表1-7 参照。図表3-6-2 も同じ。


図表3-6-2  損傷等した建築設備の耐震安全性の状況

図表3-6-2損傷等した建築設備の耐震安全性の状況

 建築設備のうち、電力供給設備、照明設備、給排水・衛生設備及び空気調和設備の別に損傷又は一部損傷したものの状況を耐震安全性の評価により比較すると、図表3-6-1 及び図表3-6-2 のとおりとなっていて、建築設備において、耐震安全性の評価が低い建築物(b評価及びc評価)又は耐震診断未実施の建築物は、損傷等の割合が高くなっている。

(ウ) 被災した官庁施設の建築物の復旧状況

 被災した官庁施設の建築物の復旧状況は、図表3-7 のとおりである。復旧工事実施済みのものは663棟、実施中のものは189棟、未着手のものは251棟となっている。
 これらのうち、復旧工事実施済みの工事契約の件数及び契約金額は、928件、計56.2億円となっている。

図表3-7  被災した官庁施設の建築物の復旧状況
復旧工事の状況等
府省等
実施済 実施済みの工事契約の
件数及び契約金額
実施中 未着手
件数 金額
(棟) (件) (千円) (棟) (棟)
内閣 1 2 9,610
内閣府 14 17 629,178 20 32
総務省 2
法務省 157 235 719,156 18 20
外務省 2
財務省 95 149 140,621 14 1
文部科学省 3 2 42,420
厚生労働省 70 69 206,427 11 12
農林水産省 35 50 117,876 2 13
経済産業省 3 2 378,421 3
国土交通省 53 119 1,443,289 59 65
環境省
防衛省 170 178 1,439,283 49 104
国会 9 1 4,226 9 1
裁判所 52 103 493,197 3
会計検査院 1 1 690
663 928 5,624,402 189 251

(エ) 会計検査院法に基づく報告の状況

 官庁施設の建築物に関して、24年8月31日現在、会計検査院に報告されている第27条報告のうち、東日本大震災に伴う被災が財産亡失(建築物の場合は、全損が対象となり、部分的に損傷したものは含まれない。)の要因と認められる報告は、図表3-8 のとおり、5省の22官署92棟、15千m であり、損害額は8.4億円となっている。
 なお、第27条報告には、今回の検査の対象としていない延床面積200m 未満(木造は同500m 未満)の建築物が含まれている。

図表3-8  第27条報告の状況(府省等別)
(単位:棟、m2 、千円)
府省等 口座名 所在 区分 種目 棟数 数量
(延床面積)
損害額
(被害額)
要因
財務省 八戸港湾合同庁舎 青森県八戸市 建物 雑屋建 1 29 912 津波
大船渡税務署 岩手県大船渡市 建物 雑屋建 4 44 391 津波
横浜税関石巻出張所 宮城県石巻市 建物 雑屋建 1 27 379 津波
農林水産省 農林水産研修所つくば館水戸ほ場庁舎 茨城県水戸市 建物 事務所建等 3 2,415 30,527 地震
三陸北部森林管理署 岩手県宮古市・下閉伊郡山田町 建物 事務所建等 16 1,860 21,623 津波
三陸中部森林管理署 岩手県陸前高田市・上閉伊郡大槌町 建物 事務所建等 3 266 2,968 津波
宮城北部森林管理署 宮城県石巻市・本吉郡南三陸町 建物 事務所建等 3 168 1,291 津波
茨城森林管理署 茨城県北茨城市 建物 事務所建等 2 183 1,886 地震
経済産業省 久慈国家石油備蓄基地 岩手県久慈市 建物 事務所建等 17 4,886 582,516 津波
国土交通省 気仙沼国道維持出張所 宮城県気仙沼市 建物 事務所建等 4 521 30,958 津波
塩釜港湾・空港整備事務所西浜地区 宮城県石巻市 建物 雑屋建 1 59 5,312 津波
宮城運輸支局 宮城県仙台市 建物 事務所建 1 1,751 750 地震
石巻海事事務所 宮城県石巻市 建物 雑屋建 1 15 792 津波
福島運輸支局小名浜庁舎 福島県いわき市 建物 雑屋建 1 19 829 津波
石巻港湾合同庁舎 宮城県石巻市 建物 事務所建等 5 1,349 58,375 津波
小名浜港湾事務所 福島県いわき市 建物 事務所建等 2 731 12,000 津波
水戸地方気象台 茨城県水戸市 建物 雑屋建 1 141 6,041 地震
釜石海上保安部船艇用品庫 岩手県釜石市 建物 倉庫建 1 67 4,648 津波
鹿島海上保安署船艇基地 茨城県神栖市 建物 倉庫建 1 48 543 津波
佐原出張所 千葉県佐原市 建物 事務所建等 10 668 29,805 地震
環境省 陸中海岸国立公園宮古姉ケ崎集団施設地区 岩手県宮古市 建物 雑屋建 12 620 47,574 津波
陸中海岸国立公園気仙沼大島集団施設地区 宮城県気仙沼市 建物 雑屋建 2 114 9,735 津波
5省22官署 92 15,991 849,865
注(1)  本表は、会計検査院に提出された第27条報告のうち区分が建物となっているものを集計したものである。棟数が報告に記載されていなかったもの及び要因については、調書等により記載している。
注(2)  綱掛け部分は、滅失損傷通知が行われ、後掲図表3-10 に掲載しているものである。

 また、これらを主たる要因別に整理すると、図表3-9 のとおり、棟数、延床面積、損害額ともに津波の割合が81.5%(75棟)、67.7%(10,832m2 )、91.9%(7.8億円)と高くなっていて、津波による被害が甚大であったことがうかがえる。

図表3-9  第27条報告における被害の要因別の状況
(単位:棟、m2 、千円、%)
要因 府省等及び官署数 棟数(割合) 延床面積(割合) 損害額(割合)
地震 2省 5官署 17(18.5)  5,159 (32.3)  69,009 ( 8.1)
津波 5省 17官署 75(81.5) 10,832 (67.7) 780,855 (91.9)
5省 22官署 92(100 ) 15,991 (100 ) 849,865 (100 )

(オ) 国有財産法施行令に基づく通知の状況

 官庁施設の建築物に関して、財務省に対する会計実地検査を実施した時点(24年7月24日)までに、財務省に提出のあった滅失損傷通知のうち、建築物に係るものを府省等の別に整理すると、図表3-10 のとおりであり、8府省等の43官署全体で115棟、283千m であり、損害額は23.4億円となっている。また、調書によると、今後、提出予定のものは、482棟、1,534千m となっている。なお、滅失損傷通知には、今回の検査の対象としていない延床面積200m 未満(木造は同500m 未満)の建築物が含まれている。
 滅失損傷通知は、第27条報告が前記のとおり建築物等の亡失を報告の対象としているのに対して、建築物の滅失に加え損傷を通知の対象としている。

