道路整備事業に伴い埋蔵文化財が損壊等されることとなる場合に行われる発掘調査については、その原因者が必要な費用を負担することとされている。しかし、道路整備事業を行う国道事務所等及び地方公共団体が、教育委員会に委託するなどして実施した発掘調査において、負担の対象とされていない教育委員会の職員の給与等を負担したり、必要最小限の範囲を超えて報告書の作成費用を負担したりしている事態が見受けられた。
したがって、国土交通省において、教育委員会の職員の給与等は原因者負担の対象とならないこと及び原因者負担の対象となる報告書作成費用の標準的な範囲をそれぞれ明確にするとともに、文化庁と協議の上で昭和46年に取りまとめた「直轄道路事業の建設工事施行に伴う埋蔵文化財の取扱いについて」(以下「取扱通知」という。)の趣旨について国道事務所等に対して改めて周知徹底を図り、地方公共団体に対しても同様に周知するよう国土交通大臣に対して平成22年10月に、会計検査院法第34条の規定により是正改善の処置を求めた。
本院は、国土交通本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、国土交通省は、本院指摘の趣旨に沿い、文化庁と協議を行い、25年2月に地方整備局等に対して事務連絡を発するなどして、国道事務所等が道路整備事業に伴う埋蔵文化財の発掘調査を実施するに当たり、教育委員会の職員の給与等は原因者負担の対象とならないこと及び原因者負担の対象となる報告書作成費用の標準的な範囲をそれぞれ明確にするとともに取扱通知の趣旨の周知徹底を図り、地方公共団体に対しても上記事務連絡の周知徹底を図るなどの処置を講じていた。