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  • 平成30年4月|

各府省庁の災害関連情報システムに係る整備、運用等の状況について


3 検査の状況

(1) 災害関連情報システムの整備状況等

ア 災害関連情報システムの整備、運用等の経費等

12府省庁において整備され、運用されるなどしている災害関連情報システムは、図表1-1のとおり、67システムとなっていた。

図表1-1 12府省庁において整備され、運用されるなどしている災害関連情報システム

番号 指定府省庁名 情報システム名 番号 指定府省庁名 情報システム名
1 内閣府 総合防災情報システム 35 気象庁 雨量・レーダー情報コンテンツ作成装置
2 内閣府 中央防災無線web 36 気象庁 火山灰情報提供システム
3 内閣府 道路情報提供システム(沖縄総合事務局) 37 気象庁 火山監視・情報センターシステム
4 内閣府 物資調達・輸送調整等支援システム 38 気象庁 気象レーダー観測処理システム
5 総務省 非常時情報伝達ネットワークシステム 39 気象庁 気象資料総合処理システム
6 消防庁 ヘリコプター動態管理システム 40 気象庁 気象資料提供システム
7 消防庁 緊急消防援助隊動態情報システム 41 気象庁 気象庁ホームページ
8 消防庁 災害時対応系システム 42 気象庁 気象等災害調査システム
9 消防庁 災害情報配信管理装置 43 気象庁 高層気象観測データ統合処理システム
10 消防庁 支援情報共有ツール 44 気象庁 指定河川洪水予報システム
11 消防庁 全国瞬時警報システム 45 気象庁 数値解析予報システム
12 消防庁 武力攻撃事態等における安否情報収集・提供システム 46 気象庁 地域地震情報センターデータ処理システム
13 消防庁 防災情報システム 47 気象庁 地震活動等総合監視システム
14 厚生労働省 広域災害・救急医療情報システム 48 気象庁 潮位データ総合処理装置
15 農林水産省 国営造成土地改良施設防災情報ネットワークシステム 49 気象庁 天気図解析システム
16 経済産業省 ガス防災支援システム 50 気象庁 都道府県洪水予報システム
17 国土交通省 川の防災情報 51 気象庁 土砂災害警戒情報作成システム
18 国土交通省 潮位情報システム 52 気象庁 突風等短時間予測システム
19 国土交通省 統一河川情報システム 53 気象庁 予報作業支援システム
20 国土交通省 統合災害情報システム(DiMAPS) 54 海上保安庁 ナブテックス(航行警報テレックス)システム
21 国土交通省 道路管理用情報共有プラットフォーム 55 海上保安庁 伊勢湾海上交通情報機構
22 国土交通省 道路情報提供システム(関東地方整備局) 56 海上保安庁 沿岸域情報提供システム
23 国土交通省 道路情報提供システム(近畿地方整備局) 57 海上保安庁 海上保安業務システム
24 国土交通省 道路情報提供システム(九州地方整備局) 58 海上保安庁 瀬戸内海海上交通情報機構(関門海峡)
25 国土交通省 道路情報提供システム(四国地方整備局) 59 海上保安庁 瀬戸内海海上交通情報機構(大阪湾)
26 国土交通省 道路情報提供システム(中国地方整備局) 60 海上保安庁 瀬戸内海海上交通情報機構(備讃瀬戸)
27 国土交通省 道路情報提供システム(中部地方整備局) 61 海上保安庁 瀬戸内海海上交通情報機構(来島海峡)
28 国土交通省 道路情報提供システム(北海道開発局) 62 海上保安庁 東京湾海上交通情報機構
29 国土地理院 GNSS(全球測位衛星システム)連続観測システム 63 原子力規制委員会 緊急時対策支援システム
30 国土地理院 地震時地盤災害推計システム(SGDAS) 64 原子力規制委員会 緊急時放射線モニタリング情報共有・公表システム
31 国土地理院 防災地理情報整備・点検システム 65 原子力規制委員会 統合原子力防災ネットワークシステム
32 気象庁 CTBTO(包括的核実験禁止条約機関)データ変換装置 66 防衛省 中央指揮システム
33 気象庁 アメダスデータ等統合処理システム 67 防衛省 統合気象システム
34 気象庁 異常天候情報作成装置  

そして、67システムに係る24年度から29年度(29年9月30日まで)までの整備経費の支払額は計396億6954万余円、運用等経費の支払額は計566億2355万余円となっており、整備経費及び運用等経費に係る支払総額は合計962億9310万余円となっている(図表1-2及び図表1-3参照。各災害関連情報システムの整備経費及び運用等経費に係る支払額の一覧については別表1参照)。

図表1-2 12府省庁の災害関連情報システムに係る整備経費の支払額等

(単位:件、千円)
  システム数 平成24年度 25年度 26年度 27年度 28年度 29年度(29年9月30日まで)
指定府省庁名 契約件数 支払額 契約件数 支払額 契約件数 支払額 契約件数 支払額 契約件数 支払額 契約件数 支払額 契約件数 支払額
内閣府 4 3 265,356 7 184,949 1 58,680 2 39,355 2 29,430 0 15 577,771
総務省 0 0 0 0 0 0 0 0
消防庁 7 11 835,455 6 247,715 5 131,889 5 135,216 8 759,472 2 138,802 37 2,248,552
厚生労働省 1 0 1 88,935 0 0 0 0 1 88,935
農林水産省 1 1 3,454 1 9,450 1 34,992 1 91,303 0 0 4 139,199
経済産業省 1 1 34,414 0 0 0 1 23,981 0 2 58,395
国土交通省 7 2 160,125 5 181,629 6 700,650 2 616,140 5 113,475 2 117,720 22 1,889,739
国土地理院 2 1 5,008 0 1 1,500 0 0 0 2 6,508
気象庁 18 7 1,739,578 9 524,371 11 1,431,044 5 1,373,901 3 409,774 4 891,962 39 6,370,633
海上保安庁 3 9 772,673 6 705,610 4 45,192 2 44,689 2 1,080,991 3 242,168 26 2,891,326
原子力規制委員会 2 0 1 132,510 4 121,856 7 305,755 4 272,516 3 202,486 19 1,035,125
防衛省 2 11 5,377,315 3 3,711,021 2 3,533,698 10 5,913,745 4 2,898,405 0 2,929,169 30 24,363,356
48 46 9,193,382 39 5,786,191 35 6,059,505 34 8,520,107 29 5,588,047 14 4,522,308 197 39,669,543
注(1)
国庫債務負担行為により複数年度契約を締結しているものは、当該契約を締結した年度に1件として契約件数を計上している。ただし、平成24年度の契約件数には、23年度以前に契約を締結し、24年度以降に支払があった契約の件数も計上している。
注(2)
一つの契約の中で災害関連情報システムの整備と運用等をまとめている場合は、整備に係る額が運用等に係る額を上回る契約のみを計上している。
注(3)
一つの契約の中で災害関連情報システム以外の情報システムを含む複数の情報システム等をまとめている場合は、契約金額を明確に分けられないことから、契約件数(9件)のみを計上しており、当該支払額(27億余円)は計上していない。

図表1-3 12府省庁の災害関連情報システムに係る運用等経費の支払額等

(単位:件、千円)
  システム数 平成24年度 25年度 26年度 27年度 28年度 29年度(29年9月30日まで)
指定府省庁名 契約件数 支払額 契約件数 支払額 契約件数 支払額 契約件数 支払額 契約件数 支払額 契約件数 支払額 契約件数 支払額
内閣府 4 5 35,075 5 36,427 8 65,474 6 66,631 8 84,869 8 80,525 40 369,003
総務省 1 1 3,675 1 3,675 1 3,780 1 3,803 1 3,780 1 3,780 6 22,493
消防庁 7 15 259,895 11 361,856 10 397,428 10 382,686 12 426,256 10 373,174 68 2,201,297
厚生労働省 1 1 47,048 1 47,048 1 47,048 1 46,814 1 47,048 1 47,048 6 282,055
農林水産省 1 6 22,093 6 22,282 5 27,353 6 24,628 5 58,108 1 13,845 29 168,312
経済産業省 1 1 6,825 1 11,550 2 10,519 1 10,735 1 10,864 0 6 50,494
国土交通省 7 10 1,097,355 5 1,122,328 6 1,166,222 10 1,292,964 5 1,778,095 6 1,644,445 42 8,101,412
国土地理院 1 23 1,605,973 25 377,822 33 499,606 37 527,149 52 648,224 12 223,321 182 3,882,097
気象庁 22 29 1,570,906 17 1,900,916 28 2,075,552 30 1,131,189 30 2,652,744 22 1,407,822 156 10,739,131
海上保安庁 9 9 60,188 11 1,652,681 9 1,541,996 10 822,025 15 816,934 7 793,617 61 5,687,442
原子力規制委員会 3 10 65,000 2 178,109 32 1,061,882 43 1,771,025 27 2,182,822 24 1,299,711 138 6,558,552
防衛省 2 5 3,119,921 2 2,882,552 7 3,014,259 5 3,102,061 6 3,358,089 3 3,084,381 28 18,561,264
59 115 7,893,958 87 8,597,250 142 9,911,123 160 9,181,715 163 12,067,837 95 8,971,673 762 56,623,559
注(1)
国庫債務負担行為により複数年度契約を締結しているものは、当該契約を締結した年度に1件として契約件数を計上している。ただし、平成24年度の契約件数には、23年度以前に契約を締結し、24年度以降に支払があった契約の件数も計上している。
注(2)
一つの契約の中で災害関連情報システムの整備と運用等をまとめている場合は、運用等に係る額が整備に係る額を上回る契約を計上している。
注(3)
一つの契約の中で災害関連情報システム以外の情報システムを含む複数の情報システム等をまとめている場合は、契約金額を明確に分けられないことから、契約件数(44件)のみを計上しており、当該支払額(32億余円)は計上していない。

