• 国会からの検査要請事項に関する報告(検査要請)|
  • 会計検査院法第30条の3の規定に基づく報告書|
  • 令和8年1月|

有償援助(FMS)による防衛装備品等の調達の状況に関する会計検査の結果について


第2 検査の結果

今回の検査では、元年報告のフォローアップを中心としつつ、30年度以降のFMS調達において新たに見受けられた状況についても確認し、整理及び分析を行った。これに伴い、本報告書では、元年報告のフォローアップと新たな検査の結果とを交えて報告することとしている。

検査の結果を示すのに先立ち、元年報告の所見に対するフォローアップの結果を記載している箇所を整理して示すと、図表0-10のとおりである(元年報告のフォローアップの結果の主なものについては、別図表2参照)。

図表0-10 元年報告の所見及び本報告書における元年報告の所見に対するフォローアップの結果の記載箇所

図表0-10 元年報告の所見及び本報告書における元年報告の所見に対するフォローアップの結果の記載箇所画像

1 FMSによる防衛装備品等の調達全般の状況

(1) FMSによる防衛装備品等の調達の状況

ア 整備計画等に基づき調達する防衛装備品等のうちFMS調達の対象となるものの状況

第1の2(3)のとおり、26中期防、31中期防及び整備計画には、5年間を計画期間とする防衛力整備の実施に必要な金額及び主要防衛装備品の整備規模が示されており、この中にはFMSにより調達されるものも含まれている。FMS調達の契約ベース(注14)の当初予算額は、30年度は4101億余円、令和元年度は7012億余円、2年度は4713億余円、3年度は2543億余円、4年度は3796億余円、5年度は1兆4767億余円、6年度は9316億余円、7年度は1兆0075億余円となっていて、年度によってばらつきはあるものの多額に上っており、整備計画の計画期間に含まれる5年度以降の額は4年度以前の額と比べて大幅に増加している(別図表3参照)。

そして、FMSによる防衛装備品等の調達の状況についてみると、次のとおりとなっていた。

防衛省は、26中期防、31中期防及び整備計画の別表に記載されている主要防衛装備品のうち、図表1-1に記載の防衛装備品に係る主要な装備等をFMSにより調達することとしており、整備計画では、海上、航空両自衛隊において、主要防衛装備品の種類又は整備規模が26中期防及び31中期防に比べて増加していた。

(注14)
契約ベース  当該年度に締結する契約額の合計であり、当該年度に支払う経費と当該年度の翌年度以降に支払う経費の合計である。契約ベースは、当該年度に支払う額の合計である「歳出ベース」とは異なるものである。

図表1-1 FMS調達の対象となる主要防衛装備品

区分
注(1)
26中期防
(平成26年度~30年度)
31中期防
(令和元年度~5年度)
整備計画
(5年度~9年度)
種類整備規模種類整備規模種類整備規模
陸上自衛隊ティルト・ローター機 注(2)17機
陸上配備型イージス・システム(イージス・アショア) 注(3)2基
海上自衛隊イージス・システム搭載護衛艦2隻
イージス・システム搭載艦2隻
トマホーク-
弾道ミサイル防衛用迎撃ミサイル(SM-3 ブロックⅡA)-
長距離艦対空ミサイルSM-6-
航空自衛隊新早期警戒(管制)機4機早期警戒機(E-2D)9機早期警戒機(E-2D)5機
戦闘機(F-35A)28機戦闘機(F-35A)
注(4)
45機戦闘機(F-35A)40機
戦闘機(F-35B) 注(5)25機
戦闘機(F-15)の能力向上20機戦闘機(F-15)の能力向上54機
新空中給油・輸送機3機空中給油・輸送機(KC-46A)4機空中給油・輸送機(KC-46A等) 注(6)13機
滞空型無人機(グローバルホーク)1機
共同の部隊滞空型無人機3機
  • 注(1) 「26中期防」「31中期防」及び「整備計画」の下に記載の括弧内の期間は、計画期間を示している。
  • 注(2) 26中期防におけるティルト・ローター機は、平成26年に機種がV-22(オスプレイ)に決定されている。
  • 注(3) 31中期防における「陸上配備型イージス・システム(イージス・アショア)2基」については、陸上自衛隊が要求し契約していたが、「新たなミサイル防衛システムの整備等及びスタンド・オフ防衛能力の強化について」(令和2年12月国家安全保障会議及び閣議決定)において、「陸上配備型イージス・システムに替えて、イージス・システム搭載艦2隻を整備する。同艦は海上自衛隊が保持する。同艦に付加する機能及び設計上の工夫等を含む詳細については、引き続き検討を実施し、必要な措置を講ずる。」とされている。
  • 注(4) 31中期防における戦闘機(F-35A)の機数45機のうち、18機については、短距離離陸・垂直着陸機能を有する戦闘機の整備である。
  • 注(5) 戦闘機(F-35B)は、戦闘機(F-35A)と同様にステルス機能等の高い能力を有しながら、戦闘機(F-35A)とは異なり、短距離離陸・垂直着陸機能を有する戦闘機である。
  • 注(6) 整備計画における空中給油・輸送機(KC-46A等)のうち、令和6年度末時点においてはKC-46AがFMS調達の対象である。
  • 注(7) 「整備規模」について、数量が公表されていないものは、「-」としている。

そして、防衛省は、整備計画等において、主要防衛装備品を含む主な事業の計画期間中の見込額を公表している。見込額全額がFMSによる調達かどうかは明らかにされていないものの、FMS調達の対象となる主要防衛装備品に係る整備計画期間中の見込額は、図表1-2のとおり、戦闘機(F-35A)及び戦闘機(F-35B)がそれぞれ0.4兆円、計0.8兆円となっており、戦闘機(F-35A/B)が主要防衛装備品の中で最も大きな金額となっていた。

図表1-2 FMS調達の対象となる主要防衛装備品に係る整備計画期間中の見込額等

種類 整備規模 整備計画期間中の見込額
イージス・システム搭載艦2隻0.4兆円
トマホーク-0.2兆円
弾道ミサイル防衛用迎撃ミサイル(SM-3 ブロックⅡA)-0.2兆円
長距離艦対空ミサイルSM-6-0.1兆円
早期警戒機(E-2D)5機0.2兆円
戦闘機(F-35A)40機0.4兆円
戦闘機(F-35B)25機0.4兆円
戦闘機(F-15)の能力向上54機0.3兆円
空中給油・輸送機(KC-46A等)13機0.4兆円
  • 注(1) 「防衛力整備計画について」(令和4年12月防衛省)によれば、整備計画期間中の見込額は、整備計画策定時の見積りで金額は精査・調整中であり、変動があり得るとされている。
  • 注(2) 「種類」に記載の主要防衛装備品は、主要な装備等をFMSにより調達するものであり、整備計画においては見込額全額がFMSによる調達かどうかについて明らかにされていない。
  • 注(3) 「整備規模」について、数量が公表されていないものは、「-」としている。
イ FMS調達の調達額の推移等
(ア) 統計訓令に基づく防衛装備品等の調達額全体に占めるFMS調達の調達額の推移

「装備品等の統計調査に関する訓令」(昭和34年防衛庁訓令第69号。以下「統計訓令」という。)等によれば、各幕僚長や防衛装備庁長官(以下「装備庁長官」という。)等は、防衛装備品や防衛装備品に直接関連する役務の調達の契約ベースの調達額(FMS調達については、防衛省において契約額を契約年度の支出官レートにより邦貨額に換算したもの)について、毎年度、防衛大臣に報告することとされている。

そこで、統計訓令に基づき防衛大臣に報告された平成30年度から令和5年度までの防衛装備品等全体の調達額についてみると、図表1-3のとおり、平成30年度から令和4年度までは2兆円台で推移していたが、第1の2(3)のとおり、整備計画において新たに必要となる事業に係る契約額(物件費)は43兆5000億円程度とすることとされたことを受け、5年度は大幅に増加して7兆1825億余円となっていた。また、FMS調達の調達額についても同様に、5年度は平成30年度の3955億余円(防衛装備品等全体の調達額に占める割合17.7%)から3倍以上となる1兆3867億余円(同19.3%)に増加していた(別図表4参照)。

図表1-3 統計訓令に基づく防衛装備品等全体の調達額の推移

図表1-3 統計訓令に基づく防衛装備品等全体の調達額の推移画像

(イ) 有償援助訓令に基づくFMS調達の調達額の推移等

有償援助訓令によれば、調達を実施した各幕僚長や装備庁長官等は、統計訓令に基づく報告とは別に、毎年度、FMS調達の実施状況について、防衛大臣に報告することとされている(以下、この報告を「大臣報告」という。)。大臣報告では、各年度のFMS調達の実績や支払状況、当該年度末時点におけるFMS調達の精算が完了していないケースの状況等が報告されている。そこで、大臣報告を基に30年度から令和5年度までのFMS調達の契約ベースの調達額の推移等を示すと次のとおりである。

a FMS中央調達及びFMS地方調達の調達額の推移

平成30年度から令和5年度までのFMS調達の調達額についてみると、平成30年度から令和5年度までの調達合計額は3兆5520億余円となっている(別図表5参照)。これをFMS中央調達及びFMS地方調達の別に整理して年度ごとの合計額でみると、図表1-4のとおり、FMS調達の調達額は、平成30年度の4078億余円から令和5年度の1兆3867億余円へと3倍以上に増加しており、いずれの年度もFMS中央調達が大部分を占める状況となっていた。また、各年度の支出官レートの変更による影響を除くために米ドルで比較しても、平成30年度の36億4145万余米ドルから令和5年度の101億2196万余米ドルへと約2.7倍に増加していた。

図表1-4 FMS中央調達及びFMS地方調達の調達額の推移

図表1-4 FMS中央調達及びFMS地方調達の調達額の推移画像

b 自衛隊等別のFMS調達の調達額の推移

平成30年度から令和5年度までのFMS調達の調達額について、調達要求元である自衛隊等別にみると、図表1-5のとおりとなっており、自衛隊別の調達額の推移及びその要因は次のとおりとなっていた(別図表6参照)。

① 陸上自衛隊については、元年度に陸上配備型イージス・システム(イージス・アショア)のLOAを取り交わしたことなどから、平成30年度の794億余円から令和元年度の1694億余円に調達額が増加していた。その後、当該陸上配備型イージス・システム(イージス・アショア)に替えて、海上自衛隊が保持するイージス・システム搭載艦2隻を整備することが決定されたことなどから、2年度以降は減少して5年度は285億余円(5年度におけるFMS調達の調達額全体に占める割合2.0%)となっていた。

② 海上自衛隊については、平成30年度から令和4年度までは645億余円から1283億余円の間で推移していたものの、5年度にイージス・システム構成品の整備、トマホークの購入やイージス艦等へのトマホーク発射機能の付加のLOAを取り交わしたことなどから、5416億余円(同39.0%)に増加していた。

③ 航空自衛隊については、平成30年度から令和5年度にかけて戦闘機(F-35A/B)55機、早期警戒機(E-2D)15機のLOAを取り交わしたことなどから、いずれの年度においても自衛隊等の中で最も調達額が大きくなっていた。また、5年度は戦闘機(F-35B)の調達機数が4年度の4機から8機に増加したことなどにより4年度の2884億余円から大きく増加して、7875億余円(同56.7%)となっていた。