(単位:棟、m 、千円)
府省等 口座名 所在 区分 種目 棟数 数量
(延床面積)
損害見積価額
(被害額)注(2)
要因
内閣
(人事院)
中央合同庁舎第5号館別館 東京都千代田区 建物 事務所建 1 16,179 9,610 地震
内閣府
(警察庁)
東北管区警察学校 宮城県多賀城市 建物 事務所建等 11 16,895 61,349 地震
岩手県警察学校 岩手県盛岡市 建物 事務所建等 2 3,045 28,896 地震
宮城県警察学校 宮城県名取市 建物 事務所建 1 7,673 29,594 地震
福島県警察学校 福島県福島市 建物 事務所建等 3 3,438 21,780 地震
新科学警察研究所 千葉県柏市 建物 事務所建 1 24,163 5,040 地震
法務省 仙台第3法務総合庁舎 宮城県仙台市 建物 事務所建 1 13,376 10,197 地震
財務省 盛岡合同庁舎 岩手県盛岡市 建物 事務所建等 3 5,538 16,113 地震
八戸港湾合同庁舎 青森県八戸市 建物 事務所建 5 2,611 227,667 津波
青森第2地方合同庁舎 青森県青森市 建物 事務所建 1 9,895 9,996 地震
大船渡税務署 岩手県大船渡市 建物 事務所建等 5 630 34,901 津波
仙台中税務署 宮城県仙台市 建物 事務所建 1 4,343 8,237 地震
仙台国税局分室 宮城県仙台市 建物 事務所建 1 1,872 25,714 地震
石巻税務署 宮城県石巻市 建物 事務所建 1 1,896 23,520 地震
塩釜税務署 宮城県塩竈市 建物 事務所建 1 1,059 6,300 地震
福島税務署 福島県福島市 建物 事務所建 1 2,622 21,346 地震
須賀川税務署 福島県須賀川市 建物 事務所建 1 722 36,410 地震
相馬税務署 福島県相馬市 建物 事務所建 1 1,303 11,497 地震
税務大学校東京研修所 千葉県船橋市 建物 事務所建等 3 17,775 6,844 地震
横浜税関仙台空港税関支署 宮城県名取市 建物 事務所建等 3 5,180 223,869 津波
農林水産省 農林水産研修所つくば館水戸ほ場庁舎 茨城県水戸市 建物 事務所建等 3 2,415 32,785 地震
三陸北部森林管理署 岩手県宮古市 建物 事務所建 1 682 6,730 津波
国土交通省 気仙沼国道維持出張所 宮城県気仙沼市 建物 事務所建等 4 521 30,958 津波
塩釜港湾・空港整備事務所西浜地区 宮城県石巻市 建物 雑屋建 1 59 5,312 津波
宮城運輸支局 宮城県仙台市 建物 事務所建等 2 2,753 28,065 地震
石巻海事事務所 宮城県石巻市 建物 雑屋建 1 15 792 津波
福島運輸支局小名浜庁舎 福島県いわき市 建物 雑屋建 1 19 829 津波
石巻港湾合同庁舎 宮城県石巻市 建物 事務所建等 5 1,349 58,375 津波
小名浜港湾事務所 福島県いわき市 建物 事務所建等 2 731 12,000 津波
茨城海上保安部 茨城県ひたちなか市 建物 事務所建 1 1,668 6,560 津波
国土技術政策総合研究所旭 茨城県つくば市 建物 事務所建 10 50,834 587,773 地震
国土技術政策総合研究所立原 茨城県つくば市 建物 事務所建 2 18,516 102,060 地震
釜石港湾合同庁舎 岩手県釜石市 建物 事務所建等 6 2,525 90,680 津波
国土地理院 茨城県つくば市 建物 倉庫建 1 3,046 72,221 地震
水戸地方気象台 茨城県水戸市 建物 雑屋建 1 141 6,041 地震
環境省 陸中海岸国立公園宮古姉ヶ崎集団施設地区 岩手県宮古市 建物 事務所建等 12 620 47,574 津波
陸中海岸国立公園気仙沼大島集団施設地区 宮城県気仙沼市 建物 雑屋建 3 345 39,198 津波
裁判所 仙台高等裁判所仙台地方裁判所仙台簡易裁判所庁舎 宮城県仙台市 建物 事務所建 1 17,878 107,746 地震
仙台地方裁判所古川支部古川簡易裁判所庁舎 宮城県大崎市 建物 事務所建 1 2,547 20,254 地震
福島地方裁判所郡山支部庁舎 福島県郡山市 建物 事務所建 2 4,038 69,520 地震
仙台家庭簡易裁判所庁舎 宮城県仙台市 建物 事務所建 1 6,652 16,196 地震
水戸地方裁判所庁舎 茨城県水戸市 建物 事務所建 6 11,667 172,714 地震
さいたま地方家庭簡易裁判所 埼玉県さいたま市 建物 事務所建 1 14,493 9,240 地震
8府省等43官署 115 283,750 2,342,515
注(1)
 本表は、財務省に提出された滅失損傷通知のうち区分が建物に係るものを集計したものである。棟数及び要因については、調書等により会計検査院で集計したものである

 損害見積価額の中には、工作物等の損害見積価額が含まれているものがある。

注(3)
 表中の網掛け部分は、第27条報告が行われ、図表3-8 に掲載しているものである。

 また、これを主な要因別に整理すると、図表3-11 のとおり、津波により滅失損傷したものは、延床面積では、全体の6.0%(16,961m )と少ないものの、損害見積価額では33.5%(7.8億円)と面積の割合に比して損害見積価額の割合が高くなっていて、今回の震災において津波による損害が甚大であったことがうかがえる。

図表3-11  滅失損傷通知における被害の要因別の状況
(単位:棟、m 、千円、%)
要因 府省等及び官署数 棟数(割合) 延床面積(割合) 損害額(割合)
地震 7府省 29官署  65(56.5) 266,789 (94.0) 1,557,065 (66.5)
津波 4省 14官署  50(43.5) 16,961 ( 6.0)  785,450 (33.5)
8府省 43官署 115(100 ) 283,750 (100 ) 2,342,515 (100 )

イ 教育施設の建築物における被災状況等

(ア) 教育施設の建築物における被災状況

 東日本大震災において、被災した教育施設の建築物は、図表3-12 のとおり1独立行政法人及び27国立大学法人等で1,057棟となっていて、東北大学304棟、東京大学127棟、筑波大学126棟の順となっている。これらを主な被害要因である地震と津波に分類すると、地震によるものは1,051棟、津波によるものは6棟となっている。
 そして、被災後に被災建築物応急危険度判定を受けるなどして、危険又は要注意に相当する建築物は、7国立大学法人等の96棟となっている。

図表3-12  教育施設の建築物における被害の要因別の被災状況
  上段:棟数 (単位: 棟)
  下段:延床面積 (単位:m2
要因
独立行政法人及び
国立大学法人等
地震 津波
  うち危険又は要注意   うち危険又は要注意   うち危険又は要注意
職業能力開発総合大学校 3 3
12,770 12,770
北海道大学 8 8
64,197 64,197
岩手大学 13 13
52,604 52,604
東北大学 302 56 2 304 56
710,347 179,894 2,157 712,504 179,894
宮城教育大学 27 5 27 5
38,447 14,311 38,447 14,311
山形大学 94 2 94 2
119,493 5,955 119,493 5,955
福島大学 20 13 20 13
52,315 41,145 52,315 41,145
茨城大学 93 11 93 11
156,953 34,360 156,953 34,360
筑波大学 126 3 126 3
474,484 9,798 474,484 9,798
筑波技術大学 10 10
20,474 20,474
宇都宮大学 6 6
8,249 8,249
群馬大学 12 12
51,585 51,585
埼玉大学 1 1
2,028 2,028
千葉大学 27 27
133,501 133,501
東京大学 123 4 127
787,298 2,796 790,094
東京医科歯科大学 5 5
50,911 50,911
東京芸術大学 14 14
62,233 62,233
東京工業大学 19 19
132,877 132,877
東京海洋大学 14 14
40,463 40,463
お茶の水女子大学 6 6
23,039 23,039
電気通信大学 3 3
25,216 25,216
一橋大学 2 2
5,160 5,160
横浜国立大学 33 33
105,039 105,039
新潟大学 7 7
26,867 26,867
政策研究大学院大学 1 1
31,969 31,969
人間文化研究機構 2 2
24,115 24,115
自然科学研究機構 4 4
8,279 8,279
高エネルギー加速器研究機構 76 6 76 6
160,647 20,879 160,647 20,879