12府省庁が個別に整備した各災害関連情報システムの整備、運用等に係る契約の状況についてみたところ、内閣府において、事例1のとおり、26年5月から保守し、運用している災害関連情報システムの運用期間中に、その後継となる新たな災害関連情報システムを整備したのに、既存の災害関連情報システムの保守及び運用に係る契約を見直さず、当該契約を継続していた事態が見受けられた。

<事例1> 既存の災害関連情報システムの後継となる新たな災害関連情報システムを整備したのに、既存の災害関連情報システムに係る契約を見直さないまま継続していたもの

内閣府は、大規模災害が発生した場合に、同府に設置した非常本部等が被災都道府県に対して必要に応じて緊急支援物資の調達・供給を行うこととしている。同府は、平成25年8月に、物資調達・輸送調整等支援システムの開発業務契約を1554万円で締結するとともに、26年4月に、機器等賃貸借・保守業務契約を968万円で、同年5月に、保守・運用業務契約を2700万円で、いずれも、30年度末までの国庫債務負担行為により締結して、同システムを26年5月から運用している(以下、これらの契約で整備した情報システムを「旧システム」という。)。

同府は、26年6月から27年3月までの間に、旧システムを活用して、指定行政機関等が被災地等に物資を適切に供給する仕組み(以下「物資供給スキーム」という。)を運用するための検討及び検証訓練を実施した。その結果、物資供給スキームに関するデータ項目の分類等が細分化されていて入力項目が多く入力に時間を要するなどとして、処理を円滑化するために物資供給スキームを見直すことにした。そして、同府は、都道府県も使用できるよう物資調達・輸送調整等支援システムをクラウド上に再構築することとし、27年12月に、改めて物資調達・輸送調整等支援システムの開発業務契約(以下、この契約で整備したシステムを「新システム」という。)を749万円で締結し、クラウド版の納品を28年3月に受けた。

同年4月14日に発生した平成28年熊本地震では、我が国で初めて、地方公共団体からの要請等を待たずに国の判断で物資等を供給するプッシュ型支援が実施された。このプッシュ型支援では、新システムの運用が開始される前であったが、新システムの開発業務契約により納品を受けた物資調整シートが使用され、旧システムは使用されなかった。

そして、同府は、平成28年熊本地震発生後の同年4月26日に、新システムのクラウドサービスの提供・保守・運用業務契約を29年3月末までの契約期間として1177万円で締結し、旧システムは、新システムによって代替されたことにより、使用されなくなった。

しかし、同府は、旧システムの機器等賃貸借・保守業務契約及び保守・運用業務契約を見直すことなく継続しており、28年4月26日から、旧システムと新システムの経費を重複して支払う状態となっていた。

イ 災害応急対策の内容からみた災害関連情報システムの整備状況

前記のとおり、防災基本計画の共通対策編では、国、地方公共団体、公共機関等は、被害情報等の収集・連絡等を迅速に行うこととし、多くの情報を効果的な通信手段・機材・情報システムを用いて伝達・共有し、被害規模の早期把握を行う必要があるとしており、24府省庁はそれぞれ災害応急対策において取組の主体となる業務を持っている。

前記の67システムについて、24府省庁における防災基本計画全体の災害応急対策で使用する災害関連情報システムを防災基本計画に定められた災害応急対策の主な内容ごとにみると、図表1-4のとおり、災害応急対策の第1節の災害発生直前の対策に使用するものが32システム、第2節の発災直後の情報の収集・連絡及び活動体制の確立に使用するものが44システム、第3節の災害の拡大・二次災害・複合災害の防止及び応急復旧活動に使用するものが29システム、第4節の救助・救急、医療及び消火活動に使用するものが7システム、第5節の緊急輸送のための交通の確保・緊急輸送活動に使用するものが21システム、第6節の避難の受入れ及び情報提供活動に使用するものが14システム、第7節の物資の調達、供給活動に使用するものは3システムとなっていた。

一方、第8節の保健衛生、防疫、遺体対策に関する活動、第9節の社会秩序の維持、物価の安定等に関する活動、第10節の応急の教育に関する活動、第11節の自発的支援の受入れについては、必ずしも災害関連情報システムを利用した業務遂行になじまない活動が含まれていると考えられ、災害関連情報システムは整備されていない。

図表1-4 防災基本計画に定められた災害応急対策別の災害関連情報システム数

防災基本計画に定められた災害応急対策の主な内容 システム数
概要
第1節 災害発生直前の対策 災害発生の兆候が把握された際には、警報等の伝達、住民の避難誘導、所管施設の緊急点検等の災害未然防止活動を行う。 32
第2節 発災直後の情報の収集・連絡及び活動体制の確立 発災直後においては、被害規模を早期に把握するとともに、災害情報の迅速な収集及び伝達、通信手段の確保、災害応急対策を総合的、効果的に行うための関係機関等の活動体制及び大規模災害時における広域的な応援体制を確立する。 44
第3節 災害の拡大・二次災害・複合災害の防止及び応急復旧活動 応急対策を実施するための通信施設の応急復旧、二次災害を防止するための土砂災害等の危険のある箇所の応急工事、被災者の生活確保のためのライフライン等の施設・設備の応急復旧を行う。 29
第4節 救助・救急、医療及び消火活動 被災者に対する救助・救急活動、負傷者に対する迅速かつ適切な医療活動、消火活動を行う。 7
第5節 緊急輸送のための交通の確保・緊急輸送活動 円滑な救助・救急、医療及び消火活動等を支え、また被災者に緊急物資を供給するため、交通規制、施設の応急復旧、障害物除去等により交通を確保し、優先度を考慮した緊急輸送を行う。 21
第6節 避難の受入れ及び情報提供活動 被災者の速やかな避難誘導と安全な避難所への受入れ、避難所の適切な運営管理を行う。また、被災状況に応じ、応急仮設住宅等の提供、広域的避難収容活動を行う。被災者等へ的確かつ分かりやすい情報を速やかに公表・伝達するとともに、相談窓口の設置等により、住民等からの問合せに対応する。 14
第7節 物資の調達、供給活動 被災者の生活維持に必要な食料・飲料水及び生活必需品等を調達し、被災地のニーズに応じて供給する。 3
第8節 保健衛生、防疫、遺体対策に関する活動 被災者の健康状態の把握等避難所を中心とした被災者の健康保持のために必要な活動を行うとともに、仮設トイレの設置等被災地域の保健衛生活動、防疫活動を行う。また、迅速な遺体対策を行う。 0
第9節 社会秩序の維持、物価の安定等に関する活動 防犯活動等による社会秩序の維持のための施策の実施を行うとともに、物価の安定・物資の安定供給のための監視・指導等を行う。 0
第10節 応急の教育に関する活動 地方公共団体は、仮校舎及び仮運動場の確保、学校施設の応急復旧、安全な通学及び学校給食の確保、教科書及び学用品の供給、授業料等の減免、奨学金の貸与、被災による生活困窮家庭の幼児、児童、生徒に対する就学支援の増強並びに特別支援学校等在籍児童等の就学奨励費の再支給等応急の教育に必要な措置を講ずる。 0
第11節 自発的支援の受入れ ボランティア、義援物資・義援金、海外等からの支援を適切に受け入れる。 0
(注)
一つの情報システムで、複数の節に対応するものがある。

24府省庁の災害応急対策の活動と各災害関連情報システムとの対応状況についてみると図表1-5のとおりである。

図表1-5 防災基本計画における災害応急対策と各災害関連情報システムとの対応状況

 
防災基本計画
災害関連情報システム名
共通対策編
第2章災害応急対策
指定府省庁名 第1節 第2節 第3節 第4節 第5節 第6節 第7節 第8節 第9節 第10節 第11節
内閣府  





  総合防災情報システム                  
中央防災無線web                    
道路情報提供システム(沖縄総合事務局)                  
物資調達・輸送調整等支援システム                    
国家公安委員会  

警察庁  

金融庁  










消費者庁  







総務省  







  非常時情報伝達ネットワークシステム                    
消防庁  



  ヘリコプター動態管理システム                  
緊急消防援助隊動態情報システム                  
災害時対応系システム                  
災害情報配信管理装置                    
支援情報共有ツール                  
全国瞬時警報システム                    
武力攻撃事態等における安否情報収集・提供システム                    
防災情報システム                    
法務省  



外務省  







財務省  










文部科学省  









文化庁  









厚生労働省  




  広域災害・救急医療情報システム                  
農林水産省  






  国営造成土地改良施設防災情報ネットワークシステム                    
経済産業省  






  ガス防災支援システム                  
資源エネルギー庁  








中小企業庁  










国土交通省  



  川の防災情報              
潮位情報システム                    
統一河川情報システム              
統合災害情報システム(DiMAPS)            
道路管理用情報共有プラットフォーム                  
道路情報提供システム(関東地方整備局)                  
道路情報提供システム(近畿地方整備局)                  
道路情報提供システム(九州地方整備局)                  
道路情報提供システム(四国地方整備局)                  
道路情報提供システム(中国地方整備局)                  
道路情報提供システム(中部地方整備局)                  
道路情報提供システム(北海道開発局)                  
国土地理院  









  GNSS(全球測位衛星システム)連続観測システム                
地震時地盤災害推計システム(SGDAS)                    
防災地理情報整備・点検システム                  
気象庁  