図表1-5 自衛隊等別のFMS調達の調達額の推移

図表1-5 自衛隊等別のFMS調達の調達額の推移画像

c 代表的な防衛装備品等及び維持整備に係るFMS調達の調達額の状況等

aのとおり、平成30年度から令和5年度までのFMS調達の調達合計額は3兆5520億余円となっている。このうち、調達合計額の上位10件のケースについてみると、図表1-6のとおり、いずれも主要防衛装備品に関連する調達となっており、これら10件のケースの調達額を合計すると2兆2940億余円(平成30年度から令和5年度までの全てのFMS調達に係る調達合計額3兆5520億余円に占める割合64.5%)となっていた。また、これら10件のケースのうち、「戦闘機(F-35A/B)」のケースの調達額が8041億余円と最も大きくなっており、「戦闘機(F-35A)」のケースの1994億余円と合わせると1兆0035億余円となっていた(別図表7参照)。

図表1-6 FMS調達の平成30年度から令和5年度までの調達合計額の上位10件のケース

図表1-6 FMS調達の平成30年度から令和5年度までの調達合計額の上位10件のケース画像

また、防衛省は、防衛装備品の調達に加えて、調達した防衛装備品の高い可動率を確保するために、FMS調達により補用部品等や技術支援の提供を受けるなどして、防衛装備品の維持整備を行っている。

そこで、航空機、艦船、武器等の維持整備に係る予算科目により調達を行ったもの(能力向上のための改修等を含む。)のFMS調達の調達額の推移をみたところ、図表1-7のとおり、平成30年度の873億余円から令和5年度の3416億余円へと増加していた。このうち、5年度についてみると、航空機修理費に係る調達額が2804億余円となっていて、全体の8割を占めていた(別図表8参照)。

図表1-7 維持整備に係るFMS調達の調達額の推移

図表1-7 維持整備に係るFMS調達の調達額の推移画像

(ウ) 日本を含めた諸外国等におけるFMSによる調達額の状況

FMSは、合衆国政府が防衛装備品等を諸外国等に対して有償で提供する取引である。DSCAが公表している「Historical Sales Book Fiscal Years 1950-2023(Fiscal Year 2023 Edition)」を基に、アメリカ合衆国の会計年度である2019年度から2023年度まで(平成30年10月から令和5年9月まで)の諸外国等の中における日本の調達額の状況についてみると、我が国は2021年度(令和2年10月から3年9月まで)において最上位となるなど諸外国等の中で毎年度上位10位以内に位置しており、当該期間の合計額でみると、オーストラリア連邦、台湾、サウジアラビア王国に次ぐ第4位となっていた(図表1-8参照)。

図表1-8 FMSによる調達額の上位10の諸外国等の推移

(単位:千米ドル)

順位FY2019FY2020FY2021FY2022FY2023FY2019~2023
1サウジアラビア王国
14,971,804
台湾
11,777,425
日本
3,903,517
フィンランド共和国
11,830,598
ドイツ連邦共和国
13,897,573
オーストラリア連邦
23,059,071
2日本
6,880,409
ポーランド共和国
4,709,501
英国
2,861,108
オーストラリア連邦
6,668,630
オーストラリア連邦
12,095,770
台湾
21,616,107
3ベルギー王国
5,456,525
モロッコ王国
4,538,590
台湾
2,678,026
スイス連邦
5,698,627
日本
5,883,608
サウジアラビア王国
21,519,163
4大韓民国
2,688,443
アラブ首長国連邦
3,567,997
カナダ
2,555,818
ポーランド共和国
4,825,771
台湾
4,227,980
日本
21,453,605
5バーレーン王国
1,946,172
インド共和国
3,363,690
エジプト・アラブ共和国
2,027,881
日本
2,803,481
ポーランド共和国
2,695,383
ドイツ連邦共和国
17,097,525
6スロバキア共和国
1,881,342
大韓民国
2,124,078
大韓民国
1,901,969
イスラエル国
2,428,276
大韓民国
2,657,913
ポーランド共和国
13,030,792
7スペイン王国
1,788,390
日本
1,982,589
サウジアラビア王国
1,564,780
台湾
2,057,121
サウジアラビア王国
2,295,027
フィンランド共和国
12,122,130
8オーストラリア連邦
1,638,806
オーストラリア連邦
1,718,361
フランス共和国
1,516,440
ヨルダン・ハシェミット王国
1,731,564
ノルウェー王国
1,959,209
大韓民国
10,319,667
9イスラエル国
1,489,743
シンガポール共和国
1,291,280
イスラエル国
1,478,485
サウジアラビア王国
1,512,311
クウェート国
1,925,233
イスラエル国
7,972,650
10ブルガリア共和国
1,261,029
サウジアラビア王国
1,175,239
クウェート国
1,256,741
エジプト・アラブ共和国
1,492,082
スペイン王国
1,682,295
スイス連邦
7,489,983
  • 注(1) DSCAが公表している「Historical Sales Book Fiscal Years 1950-2023(Fiscal Year 2023 Edition)」を基に作成した。
  • 注(2) 「FY」は、アメリカ合衆国の会計年度を示しており、例えば、「FY2023」は令和4年10月から5年9月までである。
  • 注(3) 下段の計数は、諸外国等の調達額を示している。

(2) FMSによる防衛装備品等の調達に係る後年度負担額、及びこれに対する為替の影響等の状況

ア FMS調達に係る後年度負担額の状況
(ア) FMS中央調達に係る国庫債務負担行為による後年度負担額の状況

第1の2(4)のとおり、防衛省は、防衛装備品等の調達等の実施に当たり、国庫債務負担行為及び継続費による複数年度契約を締結しているため、後年度負担額が生じている。そして、複数年度契約で行う調達等の大部分は国庫債務負担行為によるものである。また、図表1-4のとおり、FMS調達の調達額の大部分は、FMS中央調達である。

そこで、平成30年度から令和5年度までのFMS中央調達に係る国庫債務負担行為による後年度負担額について、新規分の後年度負担額と既定分の後年度負担額とに区分すると、図表1-9のとおりとなっており、後年度負担額全体では平成30年度から令和4年度までは、おおむね1兆円程度で推移していたが、5年度は平成30年度と比べて約2倍の1兆8947億余円にまで増加していた。このうち、令和5年度の新規分の後年度負担額は、整備計画において新たに必要となる事業に係る契約額(物件費)が43兆5000億円程度とすることとされたことから、FMS調達の調達額と同様に4年度までと比べて大幅に増加して1兆2194億余円となっていた。一方、既定分の後年度負担額は、前年度における新規分の後年度負担額の推移等に応じたものとなっており、2年度に9094億余円まで増加したものの、それ以降は2年度と比べて減少していて、5年度は6753億余円となっていた(別図表9参照)。

図表1-9 FMS中央調達に係る国庫債務負担行為による新規分の後年度負担額と既定分の後年度負担額の推移

図表1-9 FMS中央調達に係る国庫債務負担行為による新規分の後年度負担額と既定分の後年度負担額の推移画像

(イ) FMS中央調達に係る新規分の後年度負担額の状況

図表1-9のとおり、FMS中央調達に係る国庫債務負担行為による新規分の後年度負担額が増加していることから、中央調達全体に係る国庫債務負担行為による新規分の後年度負担額に占めるFMS中央調達の割合をみると、図表1-10のとおり、元年度が43.9%と最も高くなっており、元年度から3年度にかけては減少していたが、3年度から5年度にかけては19.0%から25.9%へと増加していた(別図表10参照)。

図表1-10 中央調達全体に係る国庫債務負担行為による新規分の後年度負担額の推移

図表1-10 中央調達全体に係る国庫債務負担行為による新規分の後年度負担額の推移画像

そして、FMS中央調達について、平成30年度から令和5年度までの各年度に国庫債務負担行為により締結した契約に基づく新規分の後年度負担額の支払年度別の推移を確認したところ、図表1-11のとおり、5年度の国庫債務負担行為による新規分の後年度負担額は、いずれの支払年度についても4年度と比べて増加していた。また、元年報告において、支払年度「X+3年度」以降の割合が5割を超えている状況となっていたことを報告していることから、同様に、「X+3年度」以降の割合についてみると、3年度以降減少傾向であるものの、5年度において約5割となっており、引き続き支払期間が長い状況となっていた(別図表11参照)。

図表1-11 FMS中央調達における国庫債務負担行為による新規分の後年度負担額の支払年度別の推移

図表1-11 FMS中央調達における国庫債務負担行為による新規分の後年度負担額の支払年度別の推移画像

イ FMS中央調達の後年度負担額に対する為替の影響の状況

FMS調達における個々のケースの契約額は、米ドル建ての契約額を契約年度の支出官レートにより換算した邦貨額であり、支払額は米ドル建ての契約額を支払年度の支出官レートにより換算した邦貨額となることから、契約年度と支払年度が異なる場合、後年度負担額は、為替の影響を受けることがある。FMS中央調達に係る国庫債務負担行為による後年度負担額は、図表1-9のとおり、平成30年度から令和4年度まではおおむね1兆円程度で推移していたが、5年度は平成30年度と比べて約2倍の1兆8947億余円にまで増加していたことから、支払額については、将来の為替変動によって大きく変動する可能性があると思料される。

そして、支出官レートは、30年度から令和4年度までは1米ドル110円程度で推移し、5年度は同137円、6年度は同139円、7年度は同150円と円安方向に推移している。契約年度の支出官レートより支払年度の支出官レートが円高である場合には、実際の支払額は契約額より小さくなり、円安である場合には、実際の支払額は契約額より大きくなる。

そこで、平成30年度から令和5年度までにLOAを取り交わした全てのFMS中央調達のケースにおける為替の影響による支払額の状況についてみると、次のとおりとなっていた。

(ア) 平成30年度及び令和元年度のケースの状況

平成30年度及び令和元年度のケースに着目すると、平成30年度のケースは令和4年度末までに、元年度のケースは長期契約分を除いて5年度末までに、契約額の全額が支払われている。そこで、長期契約分を除いた両年度のケースを対象に、為替による影響を踏まえた支払額についてみると、図表1-12のとおり、平成30年度のケースでは、支出官レートが30年度の1米ドル112円から令和4年度の同108円まで円高に推移したため、支払額は、契約額4004億余円より121億余円減額となる3882億余円であった。一方、元年度のケースでは、支出官レートが元年度の1米ドル110円から4年度の同108円まで円高に推移したが、5年度は同137円と円安になったため、支払額は、契約額4925億余円より244億余円増額となる5170億余円であり、整備計画の計画期間に含まれる5年度の支払額は、契約額より297億余円増加していた。

図表1-12 令和5年度末までに支払が完了している平成30年度及び令和元年度のケースにおける為替の影響額

(単位:百万円)

契約
年度
区分支払年度
平成30年度
(112円)
令和元年度
(110円)
2年度
(110円)
3年度
(108円)
4年度
(108円)
5年度
(137円)
平成
30年度
(112円)
契約額 (a)21,72131,48146,724210,09090,391400,409
実支払額 (b)21,72130,91945,890202,58687,163388,281
差額 (b-a)-△ 562△ 834△ 7,503△ 3,228△ 12,127
令和
元年度
(110円)
契約額 (a)33,71843,611143,291150,613121,344492,579
実支払額 (b)33,71843,611140,687147,874151,123517,015
差額 (b-a)--△ 2,603△ 2,73829,77824,436
  • 注(1) 「契約額」は、各支払年度の米ドル建ての支払額に契約年度の支出官レートを乗じた額である。なお、変更契約による米ドル建ての支払額がある場合には、変更契約を締結した年度の支出官レートを乗じている。
  • 注(2) 令和元年度に締結した早期警戒機(E-2D)の機体及び通信電子機器の取得に関する長期契約は、5年度末までに支払が完了していないものがあるため、当該長期契約の契約額1939億余円を元年度のケースから差し引いて算定している。
  • 注(3) 「契約年度」「支払年度」の下に記載の括弧内の計数は、米ドルの支出官レートである。
(イ) 元年度に締結した長期契約の状況