(1独立行政法人及び27国立大学法人等)
1,051 96 6 1,057 96
3,381,560 306,342 4,953 3,386,513 306,342

(イ) 教育施設の建築物の構造体、建築非構造部材及び建築設備の被災状況

 教育施設の建築物のうち、地震を要因とする被害を受けた建築物における構造体、建築非構造部材及び建築設備の被災状況は、次のとおりである。

a 構造体の被災状況

 被災があった都道府県に所在する教育施設の建築物3,757棟のうち、地震を要因とする被害を受けた建築物は、1,051棟である。そして、このうち建築物が全半壊したもの及び構造体が損傷したものは、それぞれ10棟となっている。なお、この全半壊又は損傷した計20棟は、いずれも23年3月11日14時46分に発生した地震では、震度5強以上を記録した地区に所在していたものである。
 全半壊又は構造体が損傷した教育施設の建築物の被災状況は、図表3-13 のとおりである。

図表3-13  構造体の被災状況(教育施設の建築物)
損傷の程度
耐震安全性の評価
全半壊 損傷 被災都道府県所在建築物
棟数(棟) 割合
(棟数/(ア))
棟数(棟) 割合
(棟数/(ア))
棟数(ア)(棟) 注(1)
d 7 2.4‰ 6 2.0‰ 2,978
c 89
b 3 12.9‰ 3 12.9‰ 233
a 37
診断未実施 1 2.4‰ 420
10 2.7‰ 10 2.7‰ 3,757
 被災都道府県所在建築物の欄は、被災があった都道府県に所在する教育施設の建築物を耐震安全性の評価の別に集計したものである。

注(2)  耐震安全性の評価は、図表1-11 の耐震安全性の評価方法に同じ。図表3-14図表3-15図表3-19図表3-20図表3-21図表3-24図表3-25 及び図表3-26 も同じ。
注(3)  教育施設の建築物において、当初設計が新耐震設計手法に基づいているもの又は当初設計時点で耐震安全性の目標を満たしているものは「d」としている。図表3-14 及び図表3-15 も同じ。
注(4)  耐震性能が確保されていないため、耐震改修を実施したものについては耐震改修後の評価により、耐震診断を実施したが、耐震改修未実施のものは耐震診断後の評価により、それぞれ分類している。図表3-14 及び図表3-15 も同じ。

 図表3-13 のとおり、建築物が全半壊した10棟は、いずれも東北大学の建築物である。この点については、当該建築物が立地する地盤の特性により、地盤の固有周期と一致して建築物が共振したため、強く揺れた可能性があるなどとする調査結果が報告されている。また、全半壊又は損傷となった建築物は、耐震安全性の評価が低いb評価の建築物の割合が高くなっている。
 全半壊した建築物の事例を示すと次のとおりである。

建物名 所在地 建築年次 構造・規模
構造 地上 地下 延床面積
東北大学マテリアル・開発系実験研究棟 宮城県仙台市 昭和42年 RC 6階 1階 7,025m2
東北大学電子・応物系北講義棟 宮城県仙台市 昭和41年 RC 2階 764m2
 マテリアル・開発系実験研究棟(構造体の評価b、1階から3階までは耐震改修済、耐震改修後の評価d、以下「研究棟」という。)は、地震(震度6弱)及びその後の余震により、構造体である梁及び耐震壁に大きな損傷が生じて、建築物全体の耐力が低下していた。また、電子・応物系北講義棟(構造体の評価b、耐震改修未実施)は、構造体である柱がせん断破壊し、梁にも損傷が生じていた。両棟とも、建築物全体の耐力が低下していたため、判定士による応急危険度判定で「危険」の判定を受けたため、立ち入り禁止となり、平成24年7月の会計実地検査時点では、建替えのための解体作業中であった。
 なお、研究棟は、耐震改修実施済みの建築物であったにもかかわらず、全半壊した建築物であり、この原因については、この地区の地盤に特性があり、地盤の固有周期と一致して建築物が共振したため、強く揺れた可能性があるなどとする調査結果が報告されている。

b 建築非構造部材の被災状況

 被災した教育施設の建築物1,051棟のうち、建築物が全半壊した10棟を除く1,041棟において、建築非構造部材である天井材、外壁及び建具の被災状況は、図表3-14 のとおりとなっていて、建築非構造部材が損傷したものはなく、一部損傷したものは、天井材で152棟、外壁で400棟、建具で160棟となっている。

図表3-14  建築非構造部材の被災状況(教育施設の建築物)
(単位:棟、%)
損傷の程度
耐震安全性の評価
(構造体)
天井材 外壁 建具 被災都道府県所在建築物
(ア)(注)
損傷
(棟数/(ア))
一部損傷
(棟数/(ア))

(棟数/(ア))
損傷
(棟数/(ア))
一部損傷
(棟数/(ア))

(棟数/(ア))
損傷
(棟数/(ア))
一部損傷
(棟数/(ア))

(棟数/(ア))
d 115 115 319 319 117 117 2,978
3.9% 3.9% 10.7% 10.7% 3.9% 3.9%
c 3 3 8 8 6 6 89
3.4% 3.4% 9.0% 9.0% 6.7% 6.7%
b 30 30 55 55 24 24 233
12.9% 12.9% 23.6% 23.6% 10.3% 10.3%
a 1 1 1 1 37
2.7% 2.7% 2.7% 2.7%
診断未実施 4 4 17 17 12 12 420
1.0% 1.0% 4.0% 4.0% 2.9% 2.9%
152 152 400 400 160 160 3,757
4.0% 4.0% 10.6% 10.6% 4.3% 4.3%
 被災都道府県所在建築物の欄は、被災があった都道府東構た都道府県に所在する教育施設の建築物を耐震安全性の評価の別に集計したものである。

 前記「1 耐震診断の状況(3)イ教育施設の耐震診断の実施状況(ア) 」のとおり、教育施設の建築物における建築非構造部材の診断率は、相当程度低くなっている。
 このため、建築非構造部材のうち、天井材、外壁及び建具の損傷又は一部損傷したものを構造体における耐震安全性の評価により比較すると、上記図表3-14 のとおりである。一部損傷したものは、構造体における耐震安全性の評価が低いb評価又はc評価のものが多いものの、構造体における耐震安全性の評価が高いものも多い状況となっている。この要因としては、これらに、構造体については耐震安全性を満足していたが建築非構造部材の改修を行っていなかったものが含まれていたことなどによることが考えられる。

c 建築設備の被災状況

 被災した教育施設の建築物1,051棟のうち、構造体が全半壊となった10棟を除く1,041棟において、建築設備である電力供給設備、照明設備、給排水・衛生設備及び空気調和設備の別の被災状況は、図表3-15 のとおりとなっていて、建築設備が損傷したものは、空気調和設備で11棟、給排水・衛生設備で7棟、照明設備で2棟となっている。また、一部損傷したものは、空気調和設備で235棟、照明設備で118棟、給排水・衛生設備で110棟等となっている。