  CTBTO(包括的核実験禁止条約機関)データ変換装置                
アメダスデータ等統合処理システム                
異常天候情報作成装置                
雨量・レーダー情報コンテンツ作成装置                
火山灰情報提供システム                
火山監視・情報センターシステム                
気象レーダー観測処理システム                
気象資料総合処理システム                
気象資料提供システム                
気象庁ホームページ                
気象等災害調査システム                  
高層気象観測データ統合処理システム                
指定河川洪水予報システム                
数値解析予報システム                
地域地震情報センターデータ処理システム                
地震活動等総合監視システム                
潮位データ総合処理装置                
天気図解析システム                
都道府県洪水予報システム                
土砂災害警戒情報作成システム                
突風等短時間予測システム                
予報作業支援システム                
海上保安庁  
  ナブテックス(航行警報テレックス)システム                  
伊勢湾海上交通情報機構                    
沿岸域情報提供システム                    
海上保安業務システム        
瀬戸内海海上交通情報機構(関門海峡)                    
瀬戸内海海上交通情報機構(大阪湾)                    
瀬戸内海海上交通情報機構(備讃瀬戸)                    
瀬戸内海海上交通情報機構(来島海峡)                    
東京湾海上交通情報機構                    
環境省  








原子力規制委員会  






  緊急時対策支援システム                    
緊急時放射線モニタリング情報共有・公表システム                
統合原子力防災ネットワークシステム                
防衛省  

  中央指揮システム                    
統合気象システム                    
システム計(☆) 32 44 29 7 21 14 3 0 0 0 0
注(1)
各指定府省庁が、防災基本計画上、災害応急対策において取組の主体となる場合に「○」とし協力・連絡する相手となる場合に「△」としている。なお、各指定府省庁が取組の主体となる災害応急対策又は協力・連絡する相手となる業務を行う場合についても「○」又は「△」を付している。
注(2)
本図表中「☆」は、各指定府省庁の災害応急対策について各災害関連情報システムが対応するものを表していて、「システム計(☆)」欄の計数は、「☆」の合計数である。

ウ 標準化災害情報プロダクツの情報項目からみた災害関連情報システムのシステム取扱情報

前記のとおり、内閣府は、総防システムで登録・閲覧可能な主要な情報を15種類に分類して整理している一方、システム取扱情報は多岐にわたっており、標準化災害情報プロダクツでは、情報項目を3の大分類、20の中分類、63の小分類に整理している。そして、総防システムにおける情報の分類と、標準化災害情報プロダクツの情報項目の分類の対応関係をみると、図表1-6のとおり、標準化災害情報プロダクツの情報項目は、総防システムの15種類の情報を含みつつも、より詳細な情報項目に分類し、また、総防システムの情報以外の情報項目を追加したものとなっている。

図表1-6 総防システムの情報と標準化災害情報プロダクツにおける情報項目の分類との対応関係

図表1-6 総防システムの情報と標準化災害情報プロダクツにおける情報項目の分類との対応関係 画像

標準化災害情報プロダクツは、防災業務の実施に当たり各指定府省庁が災害関連情報システムを利用して横断的に共有すべき情報等についてのより詳細な目安になると考えられる。

そして、67システムのシステム取扱情報について、現在検討が進められている標準化災害情報プロダクツで示されている情報項目等の64の小分類等へ該当させてみると、図表1-7のとおり、延べ436件となっていた(各災害関連情報システムの小分類等への該当状況の一覧については別表2参照)。そして、当該436件を大分類ごとに整理すると「ハザード」に関する情報は延べ246件、「被害」に関する情報は延べ96件、「対応」に関する情報は延べ41件等となっていた。

前記のとおり、標準化災害情報プロダクツは災害対策における情報の重要性を示す資料として災害情報ハブ推進チームに提出されたものであるが、その情報項目等は、必ずしも災害関連情報システムで取り扱われているものばかりではなかった。

また、上記の436件が各災害関連情報システムにどのような方法で登録されるかを大分類ごとにみたところ、図表1-7のとおり、「ハザード」では自動入力されることになっているのが206件(83.7%)となっているのに対して、手入力することになっているのが40件(16.2%)となっていた。一方、「被害」では自動入力されることになっているものが28件(29.1%)、手入力することになっているのが72件(75.0%)と、「対応」では自動入力されることになっているのが6件(14.6%)、手入力することになっているのが38件(92.6%)などとなっていて、「被害」及び「対応」に関する情報の登録方法は自動入力されることになっているものが少なくなっている状況となっていた(各災害関連情報システムの登録方法の一覧については別表2参照)。

 「被害」及び「対応」に関する情報は、災害の発生現場の行政機関である地方公共団体が把握することとなり、地方公共団体は自らが整備した情報システムにより、当該情報を収集するなどしている。しかし、前記のとおり、各災害関連情報システムでは、「被害」及び「対応」に関する情報の登録方法は手入力することになっているものが多かった。各指定府省庁は、地方公共団体から上記の情報を収集するに当たり、電話、ファクシミリ、メール等を利用している状況となっていた。

このように、現在手入力が必要となるシステム取扱情報の中には、既に地方公共団体が情報システムにより収集しているものがあり、これを自動入力とすることにより、事務の効率化につながると思料されることから、各指定府省庁は、「被害」及び「対応」に関する情報について、自動入力とすることの必要性につき検討する余地があると思料される。

図表1-7 システム取扱情報の各災害関連情報システムへの登録方法

(単位:件)
大分類 小分類数 システム取扱情報 登録方法
情報連携による自動入力 手入力
ハザード 21 246 206 40
83.7% 16.2%
被害 24 96 28 72
29.1% 75.0%
対応 18 41 6 38
14.6% 92.6%
その他 1 53 37 17
69.8% 32.0%
64 436 277 167
63.5% 38.3%
注(1)
標準化災害情報プロダクツで示されている情報項目の63の小分類のいずれにも当てはまらないと認められたシステム取扱情報については「その他」として分類した。
注(2)
複数回答としているため、自動入力と手入力の数字を集計してもシステム取扱情報の数字とは一致しないものがある。

(2) 各災害関連情報システムによる災害関連情報の共有状況等

ア 総防システムによる災害関連情報の共有状況等

(ア) 総防システムによる災害関連情報の収集状況
a 各指定府省庁及び指定公共機関の情報システムから総防システムへの情報連携の状況

前記のとおり、内閣府は、「行政事業レビュー点検結果の平成25年度予算概算要求への反映状況について」において「機能拡張項目を整理し、他機関との連携・共有に重点化を図るなど、事業内容の見直しを行った」としている。総防システムにおいては、各指定府省庁及び指定公共機関がそれぞれが保有している災害関連情報システム等と総防システムが情報連携を行えば、手入力の必要なく災害関連情報が総防システムに自動入力され、総防システムで当該災害関連情報を閲覧等することができる仕様となっている。

そこで、29年9月時点で、総防システムが自動入力を受けている災害関連情報について、総防システムの15情報項目(図表2-2参照)でみたところ、「津波」「台風」「地震」「電力」「ガス」「河川・ダム」及び「部隊派遣」の7項目については、災害関連情報の全部又は一部が自動入力されていた。一方で、「水道」「電話回線」「道路」「鉄道」「被害報」及び「施設情報」の6項目については、自動入力が全く行われておらず、全て中央防災無線網と接続可能な端末(以下「防災端末」という。)等を利用して手入力をすることになっていた。なお、「地震被害推計」は、地震に関する情報から総防システムが生成する情報であり、「ヘリ位置」は、総防システムが災害関連情報システムではない内閣府のヘリ位置・映像伝送処理装置から取得する情報となっている。

そして、上記の7項目で、総防システムが総防システム以外の災害関連情報システムと情報連携を行い、災害関連情報の自動入力を受けている情報システムについてみたところ、図表2-1のとおり、4省庁の災害関連情報システム4システム及び指定公共機関9社が保有する情報システム9システムとなっていた。

図表2-1 総防システムと総防システム以外の災害関連情報システムの情報連携の状況

分類 機関名 災害関連情報システム等の名称等 総防システムの15情報項目 情報連携開始年度
指定府省庁 農林水産省 国営造成土地改良施設防災情報ネットワークシステム 9.河川・ダム 平成
23
指定府省庁 国土交通省 統一河川情報システム 9.河川・ダム 19
指定府省庁 気象庁 気象資料総合処理システム 1.津波
2.台風
3.地震
17
指定府省庁 防衛省 中央指揮システム 14.部隊派遣 23
指定公共機関 東京電力ホールディングス株式会社 停電情報のシステム 5.電力 14
指定公共機関 東北電力株式会社 停電情報のシステム 5.電力 24
指定公共機関 北陸電力株式会社 停電情報のシステム 5.電力 28
指定公共機関 関西電力株式会社 停電情報のシステム 5.電力 20
指定公共機関 中国電力株式会社 停電情報のシステム 5.電力 20
指定公共機関 四国電力株式会社 停電情報のシステム 5.電力 21
指定公共機関 九州電力株式会社 停電情報のシステム 5.電力 20
指定公共機関 沖縄電力株式会社 停電情報のシステム 5.電力 23
指定公共機関 東京瓦斯株式会社 超高密度リアルタイム地震防災システム 6.ガス 14
(注)
気象庁の気象資料総合処理システムは、気象庁の有するアメダスデータ等統合処理システム等複数の災害関連情報システムと情報連携の上、総防システムにデータを自動入力している。

また、自動入力が行われていた前記7項目のうち、一部の情報について手入力が必要となる「電力」「ガス」及び「部隊派遣」の3項目に係る災害関連情報システム等の状況についてみたところ、次のような状況となっていた。