元年度のケースの中には、早期警戒機(E-2D)の機体及び通信電子機器の取得に関する長期契約がある。当該長期契約の中には、支払年度が元年度から7年度までのものがあることから5年度末までに支払額が確定していなかったが、支払状況を確認したところ、7年6月に支払が完了していた。そこで、元年度に締結した長期契約(早期警戒機(E-2D)の機体及び通信電子機器の取得)に限定して、図表1-12と同様に為替の影響についてみたところ、支払額は、図表1-13のとおり契約額より165億余円増加しており、整備計画の計画期間に含まれる5年度から7年度までの各年度の支払額は、契約額より計183億余円増加していた。

図表1-13 令和元年度に締結した長期契約(早期警戒機(E-2D)の機体及び通信電子機器の取得)における為替の影響額

図表1-13 令和元年度に締結した長期契約(早期警戒機(E-2D)の機体及び通信電子機器の取得)における為替の影響額画像

(ウ) 2年度以降のケースの状況

2年度以降のケースについては支払が完了していないものもあるため、為替の影響額を確定した金額として示すことはできない。そこで、2年度以降のケースについて、国庫債務負担行為による新規分の後年度負担額の支払年度に基づき、支出官レートが判明している3年度から7年度までの年割額を対象に、それぞれの支払年度の支出官レートを乗じて3年度から7年度までの支払額を試算すると、図表1-14のとおり、支出官レートの変動によって新規分の後年度負担額(円建て)(注15)より支払額が計2513億余円増加することとなった。そして、このうち整備計画の計画期間に含まれる5年度から7年度までの各年度の支払額についてみると、計2530億余円増加することとなっていた。

(注15)
新規分の後年度負担額(円建て)  米ドル建ての新規分の後年度負担額に契約年度の支出官レートを乗じた金額

図表1-14 令和2年度以降のケースにおける国庫債務負担行為による新規分の後年度負担額に対する為替の影響額(試算)

図表1-14 令和2年度以降のケースにおける国庫債務負担行為による新規分の後年度負担額に対する為替の影響額(試算)画像

(ア)から(ウ)までのとおり、FMS中央調達の後年度負担額に対する為替の影響により、整備計画の計画期間に含まれる5年度から7年度までの支払額が、契約額又は新規分の後年度負担額(円建て)より、元年度のケースにおいて481億余円(長期契約(早期警戒機(E-2D)の機体及び通信電子機器の取得)における為替の影響額183億余円を含む。)、2年度以降のケースにおいて2530億余円(試算額)の計約3000億円増加することが見込まれる状況となっていた。

ウ 防衛省におけるFMS調達の効率化・合理化の取組の状況

第1の2(3)のとおり、整備計画によれば、5年度から9年度までの5年間における計画の実施に必要な防衛力整備の水準額は43兆円程度とされ、整備計画の下で実施される各年度の予算編成に伴う防衛関係費は40兆5000億円程度とされている。また、これらの金額の差額は、①自衛隊施設等の整備の更なる加速化を事業の進捗状況等を踏まえつつ機動的・弾力的に行うこと、②一般会計の決算剰余金が想定よりも増加した場合にこれを活用することとされている。ただし、格段に厳しさを増す財政事情と国民生活に関わる他の予算の重要性等を勘案し、防衛力整備の一層の効率化・合理化を徹底し、当該剰余金が増加しない場合にあっては、効率化・合理化の取組を通じて実質的な財源確保を図るとされている。

整備計画に記載のとおり、防衛省は、防衛力整備の効率化・合理化の取組を実施しており、その内容を予算資料等で公表している。具体的には、重要度の低下した防衛装備品の運用停止、防衛装備品の効率的な取得等の調達の最適化による縮減を各年度の予算に反映させており、5年度予算では約2572億円、6年度予算では約2764億円、7年度予算では約2653億円の縮減を図るとしている。

一方、(2)イのとおり、FMS中央調達に係る5年度の後年度負担額は、平成30年度と比べて約2倍の1兆8947億余円にまで増加していたことから、支払額は、将来の為替変動によって大きく変動する可能性がある状況であり、現に為替の影響により、整備計画の計画期間に含まれる令和5年度から7年度までの支払額は、契約額又は新規分の後年度負担額(円建て)より約3000億円増加することが見込まれる状況である。

為替の影響による支払額の増加にどのように対応するのかについて防衛省に確認したところ、為替の影響による実際の支払額の増加分も含めて、整備計画の実施に必要な防衛力整備の水準額である43兆円程度の規模を維持するために、更なる効率化・合理化の取組を進めるとしている。また、更なる効率化・合理化の取組は、防衛省全体として進めているものであり、この中にはFMS調達に係る調達の効率化・合理化の取組も含まれるとしている。

そこで、調達の効率化・合理化の取組の状況を把握し、管理している内部部局に、FMS調達に係る調達の効率化・合理化の取組の状況について確認したところ、防衛省全体の調達の効率化・合理化の取組の状況や縮減額については把握していたが、FMS調達に係る調達の効率化・合理化の取組の状況や縮減額については一元的に把握する体制になっていなかった。なお、FMS調達に係る調達の効率化・合理化の取組の状況について、調達要求元である各自衛隊等に確認できた範囲では、5年度に航空自衛隊で1件337億余円、7年度に海上自衛隊で1件12億余円の計2件349億余円の縮減となっていた。

防衛省は、FMS調達で生じた為替の影響による実際の支払額の増加分の全てをFMS調達に係る調達の効率化・合理化の取組で賄うこととはしていないものの、7年度の支払までは、為替の影響により支払額が増加していること、今後も為替の影響により支払額が増加する可能性があることを踏まえて、FMS調達に係る調達の効率化・合理化の取組の状況を一元的に把握できるようにして、FMS調達についての更なる効率化・合理化に努める必要がある。

2 FMSによる防衛装備品等の調達の契約方法、契約手続、調達価格の設定等の状況

(1) 契約方法の状況

ア FMS中央調達の状況等
(ア) ケースの集約化の状況

LOAの送付から余剰金の返還までの処理が完了しておらず継続中となっているFMS中央調達のケースの件数は、図表2-1のとおり、平成30年度から令和5年度までの各年度末において1,000件を超えており、合衆国政府は、ケースの件数が増加すると合衆国政府の管理が煩雑になることなどを理由に、新規にLOAを取り交わしてケースを開設するのではなく、既存のケースにラインを追加するなどしてケースの件数を抑制することにより、ケースの集約化を図ることを防衛省に要請している。

図表2-1 FMS中央調達における余剰金の返還までの処理が完了していないケース数等の推移

(単位:件)

区分平成
30年度
令和
元年度
2年度3年度4年度5年度
前年度までに処理が完了していないケース数(a)1,0881,0641,0411,0281,0601,037
うち当年度中に処理が完了したケース数(b)15817312492139138
うち当年度中において処理が完了していないケース数(c=a-b)930891917936921899
当年度中に新規にLOAを取り交わしたケース数(d)134150111124116160
当年度末において処理が完了していないケース数(c+d)1,0641,0411,0281,0601,0371,059

我が国は、予算の単年度主義を採用していることから、予算年度が異なる場合は、原則として新規にLOAを取り交わしていたものの、同一又は関連する調達要求品目が多い場合には、合衆国政府の要請を踏まえて、既に取り交わされているLOAにラインを追加するアメンドメントを取り交わすなどしている(以下、アメンドメントによりラインを追加したケースを「ライン追加ケース」という。)。そして、このようにケースの集約化を行った場合、防衛省は、予算年度別の進捗状況の管理をライン単位で行うことにしている。

ケースの集約化は、合衆国政府にとってはケースの進捗状況の管理に係る事務負担の軽減につながり、防衛省にとっては新規のケースを開設するよりも調整事項の少ないアメンドメントを取り交わすことによる事務負担の軽減につながる。しかし、第1の2(2)カ(イ)のとおり、ケースに係る全ての防衛装備品等の提供が完了して購入契約の支払金額が確定することにより合衆国政府から最終計算書が送付されることとなっていることから、当初のラインに係る防衛装備品等の提供が完了した場合でも、アメンドメントにより追加したライン全ての防衛装備品等の提供が完了しない限り、最終計算書が合衆国政府から送付されず、当該ケース全体の終結に向けて手続を進めることができない(図表2-2参照)。このため、当該ケースの前払金に係る余剰金が発生していた場合でも、長期にわたり余剰金の返還を受けられない状況となる(戦闘機(F-35A/B)に係るケースを除く。戦闘機(F-35A/B)に係るライン追加ケースの精算状況については、後述3(3)イ(ア)参照)。

図表2-2 基本的なケースの場合とケースを集約化する場合の相違点(概念図)

図表2-2 基本的なケースの場合とケースを集約化する場合の相違点(概念図)画像

そこで、余剰金の返還時期に影響を与える可能性があるケースの集約化の状況を把握するために、平成30年度から令和5年度までにケースの集約化が行われた件数等の推移をみたところ、図表2-3のとおり、延べ計65件(ケース数42件)、アメンドメント後の契約額相当額延べ計4兆4597億余円のアメンドメントが取り交わされていた。このうち、戦闘機(F-35A/B)に係るケースについては、延べ計5件(ケース数2件)、アメンドメント後の契約額相当額延べ計2兆9958億余円、戦闘機(F-35A/B)以外のケースについては、延べ計60件(ケース数40件)、アメンドメント後の契約額相当額延べ計1兆4639億余円となっていた。

そして、5年度末時点で余剰金の返還までの処理が完了していないものは、延べ計64件(ケース数41件)、アメンドメント後の契約額相当額延べ計4兆4543億余円(ケースの重複を控除した純計2兆4046億余円)となっていた。このうち、戦闘機(F-35A/B)に係るケースについては、延べ計5件(ケース数2件)、アメンドメント後の契約額相当額延べ計2兆9958億余円(ケースの重複を控除した純計1兆5852億余円)、戦闘機(F-35A/B)以外のケースについては、延べ計59件(ケース数39件)、アメンドメント後の契約額相当額延べ計1兆4585億余円(ケースの重複を控除した純計8194億余円)となっていた。ケースの集約化を実施した年度によって、ケースの集約化から5年度末までの期間が異なることを考慮する必要はあるものの、ケースの集約化が行われたケースについては、余剰金の返還までの処理がほとんど完了していない状況であった。

図表2-3 FMS中央調達におけるケースの集約化の件数等の推移

(単位:件、百万円)

区分平成
30年度
令和
元年度
2年度3年度4年度5年度
アメンドメントを行ったケース数354154607958延べ 327
① 既存のケースにアメンドメントによりケースを集約化したケース
件数675102017延べ 65
注(3) (42)
集約した調達要求品目数21208223232135
既存の契約額相当額(a)666,650748,971160,022437,881396,320660,085延べ 3,069,930
大臣報告上の契約額相当額の変更額(b)161,212111,555118,374132,945239,113626,6541,389,854
ラインを追加するアメンドメントによる契約額相当額の変更額145,339119,152119,582134,822239,113621,5521,379,562
ラインを追加する以外のアメンドメントによる契約額相当額の変更額 注(1)15,872△7,597△1,207△1,87705,10110,292
アメンドメント後の契約額相当額(a+b)827,862860,526278,396570,826635,4331,286,739延べ 4,459,785
② ①のうち5年度末時点で余剰金の返還までの処理が完了していないケース
件数665102017延べ 64
注(3) (41)
アメンドメント後の契約額相当額827,862855,127278,396570,826635,4331,286,739延べ 4,454,386
注(3) (2,404,697)
  • 注(1) 「ラインを追加する以外のアメンドメントによる契約額相当額の変更額」は、既存のラインに係る調達数量の変更等により生ずるものである。
  • 注(2) 一つのケースにおいて複数の年度でアメンドメントを取り交わす場合があることから、計においては、「件数」は延べ数を、「既存の契約額相当額」及び「アメンドメント後の契約額相当額」は延べ額を記載している。
  • 注(3) 括弧内の件数及び金額は、ケースの重複を控除した純計であり、金額については、令和5年度の大臣報告における現行契約額を集計した金額である。

