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  • 令和5年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
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(5) 新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金(医療分)(帰国者・接触者外来等設備整備事業に係る分)が過大に交付されていたもの[愛知県](95)


1件 不当と認める国庫補助金 10,906,000円

新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金(医療分)(帰国者・接触者外来等設備整備事業に係る分)は、「令和2年度新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金の交付について」(令和2年厚生労働省発医政0430第1号・厚生労働省発健0430第5号。以下「交付要綱」という。)等に基づき、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に十分に対応し、同感染症の感染が疑われる患者(以下「疑い患者」という。)を診療体制等の整った医療機関に確実につなぐために、帰国者・接触者外来等を設置することにより、国民の不安を軽減するとともに、同感染症のまん延をできる限り防止することを目的として、国が都道府県に対して交付するものである。

交付要綱等によれば、この交付金の交付の対象は、都道府県が行う事業及び民間団体等で都道府県が適切と認める者が行う事業に対して都道府県が補助する事業に要する経費とされている。このうち、都道府県が補助する事業に係る交付金の交付額は、次のとおり算定することとされている。

① 所定の基準額と対象経費の実支出額とを比較して少ない方の額を選定する。

② ①により選定された額と総事業費から寄附金その他の収入額を控除した額とを比較して少ない方の額に交付金の交付率(10分の10)を乗じて得た額と、都道府県が補助した額とを比較して少ない方の額を交付額とする。

そして、本件事業の整備対象設備等は、簡易診療室(注1)及び附帯する備品等とされている。

本院が、10都府県(注2)及び75事業主体において会計実地検査を行ったところ、愛知県の1事業主体において、適切とは認められない事態が見受けられた。

(注1)
簡易診療室  テントやプレハブなど簡易な構造をもち、緊急的かつ一時的に設置するものであって、疑い患者等に外来診療を行う診療室
(注2)
10都府県  東京都、大阪府、秋田、山形、神奈川、愛知、三重、山口、福岡、佐賀各県
 
部局等
補助事業者
間接補助事業者
(事業主体)
年度
交付金交付額
不当と認める交付金交付額
          千円 千円
(95)
愛知県
愛知県
医療法人有俊会(いまむら病院)
2、4 17,709 10,906

医療法人有俊会いまむら病院(以下「いまむら病院」という。)は、令和2、4両年度に簡易診療室及び附帯する備品等の整備を計18,122,457円で実施したとして、愛知県から交付金を原資とする同県の補助金(以下「県補助金」という。)計17,709,000円(交付金交付額同額)の交付を受けていた。

いまむら病院は、県補助金の交付額の算定に当たり、業者Aから整備対象設備等を購入して代金を支払ったとして計18,122,457円を対象経費の実支出額として計上していた。

しかし、業者Aから購入したとしていた整備対象設備等のうち、簡易診療室に附帯する備品である血圧脈波検査装置等について、実際には補助対象年度内に納入を受けていなかったにもかかわらず、いまむら病院は、納入を受けたとする虚偽の納品書等を事業実績報告書に添付して、これに係る購入費用11,317,384円を対象経費の実支出額として計上していた。

したがって、実際には納入を受けていなかった整備対象設備等に係る費用を対象経費の実支出額から除くなどして、適正な県補助金の交付額を算定すると計6,803,000円となり、県補助金の交付額17,709,000円との差額10,906,000円が過大となっていて、これに係る交付金10,906,000円が過大に交付されていて不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、事業主体において事業の適正な実施に対する認識が著しく欠けていたこと、同県において事業実績報告書等の審査が十分でなかったことなどによると認められる。

(いまむら病院の事態については、前掲「新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金(医療分)(新型コロナウイルス感染症対策事業及び新型コロナウイルス感染症重点医療機関体制整備事業に係る分)が過大に交付されていたもの」及び後掲「新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金(医療分)(新型コロナウイルス感染症を疑う患者受入れのための救急・周産期・小児医療体制確保事業に係る分)が過大に交付されていたもの」参照)