図表3-15  建築設備の被災状況(教育施設の建築物)
(単位:棟、%)
損傷の程度
耐震安全性の評価
(構造体)
電力供給設備 照明設備 被災都道府県所在建築物
(ア)(注)
損傷
(棟数/(ア))
一部損傷
(棟数/(ア))

(棟数/(ア))
損傷
(棟数/(ア))
一部損傷
(棟数/(ア))

(棟数/(ア))
d 37 37 2 92 94 2,978
1.2% 1.2% 0.1% 3.1% 3.2%
c 2 2 3 3 89
2.2% 2.2% 3.4% 3.4%
b 2 2 19 19 233
0.9% 0.9% 8.2% 8.2%
a 37
診断未実施 3 3 4 4 420
0.7% 0.7% 1.0% 1.0%
44 44 2 118 120 3,757
1.2% 1.2% 0.1% 3.1% 3.2%

損傷の程度
耐震安全性の評価
(構造体)

給排水・衛生設備

空気調和設備
損傷
(棟数/(ア))
一部損傷
(棟数/(ア))

(棟数/(ア))
損傷
(棟数/(ア))
一部損傷
(棟数/(ア))

(棟数/(ア))
d 4 85 89 11 187 198
0.1% 2.9% 3.0% 0.4% 6.3% 6.6%
c 3 3 7 7
3.4% 3.4% 7.9% 7.9%
b 2 15 17 31 31
0.9% 6.4% 7.3% 13.3% 13.3%
a 1 1
2.7% 2.7%
診断未実施 1 7 8 9 9
0.2% 1.7% 1.9% 2.1% 2.1%
7 110 117 11 235 246
0.2% 2.9% 3.1% 0.3% 6.3% 6.5%
 被災都道府県所在建築物の欄は、被災があった都道府県に所在する教育施設の建築物を耐震安全性の評価の別に集計したものである

 前記b建築非構造部材の被災状況と同様に建築設備の診断率が低いことから、建築設備のうち、電力供給設備等の損傷又は一部損傷したものを構造体における耐震安全性の評価により比較すると、上記図表3-15 のとおりである。損傷又は一部損傷したものは、構造体における耐震安全性の評価の低いb評価のものが多いものの、構造体における耐震安全性の評価が高いものも多い状況となっている。この要因としては、前記bの建築非構造部材と同様に、これらに、構造体については耐震安全性を満足していたが建築設備の改修を行っていなかったものが含まれていたことなどによることが考えられる。

(ウ) 被災した教育施設の建築物の復旧状況

 被災した教育施設の建築物の復旧状況は、図表3-16 のとおりである。復旧工事実施済みのものは197棟、実施中のものは593棟、未着手のものは250棟となっている。これらのうち、復旧工事実施済みの工事契約の件数及び契約金額は、140件、計3.0億円となっている。

復旧工事の状況等
独立行政法人及び
国立大学法人等
実施済 実施済みの工事契約の
件数及び契約金額
実施中 未着手
件数 金額
(棟) (件) (千円) (棟) (棟)
職業能力開発総合大学校 3 3 307
北海道大学 8 6 2,016
岩手大学 1 2 1,711 11
東北大学 304
宮城教育大学 27
山形大学 9 77
福島大学 18 2
茨城大学 89 4
筑波大学 125 1
筑波技術大学 10 5 13,895
宇都宮大学 6
群馬大学 12 6 4,547
埼玉大学 1 1 132
千葉大学 1 1 2,520 4 15
東京大学 125 88 163,858 1
東京医科歯科大学 5 6 73,416
東京芸術大学 2 3 282 7 5
東京工業大学 2 1 3,830 1 16
東京海洋大学 4 2 856 10
お茶の水女子大学 6 2 9,061
電気通信大学 3 4 3,742
一橋大学 2 2 3,780
横浜国立大学 33
新潟大学 6 1 444 1
政策研究大学院大学 1
人間文化研究機構 2 3 10,035
自然科学研究機構 4 4 7,753
高エネルギー加速器研究機構 8 68
197 140 302,192 593 250

(エ) 会計検査院法に基づく報告の状況

 教育施設の建築物に関して、24年8月31日現在、会計検査院に報告されている第27条報告のうち、東日本大震災に伴う被災が財産亡失の要因と認められる報告は、図表3-17 のとおり、津波を被災要因とする東京大学の8棟、延床面積586m であり、これに係る損害額は825.1万円となっている。
 なお、第27条報告には、今回の検査の対象としていない延床面積200m 未満(木造は同500m 未満)の建築物が含まれている。

図表3-17  第27条報告の状況(教育施設の建築物)
(単位:棟、m 、千円)
国立大学法人等 口座名 所在 種目 棟数 数量
(延床面積)
損害額(被害額) 要因
東京大学 大気海洋研究所(国際沿岸海洋研究センター) 岩手県上閉伊郡大槌町 倉庫建等 7 566 5,852 津波
地震研究所(釜石観測点) 岩手県釜石市 事務所建 1 20 2,398 津波
1国立大学法人 8 586 8,251
(注)
 本表は、会計検査院に提出された第27条報告のうち区分が建物に係るものを集計したものである。棟数が報告で記載されていなかったもの及び要因については、調書等により記載している。

ウ 医療施設の建築物における被災状況等

(ア) 医療施設の建築物における被災状況

 東日本大震災において、被災した医療施設の建築物は、図表3-18 のとおり6独立行政法人及び8国立大学法人で301棟となっていて、国立病院機構185棟、年金・健康保険福祉施設整理機構38棟、労働者健康福祉機構23棟の順となっている。これらを主な被害要因である地震と津波に分類すると、地震によるものは296棟、津波によるものは5棟となっている。
 そして、被災後に被災建築物応急危険度判定を受けるなどして、危険又は要注意に相当する建築物は、2独立行政法人及び1国立大学法人の計5棟となっている。

図表3-18  医療施設の建築物における被害の要因別の被災状況
上段:棟数 (単位:棟)
下段:延床面積 (単位:m
要因
独立行政法人及び
国立大学法人
地震 津波
  うち危険又は要注意   うち危険又は要注意   うち危険又は要注意
労働者健康福祉機構 23 23
324,033 324,033
国立病院機構 180 3 5 185 3
570,791 3,487 5,645 576,437 3,487
年金・健康保険福祉施設整理機構 38 1 38 1
189,399 4,877 189,399 4,877
国立がん研究センター 2 2
112,925 112,925
国立国際医療研究センター 1 1
11,603 11,603
国立成育医療研究センター 3 3
82,210 82,210
東北大学 15 1 15 1
131,749 15,640 131,749 15,640
秋田大学 1 1
39,175 39,175
山形大学 11 11
47,530 47,530
筑波大学 6 6
63,199 63,199
群馬大学 1 1
42,369 42,369
千葉大学 4 4
38,459 38,459
東京大学 9 9
190,724 190,724
東京医科歯科大学 2 2
101,371 101,371