ケースの集約化を行うに当たっては、日米双方の事務負担等を勘案しつつも、長期にわたり余剰金の返還を受けられない可能性があることに留意することが望まれる。

(イ) EDAの調達等の状況

第1の2(2)イのとおり、FMSにおいては、合衆国政府で余剰となった防衛装備品であるEDAの提供を受けることもできる。EDAとして整理された際の防衛装備品の状態は様々であり、国防省が定める財務管理規則(Financial Management Regulation)によれば、EDAについては経年や状態に応じて合衆国政府における取得価格の5%から50%の価格で購入できるとされていることから、防衛装備品の安価な調達が可能となる。一方、合衆国政府が保有していた状態のまま提供されることになるため、調達に当たって修理や改修を行う必要がある場合は購入国の負担で行うことになる。

そこで、防衛省において、EDA調達を行った防衛装備品に問題は生じていないかなどを確認したところ、次のような状況となっていた。

5年度までのEDA調達の実績は、海上自衛隊が運用している輸送機C-130Rの取得の1件となっていた。これは、海上自衛隊において、平成23年3月の東日本大震災の発生に伴う輸送機YS-11の飛行時間の急激な増加により、前倒しで輸送機YS-11の後継機の取得が必要となり、新造機では取得するまでに時間を要し、業務に支障を来すおそれがあったことから、24年3月にLOAを取り交わして、古品の輸送機C-130R6機をEDA調達したものであった。当該LOAにおいて、輸送機C-130R6機に係る見積調達価格は、機体の状態を踏まえて、合衆国政府における取得価格4767万米ドルの10%である476万7000米ドルとされていた。

当該輸送機C-130Rの調達に当たっては、海上自衛隊において、合衆国政府による機体の選定及び選定した機体を飛行可能とするための再生作業の役務を機体のEDA調達と同一のケースに合わせて契約して、契約締結後の再生作業中に海上自衛隊の職員が渡米して作業状況を確認するなどしている。そして、再生作業後、海上自衛隊が派遣した連絡官等が機体を確認するなどの受領検査を行い、合格と判定した上で、26年度に4機、27、28両年度に各1機が合衆国政府から海上自衛隊に引き渡されている。

当該輸送機C-130Rの維持整備に当たり、海上自衛隊は29年度から機体の定期修理等の業務に係る契約を国内調達により実施している。当該契約締結後の定期修理等の状況を確認したところ、複数の機体において定期修理等に係る仕様書で定めた範囲を超える大規模な修理作業を必要とする不具合が発見されており、海上自衛隊が目標としている1機当たりの定期修理の完了までの期間である435日を超える修理期間を要していた。このような状況を踏まえて、海上自衛隊は、物資輸送のスケジュールに余裕を持たせて運用するなどの措置を講じていたとしている。

本件不具合について、海上自衛隊は、EDA調達との直接的な因果関係は不明であり、このような不具合が発現することを事前に具体的に想定すること、また、代替策を執ることは難しい状況であったとしているが、EDAである輸送機C-130Rを取得し、当該輸送機C-130Rを実際に運用して発見された不具合の情報は、EDA調達を行った防衛装備品の運用実績から得られた知見として、今後、EDA調達も含めた防衛装備品等の取得を検討する際に考慮すべきものであると思料される。

そして、EDA調達においては、合衆国政府が保有していた状態のままEDAを提供することから、現行の援助管理マニュアルにおいて、購入国はEDAが出荷される前に合衆国政府と共同でEDAの外観や状態を確認すること(以下、この確認を「共同視察」という。)が推奨されている。しかし、輸送機C-130Rを調達した当時の援助管理マニュアルにおいては、現在よりも共同視察の実施可能時期が制限されており、海上自衛隊は、実質的に共同視察を実施することは不可能であったとしている。

今般、合衆国政府に対して、援助管理マニュアルにおいて、共同視察を推奨している理由を確認したところ、「共同視察は、EDAの現状に基づいて適切な意思決定や価格調整等の交渉力強化が可能となること、事前に潜在的な問題を特定することで購入者は予期せぬ修理費用や不適切な機器の取得を回避できることなどの利点がある。」と回答があった。現在は、共同視察の実施可能時期が拡大されていることから、今後EDA調達を行う場合には、EDAの取得に係る制度の変化についても対応することが望まれる。

なお、令和6年度以降のEDA調達の実績としては、7年1月に、装備庁において、航空自衛隊が運用する滞空型無人機(グローバルホーク)に係る補用部品等についてEDA調達するためのアメンドメントを取り交わした1件となっていた。調達要求元である航空自衛隊は、EDA調達を選定した理由として、滞空型無人機(グローバルホーク)の運用を円滑に行うために、予算の制約等を踏まえて、合衆国政府と調達方法について協議したところ、合衆国政府からEDA調達の提案があったためとしている。

このように、緊急の取得の必要性や予算の制約等により、今後も新規のEDA調達が実施される可能性があることに鑑みて、防衛省において、EDA調達も含めた防衛装備品等の取得を検討する際に、過去にEDA調達を行って得られた知見等も踏まえた検討が行われるよう、教育資料を作成するなどして当該知見等を防衛省内において共有することが必要である。

イ FMS地方調達の状況

第1の2(2)エ(イ)のとおり、FMS地方調達における直接発注方式のCLSSAでは、合衆国政府が一定数量の補用部品等をあらかじめ在庫品として確保しておき、当該在庫品から払出しを行っている。CLSSAに係る在庫品の確保に必要な金額は、購入国の配備数量等に応じて合衆国政府から示され、防衛省は、予算の状況等も踏まえてLOAを取り交わしている。CLSSAの対象となる補用部品等は合衆国政府により指定されるとともに、LOAの契約額の範囲内で品目ごとに発注可能数の上限が設けられており、CLSSAの対象とならない品目、又は発注可能数の上限を超える数量の調達等はオムニバスにより行われている。

そして、FMS地方調達は、交換を要する部品(以下「要修理品」という。)が発生した場合にも行われていて、CLSSA又はオムニバスの区分は、それぞれ、要修理品が修理可能品である場合と、非修理可能品で新品等を調達する場合によって区分されており、これを整理して示すと図表2-4のとおりである。

図表2-4 FMS地方調達における修理可能品及び非修理可能品別の調達区分

要修理品の区分CLSSAオムニバス
修理可能品RIRO方式・DX方式ROR方式
要修理品を各軍省等に引き渡して、合衆国政府が在庫で保有する当該要修理品と同じ補用部品等の提供を受ける。要修理品を合衆国政府が契約した製造会社等に引き渡して、合衆国政府が契約した製造会社等において当該要修理品を修理して日本に返送する。
非修理可能品CLSSAによる通常の発注方式DRP方式
品目及び数量を指定して発注して、合衆国政府の在庫品の提供を受ける。品目及び数量を指定して発注する。

各調達区分の当初契約額は、図表2-5のとおり、CLSSAについては平成30年度から令和5年度まで40億円程度で推移していたが、オムニバスについては5年度の金額が111億余円となっていて、4年度の63億余円と比べて大きく増加していた(自衛隊別、調達区分別の件数及び当初契約額については、別図表12参照)。これは、品目ごとにCLSSAによる発注可能数の上限が設けられていることから、整備計画の策定により、5年度のFMS地方調達において、4年度と比べて大きく増加した分について、オムニバスによる調達が行われたことによるものと考えられる。

図表2-5 FMS地方調達における調達区分別の当初契約額の推移

図表2-5 FMS地方調達における調達区分別の当初契約額の推移画像

また、第1の2(2)エ(イ)のとおり、CLSSAの対象となる補用部品等は、合衆国政府が購入国から発注を受ける前にあらかじめ一定数量の在庫品を確保している。一方、オムニバスによる調達は、CLSSAと異なり、合衆国政府は発注を受けてから補用部品等の購入手続を開始するため、発注してから受領部隊等が補用部品等を受領して受領検査を行うまでの期間(以下「調達リードタイム」という。)がCLSSAに比べて長くなると考えられる。そこで、元年度から5年度までにCLSSA及びオムニバスの両方を用いて調達している補用部品等に係る海上自衛隊の計160件及び航空自衛隊の計918件の発注について、修理可能品及び非修理可能品の別に調達リードタイムをみたところ、その平均は、図表2-6のとおり、海上、航空両自衛隊ともにCLSSAの調達リードタイムよりもオムニバスの調達リードタイムの方が長くなっていた(注16)

(注16)
陸上自衛隊については、該当する補用部品等がなかった。

図表2-6 CLSSAとオムニバスに係る修理可能品及び非修理可能品の別の平均調達リードタイム

区分CLSSAオムニバス
修理可能品RIRO方式・DX方式ROR方式
海上自衛隊6件426.0日海上自衛隊9件759.4日
航空自衛隊5件105.2日航空自衛隊19件1030.2日
非修理可能品CLSSAによる通常の発注方式DRP方式
海上自衛隊66件186.6日海上自衛隊79件523.6日
航空自衛隊309件116.5日航空自衛隊585件146.4日

このように、実際にCLSSAの調達リードタイムよりもオムニバスの調達リードタイムの方が長くなっていたことから、調達の迅速性の観点からはCLSSAによる調達を増やした方が有利であると考えられる。一方、防衛省は、予算の制約等を踏まえて、合衆国政府が対応可能として合意できた範囲で、CLSSAの発注可能数の上限を既に引き上げており、現在の状況が変化しない場合、今後CLSSAによる調達が大きく増加する見込みは低い状況である。したがって、整備計画の策定による防衛関係費の増加に伴い、調達リードタイムが比較的長いオムニバスによる調達額が増加している状況が今後も継続すると想定されることから、引き続き進捗状況の管理を適切に実施することが望まれる。

(2) 契約手続の状況

ア FMS調達の選定の状況

第1の2(2)ウのとおり、防衛省は、機種選定通達及び元年通達に基づき、両通達の対象となる防衛装備品等について代替案分析等を行い、選定に係る結果を公表することとしている。そして、有償援助訓令等によれば、輸入しようとする防衛装備品等について、①調達源が合衆国政府に限られる防衛装備品等又は②価格、取得時期等を考慮してFMS調達が妥当であると認められる防衛装備品等であって、かつ、合衆国政府がFMSによる販売を認めるものは、FMS調達を選定することとされている。

(ア) FMS中央調達に係る調達の決定等

会計検査院は、元年報告において、「防衛装備品の特性に応じて調達方法を適切に選定するとともに、調達方法の選定を含む防衛装備品の選定過程について、十分な透明性を確保し、適切に説明責任を果たしていくこと」を所見として記述している。

そこで、FMSにより調達することとされている主要防衛装備品のうち、平成30年度から令和5年度までに新規に調達することとした主要防衛装備品を対象に、機種選定通達及び元年通達に基づく選定の状況についてみると、防衛省は、機種選定通達に基づき戦闘機(F-35B)を、また、元年通達に基づきトマホークをそれぞれ選定していた。そして、両防衛装備品については、援助管理マニュアルにおいてFMSでのみ調達が可能な防衛装備品のリストに掲載されていることから、FMS調達により調達することとしていた。

また、機種選定通達及び元年通達に基づく選定に係る公表の状況についてみると、防衛省は、上記選定の結果について、戦闘機(F-35B)については元年8月に、トマホークについては5年1月にそれぞれ公表していた。このうち、トマホークの選定に係る公表内容には、「国産のスタンド・オフ・ミサイルを所要量整備するためには一定の時間を要することから、それまでの間、十分な能力を確保するため、既に量産体制がある米国製のトマホーク」を取得する旨が記載されていた。