(a) 「電力」に係る情報連携の状況

 「電力」については、旧一般電気事業者のうち8社が総防システムと情報連携を行い、自動入力していた一方、北海道電力株式会社及び中部電力株式会社は情報連携が行われておらず、手入力をすることになっていた。

このことについて、内閣府は、両社については、接続の仕様の調整や費用負担の関係から協議が進展していないこと、より効率的な情報収集手段の検討を行っていることなどが、情報連携に向けた検討が進んでいない要因であるとしている。

(b) 「ガス」に係る情報連携の状況

 「ガス」については、東京瓦斯株式会社が総防システムと情報連携を行い、自動入力をしていた一方、指定公共機関に指定されている他のガス事業者は情報連携が行われておらず、手入力をすることになっていた。

このことについて、内閣府は、より効率的な情報収集手段の検討を行っていることなどが情報連携に向けた検討が進んでいない要因であるとしている。

しかし、全国のガス事業者の情報については、経済産業省が整備しているガス防災支援システムに集約されていることから、内閣府は、同システムと総防システムの情報連携を行い、総防システムで必要とする災害関連情報を自動入力させることなどを検討する必要があると考えられる。

(c) 「部隊派遣」に係る情報連携の状況

 「部隊派遣」については、最適化計画によれば、災害派遣医療チームの活動状況、避難所の状況等を扱う厚生労働省の広域災害・救急医療情報システムについて総防システムと情報連携を行うことが計画されていた。また、内閣府が22年に作成した総防システムに係る調達仕様書では、将来的な計画として緊急消防援助隊の活動状況等を扱う消防庁の緊急消防援助隊動態情報システムについて総防システムと情報連携を行うことにしていた。しかし、両システムと総防システムとの情報連携に向けた検討は進捗しておらず、手入力をすることになっていた。

このことについて、内閣府は、両システムとの情報連携の仕様の協議が進展していないこと、より効率的な情報収集手段の検討を行っていることなどが情報連携に向けた検討が進んでいない要因であるとしている。

b 各指定府省庁における総防システムへの災害関連情報の手入力の状況

災害関連情報を総防システムに手入力する場合、各指定府省庁が内閣府から配布されたアカウントを利用して総防システムにログインして、当該情報を入力することとなっている。

上記手入力の状況について調査したところ、各指定府省庁の職員が総防システムへ災害関連情報を手入力する運用になっておらず、内閣府の職員が各指定府省庁及び地方公共団体から書面により定期的に報告を受けたり、ホームページ等で公表されていたり、自ら電話等で収集したりした災害関連情報について、総防システムにログインしてそれぞれ手入力する運用になっていた。

このことについて、内閣府は、内閣府以外の各指定府省庁の職員が総防システムに災害関連情報を手入力することにすると、当該各指定府省庁の災害応急対策の実施に支障を生ずるおそれがあることが理由であるとしている。

そして、26年12月から28年12月までの期間において15情報項目ごとの入力方法と入力して登録された回数を、総防システムのアクセスログにより分析したところ、図表2-2のとおり、手入力のみで入力を行い登録する6項目の登録回数については、内閣府が総防システムで登録・閲覧可能な主要な情報として整理している災害関連情報であるにもかかわらず、「電話回線」及び「鉄道」についての登録はなく、「被害報」を除いた3項目についても限定的なものとなっていた。

図表2-2 総防システムの15情報項目の登録回数

(単位:回)
NO. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15
項目 津波 台風 地震 地震被害推計 電力 ガス 水道 電話回線 河川・ ダム 道路 鉄道 被害報 施設情報 部隊派遣 ヘリ位置
情報連携による自動入力            
手入力            
平成26年 12月 0 104 163 8 136 19 0 0 1,487 0 0 16 8 0 51 1,992
27年 1月 8 37 148 7 26 26 0 0 1,405 0 0 0 0 0 7 1,664
2月 7 33 154 10 92 5 0 0 1,344 0 0 5 0 0 35 1,685
3月 6 80 146 4 171 20 0 0 1,424 0 0 2 2 0 33 1,888
4月 13 53 135 6 129 5 0 0 1,377 0 0 4 0 0 56 1,778
5月 13 192 170 12 94 62 0 0 1,489 0 0 51 0 0 107 2,190
6月 0 32 158 10 121 23 0 0 1,440 0 0 118 2 0 89 1,993
7月 13 471 148 9 223 28 0 0 1,488 0 0 19 6 1 46 2,452
8月 0 370 168 9 278 30 0 0 1,408 0 0 13 1 0 83 2,360
9月 17 263 139 5 110 101 0 0 1,281 1 0 32 2 0 90 2,041
10月 12 233 179 13 60 8 1 0 1,488 0 0 8 0 0 81 2,083
11月 6 69 175 10 38 0 0 0 1,438 3 0 7 3 2 37 1,788
12月 0 47 172 2 29 4 0 0 1,488 0 0 1 3 0 6 1,752
28年 1月 7 0 162 7 296 25 4 0 854 1 0 14 1 2 2 1,375
2月 5 0 139 7 37 66 1 0 1,107 0 0 7 0 0 10 1,379
3月 3 0 132 2 409 10 0 0 1,479 0 0 12 0 0 13 2,060
4月 4 0 597 105 1,094 0 9 0 1,387 7 0 70 23 3 9 3,308
5月 2 0 652 11 1,256 71 0 0 744 0 0 79 1 0 21 2,837
6月 8 0 362 10 772 8 0 0 1,423 0 0 45 3 0 12 2,643
7月 0 92 281 6 800 41 0 0 1,487 3 0 21 4 0 7 2,742
8月 0 346 233 5 572 4 0 0 1,488 0 0 26 0 0 23 2,697
9月 9 343 210 6 449 7 0 0 1,373 0 0 10 0 0 95 2,502
10月 10 260 438 13 175 4 0 0 1,487 0 0 3 0 0 6 2,396
11月 25 80 322 11 101 21 0 0 1,439 0 0 15 0 0 43 2,057
12月 2 49 290 7 37 19 0 0 1,485 0 0 0 0 0 17 1,906
170 3,154 5,873 295 7,505 607 15 0 34,310 15 0 578 59 8 979 53,568
(注)
平成28年4月及び5月は平成28年熊本地震の際の災害応急対策等の実施期間である。

また、平成28年熊本地震の際の災害応急対策等の実施期間である28年4月及び5月の災害関連情報の登録状況を情報項目別にみたところ、次のような状況となっていた。

(a) 「ガス」に係る災害関連情報の登録状況

登録方法がガス事業者による自動入力又は手入力となっている「ガス」についてみたところ、28年5月に登録された71件は全て平成28年熊本地震とは関連のない東京瓦斯株式会社から総防システムに自動入力されたものとなっていた。28年4月には平成28年熊本地震により熊本県内において都市ガスの供給が停止されていた地域があったにもかかわらず、総防システムへの手入力が必要となる九州地方のガスの情報については、全く登録されていなかった。

(b) 「道路」に係る災害関連情報の登録状況

登録方法が手入力となっている「道路」についてみたところ、28年4月に登録された7回のうちの3回については訓練を行った際に登録されたものであり、平成28年熊本地震に係る災害関連情報ではなかった。また、残る4回の登録については平成28年熊本地震に係る災害関連情報ではあったが、登録された災害関連情報である国道、県道等の道路被災箇所についてみたところ、4月15日及び16日の2日間に計4回の手入力により、最大で10か所の被災箇所を登録したものであった。そして、4月17日以降は手入力が行われず、登録された被災箇所は更新されていなかった。このことについて、内閣府は、限られた人員で優先度の高い災害関連情報から手入力をしていることが理由であるとしている。

一方、国土交通省は、被害状況の全体像の把握と、的確な意思決定の支援を行うために統合災害情報システム(DiMAPS)を整備し、運用している。そして、平成28年熊本地震に係る道路の被災箇所の同システムへの登録状況をみたところ、同省は4月16日から5月31日までに計42回の手入力により、最大で96か所の被災箇所を登録していた。しかし、同システムは総防システムとの情報連携を行っていないため、同省が把握した上記災害関連情報の大部分は総防システムに入力されておらず、総防システムに登録された平成28年熊本地震に係る道路被災箇所の情報は限られたものとなっていた。

このように、災害関連情報のうち、手入力により総防システムへ登録を行う情報項目について、実際に登録されていたのは、総防システムへ入力することが可能な災害関連情報の一部のみとなっていた。

c 地方公共団体の情報システムと総防システムの情報連携の状況

災害時における被害に関する情報は、災害の発生現場の行政機関である地方公共団体が最初に把握することになる。そして、基本方針では、防災PFを構築することにより地方公共団体の国に対する報告作業に係る負担の軽減等を図るなどとされており、地方公共団体の情報システムが総防システムと情報連携を行い、災害関連情報が自動入力されるようになれば、効率的な情報収集が可能となる。

そこで、総防システムと地方公共団体の情報システムの情報連携の状況についてみたところ、内閣府は、総防システムを設計するに当たって、総防システムと接続するための中央防災無線網が整備されていないことから、地方公共団体については、総防システムと接続することを想定していなかったとしている。

内閣府は、25年1月に都道府県が整備する情報システムとの情報連携を行うために、都道府県と協議した上で、同年3月に「防災情報の共有に向けた取組について」(平成25年3月内閣府(防災担当)事業推進担当通知)を発して、都道府県の情報システムと総防システムとの情報連携の取組に関する説明及び周知を行っている。しかし、29年9月の時点では、情報連携のための仕様は試案の段階にとどまり、地方公共団体の情報システムと総防システムとは情報連携が行われていない。