(6独立行政法人及び8国立大学法人)
296 5 5 301 5
1,945,538 24,004 5,645 1,951,184 24,004

(イ) 医療施設の建築物の構造体、建築非構造部材及び建築設備の被災状況

 医療施設の建築物のうち、地震を要因とする被害を受けた建築物における構造体、建築非構造部材及び建築設備の被災状況は、次のとおりである。

a 構造体の被災状況

 被災があった都道府県に所在する医療施設の建築物1,055棟のうち、地震を要因とする被害を受けた建築物は、296棟である。そして、このうち建築物が全半壊したものはなく、構造体が損傷したものは10棟となっている。なお、この損傷した10棟は、いずれも23年3月11日14時46分に発生した地震では、震度5強以上を記録した地区に所在していたものである。
 構造体が損傷した医療施設の建築物の被災状況は、図表3-19 のとおりである。

図表3-19  構造体の被災状況(医療施設の建築物)
損傷の程度
耐震安全性の評価
損傷 被災都道府県所在建築物
棟数(棟) 割合(棟数/(ア)) 棟数(棟)(ア)注(1)
d 4 7.0‰ 575
c 5
b 1 26.3‰ 38
a 16
診断未実施 5 11.9‰ 421
10 9.5‰ 1,055
 被災都道府県所在建築物の欄は、被災があった都道府県に所在する医療施設の建築物を耐震安全性の評価の別に集計したものである。

注(2)  医療施設の建築物において、当初設計が新耐震設計手法に基づいているもの又は当初設計時点で耐震安全性の目標を満たしているものは「d」としている。図表3-20 及び図表3-21 も同じ。
注(3)  耐震性能が確保されていないため、耐震改修を実施したものについては耐震改修後の評価により、耐震診断を実施したが、耐震改修未実施のものは耐震診断後の評価により、それぞれ分類している。図表3-20 及び図表3-21 も同じ。

 図表3-19 のとおり、構造体が損傷した建築物10棟は、構造体において耐震安全性の評価が低いb評価の建築物及び耐震診断未実施の建築物の割合が高くなっている。

b 建築非構造部材の被災状況

 被災した医療施設の建築物296棟において、建築非構造部材である天井材、外壁及び建具の被災状況は、図表3-20 のとおりとなっていて、建築非構造部材が損傷したものは天井材、外壁及び建具でそれぞれ3棟となっている。また、一部損傷したものは天井材で67棟、外壁で64棟、建具で58棟となっている。

図表3-20  建築非構造部材の被災状況(医療施設の建築物)

(単位:棟、%)

損傷の程度
耐震安全性の評価
(構造体)
天井材 外壁 建具 被災都道府県所在建築物(ア)(注)
損傷
(棟数/(ア))
一部損傷
(棟数/(ア))

(棟数/(ア))
損傷
(棟数/(ア))
一部損傷
(棟数/(ア))

(棟数/(ア))
損傷
(棟数/(ア))
一部損傷
(棟数/(ア))

(棟数/(ア))
d 2 37 39 2 38 40 2 31 33 575
0.3% 6.4% 6.8% 0.3% 6.6% 7.0% 0.3% 5.4% 5.7%
c 1 1 5
20.0% 20.0%
b 6 6 6 6 5 5 38
15.8% 15.8% 15.8% 15.8% 13.2% 13.2%
a 2 2 16
12.5% 12.5%
診断未実施 1 24 25 1 17 18 1 22 23 421
0.2% 5.7% 5.9% 0.2% 4.0% 4.3% 0.2% 5.2% 5.5%
3 67 70 3 64 67 3 58 61 1,055
0.3% 6.4% 6.6% 0.3% 6.1% 6.4% 0.3% 5.5% 5.8%
 被災都道府県所在建築物の欄は、被災があった都道府県に所在する医療施設の建築物を耐震安全性の評価の別に集計したものである。

 前記「1 耐震診断の状況(3)ウ医療施設の耐震診断の実施状況(ア) 」のとおり、医療施設の建築物の建築非構造部材における診断率は、相当程度低くなっている。
 このため、建築非構造部材のうち、天井材、外壁及び建具の別に損傷又は一部損傷したものを構造体における耐震安全性の評価により比較すると、上記図表3-20 のとおりである。損傷又は一部損傷したものは、構造体における耐震安全性の評価が低いb評価のものが多いものの、構造体における耐震安全性の評価が高いものも多い状況となっている。この要因としては、これらに、構造体については耐震安全性を満足していたが建築非構造部材の改修を行っていなかったものが含まれていたことなどによることが考えられる。

c 建築設備の被災状況

 被災した医療施設の建築物296棟において、建築設備である電力供給設備、照明設備、給排水・衛生設備及び空気調和設備の別の被災状況は、図表3-21 のとおりとなっていて、建築設備が損傷したものは、給排水・衛生設備で9棟、空気調和設備で3棟、電力供給設備で2棟となっている。また、一部損傷したものは、給排水・衛生設備で50棟、空気調和設備で46棟、照明設備で32棟等となっている。

図表3-21  建築設備の被災状況(医療施設の建築物)

(単位:棟、%)

損傷の程度
耐震安全性の評価
(構造体)
電力供給設備 照明設備 被災都道府県所在建築物
(ア)(注)
損傷
(棟数/(ア))
一部損傷
(棟数/(ア))

(棟数/(ア))
損傷
(棟数/(ア))
一部損傷
(棟数/(ア))

(棟数/(ア))
d 1 10 11 22 22 575
0.2% 1.7% 1.9% 3.8% 3.8%
c 5
b 1 1 3 3 38
2.6% 2.6% 7.9% 7.9%
a 16
診断未実施 3 3 7 7 421
0.7% 0.7% 1.7% 1.7%
2 13 15 32 32 1,055
0.2% 1.2% 1.4% 3.0% 3.0%

損傷の程度
耐震安全性の評価
(構造体)
給排水・衛生設備 空気調和設備
損傷
(棟数/(ア))
一部損傷
(棟数/(ア))

(棟数/(ア))
損傷
(棟数/(ア))
一部損傷
(棟数/(ア))

(棟数/(ア))
d 5 24 29 3 32 35
0.9% 4.2% 5.0% 0.5% 5.6% 6.1%
c
b 1 4 5 3 3
2.6% 10.5% 13.2% 7.9% 7.9%
a
診断未実施 3 22 25 11 11
0.7% 5.2% 5.9% 2.6% 2.6%
9 50 59 3 46 49
0.9% 4.7% 5.6% 0.3% 4.4% 4.6%
 被災都道府県所在建築物の欄は、被災があった都道府県に所在する医療施設の建築物を耐震安全性の評価の別に集計したものである。

 前記b建築非構造部材の被災状況と同様に建築設備の診断率が低いことから、建築設備のうち、電力供給設備等の損傷又は一部損傷したものを構造体における耐震安全性の評価により比較すると、上記図表3-21 のとおりである。損傷又は一部損傷したものは、構造体における耐震安全性の評価が低いb評価のものが多いものの、構造体における耐震安全性の評価が高いものも多い状況となっている。この要因としては、前記bの建築非構造部材と同様に、これらに、構造体については耐震安全性を満足していたが建築設備の改修を行っていなかったものが含まれていたことなどによることが考えられる。