一方、防衛省は、長距離艦対空ミサイルSM-6については、量産を決定した時期が元年通達の通知前であったこと、イージス・システム搭載艦については、陸上配備型イージス・システム(イージス・アショア)からイージス・システム搭載艦に変更されて船舶として取り扱われることとなったが、船舶は元年通達の対象外とされていたことから、両防衛装備品の選定結果を公表していなかった。防衛省は、船舶を元年通達の対象外としている理由について、船舶は個別に設計を行って製造する防衛装備品であり、複数の候補となる防衛装備品から選定する性質の防衛装備品ではないため、選定結果を公表することとしていないとしている。

また、機種選定通達及び元年通達の対象とならない防衛装備品の選定の状況についてみると、防衛省は、調達源が合衆国政府に限られないものについては、価格、取得時期等を総合的に考慮の上、調達方法を選定することにしていた。

(イ) FMS地方調達に係る調達方法の決定状況等

元年報告において、地方調達を行う3補本は、調達している補用部品等の品目数が多数に上ること、一般的にFMS調達の方がスケールメリットが働くため経済的となると考えられることなどから、FMS調達が可能な補用部品等については、基本的には比較検討を行わずにFMS調達を選定しており、合衆国政府と取得時期等について条件が折り合わないなどの事情が生じた場合に限り、一般輸入調達の可否について合衆国政府と協議するとしていることを報告している。

今般、改めて調達方法の選定に関する考え方について3補本に確認したところ、3補本は、調達源が合衆国政府に限られない補用部品等については、価格、取得時期等を総合的に考慮して、調達方法を選定することとしていた。これは、整備計画の策定前は予算の制約のため、実質的に調達方法がFMS調達に限られていたが、整備計画の策定により防衛予算が増額され、調達方法について柔軟に検討することが可能になったためと思料される。

そこで、FMS調達から一般輸入調達への切替えが行われるなどの変化が生じているかを確認するために、統計訓令に基づく平成30年度から令和5年度までの地方調達におけるFMS調達及び一般輸入調達の調達額の推移をみたところ、図表2-7のとおり、FMS調達と一般輸入調達の割合に大きな変化は生じていなかった。

図表2-7 統計訓令に基づく地方調達におけるFMS調達及び一般輸入調達の調達額等の推移

(単位:百万円、%)

区分平成30年度令和元年度2年度3年度4年度5年度
金額割合金額割合金額割合金額割合金額割合金額割合
FMS調達8,1976.910,5339.79,4368.65,4033.99,9908.718,1036.5
一般輸入調達109,79593.097,74990.2100,22991.3130,29196.0103,99291.2259,21393.4
117,992100.0108,282100.0109,665100.0135,695100.0113,982100.0277,316100.0
  • (注) FMS調達の金額は、契約年度の支出官レート(1米ドルが、平成30年度は112円、令和元、2両年度は110円、3、4両年度は108円、5年度は137円)により邦貨額に換算したものである。

調達額の割合に大きな変化が生じていない理由としては、FMS調達の経済的な優位性に加えて、FMSにより調達している補用部品等には援助管理マニュアル等により調達方法がFMS調達に限られているものがあること、調達方法がFMS調達に限られていない場合も情報保全のため合衆国政府から一般輸入調達の許可が得られない場合があることなどにより、FMS調達から一般輸入調達への切替えには制約が多いことが考えられる。

このように、地方調達の調達方法に大きな変化は生じていないところであるが、引き続き、防衛省において、補用部品等の適切な調達方法について検討を行い、必要に応じて調達方法を変更することが望まれる。

(ウ) 有効期限が設定されている補用部品等の調達

有効期限が設定されている補用部品等の調達については、納入時点で有効期限が過ぎた補用部品等が納入されることや、有効期限までの期間が短い補用部品等が納入されることで、部隊等の運用において使用できない事態が生じることがある。このため、有効期限が設定されている補用部品等を調達する場合は、部隊等に有効期限まで一定の使用可能期間が確保されている補用部品等が納入される必要がある。

そこで、各自衛隊等において、有効期限が設定されている補用部品等の調達状況についてみると、有効期限まで一定の使用可能期間が確保されている補用部品等を受領することができていない事態が見受けられた。

上記について、事例を示すと次のとおりである。

<事例1> 有効期限まで一定の使用可能期間が確保されている生物剤関連消耗品を受領できていなかったもの

陸上自衛隊が運用する放射性物質、生物剤、有毒化学剤等によって汚染された地域での原因物質の検知・識別を目的としたNBC偵察車において使用する消耗品のうち、生物剤に関連する消耗品については、FMS調達を行っているが、当該消耗品には有効期限が設定されている(以下、有効期限が設定された生物剤に関連する消耗品を「生物剤関連消耗品」という。)。

元年報告において、装備庁は、平成28年度に生物剤関連消耗品に係るケースを締結していたが、製造会社において生物剤関連消耗品を製造するための施設を新たに建設中であるなどの理由により出荷が停止され、生物剤関連消耗品の更新予定時期を過ぎても納入されなかった事態について報告している。

その後、陸上自衛隊は、部隊等の運用に支障を来さないよう、有効期限まで一定の使用可能期間が確保されている生物剤関連消耗品を調達するために、合衆国政府と調整した上で、令和3年度にLOAを取り交わした分(4年度納入分。契約額3755万余円)から一定以上の使用可能期間が残っている生物剤関連消耗品を納入することとする条項をLOAに記載する取組を行っていた。しかし、4、5両年度にそれぞれ5回ずつに分けて受領した生物剤関連消耗品の多くがLOAに定めた確保すべき使用可能期間を満たしていなかった。そのため、陸上自衛隊は、複数の対処用防衛装備品により重層的に原因物質を検知できるなどの態勢を整える対応を実施していた。

そして、6年度以降に受領した分については、一定の使用可能期間が確保された生物剤関連消耗品を受領しているが、陸上自衛隊は、確保すべき使用可能期間を満たしていない生物剤関連消耗品が再び納入される可能性も否定できないとして、生物剤関連消耗品の調達方法を改善できるよう合衆国政府と協議している。

上記のほか、陸上自衛隊において、アメリカ合衆国から輸送する際に必要な書類が提供されるまでに期間を要したことにより、納入時点で有効期限が過ぎていた補用部品等について、海上輸送から航空輸送への切替えを行うなどして対策を実施しているものがあった。

このように、有効期限が設定されている補用部品等は、有効期限まで一定の使用可能期間が確保されているものを受領する必要があることなどから、部隊等の運用に支障を来さないよう、取得を検討する段階から防衛装備品の特性を十分に考慮するなどして合衆国政府と調整を行いつつ、対応策について検討する必要がある。

イ 前払金の支払から余剰金等の返還が完了するまでの合衆国政府における前払金の管理状況

第1の2(2)カ(イ)のとおり、DFASが信託基金利用可能額から製造会社等に対する支払を行うため、日本が支払った前払金が保管されている利子付き口座から、毎月、必要額が信託基金に繰り入れられる。

そこで、どの程度の資金が合衆国政府において保管されているのか確認したところ、図表2-8のとおり、6年3月時点で利子付き口座残高と信託基金残高の合計額は、89億米ドル超となっており、2年3月時点と比べて増加していた。

図表2-8 利子付き口座残高及び信託基金残高の推移

図表2-8 利子付き口座残高及び信託基金残高の推移画像

信託基金内では、利子付き口座から繰り入れられた前払金は、余剰金が返還されるまで一括して信託基金利用可能額として管理され、必要に応じて未精算債務準備金等の各準備金に一部振り替えられるなどされている。そして、信託基金内では、繰り入れられた前払金相当額が余剰金の返還までの進捗状況別に管理されている状況とはなっていないが、最終計算書の送付後、未精算債務額が購入契約の支払金額が確定するまで未精算債務準備金として管理されており、最終計算書の送付後、購入契約の支払金額が確定するまでの段階にある前払金に係る額については把握できる状況となっている。そこで、信託基金の残高を①未精算債務準備金、②前払金の支払から余剰金等の返還が完了するまでの手続と直接的には関係しない支払のために設けられている未精算債務準備金以外の準備金(その他の準備金)、及び③信託基金利用可能額に区分して、2年1月から6年4月までの推移を確認したところ、図表2-9のとおり、①未精算債務準備金の残高は約8220万米ドルから約9193万米ドルの間で推移しており、未精算債務額は一定の規模に保たれていた。

図表2-9 信託基金における未精算債務準備金等の残高の推移

(単位:千米ドル)

区分残高
令和
2年1月
2年10月3年1月3年9月4年2月4年6月4年12月5年6月6年4月
①未精算債務準備金82,20690,60291,49091,20391,93790,15389,00988,06591,642
②その他の準備金385,049254,785558,904203,647118,940328,126801,980259,825160,316
③信託基金利用可能額163,425239,509271,747504,106419,501512,584208,661411,796695,361
630,681584,896922,143798,957630,380930,8641,099,652759,688947,320
  • (注) 本図表は、合衆国政府と装備庁との間で開催された会議の際に合衆国政府が提出した資料を基に作成した。

第1の2(2)カ(イ)のとおり、0QQ等の残高等は四半期ごとにDFASから日本に対して報告され、日本からの返済請求を受けて、現金保管勘定を通じて返還される。このように日本が返済請求を行うことができる現金保管勘定については、0QQ等の勘定コードが割り当てられて、当該保管勘定内で資金が管理されている(現金保管勘定の勘定コード別の残高の推移については、別図表13参照)。

会計検査院は、元年報告において、「FMSに係る前払金や返済金の管理を適時適切に行えるよう、日本に関連する信託基金の勘定やその残高を十分に把握した上で、必要に応じて速やかに合衆国政府に対して返済請求を行うこと」を所見として記述している。

そこで、防衛省が定期的に返済請求を行っているかを確認するために、平成30年度から令和5年度までの0QQ、7QQ及び8QQの返済請求の実施状況をみたところ、防衛省は、0QQについては、4年度までは毎年度第4四半期に返済請求を行っていたが、5年度は残高の急激な増加に伴い第3四半期及び第4四半期に返済請求を行っていた。そして、7QQについては、勘定残高が0米ドルとなるように年1回以上残余資金の返済請求を、8QQについては、返済金の対象ケース名等と返済金額との照合ができたものから返済金の返済請求をそれぞれ行っていた。

また、元年報告において、複数の国が参加するプログラムの拠出金の一部が返還される際の現金保管勘定(3DD)において、平成10年に入金されたまま返済請求が行われていなかったことを報告しているが、令和元年7月に防衛省から合衆国政府に当該返済金(430,943米ドル)の返済請求を行って残高が0米ドルとなって以降、新規の入金は発生していなかった(別図表13参照)。

ウ CLSSAにおけるケースの終結等に係る手続

第1の2(2)エ(イ)のとおり、FMS地方調達は直接発注方式により行われている。そして、CLSSAには二つの段階があり、購入国はFMSOⅠのケースで前払金を支払い、合衆国政府は当該前払金を使用して在庫品を確保する。その後、購入国は、補用部品等を必要としている期間中、FMSOⅡのケースで前払金を支払うとともに、補用部品等を必要とした際に発注を行い、合衆国政府は、FMSOⅠのケースで確保している在庫品を払い出す。

防衛省におけるFMSOⅠのケース及びこれに関連するFMSOⅡのケースの締結状況をみると、図表2-10のとおり、FMSOⅠについては、5年度末時点で継続中となっているケースの件数及び手数料を除く支払金額は、計7件55億8977万余円(5年度の支出官レート1米ドル137円により換算)となっていて、支払金額は平成30年度末時点の17億7138万余円(30年度の支出官レート1米ドル112円により換算)と比べて大幅に増加していた。これは、円安による影響以外に、ティルト・ローター機(V-22)(以下「オスプレイ」という。)の配備を令和2年度から開始するために、元年度に新規のFMSOⅠのケースが開設され、また、既存のFMSOⅠのケースについても、イージス・システムのケースにおいて、システムの近代化や搭載する艦船の隻数が増加したため補用部品等の調達が増加することを踏まえてアメンドメントにより増額がなされるなどしたことによるものである。