(イ) 総防システムに登録された災害関連情報の各指定府省庁等への共有状況等
a 総防システムから総防システム以外の災害関連情報システムへの災害関連情報の自動入力の状況

前記のとおり、総防システムは、総防システム以外の災害関連情報システムと情報連携を行えば、登録した災害関連情報が総防システム以外の災害関連情報システムに自動入力されて、当該災害関連情報システムで閲覧することができるようになる機能を有している。当該機能は、当初、防衛省の中央指揮システムを対象として整備されたが、内閣府が作成した22年の総防システムに係る調達仕様書では、将来的に当該機能の対象となる災害関連情報システムが増えた場合であっても、柔軟に拡張できるように留意して整備することとなっていた。

そこで、上記の機能により、総防システムが総防システム以外の災害関連情報システムへ災害関連情報の自動入力を行っているかについてみたところ、29年9月時点で、防衛省の中央指揮システムのほかに当該機能を利用している災害関連情報システムはなかった。そして、当該機能を総防システムが有していることを内閣府以外の23省庁が把握しているか確認したところ、国家公安委員会、警察庁、金融庁、消費者庁、総務省、財務省、文部科学省、文化庁、厚生労働省、気象庁、環境省及び原子力規制委員会の計12省庁は当該機能を有していることを把握していなかった。

b 総防システムに登録された災害関連情報の各指定府省庁の職員による閲覧状況

前記のとおり、総防システムは、中央防災無線網に接続されており、各指定府省庁の職員は、内閣府から配布された防災端末を用いたり、政府共通ネットワークに接続した事務用端末を用いたりして総防システムにログインすることにより、総防システムに登録された災害関連情報の閲覧等を行うことができる仕様になっている。

そこで、内閣府以外の23省庁の防災端末の配備状況をみたところ、図表2-3のとおり、多くて2台となっており、2省庁は、指定行政機関とされているのに、防災端末の配布を受けていなかった。このため、内閣府以外の各指定府省庁では防災端末によって総防システムを利用できる職員が限られている状況となっていた。

さらに、26年4月から28年12月までの総防システムのアクセスログを分析したところ、防災端末により接続したことがあったのは、図表2-3のとおり、6省庁のみとなっていて、15省庁は接続したことが一度もなかった。

図表2-3 防災端末の配備状況及び防災端末からのログイン回数

(平成26年4月~28年12月)

(単位:台、回)
指定府省庁名
国家公安委員会
警察庁 金融庁 消費者庁 総務省 消防庁 法務省 外務省 財務省 文部科学省 文化庁 厚生労働省 農林水産省 経済産業省 資源エネルギ庁 中小企業庁 国土交通省 国土地理院 気象庁 海上保安庁 環境省 原子力規制委員会 防衛省
台数(平成29年9月末現在) 2 0 0 1 1 1 1 1 2 1 2 1 2 1 1 1 1 2 21
ログイン回数 0 0 20 0 0 0 0 0 0 0 7 0 0 2 2 1 2 34

総防システムは、前記のとおり、政府共通ネットワークを通じて接続することも可能な仕様となっている。この設定により、各指定府省庁の職員が使用する一般の事務用端末から総防システムに接続することが可能となり、多くの職員が災害関連情報を閲覧して共有できることになる。

しかし、26年4月から28年12月までの総防システムのアクセスログを分析したところ、一般の事務用端末から政府共通ネットワークを通じて接続したことがあったのは6省庁のみとなっていて、17省庁は接続したことが一度もなかった。

図表2-4 一般の事務用端末からの総防システムへのログイン回数

(平成26年4月~28年12月)

(単位:回)
指定府省庁名
国家公安委員会
警察庁 金融庁 消費者庁 総務省 消防庁 法務省 外務省 財務省 文部科学省 文化庁 厚生労働省 農林水産省 経済産業省 資源エネルギ庁 中小企業庁
国土地理院
国土交通省、
気象庁 海上保安庁 環境省 原子力規制委員会 防衛省
ログイン回数 0 0 0 38 4 0 0 0 0 56 0 100 0 0 0 0 0 198

防災端末による総防システムへのログイン回数は、図表2-3のとおり、23省庁を合わせても34回、また、図表2-4のとおり、一般の事務用端末からの総防システムへのログイン回数についても198回となっており、ログイン回数は少ないものとなっていた。

また、総防システムにログインした実績のあった10省庁がログインした時期についてみたところ、平成28年熊本地震の災害応急対策の実施期間であった28年4月及び5月にログインした回数は、計12回にすぎなかった。

このように、内閣府以外の各省庁による総防システムに登録された災害関連情報の閲覧等の回数は低調となっていたことから、その理由を各指定府省庁に確認したところ、図表2-5のとおり、「アクセス可能な端末が少ないため、利用者が限られる」、「各府省庁、都道府県の被害報と同じ情報しかなく、被害報を見れば足りる」などの回答となっていた。

図表2-5 総防システムの利用が低調である理由(複数回答)

理由 省庁数
アクセス可能な端末が少ないため、利用者が限られるため 9
各府省庁、都道府県の被害報と同じ情報しかなく、被害報を見れば足りるため 8
総防システムの動作が緩慢で使いづらいため 6
システムの使用方法が分からないため 2
総防システム用の端末がないため 2
その他 9
c 総防システムに登録された災害関連情報の地方公共団体、一般国民への提供状況

前記のとおり、総防システムは、中央防災無線網と接続する仕様になっているため、同無線網が整備されていない地方公共団体、一般国民等が総防システムに登録された災害関連情報を閲覧することができない状況となっていた。そこで、上記機関等への当該災害関連情報の提供状況についてみたところ、事例2のとおり内閣府が、25、26両年度に、インターネット経由で総防システムに登録された災害関連情報を閲覧できるよう防災情報外部配信機能を整備していたのに、総防システムに登録された災害関連情報をインターネットから閲覧できるようにしていなかった事態が見受けられた。

<事例2> 総防システムに登録された災害関連情報をインターネット経由により閲覧できる外部配信機能を整備していたのに、当該災害関連情報を閲覧できるようにしていなかったもの

 「世界最先端IT国家創造宣言」(平成25年6月閣議決定)において、総防システムについては、インターネットを通じた情報提供を実現することにより、迅速に誰もが災害関連情報を利活用できるようにすることとされている。

これを踏まえ、内閣府は、中央防災無線網が整備されていない地方公共団体、一般国民等が総防システムに入力された災害関連情報を閲覧可能とすることを目的として、平成26年1月に総防システムに登録されている情報のうち一部を防災情報外部配信ポータルに転送するなどの防災情報外部配信機能(図表参照)を総防システムに追加して、同年7月から運用している。

しかし、同府は、インターネットから災害関連情報を閲覧できるようにしていなかった。

防災情報外部配信機能は、災害関連情報を公開するために整備したものであり、インターネットを利用するなどした的確で効果的な住民等への情報提供は、基本方針において防災情報を共有する主な施策と位置付けられていることから、公開すべきであったと認められる。

なお、内閣府は、会計検査院の検査を踏まえ、配信する情報の精査や運用方針等の検討を行い、29年12月にインターネットから閲覧できるようにしている。

図表 総防システムの防災情報外部配信機能の概要

図表 総防システムの防災情報外部配信機能の概要 画像

上記のとおり、システム取扱情報のうち、総防システムへ自動入力が行われているものについては、各指定府省庁が情報共有することができるようになっているものの、手入力が必要となる情報については、内閣府が情報共有の必要があるとしている災害関連情報であっても登録が低調となっていたり、地方公共団体の情報システムと接続していないため、登録することができなかったりなどしていた。

また、総防システムから総防システム以外の災害関連情報システムや各指定府省庁の職員、地方公共団体、一般国民等に対しての情報提供については、総防システム以外の災害関連情報システムからの自動入力による情報共有の機能が12省庁で把握されていなかったり、11省庁からのログインが低調となっていたり、一般国民等への情報提供機能を整備していたのに、この機能を制限していたりなどしていた。

このように、総防システムを利用した情報共有は改善の余地がある状況となっていたことから、内閣府においては、総防システムと総防システム以外の災害関連情報システム等とで共有すべき災害関連情報の内容やその情報共有方法等について各指定府省庁との間で検討する必要がある。

イ 総防システム以外の災害関連情報システム間の情報連携の状況等

(ア) 各指定府省庁が他府省庁からの提供を必要とする災害関連情報等

前記のとおり、横断的に共有すべき情報等については、総防システムで登録・閲覧可能な15情報項目より詳細な目安となると考えられる標準化災害情報プロダクツが提示されている。

そこで、防災基本計画及び各指定府省庁の防災業務計画に定める各指定府省庁の防災業務において、各指定府省庁が他府省庁からの提供を必要と考えている災害関連情報等の情報はどのようなものがあるかについて、会計検査院が標準化災害情報プロダクツにおいて示された分類に基づいて調査したところ、図表2-6のとおり、災害関連情報システムによる提供が全くされていない「被害」のうちの「施設」「交通」「通信」や「対応」のうちの「医療」「物資」に係る情報等、他府省庁から既に提供を受けている災害関連情報等の情報のほかにも、提供が必要であると回答した情報が多くあった。

このように、各指定府省庁が他府省庁から現に提供を受けていない情報の中にも、各指定府省庁において提供を必要と考えている情報が多いことから、各指定府省庁が収集している情報の項目について、指定府省庁間で把握した上で、その情報を各指定府省庁が共有することの要否を個別に検討する必要がある。