(ウ) 被災した医療施設の建築物の復旧状況

 被災した医療施設の建築物の復旧状況は、図表3-22 のとおりである。復旧工事を実施済みのものは160棟、実施中のものは98棟、未着手のものは11棟となっている。これらのうち、復旧工事実施済みの工事契約の件数及び契約金額は、370件、計14.9億円となっている。

図表3-22  被災した医療施設の建築物の復旧状況
復旧工事の状況等
独立行政法人及び
国立大学法人
実施済 実施済みの工事契約の
件数及び契約金額
実施中 未着手
件数 金額
(棟) (件) (千円) (棟) (棟)
労働者健康福祉機構 20 60 663,496 1 2
国立病院機構 108 272 139,222 56 2
年金・健康保険福祉施設整理機構 16 13 575,854 8 4
国立がん研究センター 2 2 1,076
国立成育医療研究センター 2 5 101,736
東北大学 15
山形大学 9 2
筑波大学 6
群馬大学 1
千葉大学 3 1
東京大学 9 8 9,333
東京医科歯科大学 2 10 4,795
160 370 1,495,515 98 11

(エ) 会計検査院法に基づく報告の状況

 医療施設の建築物に関して、24年8月31日現在、会計検査院に報告されている第27条報告のうち、東日本大震災に伴う被災が財産亡失の要因と認められる報告は、医療施設については、独立行政法人及び国立大学法人ともに報告されているものはなかった。

エ 独立行政法人の建築物における被災状況等

(ア) 独立行政法人の建築物における被災状況

 東日本大震災において、被災した独立行政法人の建築物は、図表3-23 のとおり、12独立行政法人で459棟となっていて、日本原子力研究開発機構298棟、日本高速道路保有・債務返済機構70棟、農業・食品産業技術総合研究機構38棟の順となっている。これを主な被害要因である地震、津波の別に分類すると、地震によるものは457棟、津波によるものは2棟となっている。
 そして、被災後に被災建築物応急危険度判定を受けるなどして、危険又は要注意に相当する建築物は、4独立行政法人の70棟となっている。

図表3-23  独立行政法人の建築物における被害の要因別の被災状況
上段:棟数 (単位:棟)
下段:延床面積 (単位:m
要因
独立行政法人
地震 津波
  うち危険又は要注意   うち危険又は要注意   うち危険又は要注意
防災科学技術研究所 4 4
11,290 11,290
放射線医学総合研究所 2 2
4,232 4,232
農業・食品産業技術総合研究機構 38 38
65,429 65,429
森林総合研究所 14 14
37,005 37,005
水産総合研究センター 12 12
16,192 16,192
土木研究所 1 1
2,019 2,019
建築研究所 7 1 7 1
19,590 7,324 19,590 7,324
海上技術安全研究所 7 7
22,422 22,422
港湾空港技術研究所 1 1
316 316
水資源機構 5 3 5 3
4,718 2,837 4,718 2,837
日本高速道路保有・債務返済機構 69 1 1 70 1
42,870 383 288 43,158 383
日本原子力研究開発機構 298 65 298 65
758,870 161,029 758,870 161,029

(12独立行政法人)
457 70 2 459 70
984,640 171,573 604 985,244 171,573

(イ) 独立行政法人の建築物の構造体、建築非構造部材及び建築設備の被災状況

 独立行政法人の建築物のうち、地震を要因とする被害を受けた建築物における構造体、建築非構造部材及び建築設備の被災状況は、次のとおりである。

a 構造体の被災状況

 被災があった都道府県に所在する独立行政法人の建築物2,013棟のうち、地震を要因とする被害を受けた建築物は、457棟である。そして、このうち建築物が全半壊したものは2棟となっていて、構造体が損傷したものは23棟となっている。なお、この全半壊又は損傷した計25棟は、23年3月11日14時46分に発生した地震では、震度5強以上を記録した地区に所在していたものである。
 全半壊又は構造体が損傷した独立行政法人の建築物の被災状況は、図表3-24 のとおりである。

図表3-24  構造体の被災状況(独立行政法人の建築物)
損傷の程度
耐震安全性の評価
全半壊 損傷 被災都道府県所在建築物
棟数(棟) 割合
(棟数/(ア))
棟数(棟) 割合
(棟数/(ア))
棟数(棟)(ア)
注(1)
d 2 1.7‰ 1,162
c 6
b 5 135.1‰ 37
a 1 29.4‰ 34
診断未実施 2 2.6‰ 15 19.4‰ 774
2 1.0‰ 23 11.4‰ 2,013
 被災都道府県所在建築物の欄は、被災があった都道府県に所在する独立行政法人の建築物を耐震安全性の評価の別に集計したものである。

注(2)  独立行政法人の建築物において、当初設計が新耐震設計手法に基づいているもの又は当初設計時点で耐震安全性の目標を満足しているものは「d」としている。図表3-25 及び図表3-26 も同じ。
注(3)  耐震性能が確保されていないため、耐震改修を実施したものについては耐震改修後の評価により、耐震診断を実施したが、耐震改修未実施のものは耐震診断後の評価により、それぞれ分類している。図表3-25 及び図表3-26 も同じ。

 図表3-24 のとおり、全半壊又は損傷した建築物全25棟の耐震安全性の評価は、a評価が1棟、b評価が5棟、耐震診断未実施が17棟となっていて、新耐震設計手法によらない耐震安全性の評価が低い建築物及び耐震診断未実施の建築物が計23棟と多数を占めていた。
 構造体が損傷した建築物の事例を示すと次のとおりである。

建物名 所在地 建築年次 構造・規模
構造 地上 地下 延床面積
日本原子力研究開発機構東海研究開発センター原子力科学研究所工作工場 茨城県那珂郡東海村 昭和32年 RC 1階 1,828m2
 原子力科学研究所工作工場(耐震診断未実施)は、原子力科学研究所内の実験器具の製作、加工等を行うための工場であるが、地震(震度6弱)により構造部材である柱が破壊され、その後の余震により倒壊のおそれがあることから、一部を残して取り壊し、新たな工場を建設する予定である。

b 建築非構造部材の被災状況

 被災した独立行政法人の建築物457棟のうち、建築物が全半壊した2棟を除く455棟において、建築非構造部材である天井材、外壁及び建具の別の被災状況は、図表3-25 のとおりとなっていて、建築非構造部材が損傷したものは、天井材で2棟、外壁で3棟、建具で6棟となっている。また、一部損傷したものは、天井材で60棟、外壁で81棟、建具で68棟となっている。

図表3-25  建築非構造部材の被災状況(独立行政法人の建築物)

(単位:棟、‰)

損傷の程度
耐震安全性の評価
(構造体)
天井材 外壁 建具 被災都道府県所在建築物
(ア)(注)
損傷
(棟数/(ア))
一部損傷
(棟数/(ア))

(棟数/(ア))
損傷
(棟数/(ア))
一部損傷
(棟数/(ア))

(棟数/(ア))
損傷
(棟数/(ア))
一部損傷
(棟数/(ア))