また、FMSOⅡについては、元年度から5年度までの各年度にLOAを取り交わしたケースの当初契約額の合計額は、34億余円から49億余円の間で推移している。元年報告においては、平成28年度から30年度までの当初契約額の合計額は、31億余円から46億余円の間で推移していることを報告しているが、その後は、オスプレイに係るFMSOⅠのケースの開設により令和元年度からFMSOⅡのケースのLOAを取り交わしていることなどの増額の要因があった一方、エアクッション艇や早期警戒機(E-2C)の当初契約額が減少するなどの減額の要因もあったことから、FMSOⅡについては、元年報告と大きな金額の相違はみられなかった。

図表2-10 FMSOⅠのケース及びこれに関連するFMSOⅡのケースの締結状況

(単位:千円)

組 織対象防衛
装備品
FMSOⅠに係る契約額 注(1)
合衆国政府が日本のために在庫を確保するケース
FMSOⅡに係る当初契約額 注(4)
日本が合衆国政府に対して発注を行って補用部品等の調達を行うケース
契約
年度
平成30年度末
時点 注(2)
令和5年度末
時点 注(3)
平成30年度
注(2)
令和元年度2年度3年度4年度5年度
陸上
自衛隊
地対空誘導弾
ホーク 注(5)
昭和4055,72668,165
オスプレイ令和元878,2971,007,5671,231,5531,848,675639,531789,129
海上
自衛隊
イージス・シ
ステム
平成5263,2002,494,9921,289,5881,128,454857,971820,892640,7281,741,747
エアクッショ
ン艇
平成2275,04091,790369,615268,38945,714154,21555,38157,473
航空
自衛隊
戦闘機(F-
15)等
昭和55220,473332,1851,371,250557,351845,405996,2901,799,3591,221,885
早期警戒機
(E-2C)
昭和56343,017419,5841,025,935464,167354,18258,863139,801166,024
早期警戒機
(E-2D)
平成30813,9231,304,761133,275127,502156,004935,271
1,771,3815,589,7774,056,3893,425,9293,468,1034,006,4403,430,8064,911,531
  • 注(1) FMSOⅠに係る契約額は、5か月分の在庫品の金額に対応する支払金額を記載している(変更契約がある場合は変更後の金額を記載)。
  • 注(2) FMSOⅠに係る契約額の平成30年度末時点の金額及びFMSOⅡに係る当初契約額の30年度の金額は、参考として、元年報告から引用したものであり、30年度の支出官レート(1米ドル112円)により邦貨額に換算したものである。また、手数料は含まれていない。
  • 注(3) FMSOⅠに係る契約額の令和5年度末時点の金額は、5年度の支出官レート(1米ドル137円)により邦貨額に換算したものである。また、手数料は含まれていない。
  • 注(4) FMSOⅡに係る当初契約額の令和元年度から5年度までの金額は、契約年度の支出官レート(1米ドルが、元、2両年度は110円、3、4両年度は108円、5年度は137円)により邦貨額に換算したものである。
  • 注(5) 「地対空誘導弾ホーク」のFMSOⅡに係る直近のLOAは、平成28年度に取り交わされている。

防衛装備品の配備規模が縮小するなどしてCLSSAの対象となる補用部品等の継続的な調達の必要性が低下すると、購入国は、合衆国政府と調整を行った上で、アメンドメントによりFMSOⅠで設定した在庫量の縮小を行うなどして、在庫量の縮小に応じた金額が購入国に返還されることになる。そして、最終的に補用部品等の継続的な調達の必要性がなくなった場合には、購入国は、FMSOⅡのケースで補用部品等を発注して、合衆国政府が保有している残余の在庫を全て提供させた上で、FMSOⅡのケース終結の手続を行い、合衆国政府に対してFMSOⅡのケースの余剰金の返済請求を行い、返還を受ける。その後、FMSOⅠのケースについても、終結の手続を実施して、合衆国政府に対してFMSOⅠのケースの支払金額の返済請求を行い、余剰金の返還を受けるなどすることになる。

会計検査院は、元年報告において、「陸上、航空両自衛隊は、将来の防衛装備品の配備規模の縮小に備えて、適時にFMSOⅠのケースの終結等を行えるよう、あらかじめFMSOⅠのケースの終結等に係る手続について検討すること」を所見として記述している。また、海上自衛隊については、FMSOⅠのケースの終結等に係る手続を定めていたことを報告している。

そこで、陸上、航空両自衛隊におけるその後の検討状況を確認したところ、陸上自衛隊においては、3年4月にFMSOⅠのケースの終結等に係る手続を定めていた。そして、元年報告において、FMSOⅠのケースの終結に向けた手続を進めていると報告した地対空誘導弾ホークの状況を確認したところ、6年度まで精算が完了していなかった平成24、28両年度に契約したFMSOⅡの残りの2件のケースについて、終結に向けて手続を進めており、余剰金の返済請求に移行した段階でFMSOⅠの終結手続に移行するとしていた。また、航空自衛隊においては、令和元年10月にCLSSAの締結、終結等に係る手続を定めていた。

FMSOⅠの支払金額が増加していることから、防衛省は、今後、FMSOⅠの対象となっている防衛装備品の運用が終了するなどして、最終的に補用部品等の継続的な調達の必要性がなくなった場合には、定められた手続に沿って速やかにFMSOⅠの終結に向けた手続を行うことが望まれる。

(3) 調達価格の設定等の状況

ア 調達価格の構成等に係る情報入手の状況

第1の2(2)オのとおり、援助管理マニュアル等によると、FMSに係る契約額は、合衆国政府が製造会社等から提示されるなどした価格に事務手続に係る各種の手数料等を加えた価格で構成されていることが一般的である。

そして、原価情報等の製造会社等の占有情報の第三者への提供は、援助管理マニュアル等で禁止されているが、手数料の内訳並びに役務ケースにおける人件費及び旅費といった情報については、購入国が当該情報の提供を要求した場合、合衆国政府は購入国に情報を提供することとなっている。そのため、防衛省は、LORにおいて、手数料の内訳の資料(以下「手数料レポート」という。)及び役務ケースについて人件費や旅費を記載した工数旅費データシート(以下「データシート」という。)の提供を合衆国政府に要求することとしている。

装備庁は、LORにおいて要求した手数料レポート及びデータシートの全てを合衆国政府から受領していて、平成30年度から令和5年度までの受領件数は、手数料レポートが毎年度180件以上、データシートが毎年度150件以上となっており、装備庁は、これらの資料を各幕僚監部等に共有していた(別図表14参照)。なお、データシートについては、元年報告において報告している平成29年度の受領件数76件と比較して30年度から令和5年度までの毎年度の受領件数が大きく増加していた。

イ 手数料の減免等の状況
(ア) 一般管理費の減免の状況

第1の2(2)オのとおり、一般管理費は、原則として全てのケースに付加されているが、武器輸出管理法によれば、教育訓練の提供に関しては、合衆国政府と互恵的な協定等を締結することにより、減免を受けることができることとされており、日本は、昭和61年に交換公文を取り交わして、教育訓練のうち米国委託教育に係るケースについて一般管理費の免除を受けている。

今般、合衆国政府に対して、教育訓練の提供以外に関して一般管理費の免除を受けるための条件について確認したところ、「一般管理費の免除は、アメリカ合衆国の国内法に基づく事項であり、特定の組織及びプログラムに対して限定的な状況下でのみ免除が認められているものであることから、一般的に適用可能な条件を示すことはできない。」との回答があった。このように、一般管理費の免除は、個別具体的な状況で例外的に認められるものであるとの認識が示されたことから、現時点では、我が国のケースにおいて、更なる一般管理費の免除を具体的に検討できる情報を得ることはできなかった。

(イ) 契約管理費の減免等の状況

会計検査院は、元年報告において、「FMS調達に係る契約額の増加に伴って、手数料の負担額も増加することに鑑み、契約管理費の減免を受けることによりFMS調達に係る契約額を低減する余地がないか検討すること」を所見として記述している。

そこで、契約管理費の減免に向けた取組等の状況を確認したところ、次のとおりとなっていた。

a 契約管理費の減免に向けた取組の状況

第1の2(2)オのとおり、契約管理費は①契約管理、②品質保証・検査、③契約監査の要素で構成される。そして、武器輸出管理法によれば、北大西洋条約機構加盟国(以下「NATO加盟国」という。)、日本、オーストラリア連邦等の各政府は、無償で契約管理、品質保証・検査等に係る役務を提供する互恵的な協定等を合衆国政府と締結することにより、減免を受けることができることとされているが、元年報告において、我が国は、契約管理費の減免を受けていない状況であったことを報告している。

元年報告等を踏まえて、防衛省は、令和2年2月に「FMS調達の合理化に向けた取組の推進に関するプロジェクトチーム」の下に「契約管理費の減免検討部会」を設置し、合衆国政府と日米間の相互政府品質管理に係る枠組み(以下「品質管理の枠組み」という。)について合衆国政府と調整を進め、日本国内で実施されている品質管理業務の内容を合衆国政府が確認するなどして、4年12月に品質管理の枠組みの基本的な合意に達し、5年4月17日に品質管理の枠組みに署名した。そして、品質管理の枠組みへの署名により、同日以降にLOAを新規に取り交わすケースについては、合衆国政府が調達する防衛装備品の日本国内における品質保証・検査(以下「政府品質管理」という。)を日本政府が無償で実施する代わりに、日本政府が調達する防衛装備品の契約管理費のうち前記の「②品質保証・検査」に係る費用(以下「品質管理費用」という。)の免除を受けることとなった(注17)

また、防衛省は、契約管理費のうち前記の「①契約管理」及び「③契約監査」に係る費用(以下「契約管理・契約監査費用」という。)の免除が行われているのは、NATO加盟国の一部であり、具体的には、契約管理についてはフランス共和国1か国、契約監査についてはカナダ等の5か国に昭和61年以前にそれぞれ免除が行われていたのみであること、品質管理費用の免除に係る調整の際、合衆国政府から契約管理・契約監査費用の免除は行わないとの認識が示されたことから、日米の共通認識として、品質管理費用のみの免除の調整を実施することになったとしている。実際、合衆国政府は、62年以降、契約管理・契約監査費用に関して互恵的な協定等を締結しておらず、例えば日本よりも早期に品質管理費用の免除が認められた大韓民国やオーストラリア連邦においても、契約管理・契約監査費用については、免除されていない状況である。

今般、防衛省に契約管理・契約監査費用の減免の可否について、現在の合衆国政府との調整の状況を確認したところ、合衆国政府から対応が難しい旨の回答を受けているとしており、現時点では、契約管理・契約監査費用の免除は見込めない状況となっている。

