生活保護の被保護者数は、平成23年3月に、約60年ぶりに200万人を突破した。そして、近年、被保護者の保護に要する費用についても増加してきていることなどから、保護を必要とする者への適切かつ効果的、効率的な保護の実施が引き続き求められる状況となっている。また、生活保護制度をめぐっては、生活保護法(昭和25年法律第144号)が改正されるなど制度の見直しが行われているほか、不正受給に関する報道が頻繁に取り上げられるなど、国民の大きな関心の対象となっている。
本報告書は、以上のような状況等を踏まえて、生活保護の実施状況について検査を実施し、その状況を取りまとめたことから、会計検査院法(昭和22年法律第73号)第30条の2の規定に基づき、会計検査院長から衆議院議長、参議院議長及び内閣総理大臣に対して報告するものである。
(1) 医療扶助の状況
[高頻度入院者の入院の状況及び転院の都度計上されていた診療報酬の事例]
[重複処方について指導等を行ったが改善されていなかった事例]
[厚生労働大臣が定める投与日数の制限を超える処方となっていた事例]
[1回の処方で30日分に相当する量を超える処方となっていた事例]
(2) 生活扶助及び住宅扶助の状況
[加算等の計上の停止の検討を行わなかったことなどにより保護費が累積した事例]
[多額の遺留金を相続人に引き渡していた事例]
[保護費の過払分について返還等の処理を行っていなかった事例]
[被保護世帯に係る家賃額が一般住居に係る家賃額よりも高額となっていた事例]