(棟数/(ア))
d 26 26 2 24 26 1 29 30 1,162
22.4‰ 22.4‰ 1.7‰ 20.7‰ 22.4‰ 0.9‰ 25.0‰ 25.8‰
c 1 1 6
166.7‰ 166.7‰
b 7 7 8 8 7 7 37
189.2‰ 189.2‰ 216.2‰ 216.2‰ 189.2‰ 189.2‰
a 1 1 1 1 1 1 34
29.4‰ 29.4‰ 29.4‰ 29.4‰ 29.4‰ 29.4‰
診断未実施 2 25 27 1 48 49 5 31 36 774
2.6‰ 32.3‰ 34.9‰ 1.3‰ 62.0‰ 63.3‰ 6.5‰ 40.1‰ 46.5‰
2 60 62 3 81 84 6 68 74 2,013
1.0‰ 29.8‰ 30.8‰ 1.5‰ 40.2‰ 41.7‰ 3.0‰ 33.8‰ 36.8‰
 被災都道府県所在建築物の欄は、被災があった都道府県に所在する独立行政法人の建築物を耐震安全性の評価の別に集計したものである。

 前記「1 耐震診断の状況(3)エ独立行政法人の建築物における耐震診断の実施状況(ア) 」のとおり、独立行政法人の建築物における建築非構造部材の診断率は低くなっている。
 このため、建築非構造部材のうち、天井材、外壁及び建具の別に損傷又は一部損傷したものの状況を構造体における耐震安全性の評価により比較すると、上記図表3-25 のとおりとなっていて、損傷又は一部損傷したものは、構造体における耐震診断未実施のものが多いものの、構造体における耐震安全性の評価が高いものにも比較的多い状況となっている。この要因としては、これらに、構造体については耐震安全性を満足していたが建築非構造部材の改修を行っていなかったものが含まれていたことなどによることが考えられる。
 建築非構造部材が損傷した建築物の事例を示すと次のとおりである。

<事例-被災5>
建物名 所在地 建築年次 構造・規模
構造 地上 地下 延床面積
日本原子力研究開発機構東海研究開発センターJRR-1建家 茨城県那珂郡東海村 昭和32年 RC 1階 1階 1,892m2
 JRR-1建家(耐震診断未実施)は、我が国において最初に同機構が建設した原子炉であったが、その後、昭和43年に運転を終結し、62年以降は見学施設及び講義室として利用されている。
 地震(震度6弱)により、構造体に影響はなかったものの、講義室の天井材が全て落下したため、会計実地検査時点(平成24年6月)においても使用されていない状態であった。同機構によれば、当時外来見学者41名が、同講義室で施設の説明を受けていたが、地震直後に施設の案内者が机の下に避難誘導したため、負傷者等はなかった。

c 建築設備の被災状況

 被災した独立行政法人の建築物457棟のうち、建築物が全半壊した2棟を除く455棟において、建築設備である電力供給設備、照明設備、給排水・衛生設備及び空気調和設備の別の被災状況は、図表3-26 のとおりとなっていて、建築設備が損傷したものは、照明設備で2棟、電力供給設備で1棟となっている。また、一部損傷したものは、給排水・衛生設備で52棟、空気調和設備で48棟、照明設備で34棟等となっている。

図表3-26  建築設備の被災状況(独立行政法人の建築物)

(単位:棟、‰)

損傷の程度
耐震安全性の評価
(構造体)
電力供給設備 照明設備 被災都道府県所在建築物
(ア)(注)
損傷
(棟数/(ア))
一部損傷
(棟数/(ア))

(棟数/(ア))
損傷
(棟数/(ア))
一部損傷
(棟数/(ア))

(棟数/(ア))
d 6 6 14 14 1,162
5.2‰ 5.2‰ 12.0‰ 12.0‰
c 6
b 2 2 37
54.1‰ 54.1‰
a 1 1 1 1 34
29.4‰ 29.4‰ 29.4‰ 29.4‰
診断未実施 1 4 5 2 17 19 774
1.3‰ 5.2‰ 6.5‰ 2.6‰ 22.0‰ 24.5‰
1 11 12 2 34 36 2,013
0.5‰ 5.5‰ 6.0‰ 1.0‰ 16.9‰ 17.9‰
損傷の程度
耐震安全性の評価
(構造体)
給排水・衛生設備 空気調和設備
損傷
(棟数/(ア))
一部損傷
(棟数/(ア))

(棟数/(ア))
損傷
(棟数/(ア))
一部損傷
(棟数/(ア))

(棟数/(ア))
d 25 25 20 20
21.5‰ 21.5‰ 17.2‰ 17.2‰
c 1 1 1 1
166.7‰ 166.7‰ 166.7‰ 166.7‰
b 3 3 6 6
81.1‰ 81.1‰ 162.2‰ 162.2‰
a 1 1 2 2
29.4‰ 29.4‰ 58.8‰ 58.8‰
診断未実施 22 22 19 19
28.4‰ 28.4‰ 24.5‰ 24.5‰
52 52 48 48
25.8‰ 25.8‰ 23.8‰ 23.8‰
 被災都道府県所在建築物の欄は、被災があった都道府県に所在する独立行政法人の建築物を耐震安全性の評価の別に集計したものである。

 前記b建築非構造部材における被災状況と同様に、建築設備の診断率が低いことから、建築設備のうち、電力供給設備等の別に損傷又は一部損傷したものの状況を構造体における耐震安全性の評価により比較すると、上記図表3-26 のとおりである。損傷又は一部損傷したものは、構造体における耐震安全性の評価が低いもの及び耐震診断未実施のものが多いものの、構造体における耐震安全性の評価が高いものも比較的多い状況となっている。この要因としては、前記建築非構造部材と同様に、これらに、構造体については耐震安全性を満足していたが建築設備の改修を行っていなかったものが含まれていたことなどによることが考えられる。

(ウ) 被災した独立行政法人の建築物の復旧状況

 被災した独立行政法人の建築物の復旧状況は、図表3-27 のとおりである。復旧工事実施済みのものは197棟、実施中のものは119棟、未着手のものは84棟となっている。
 これらのうち、復旧工事実施済みの工事契約の件数及び契約金額は、323件、計10.1億円となっている。

図表3-27  被災した独立行政法人の建築物の復旧状況
復旧工事の状況等
独立行政法人
実施済 実施済みの工事契約の
件数及び契約金額
実施中 未着手
件数 金額
(棟) (件) (千円) (棟) (棟)
防災科学技術研究所 3 1
放射線医学総合研究所 1 1
農業・食品産業技術総合研究機構 35 32 25,138 2
森林総合研究所 10 12 7,021 4
水産総合研究センター 12 26 39,478
土木研究所 1 1 351,435
建築研究所 4 4 8,367 3
海上技術安全研究所 3 3 839
港湾空港技術研究所 1 1 12,705
水資源機構 4
日本高速道路保有・債務返済機構 59 66 216,489 1
日本原子力研究開発機構 71 178 355,963 106 78
197 323 1,017,437 119 84

(エ) 会計検査院法に基づく報告の状況

 独立行政法人の建築物に関して、24年8月31日現在、会計検査院に報告されている第27条報告のうち、東日本大震災に伴う被災が財産亡失の要因と認められる報告は、図表3-28 のとおり、津波を被災要因とする水産総合研究センターの20棟、7,196m であり、損害額は5.7億円となっている。なお、第27条報告には、今回の検査の対象としていない延床面積200m 未満(木造は同500m 未満)の建築物が含まれている。