(注17)
役務等の提供については、原則として政府品質管理を実施する性質のものではないことから、これまでも合衆国政府から品質管理費用は要求されていない。

b 政府品質管理の仕組み

政府品質管理を実施するために、防衛省は、職員を新たに採用するなどして装備庁及び地方防衛局に職員を配置し、当該職員が合衆国政府から研修を受けるなど準備を進めている。そして、従前、合衆国政府により品質保証・検査が実施されていた国内企業(以下「政府品質管理対象国内企業」という。)1社に対する政府品質管理について、防衛省は、令和7年3月に合衆国政府からの政府品質管理要請の受諾を決定して、政府品質管理を開始している(政府品質管理の実施の流れについては、別図表15参照)。また、7年3月末時点で、防衛省は、当該1社のほか、政府品質管理対象国内企業3社の4事業所に対する政府品質管理の実施に向けて調整を進めている。なお、この政府品質管理の実施に要する費用として、5年度は5747万余円、6年度は9052万余円の人件費等が発生している。

c 品質管理費用の免除の状況

aのとおり、品質管理の枠組みへの署名により、5年4月17日以降にLOAを新規に取り交わすケースについては、品質管理費用の免除を受けることとなった。

そこで、品質管理費用が実際に免除されているか確認するために、同日以降にLOAを取り交わしたケースの品質管理費用の免除の状況についてみたところ、防衛省は、LORにおいて要求した手数料レポートに記載された手数料の内訳により免除の状況について確認を行い、免除された品質管理費用を試算しており、その試算額は、5年度は29億7856万余円(5年度の支出官レート1米ドル137円により換算)、6年度は27億3801万余円(6年度の支出官レート1米ドル139円により換算)となっていた。防衛省における政府品質管理の実施に要する費用が新たに発生したことを考慮しても、品質管理の枠組みを導入したことはFMS調達額の低減に効果があったと思料される。

また、5年4月17日よりも前にLOAを取り交わしているライン追加ケースの場合は、アメンドメントの取り交わしが同日以降であったとしても、品質管理費用の免除を受けることはできない。そのため、防衛省は、見積調達価格が高額となる防衛装備品等については、同日以降、優先的に合衆国政府と調整を行った上で新規にLOAを取り交わしている。しかし、一部のケースについては、同日以降もアメンドメントにより既存のケースにラインを追加しているものが見受けられ、5年度は、戦闘機(F-15)の能力向上に係るケース等5件(役務が含まれるラインを除いた契約額相当額の変更額計1523億3127万余円、品質管理費用相当額の会計検査院試算額6億8549万余円)において、アメンドメントにより既存のケースにラインを追加したことで品質管理費用が免除されていなかった。これは、合衆国政府から新規にLOAを取り交わすことによる防衛装備品等の提供スケジュールへの影響等が示されたことによるものであったが、防衛省は、当該5件のケースについて、その後も新規にLOAを取り交わすことができるよう合衆国政府と調整を継続して、6年度に新規のLOAを取り交わして品質管理費用の免除を受けるなどしている。

このように、防衛省における契約管理費の減免への取組により品質管理費用が免除されることとなった一方、契約管理・契約監査費用の免除については、合衆国政府は、昭和62年以降、諸外国等と互恵的な協定等を締結していない状況である。このため、防衛省において、今後ともFMS調達の効率化・合理化の観点から、品質管理の枠組みが維持できるよう引き続き合衆国政府と綿密な調整を行いつつ、政府品質管理を実施していくとともに、現時点では、契約管理・契約監査費用の免除が見込めない状況であるが、今後、諸外国等の動きに留意して、諸外国等において契約管理・契約監査費用の減免が実施された場合には、我が国においても減免を受けることができるか検討して、必要に応じて合衆国政府と調整を行っていくことが必要である。

ウ 日本及びアメリカ合衆国における防衛装備品等の調達単価の状況

DSCA等によると、諸外国等のFMSによる防衛装備品等の調達単価を含む外国政府等との間の情報については援助管理マニュアルにより公表しない取扱いとされており、諸外国等の防衛装備品等の調達単価を把握することや、日本の調達単価と比較することは困難な状況となっている。

一方、アメリカ合衆国が自国のために調達している防衛装備品の調達単価や調達数量等には公表されているものがあり、そのうち、戦闘機(F-35A/B)は日本がアメリカ合衆国の取得時期と近接した時期に取得しており、また、図表1-6のとおり、戦闘機(F-35A/B)はFMS調達の上位を占め、その調達規模も大きく、今後も引き続き調達が見込まれる。そこで、両国で調達している戦闘機(F-35A/B)の仕様の差異を考慮することはできないものの、確認できた情報により可能な範囲で、日本とアメリカ合衆国が調達する戦闘機(F-35A)及び戦闘機(F-35B)の1機当たりの調達単価(以下「調達単価」という。)を比較した。比較に当たり、日本の調達単価については、LOAにおける1機当たりの機体、エンジン及び搭載機器の価格を合計して算出したものを用い、また、アメリカ合衆国の調達単価については、公表されているアメリカ合衆国が自国のために調達している防衛装備品等の調達単価等の情報を用いて、LOAを取り交わした年度や購入契約の締結年度ではなく、購入契約に基づく戦闘機(F-35A)及び戦闘機(F-35B)の製造単位(以下「ロット」という。)ごとに比較した。

戦闘機(F-35A)についてみると、図表2-11のとおり、ロット8において、日本の調達単価は約1億2060万米ドル、アメリカ合衆国の調達単価は約1億0790万米ドルであり、価格差は約1270万米ドルであったが、ロット9において、日本の調達単価は約1億5810万米ドル、アメリカ合衆国の調達単価は約1億0200万米ドルであり、価格差は約5610万米ドルに拡大していた。その後のロット10以降、日本の調達単価は徐々に低下し、ロット16において、日本の調達単価は約8250万米ドル、アメリカ合衆国の調達単価は約8190万米ドルであり、価格差は約60万米ドルまで縮小していた。日本の調達単価の主な変動要因について、航空自衛隊は、日本企業が参画して実施した機体の最終組立・検査(Final Assembly and Check Out。以下「FACO」という。)等において、作業習熟等による製造コストの変動の影響を受けたことによるものであるとしている(ロットごとの調達単価の価格差の詳細については、別図表16参照)。また、ロット19以降、日本の調達単価は9400万米ドルを超える価格まで上昇しているが、これは、機体、エンジン等の製造に係る部材費、人件費等の高騰に伴う価格の上昇が、戦闘機(F-35)の生産機数増加に伴うスケールメリット等による調達単価の低減効果を上回っていることなどが主な要因であるとしている。

図表2-11 戦闘機(F-35A)の日本とアメリカ合衆国の調達単価の推移

図表2-11 戦闘機(F-35A)の日本とアメリカ合衆国の調達単価の推移画像

次に、令和元年8月の機種選定を経て取得することとされた戦闘機(F-35B)についてみると、図表2-12のとおり、ロット16及びロット17において、日本の調達単価は約1億1600万米ドル、アメリカ合衆国の調達単価は約1億0700万米ドルであり、価格差は約900万米ドルとなっていた。その後、ロット18では、日本の調達単価は約1億1400万米ドルに低下したものの、ロット19以降では、1億2600万米ドルを超える価格まで上昇していた(ロットごとの調達単価の価格差の詳細については、別図表17参照)。日本の調達単価の主な変動要因について、航空自衛隊は、戦闘機(F-35A)と同様に、機体、エンジン等の製造に係る部材費、人件費等の高騰に伴う価格の上昇が、戦闘機(F-35)の生産機数増加に伴うスケールメリット等による調達単価の低減効果を上回っていることなどが主な要因であるとしている。

図表2-12 戦闘機(F-35B)の日本とアメリカ合衆国の調達単価の推移

図表2-12 戦闘機(F-35B)の日本とアメリカ合衆国の調達単価の推移画像

また、日本の調達単価とアメリカ合衆国の調達単価の価格差について、DSCA等によると、一般的な要因として、戦闘機(F-35A)及び戦闘機(F-35B)ともに機体の仕様上の差異、開発分担金の計上(注18)等が考えられるとのことであった。そして、日本の調達単価に計上されている開発分担金についてみると、戦闘機(F-35A)と戦闘機(F-35B)は同額であり、ロット8において約149万米ドルであったものが、ロット10において約180万米ドル、ロット15において約242万米ドルとなっており、ロット20においては約372万米ドルとなっていてロット8から約223万米ドル上昇していた。さらに、戦闘機(F-35A)の調達単価と戦闘機(F-35B)の調達単価を比較すると、戦闘機(F-35B)の方が上回っており、これについて、DSCA等は、戦闘機(F-35B)の短距離離陸・垂直着陸の性能に必要な機体、エンジン等の構造や機能、使用部品等の違いによるものであるとしている(戦闘機(F-35A/B)については、後述3(2)ア(ウ)及び3(3)イ(ア)参照)。

(注18)
日本は戦闘機(F-35)の共同開発国ではないため、共同開発国に対する開発分担金を負担する必要があるが、共同開発国(アメリカ合衆国等の9か国。なお、トルコ共和国は令和元年に除外されている。)のうちアメリカ合衆国に対する開発分担金の負担は、これまで免除されている。また、開発分担金は機体とエンジンにそれぞれ計上されている。

3 FMS調達に係る防衛装備品等の受領及び前払金の精算の状況

会計検査院は、元年報告において、平成25年度から29年度までのFMS調達に係る防衛装備品等の受領及び前払金の精算の状況について、次のことを所見として記述している。

① 出荷予定時期を経過しても防衛装備品等が納入されないケースについて、部隊等の運用に支障を来さないよう、出荷促進を行うなど合衆国政府と引き続き調整を行うこと

② 未精算額が多額となっている未納入ケース、未精算額が多額となっている精算未完了ケース及び防衛装備品等の納入の完了から長期にわたり精算が未完了となっているケースについて、ケースごとに精算等が遅延している理由を分析するなどした上で、合衆国政府に計算書の送付を促進したり、防衛装備品等の受領に応じた提供の確認を行ったりするなどして、引き続き未精算額を減少させるよう努めること

そこで、元年報告のフォローアップとして、30年度から令和5年度までの各年度の大臣報告等に基づいて、FMS調達に係る防衛装備品等の受領及び前払金の精算の状況について分析した。

(1) FMS調達における未完了理由別のケースの推移

ア 大臣報告におけるケースの進捗状況の報告

FMS調達においては、ケースごとに最終計算書等に基づく提供の完了の確認が行われ、合衆国政府から余剰金の返還を受けることなどにより精算が完了する。

そして、大臣報告においては、精算が完了していないケース(以下「未完了ケース」という。)の進捗状況として、出荷予定時期、前払金の支払額、未精算額、未完了の理由等を報告することとされており、未完了の理由については、図表3-1のとおり、ケースの進捗に応じて①から⑦までの区分の中から、ケースの状況に適した項目を選択して記載することとなっている(以下、未完了ケースのうち、未完了理由が①納期未到来のケースを「納期未到来ケース」という。また、「未納入ケース」「精算未完了ケース」については、(注9)及び(注10)参照。なお、「納期未到来ケース」には、「未納入ケース」から除かれている出荷予定時期からの経過期間が1年を超えないケースも含まれる。)。

図表3-1 大臣報告におけるケースの未完了の理由(概念図)

図表3-1 大臣報告におけるケースの未完了の理由(概念図)画像

また、大臣報告においては、LOAに記載されている出荷予定時期が最も遅いラインを基準にして納期未到来か未納入かの整理がされることが基本となっているが、FMS地方調達の直接発注方式のケースについては、LOAに出荷予定時期が記載されないことから、各自衛隊は、調達要求元が作成している調達要求書に記載された納期を便宜的に出荷予定時期としている。

イ 5年度末時点における未完了ケースの状況

大臣報告においては、給付確認額等を精算額とし、前払金の支払額から精算額を差し引いた額を未精算額と整理している。そして、会計検査院は、元年報告において、平成29年度末時点のFMS中央調達及びFMS地方調達を合わせた全体のケース数及び未精算額について、図表3-2のとおり、未納入ケースが85件349億余円、納期未到来ケースが536件7092億余円となっていたことを報告している。

そこで、令和5年度末時点において、FMS中央調達及びFMS地方調達を合わせた全体の未完了ケースに係る支払済の前払金額3兆7374億余円の精算状況について大臣報告等を基に確認したところ、図表3-2のとおり、前払金に未精算額があるケース数及び未精算額は1,175件2兆3913億余円となっていた。