図表2-6 各指定府省庁が他府省庁からの提供を必要であると回答等した情報

情報項目
指定府省庁名
ハザード 被害 対応 小計(○) 小計(●)
地震 津波 火山 気象 台風 洪水 土砂災害 人的被害状況 建物 施設 交通 ライフライン 通信 写真・映像 医療 避難 物資 廃棄物 派遣 生活再建支援
内閣府 10 10 20
国家公安委員会             0 14 14
警察庁             0 14 14
金融庁 0 20 20
消費者庁                       0 9 9
総務省             0 14 14
消防庁                     7 3 10
法務省 0 20 20
外務省                                   0 3 3
財務省 0 20 20
文部科学省                           0 7 7
文化庁                           0 7 7
厚生労働省 0 20 20
農林水産省           0 15 15
経済産業省   0 19 19
資源エネルギー庁   0 19 19
中小企業庁           0 15 15
国土交通省     5 13 18
国土地理院     0 18 18
気象庁                       0 9 9
海上保安庁     4 14 18
環境省                           0 7 7
原子力規制委員会   0 19 19
防衛省   11 8 19
小計(○) 5 5 4 5 3 4 3 1 1 0 0 2 0 1 0 1 0 0 2 0 37    
小計(●) 18 17 18 17 19 18 17 18 16 18 16 13 16 18 12 16 15 9 15 11 317
23 22 22 22 22 22 20 19 17 18 16 15 16 19 12 17 15 9 17 11 354
(注)
各指定府省庁が他府省庁からの提供を必要であると回答した情報項目に「●」を付している。また、各指定府省庁が他府省庁から災害関連情報システムにより既に提供を受けている情報項目には「○」を付している。
(イ) 総防システム以外の災害関連情報システムの情報連携先機関の状況

前記のとおり、情報の共有化が求められている一方で、総防システムと総防システム以外の災害関連情報システムとの間で情報連携が行われておらず、災害関連情報の自動入力が行われていない情報項目があった。

そこで、総防システム以外の災害関連情報システム66システムにおいて、他の総防システム以外の災害関連情報システム等との情報連携の状況をみたところ、39システムにおいて、情報連携が行われていた。

情報連携が行われていた39システムについて、情報連携先となる災害関連情報システム等を保有している各機関別にみると、同一指定府省庁内における他の部署の災害関連情報システム等と情報連携が行われているものが29システム、他府省庁の災害関連情報システム等と情報連携を行っているものが13システム、都道府県の情報システムと情報連携を行っているものが10システム、指定公共機関等のその他の機関の情報システムと情報連携を行っているものが8システムとなっていた(図表2-7参照。66システムごとの情報連携先の一覧については別表3参照)。

図表2-7 総防システム以外の災害関連情報システムの情報連携先

区分 情報連携を行っている総防システム以外の災害関連情報システム数
情報連携を行っている総防システム以外の災害関連情報システム(注) 39
情報連携先の機関
同一指定府省庁内における他の部署 29
他府省庁 13
都道府県 10
指定公共機関等のその他の機関 8
(注)
複数の情報連携先と情報連携を行っている総防システム以外の災害関連情報システムがあるため、情報連携先の機関ごとのシステム数を合計しても39にはならない。
(ウ) 総防システム以外の災害関連情報システム等間の情報連携の状況

同一指定府省庁内の他の部署の災害関連情報システム等との情報連携を行っている29システム及び他府省庁の災害関連情報システム等と情報連携を行っている13システムの延べ42システム(重複分を除くと34システム)について、情報連携が行われているシステム取扱情報がどのような内容となっているかを、横断的に共有すべき情報等についてのより詳細な目安となると考えられる標準化災害情報プロダクツによる情報項目の分類に沿ってみたところ、図表2-8のとおり、「気象」や「地震」等の「ハザード」に関するシステム取扱情報について情報連携を行っているシステムが最も多く、26システムとなっていた(42システムごとの情報項目の一覧については別表3参照)。

 「ハザード」に関するシステム取扱情報について多数の総防システム以外の災害関連情報システムで情報連携が行われている理由は、センサー等の観測機器から自動的に収集したシステム取扱情報が対象となっており、災害時においても手入力の手間を要しない仕組みとなっているものが多いことによると思料される。

一方、「被害」に関するシステム取扱情報について、情報連携を行っている総防システム以外の災害関連情報システムは、1システムとなっており、「対応」に関するシステム取扱情報については、情報連携が行われているものはなかった。これらのシステム取扱情報の共有は、電話、ファクシミリ、メール等の手段によるものが主流となっていた。

図表2-8 総防システム以外の災害関連情報システム等間の情報連携の状況

情報項目 ハザード 被害 対応 その他
地震 津波 火山 気象 台風 洪水 土砂災害 人的被害状況 建物 施設 交通 ライフライン 通信
写真・映像
医療 避難 物資 廃棄物 派遣 生活再建支援
情報連携を行っているシステム数 12 10 11 21 5 11 7 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 10
26 1 0 10
(注)
複数の情報項目について情報連携を行っている総防システム以外の災害関連情報システムがあるため、計は一致しない。
(エ) 総防システム以外の災害関連情報システムと都道府県の情報システムとの情報連携の状況

災害時における被害に関する情報は、災害の発生現場の行政機関である地方公共団体が最初に把握することとなっている。このため、地方公共団体の情報システムが総防システム以外の災害関連情報システムと情報連携されるようになれば、効率的な情報収集が可能となる。

そこで、都道府県の情報システムとの情報連携を行っている10システムに係るシステム取扱情報がどのような内容のものかを、横断的に共有すべき情報についてのより詳細な目安となると考えられる標準化災害情報プロダクツによる情報項目の分類に沿ってみたところ、図表2-9のとおり、半数以上が「ハザード」に関する情報となっていた(10システムごとの情報項目の一覧については別表3参照)。

図表2-9 総防システム以外の災害関連情報システムと都道府県の情報システムとの情報連携の状況

情報項目 ハザード 被害 対応 その他
地震 津波 火山 気象 台風 洪水 土砂災害 人的被害状況 建物 施設 交通 ライフライン 通信
写真・映像
医療 避難 物資 廃棄物 派遣 生活再建支援
情報連携を行っているシステム数 2 1 2 2 1 3 2 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 3
6 0 1 3
(注)
複数の情報項目について、情報連携を行っている総防システム以外の災害関連情報システムがあるため、計は一致しないものがある。

一方、平成28年熊本地震の際の状況をみると、複数の指定府省庁が熊本県に対して、同種と考えられる災害関連情報を指定府省庁ごとに別の様式による報告を求めていたり、災害関連情報の収集のための電話による問合せが多数行われていたりしていて、同県がこれらの対応に労力を要している事態が発生していた。さらに、調査した14道県のうちの12道県においては、災害関連情報を集約する独自の情報システムを保有していたが、それらの一部において、災害時における各指定府省庁への報告の際には、当該地方公共団体の情報システムに登録された災害関連情報を各指定府省庁が定める報告様式に手作業によって転記したり、当該情報システムが各指定府省庁の定める報告様式に対応して自動的に作成していても当該報告様式を紙媒体で印刷したりするなどした上で、これらの報告をファクシミリやメールで送信する作業を要する事態が発生していた。

このような事態が今後も継続すると、災害時に災害関連情報の集約等が迅速かつ効果的に行われないおそれや、都道府県の災害応急対策に支障が生ずるおそれがあると認められる。

(オ) 総防システム以外の災害関連情報システムと指定公共機関等との情報連携の状況

災害関連情報は、指定府省庁や地方公共団体だけではなく、指定公共機関等の各機関も収集し、保有している。

これら各機関が保有する情報システムとの情報連携が行われている8システムについて、その具体的な情報連携先をみたところ、独立行政法人等8法人、一般財団法人2法人、特定非営利活動法人1法人、日本放送協会、放送事業者等の民間事業者58法人の計70法人となっていた。

そして、当該8システムに係る災害関連情報がどのような内容のものかを、横断的に共有すべき情報等についてのより詳細な目安となると考えられる標準化災害情報プロダクツによる情報項目の分類に沿ってみたところ、図表2-10のとおり、4システムが「ハザード」に関する情報となっていた(8システムごとの情報項目の一覧については別表3参照)。

図表2-10 総防システム以外の災害関連情報システムと指定公共機関等との情報連携の状況

情報項目 ハザード 被害 対応 その他
地震 津波 火山 気象 台風 洪水 土砂災害 人的被害状況 建物 施設 交通 ライフライン 通信
写真・映像
医療 避難 物資 廃棄物 派遣 生活再建支援
情報連携を行っているシステム数 3 2 1 1 1 2 1 0 0 1 1 0 0 0 0 0 0 0 1 0 2
4 2 1 2
(注)
複数の情報項目について、情報連携を行っている総防システム以外の災害関連情報システムがあるため、計は一致しないものがある。

このように、各指定府省庁間、各指定府省庁と都道府県との間及び各指定府省庁と指定公共機関等との間の情報共有に当たって、総防システム以外の災害関連情報システムとの情報連携により情報共有が行われている災害関連情報は一部に限られており、各指定府省庁が必要とする災害関連情報の収集には、電話、ファクシミリ、メール等が多く利用されている。災害時の連絡手段として電話、ファクシミリ、メール等の有用性、重要性が認められる一方、災害関連情報システムの情報連携が行われるようになれば、当該収集に対する各機関の負担軽減にもつながると思料されることから、各指定府省庁は各災害関連情報システムの情報連携の必要性について、更に検討する必要があると考えられる。

