日本銀行による平成25年4月の量的・質的金融緩和の導入以降、市場における長期金利の代表的な指標である10年国債の市場金利は、同月には一時0.4%台まで低下し、さらに、28年1月のマイナス金利付き量的・質的金融緩和の導入決定後の同年2月には0%を下回ってマイナスの水準となるなど、近年、低金利の状況が続いている。
近年の低金利の状況下において、民間企業等の資金調達や資金運用の環境に変化が見られる中、政府出資法人における資金調達や資金運用の状況にも変化が生じていることが想定される。そして、このような状況の変化は、各法人の目的を達成するために行っている法人の業務の状況や、当該業務を実施する上での基盤となる法人の財務の状況、更にはこれに対する国の財政支援の状況等にも影響を及ぼしていることが考えられる。
本報告書は、以上のような状況を踏まえて、政府出資法人における資金調達及び資金運用、業務及び財務への影響、政府出資法人に対する国の財政支援、将来の金利の変動に対する政府出資法人の対応等について横断的に検査し、その状況を取りまとめたことから、会計検査院法(昭和22年法律第73号)第30条の2の規定に基づき、会計検査院長から衆議院議長、参議院議長及び内閣総理大臣に対して報告するものである。
令和2年7月
会計検査院