図表3-28  第27条報告の状況(独立行政法人の建築物)

(単位:棟、m 、千円)

独立行政法人 口座名 所在 区分 種目 棟数 数量(延床面積) 損害額(被害額) 要因
水産総合研究センター 宮古栽培漁業センター 岩手県宮古市 建物 事務所建等 20 7,196 577,786 津波
(注)
 本表は、会計検査院に提出された第27条報告のうち区分が建物となっているものを集計したものである。棟数が報告に記載されていなかったもの及び要因については、調書等により記載している。

オ 都道府県別の被災状況

 被災した官庁施設、教育施設、医療施設等の建築物の合計は、19都道県で3,179棟となっている。これらを都道府県別、地震、津波、液状化の被災要因別に分類すると、図表3-29-1 及び図表3-29-2 のとおり、地震を主な要因とするものは、3,013棟となっていて、茨城県1,009棟、宮城県638棟、東京都356棟の順となっている。また、津波を主な要因とするものは、144棟となっていて、宮城県105棟、岩手県17棟、福島県12棟の順となっている。

図表3-29-1  都道府県別の被災状況
上段:棟数 (単位: 棟)
下段:延床面積 (単位:m2
要因
府省等
地震 津波 液状化
  うち危険
又は要注意
  うち危険
又は要注意
  うち危険
又は要注意
  うち危険
又は要注意
北海道 9 4 13
73,706 2,554 76,261
青森県 28 3 1 31 1
86,951 2,570 216 89,522 216
岩手県 120 3 17 2 137 5
187,607 7,082 15,143 835 202,750 7,917
宮城県 638 92 105 48 2 745 140
1,676,153 270,995 140,843 88,051 570 1,817,567 359,046
秋田県 10 10
73,168 73,168
山形県 128 2 128 2
201,792 5,955 201,792 5,955
福島県 164 17 12 1 176 18
312,146 46,080 10,132 234 322,279 46,314
茨城県 1,009 102 3 12 4 1,024 106
2,635,998 266,904 1,179 7,228 2,695 2,644,406 269,600
栃木県 136 4 136 4
245,794 7,686 245,794 7,686
群馬県 32 32
158,355 158,355
埼玉県 57 2 57 2
426,025 2,567 426,025 2,567
千葉県 161 2 7 2 168 4
731,597 10,508 5,539 2,067 737,136 12,576
東京都 356 4 1 357 4
3,519,623 31,835 1,322 3,520,945 31,835
神奈川県 100 100
516,429 516,429
新潟県 14 14
54,969 54,969
山梨県 4 4
1,800 1,800
長野県 3 3
3,757 3,757
静岡県 41 1 41 1
104,382 4,599 104,382 4,599
愛知県 3 3
54,750 54,750
計(19都道県) 3,013 229 144 52 22 6 3,179 287
11,065,011 654,214 172,422 89,338 14,661 4,763 11,252,095 748,315

図表3-29-2  都道府県別の被災状況

図表3-29-2都道府県別の被災状況

(3) 災害応急対策への対応状況

 建築物が被災したことにより、救急活動、他の機関との連絡調整等の災害応急活動に影響があった建築物は、図表3-30 のとおり、238棟となっている。影響した要因で主なものは、ライフライン156件、建具64件、建築設備(自家発電設備を除く。)52件、自家発電設備30件、天井材27件などとなっている。

図表3-30  災害応急活動に影響があった要因

図表3-30災害応急活動に影響があった要因

(注)
 複数回答を集計している。

 官庁施設、災害拠点病院となっている医療施設等において、建築物が被災したことにより、業務の実施が困難になったり、救急活動等に支障が生じたりした事例を示すと次のとおりである。

<事例-被災6>
建物名 所在地 分類 建築年次 構造・規模
構造 地上 地下 延床面積
仙台第1地方合同庁舎 宮城県仙台市 Ⅰ類 昭和41年 SRC 9階 2階 27,735m2
 仙台第1地方合同庁舎(Ⅰ類、構造体の評価c、評価値1.31)には、指定地方行政機関に指定されている機関(東北財務局、東北管区警察局、東北農政局及び東北経済産業局)等が入居している。平成23年3月11日の本震(震度6弱)及びその後の余震(以下「本震等」という。)により、同庁舎内各所の壁、天井材、建具等の建築非構造部材が破損した。また、エレベーター全6機も故障したことに伴い停止した。
 本震等の発生後、東北地方整備局が建築物の継続使用を可能とする確認結果を出した3月12日の午後まで、管理官署の判断により同庁舎の利用が制限されていたため、業務の実施が困難な状況が約24時間継続していた。

建物名 所在地 建築年次 構造・規模
構造 地上 地下 延床面積
国立病院機構仙台医療センター東西病棟 宮城県仙台市 昭和58年 RC 6階 1階 17,132m2
 国立病院機構仙台医療センター東西病棟(構造体の評価b、耐震改修後の評価d)は、地震(震度6強)により、屋上に設置されていた高架水槽(2基)の側面パネルが大きく損傷して大量の水が漏れ出した。そして、その後の余震により、破損が拡大したため、水槽が完全に破損する可能性を考慮して、水槽の水を抜き、水圧を下げることとした。この結果、全体の供給水量が減ることになったため、6階部分を閉鎖し、入院患者を階下へ移送させることになった。

建物名 所在地 建築年次 構造・規模
構造 地上 地下 延床面積
防災科学技術研究所防災研究データセンター棟 茨城県つくば市 平成11年 RC 2階 2,396m2
 防災研究データセンター棟(新耐震)は、防災科学技術研究所と気象庁等との地震観測データの交信等を実施する施設である。
 地震(震度6弱)により、つくば市内で停電が発生し、連続運転可能時間が10時間程度の非常用自家発電機は、5時間程度稼働した後、保安上の理由により停止された。同研究所内での復電作業が3月14日14時まで続いたため、この間、外部との連絡等に支障が生じて、同法人が指定公共機関として求められている災害応急活動等に影響があった。
 同法人は、24年3月に本構内に3日間連続して運転できる自家発電設備を2台増設等した。

 また、津波避難ビルとして市町村から指定を受けている建築物は、計29棟(府省等21棟、独立行政法人7棟、国立大学法人1棟)となっている。津波避難ビルとして機能した事例を示すと次のとおりである。

建物名 所在地 分類 建築年次 構造・規模
構造 地上 地下 延床面積
気仙沼地方合同庁舎 宮城県気仙沼市 Ⅱ類 昭和52年 RC 6階 2,383m2
 気仙沼地方合同庁舎(II類、構造体の評価d)には、仙台法務局、第2管区海上保安本部気仙沼海上保安署、気仙沼公共職業安定所等が入居している。本庁舎は、気仙沼市から津波避難ビルに指定されており、本震後の津波により、建築物の1階及び2階部分が浸水して、これらの階の内装、配管等が損傷したものの、構造体そのものの被害はほとんどなく、3階以上は浸水等の被害もなかったため、津波避難ビルとしての機能が発揮され、津波からの避難者を受け入れた。なお、内部の損傷は著しいものの、柱、梁等の構造部材に大きな損傷がないことから建築物を存続させることとし、現在改修工事を実施している。