ウ 災害関連情報システムに登録された災害関連情報の公開状況等

(ア) 災害関連情報システムに登録された災害関連情報の公開状況

前記のとおり、総防システムへの災害関連情報の情報連携による自動入力が可能な情報項目が一部にとどまっていたり、総防システムから他の災害関連情報システムへの自動入力が1システムに限られていたり、各省庁の職員による閲覧回数が低調となっていたりしていた。このような状況を踏まえると、情報連携等によるのではなく、災害関連情報システムに登録された災害関連情報を公開することも災害関連情報の共有方法として重要であると考えられる。

そこで、災害関連情報システムに登録された災害関連情報の公開状況について、各災害関連情報システム単位でみたところ、図表2-11のとおり、29年9月時点で、67システムのうち39システムにおいて、システム取扱情報の全部又は一部について公開されており、このうちの37システムにおいてはホームページ等により広く一般に公開されていた。

図表2-11 災害関連情報システムにおけるシステム取扱情報の公開状況

図表2-11 災害関連情報システムにおけるシステム取扱情報の公開状況 画像

そして、システム取扱情報の公開を行っていなかった28システムについて、今後の公開予定をみたところ、5システムにおいて情報の公開が予定され、又は検討されており、23システムにおいては情報の公開が予定されていなかった。

上記の23システムについて、情報を公開する予定がないとしている理由を確認したところ、図表2-12のとおり、主な理由として「国民向けに情報提供するための災害関連情報システムではないため」などとしているものが13システムなどとなっていた。

図表2-12 情報公開の予定がないとしている主な理由

主な理由 システム数
国民向けに情報提供するためのシステムではないため 13
他省庁から提供されているデータのため 3
個人情報を含むため 2
その他 5
23
(イ) 公開した災害関連情報の二次利用の状況

公開された災害関連情報については、二次利用を可能にすることにより、各機関が当該災害関連情報を利用しやすくなるなど、情報の共有化に資することになると考えられる。

そこで、39システムについて、公開されているシステム取扱情報のデータ形式がどのようになっているか、横断的に共有すべき情報等についてのより詳細な目安になると考えられる標準化災害情報プロダクツの情報分類に沿ってみたところ、PDF等の二次利用が困難とされている文章形式のデータで公開しているものの割合が「ハザード」に関するシステム取扱情報は71.0%、「被害」に関するシステム取扱情報は48.2%、「対応」に関するシステム取扱情報は90.0%とそれぞれ高くなっていた。

そして、39システムについて、データの二次利用が可能である旨を記載した利用ルールを設けるなど、オープンなライセンスでシステム取扱情報を公開しているかみたところ、9システムにおいてオープンなライセンスで公開していなかった。

また、オープンなライセンスで公開されていた30システムについてシステム取扱情報がどのような内容となっているかを、横断的に共有すべき情報等についてのより詳細な目安となると考えられる標準化災害情報プロダクツの情報分類に沿ってみたところ、「ハザード」に関するシステム取扱情報は78.2%となっているのに対して、「被害」に関するシステム取扱情報は48.2%、「対応」に関するシステム取扱情報は60.0%となっていた。

システム取扱情報は、その内容によっては地方公共団体や一般国民にとっても有用であることから、公開すべきシステム取扱情報がないか検討する必要があると考えられる。また、公開に当たっては、公開するシステム取扱情報のデータ形式やその二次利用の範囲等について、地方公共団体や一般国民において、より的確な認識と判断が可能となるように検討する必要がある。

図表2-13 標準化災害情報プロダクツの情報項目別にみた情報の公開状況

公開している情報 該当数 公開方法 公開しているデータ形式 二次利用が可能である旨を記載した利用ルール
HP等で広く一般に公開 府省庁及び地方公共団体に対して公開 その他 表形式(CSV、XLSX等) 文章形式(PDF、DOCX、HTML等) 電子地図に関する情報形式 その他 オープンなライセンスで公開しているもの オープンなライセンスで公開していないもの
ハザード 地震 9 8 0 1 0 7 0 2 8 1
津波 7 6 0 1 0 6 0 1 6 1
火山 7 6 0 1 0 6 0 1 6 1
気象 24 23 0 1 8 12 0 4 15 9
台風 8 7 0 1 0 7 0 1 7 1
洪水 8 8 0 0 0 6 0 2 7 1
土砂災害 6 6 0 0 0 5 0 1 5 1
小計 69 64 0 5 8 49 0 12 54 15
小計に対する割合   92.7% 0.0% 7.2% 11.5% 71.0% 0.0% 17.3% 78.2% 21.7%
被害 人的被害状況 2 2 0 0 0 2 0 0 1 1
建物 2 2 0 0 0 2 0 0 1 1
施設 3 3 0 0 0 2 0 1 2 1
交通 13 12 0 1 8 3 0 2 4 9
ライフライン 2 2 0 0 0 1 0 1 1 1
通信 3 2 0 1 0 2 0 1 2 1
写真・映像 4 4 0 0 0 2 0 2 3 1
小計 29 27 0 2 8 14 0 7 14 15
小計に対する割合   93.1% 0.0% 6.8% 27.5% 48.2% 0.0% 24.1% 48.2% 51.7%
対応 医療 2 2 0 0 0 2 0 0 1 1
避難 4 4 0 0 0 3 1 0 3 1
物資 1 1 0 0 0 1 0 0 0 1
廃棄物 1 1 0 0 0 1 0 0 1 0
派遣 2 2 0 0 0 2 0 0 1 1
生活再建支援 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
小計 10 10 0 0 0 9 1 0 6 4
小計に対する割合   100.0% 0.0% 0.0% 0.0% 90.0% 10.0% 0.0% 60.0% 40.0%
その他 7 7 0 0 1 3 0 3 7 0
合計   115 108 0 7 17 75 1 22 81 34
合計に対する割合   93.9% 0.0% 6.0% 14.7% 65.2% 0.8% 19.1% 70.4% 29.5%
(注)
1システムが複数の情報項目の情報を公開している場合があるため、小計及び合計には延べのシステム数を計上している。

(3) 災害関連情報システムの運用継続性を確保するための対策状況

ア 災害関連情報システムの冗長化とリソースの状況

(ア) 災害関連情報システムの冗長化の実施状況

災害時に災害関連情報システムが停電等により停止すると、当該災害関連情報システムを保有している12府省庁の災害応急対策の実施に支障を来すおそれがあるだけでなく、災害関連情報を共有する他の機関の災害応急対策の実施にも支障を来すおそれがある。このことから、12府省庁は、災害関連情報システムを冗長化(注7)するなどの対策を執ることが重要である。

そこで、前記の67システムについて、冗長化の実施状況をみたところ、図表3-1のとおり、「②非常用発電装置からの電源供給を可能とした冗長化」を実施しているものが61システム(91.0%)と最も多く、次に「③無停電電源装置の設置による冗長化」を実施しているものが59システム(88.0%)となっていた。

 「第2次情報セキュリティ基本計画」(平成21年2月情報セキュリティ政策会議決定)によれば、各府省庁は、当該各府省庁の情報システムについて、災害時等における対応の必要性や優先度について決定するとともに、必要なものについては情報システム業務継続計画(以下「IT-BCP」という。)を策定することとされている。

そして、「中央省庁における情報システム運用継続計画ガイドライン~策定手引書(第2版)~」(平成24年5月内閣サイバーセキュリティセンター。以下「IT-BCPガイドライン」という。)によれば、復旧優先度が高い情報システムは同時に被災しない遠隔地にバックアップシステムを確保するなど、情報システムを2系統で構成し、ホットスタンバイ(注8)等によるデータ処理の切替えを可能とした冗長化(以下「2系統システムによる冗長化」という。)を実施することが有効とされている。そこで、2系統システムによる冗長化の実施状況を確認したところ、32システム(47.7%)と全体の半数以下となっていた。

(注7)
冗長化  システムの一部に何らかの障害が発生した場合に備えて、障害発生後でもシステム全体の機能を維持し続けられるように、予備装置を平常時からバックアップとして配置し運用しておくこと
(注8)
ホットスタンバイ  サーバやネットワーク機器等に関して、主として稼働している系統と同じ構成や設定の予備の系統を用意し、電源を入れるだけではなく、データの同期等を絶えず行った状態で待機させておくようにした状態のこと。これに対して予備の系統の電源を入れない状態で待機させたものをコールドスタンバイという。

図表3-1 冗長化の実施状況(複数回答)

図表3-1 冗長化の実施状況(複数回答) 画像

そして、2系統システムによる冗長化を実施していない35システムについて、その理由を確認したところ、図表3-2のとおり、「手作業等の代替手段により業務継続が可能であるため」としていたものが12システム(34.2%)、「予算確保が困難であるため」としていたものが11システム(31.4%)などとなっていた。一方、「手作業等の代替手段により業務継続が可能であるため」としていた12システムのうち8システムについては、「代替手段はあるが、災害応急対策の実施に支障がある」としていた(各災害関連情報システムの冗長化の実施状況、2系統システムによる冗長化を実施していない理由及び代替手段による業務への影響の一覧については別表4参照)。

災害関連情報システムの冗長化については、12府省庁において実施されているが、各指定府省庁が災害時に実施すべき防災措置に対する支障の度合いを踏まえるなどして、2系統システムによる冗長化の実施の可能性も含めて検討する必要があると考えられる。

図表3-2 2系統システムによる冗長化を実施していない理由

理由 システム数
  割合(%)
情報システムが停止したとしても、手作業等の代替手段により業務継続が可能であるため 12 34.2
  上記のうち、代替手段はあるが、災害応急対策の実施に支障があるとしているもの 8 22.8
予算確保が困難であるため 11 31.4
現在の冗長化構成で十分であるため 4 11.4
2系統システムによる冗長化については検討していないもの 3 8.5
その他 5 14.2
35 100.0
(イ) 災害時に災害関連情報システムのリソースを増加させる仕組みの導入等の状況

