租税特別措置(以下「特別措置」という。)は、国による特定の政策目的を実現するための特別な政策手段であるとされ、「公平・中立・簡素」という税制の基本原則の例外措置として設けられているものである。相続税関係の特別措置に関しては、政策評価は義務付けられていないが、政策評価に関する基本方針(平成17年12月閣議決定)に基づき、積極的かつ自主的に政策評価を実施するよう努めることとなっている。また、平成22年4月に施行された租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律(平成22年法律第8号)によれば、税負担の軽減等を行う所得税、相続税等の法人税以外の税目に係る特別措置に関しては、適用実態を調査する必要があると認めるときは、その必要の限度において税務署長に提出される調書等を利用することなどができることとされているが、これまでに適用実態の調査が実施されたことはない。
経済社会の構造が大きく変化する中、持続的な経済成長を維持、促進するとともに、経済成長を阻害しない安定的な税収基盤を構築する観点から、税体系全般にわたる再構築が進められている。
相続税については、平成25年度税制改正により課税価格から控除される基礎控除額が27年1月1日から引き下げられて、課税ベースが拡大し、以前より広い層に対して課税されることになったことから、国民の関心もより高くなってきている。
本報告書は、以上のような状況を踏まえて、相続税関係の特別措置の適用状況並びに関係省庁及び財務省による検証状況等について検査を行い、その状況を取りまとめたことから、会計検査院法(昭和22年法律第73号)第30条の2の規定に基づき、会計検査院長から衆議院議長、参議院議長及び内閣総理大臣に対して報告するものである。
平成29年11月
会計検査院
・本文及び図表中の数値は、原則として、表示単位未満を切り捨てている。また、円グラフにおける割合は、表示単位未満を四捨五入している。
・上記のため、図表中の数値を集計しても計が一致しないものがある。