政府出資株式会社等においては、独立行政法人と異なり、その運営の基本となる共通の事項を定めた法律やこれに基づく予算・会計制度、目標管理、評価制度等は定められておらず、各法人の設置根拠法等により、個々に法人の組織形態や各種の財務、監督等に関する制度が定められている。
一方で、国は、これらの政府出資株式会社等に対して、総額19兆円を超える規模の出資を行うとともに、一部の政府出資株式会社等に対して補助金等の財政支援等を行っている。
また、国は、政府出資株式会社等の剰余金や利益から国庫納付金や配当として収入を得るとともに、国に保有義務が課せられていない法人の株式を売却して収入を得ており、これらは国の貴重な財源となっている。特に、一部の法人の株式の売却収入については、「東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法」(平成23年法律第117号)に基づいて、東日本大震災からの復興を図るために発行された復興債の償還財源として位置付けられていることから、当該株式の売却に向けて必要な検討を着実に行うことが求められている。
本報告書は、以上のような状況等を踏まえて、政府出資株式会社等の事業の実施状況及び財務状況、政府出資株式会社に係る株式売却等の状況、政府出資株式会社等に対する国の監督等の状況等について横断的な検査を行い、その状況を取りまとめたことから、会計検査院法(昭和22年法律第73号)第30条の2の規定に基づき、会計検査院長から衆議院議長、参議院議長及び内閣総理大臣に対して報告するものである。