災害関連情報システムには、平時の利用は少なくても、災害時においては利用が集中するなどして負荷が急増することが予想されるものがある。このような場合は、各災害関連情報システムのサーバに接続しにくい事態等が生ずるおそれがあるため、一時的にサーバ等のリソース(注9)を増加させたり、緊急性の低いデータ通信を制限するためにあらかじめリソースの使用状況を把握したりするなどの運用継続性を確保するための方策が必要となる。

そこで、前記の67システムについて、システムへのアクセス量等に応じて柔軟にリソースを増加させるなどの仕組みの導入状況をみたところ、民間のクラウド(注10)サービスを活用するなどして当該仕組みを導入しているのは8システムとなっていた。

また、67システムについて、リソース使用状況の把握状況をみたところ、図表3-3のとおり、取り扱うデータが大容量ではないなどの理由により9システムがリソース使用の状況を把握しておらず、26システムについては、リソース使用の状況を把握しているものの、その頻度が定められていなかった(各災害関連情報システムのリソースを増加させるなどの仕組みの導入状況及びリソース使用状況の把握状況の一覧については別表4参照)。

12府省庁においては、リソースを増加させる時機を逸するなどして各災害関連情報システムが停止するおそれのないよう、一時的にサーバ等のリソースを増加させたり、緊急性の低いデータ通信を制限するためにあらかじめリソースの使用状況を把握したりするなどの方策を導入する必要性について検討する必要がある。

(注9)
リソース  ソフトウェアやハードウェアを動作させるのに必要なCPU(Central Processing Unitの略。コンピュータを構成する部品の一つで、各装置の制御やデータの計算・加工を行う装置)、メモリ、ストレージ(データを記録したり保存したりするための装置)等の総称
(注10)
クラウド  クラウドコンピューティングの略。クラウドコンピューティングとは、一元管理されたコンピュータ資源をネットワーク経由で利用することにより、システム開発、管理及び運用の効率化を図る技術のこと

図表3-3 リソース使用状況の把握状況

区分 システム数
  割合(%)
リソース使用の状況を把握しているもの 58 86.5
  1か月に1回以上の頻度で把握しているもの 25 37.3
3か月に1回等の頻度で把握しているもの 7 10.4
頻度は定めていないもの 26 38.8
リソース使用の状況を把握していないもの 9 13.4
67 100.0
(ウ) 災害関連情報システムのクラウド化の状況

政府は、24年度にクラウド技術を活用した政府共通プラットフォーム(以下「政府共通PF」という。)を整備しており、「政府共通プラットフォーム整備計画」(平成23年11月各府省情報化統括責任者(CIO)連絡会議決定)において、政府共通PFの整備目的として災害時等における情報システムによるサービス等の継続的な提供の確保が挙げられている。

また、「政府情報システム改革ロードマップ」(平成25年12月各府省情報化統括責任者(CIO)連絡会議決定)等において、33年度を目途に原則全ての政府情報システムをクラウド化するとしている。

そこで、67システムのクラウド化に向けた検討状況をみたところ、政府共通PFに移行を予定しているのは1システムとなっていて、66システムについては、極めて短時間での災害関連情報システムの復旧等の運用要件を満たせないことなどを理由として、29年12月に改定された上記のロードマップにおいても政府共通PFへの移行対象とはされていない。また、当該66システムにおける民間のクラウドサービスの活用状況をみたところ、同サービスを活用していたものは9システムとなっていた。その理由について、9システムに係る7府省庁は、運用経費の抑制や災害時のアクセス集中やリソース不足への対応策として有効であるためとしている(各災害関連情報システムの民間クラウドサービスの活用状況については別表4参照)。

12府省庁は、今後、移行等の経費が低減されるよう十分留意して、災害関連情報システムの運用継続性を向上させるための方策について、民間のクラウドサービスの活用の是非も含めて検討する必要がある。

イ 情報システム業務継続計画の策定状況

前記のとおり、各府省庁は、IT-BCPを策定することとされている。また、内閣サイバーセキュリティセンターは、各府省庁がIT-BCPを策定し、運用するための手引書としてIT-BCPガイドラインを策定している。

そして、IT-BCPガイドラインには、情報システムの復旧継続を困難とさせる危機的事象発生時の対応体制及び連絡方法を整備する際に注意すべき例(以下「注意すべき体制例」という。)として図表3-4の①から⑤までの5項目が挙げられている。

前記の67システムについて、IT-BCPの策定状況をみたところ、36システムについてはIT-BCPを策定している又は策定を予定しているとしていたものの、31システムについては、組織全体の業務継続計画が既に作成され、当該計画内で定めているなどとしてIT-BCPが策定されておらず、策定する予定もない状況となっていた。

そして、注意すべき体制例の該当状況について確認したところ、図表3-4のとおり、IT-BCPを策定していない31システムについては、該当すると回答したものが10システム(32.2%)となっていて、上記の計画を定めていても、情報システムの復旧と継続作業を行うための体制、役割分担等が決められていないなど、その内容によっては、注意すべき体制例への対応等が十分に行われていない状況となっていた。

IT-BCPを策定している又は策定を予定している36システムについては、注意すべき体制例に該当するものが低減する方向にあるが、なお、該当すると回答したものが2システム(5.5%)あった(各災害関連情報システムのIT-BCPの策定状況及び注意すべき体制例への該当状況については別表5参照)。

12府省庁は、各災害関連情報システムが被災した際に復旧に遅れが生ずるなどして災害応急対策の迅速な実施に支障が生ずることがないよう、IT-BCPをはじめとした業務継続計画を実効性のあるものとなるように策定し、適宜見直しを行うことが重要である。

図表3-4 注意すべき体制例の該当状況

区分 IT-BCPを策定している又は策定を予定しているシステム IT-BCPを策定していないシステム
  割合(%)   割合(%)   割合(%)
注意すべき体制例に該当しないシステム 34 94.4 21 67.7 55 82.0
注意すべき体制例に該当するシステム 2 5.5 10 32.2 12 17.9
  情報システムの復旧と継続作業を行うための体制、役割分担及び復旧の手順書がないもの 0 0.0 6 19.3 6 8.9
復旧継続に必要な要員の連絡先一覧表が最新のものに更新されていないもの 0 0.0 2 6.4 2 2.9
復旧継続に必要な情報が未整備であるもの 0 0.0 5 16.1 5 7.4
休日や夜間の連絡方法及び参集方法が明確になっていないもの 1 2.7 3 9.6 4 5.9
特定の要員に依存しており、当該要員が不在の場合には復旧継続ができないもの 1 2.7 5 16.1 6 8.9
36 100.0 31 100.0 67 100.0
(注)
複数の注意すべき体制例に該当する災害関連情報システムがあるため、①から⑤までのシステム数を合計しても注意すべき体制例に該当するシステム数に一致しないものがある。

ウ 災害関連情報システムにおける事前の訓練の実施状況

障害が発生するなどにより災害時に災害関連情報システムを長期間使用することができないような事態を避けるためには、バックアップしたデータからのリストア(注11)、待機用サーバへの切替等の運用継続性を確保するための手順を確実に実行できるようにする必要がある。そして、障害等に備えて、リストア、切替の手順について文書化を行うとともに障害発生時を想定した事前の訓練を実施しておくことが重要である。

そこで、前記の67システムについて、災害関連情報システムのバックアップしたデータからのリストアに係る手順書の策定状況及び事前の訓練の実施状況をみたところ、図表3-5のとおり、バックアップを実施している48システムのうち、リストア手順書を策定していないものが8システムあり、リストア手順書を策定している40システムのうち、リストア訓練を実施したことがないものが26システム見受けられた。

また、前記の67システムについて、待機用サーバへの切替えに係る手順書の策定状況及び事前の訓練の実施状況をみたところ、図表3-6のとおり、待機用サーバを整備している50システムのうち、切替手順書を策定していないものが12システムあり、切替手順書を策定している38システムのうち、切替訓練を実施したことがないものが15システム見受けられた(各災害関連情報システムの手順書の策定状況及び事前の訓練の実施状況については別表6参照)。

12府省庁においては、障害が発生するなどにより災害時に災害関連情報システムを長期間使用することができないような事態が生ずるおそれのないよう、各災害関連情報システムの運用継続性を確保するための事前の訓練を適切に実施する必要がある。

(注11)
リストア  ハードディスク等の記憶装置が破損するなどしてデータが失われた際に、以前に取っておいたバックアップしたデータにより書き戻すなどして復元すること

図表3-5 リストアに係る手順書の策定状況及び事前の訓練の実施状況

区分 システム数
  割合(%)
バックアップを実施しているもの 48 71.6
  リストア手順書を策定していないもの 8 11.9
リストア手順書を策定しているもの 40 59.7
  リストア訓練を実施したことがあるもの 9 13.4
リストア訓練を実施したことがないもの 26 38.8
不明 5 7.4
バックアップを実施していないもの 19 28.3
67 100.0

図表3-6 待機用サーバへの切替えに係る手順書の策定状況及び事前の訓練の実施状況

区分 システム数
  割合(%)
待機用サーバを整備しているもの 50 74.6
  切替手順書を策定していないもの 12 17.9
切替手順書を策定しているもの 38 56.7
  切替訓練を実施したことがあるもの 21 31.3
切替訓練を実施したことがないもの 15 22.3
不明 2 2.9
待機用サーバを整備していないもの 17 25.3
67 100.0