そして、未完了ケースを出荷予定時期を経過したケースと納期未到来ケースに区分すると、出荷予定時期を経過したケースの件数及び未精算額は537件975億余円、納期未到来ケースは638件2兆2937億余円となっていた。さらに、出荷予定時期を経過したケースのうち、未納入ケースの件数及び未精算額は50件112億余円、精算未完了ケースの件数及び未精算額は487件862億余円となっていた。

図表3-2 令和5年度末時点における未完了ケースの状況

(単位:件、億円)

区 分令和5年度末時点平成29年度末時点
(参考)
ケース数金額ケース数金額
前払金額1,1753兆73741,1891兆2333
精算額(給付確認額等)1兆34613823
未精算額2兆39138510
出荷予定時期を経過したケース5379756531417
未納入ケース5011285349
精算未完了ケース4878625681068
納期未到来ケース6382兆29375367092
ウ 平成30年度から令和5年度までの各年度における未完了理由別のケース数及び未精算額の状況

FMS中央調達の未完了ケースについて、未完了理由別にケース数及び未精算額をみると、図表3-3のとおり、未納入ケースは、平成30年度末の99件205億余円から令和5年度末の18件6億余円へと大幅に減少している状況となっていた。また、精算未完了ケースは、未精算額の増減はあるものの、ケース数については各年度ともおおむね450件から500件程度で推移しており、大きな変化はみられない状況となっていた。さらに、納期未到来ケースのケース数及び未精算額は、平成30年度末の519件1兆0865億余円から令和5年度末には590件2兆2715億余円へと増加しており、ケース数に大きな変化はみられない一方で未精算額は約2倍に増加していたが、これは、戦闘機(F-35A/B)、早期警戒機(E-2D)用整備器材、空中給油・輸送機(KC-46A)及びイージス・システム搭載艦の取得に係るケースで未精算額が計7000億円以上増加していることなどが影響している(別図表18参照)。

図表3-3 FMS中央調達の未完了ケースにおける未完了理由別のケース数の推移

図表3-3 FMS中央調達の未完了ケースにおける未完了理由別のケース数の推移画像

FMS地方調達の未完了ケースについて、未完了理由別にケース数及び未精算額をみると、図表3-4のとおり、未納入ケースは、各年度でおおむね30件100億円程度、精算未完了ケースは、各年度でおおむね40件50億円程度で推移しており、いずれも大きな変化はみられない状況となっていた。これは、FMS地方調達は補用部品等の調達が中心であることから、新規の主要防衛装備品の運用が開始されるなどの大きな変化がない限り、基本的には、毎年度、継続的に一定規模の調達が行われることによるものなどと考えられる。また、納期未到来ケースのケース数及び未精算額は、平成30年度末の30件78億余円から令和5年度末には48件221億余円へと増加しており、未精算額が約3倍に増加していたが、これは、陸上自衛隊において、元年度以降、オスプレイの補用部品等の調達が始まったことなどが影響している(別図表19参照)。

なお、図表2-5のとおり、5年度の当初契約額が大きく増加していたことを踏まえると、今後は、FMS地方調達の未完了ケースの未精算額が増加していく可能性がある。

図表3-4 FMS地方調達の未完了ケースにおける未完了理由別のケース数の推移

図表3-4 FMS地方調達の未完了ケースにおける未完了理由別のケース数の推移画像

(2) FMS調達に係る防衛装備品等の受領状況等

ア FMS中央調達に係るケースの進捗状況
(ア) 未納入ケースの進捗状況

(1)ウのとおり、FMS中央調達の未納入ケースのケース数及び未精算額は、平成30年度末の99件205億余円から令和5年度末の18件6億余円へと大幅に減少している。

そこで、平成30年度末時点で未納入ケースとなっていた99件について、令和5年度末までの進捗状況をみたところ、図表3-5のとおり、元年度以降、防衛装備品等の提供が完了したことにより未納入ケースは減少しており、5年度末時点で69件(99件の約70%)が精算を完了し、23件(同約23%)が提供を完了している状況となっていた。一方、アメリカ合衆国内の製造会社の製造の遅れなどを理由に既存ラインの出荷予定時期が変更されたことにより、納期未到来ケースとなっているケースが見受けられ、そのケース数及び未精算額は5年度末時点で7件13億余円となっていた(別図表20参照)。

図表3-5 平成30年度末時点の未納入ケース99件の進捗状況

図表3-5 平成30年度末時点の未納入ケース99件の進捗状況画像

そして、平成30年度末時点の未納入ケースに加えて、令和元年度末から4年度末にかけて未納入ケースとなったケースについても同様に5年度末時点の状況をみると、図表3-6のとおり、未納入ケース計163件289億余円のうち、出荷予定時期の変更により納期未到来ケースとなっていたケースは計22件30億余円となっていた(元年度以降の年度別の状況については、別図表21参照)。

図表3-6 平成30年度末時点の未納入ケース及び令和元年度末から4年度末にかけて未納入ケースとなったケースの5年度末時点の状況

(単位:件、百万円)

区分未納入ケース
うち出荷予定時期の変更により
納期未到来ケースとなっていたケース
ケース数未精算額ケース数未精算額
平成30年度未納入ケース9920,54471,349
令和元年度未納入ケース294,9158614
  2年度未納入ケース92,30741,021
  3年度未納入ケース19975379
  4年度未納入ケース7256
16328,999223,065
  • (注) 「平成30年度未納入ケース」については、平成30年度末時点で未納入ケースとなっていた全てのケースを計上しており、「令和元年度未納入ケース」以降については、当該年度末時点で新たに未納入ケースとなったケースのみを計上している。
(イ) 納期未到来ケースの進捗状況

(1)ウのとおり、FMS中央調達の未納入ケースのケース数及び未精算額は、平成30年度末の99件205億余円から令和5年度末の18件6億余円へと大幅に減少している。一方、大臣報告において未納入ケースが減少しているのは、大部分が提供の完了によるものであるが、アメリカ合衆国内の製造会社の製造の遅れなどにより出荷予定時期が変更されることで納期未到来ケースとなるケースもあり、そのケース数及び未精算額は5年度末時点で22件30億余円となっている。このため、防衛装備品等の受領の状況を把握する上で、納期未到来ケースの進捗状況を分析することも重要となる。

そこで、平成30年度末時点の納期未到来ケース519件について、令和5年度末までの進捗状況をみると、図表3-7のとおり、5年度末時点で未完了ケースは327件1兆1856億余円となっていた。そして、このうち防衛装備品等の提供が完了している精算未完了ケースは199件444億余円でケース数の多くを占めている一方で、5年が経過しても納期未到来ケースとなっているケースは118件1兆1408億余円と未精算額の大部分を占めていた(別図表22参照)。

図表3-7 平成30年度末時点の納期未到来ケース519件の進捗状況

図表3-7 平成30年度末時点の納期未到来ケース519件の進捗状況画像

5年が経過しても納期未到来ケースとなっているのは、主として、新規ラインの追加や既存ラインの出荷予定時期の変更により、元年度から5年度までの間にケースの出荷予定時期が変更されたことによるものである。

そして、5年度末時点で納期未到来ケースとなっていた118件のうち、ライン追加ケースに該当するものは、28件7521億余円あり、このうち3505億余円(ライン追加ケース全体の未精算額に占める割合46.6%)を戦闘機(F-35A)の機体の取得等に係る1件のケース(ケースD-SBC)が占めていた。

一方、既存ラインの出荷予定時期が変更されたケース(ライン追加ケースに該当するものを除く。)は89件3886億余円となっており、最大で2,856日(約7年9か月)の延長となったケースも見受けられた。そして、当該89件について、出荷予定時期が変更された時期及び延長期間を確認したところ、図表3-8のとおり、3年度に変更されたケースが多くなっており、延長期間が5年以上と長期間になっているケースも散見された。

図表3-8 既存ラインの出荷予定時期が変更されたケースの出荷予定時期の延長期間等

(単位:件)

延長期間出荷予定時期が変更された年度
令和元年度2年度3年度4年度5年度
1年未満179954
1年以上2年未満104121912
2年以上3年未満569119
3年以上4年未満25782
4年以上5年未満-531-
5年以上-191-
3430494527
  • 注(1) 一つのケースにおいて、異なる年度で出荷予定時期が複数回変更されている場合、それぞれの年度で件数を計上している。
  • 注(2) 1年を365日として計算している。

出荷予定時期が変更される理由は、購入契約の締結の遅れ、製造会社による製造の遅れなどケースによって様々であるが、特に、2年度から4年度にかけては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による製造や輸送の遅延の影響があったものと考えられる。

そして、前記118件の中には、大臣報告では出荷予定時期が変更されたことで納期未到来ケースとなっているものの、当初予定していた出荷予定時期に防衛装備品が納入されないことで、受領部隊において、部隊運用への影響を抑えるための対応を執らざるを得なくなっている事態が見受けられた。

上記について、事例を示すと次のとおりである。

<事例2> 当初予定していた出荷予定時期に早期警戒機(E-2D)用の整備器材等が納入されていなかったもの

装備庁は、航空自衛隊からの調達要求に基づき、早期警戒機(E-2D)用の整備器材等の調達のために、平成27年度から30年度にかけて4件(令和5年度末時点の契約額計1398億余円)のLOAを取り交わしている。そして、当該4件に係る平成30年度末時点の出荷予定時期はそれぞれ①令和元年4月、②元年7月、③2年4月及び④2年8月となっていた。

その後、製造会社において購入契約の履行が遅れたことなどにより、5年度末時点の出荷予定時期はそれぞれ①6年6月、②8年4月、③7年12月及び④8年4月に変更された。そのため、大臣報告では5年度末時点においても納期未到来ケースに整理されており、その未精算額は449億余円となっていた。

そして、納地である航空自衛隊三沢基地では当初の予定どおりに整備器材等が納入されなかったことから、当該整備器材等を用いて早期警戒機(E-2D)の整備ができない状況になっており、減勢を迎えている早期警戒機(E-2C)の整備器材を取り回して使用することで、部隊運用への影響を抑えていた。

(ウ) 戦闘機(F-35A/B)の機体等のケースの進捗状況

戦闘機(F-35A)の機体の取得等に係るケースD-SBCは、合衆国政府からのケースの集約化の要請によって機体、エンジン、搭載機器等の複数の調達要求品目が一つのケースに集約されており、(イ)のとおり、ライン追加ケース全体の未精算額に占める割合が高くなっている。そして、防衛省は、各年度で新たに追加する調達要求品目について、アメンドメントによりラインを追加するなどして対応している。また、防衛省は、2年度に開設された戦闘機(F-35A/B)の機体の取得等に係るケース(ケースD-SGN)についても同様に対応している。

そこで、ライン追加ケースについて、ケースD-SBC及びケースD-SGNを例にしてライン追加等の状況、ライン単位の機体等の受領状況についてみたところ、次のとおりとなっていた。

ケースD-SBCについては、平成24年度に最初のLOAが取り交わされてから令和6年度までに計13回にわたるアメンドメントが取り交わされており、戦闘機(F-35A)計40機の機体等を調達している。そして、各年度で新たに調達する機体、エンジン、搭載機器等に係る調達要求品目に対応するなどのために、アメンドメントによって既存のラインより出荷予定時期が後に設定された新たなラインが追加され、又は既存のラインの出荷予定時期が変更されたことにより、最も遅いラインの出荷予定時期は、平成29年3月から令和10年3月に変更されていた。

また、ケースD-SGNについては、戦闘機(F-35B)の調達を開始した2年度に開設されたケースであり、6年度末までに計4回にわたるアメンドメントが取り交わされており、戦闘機(F-35A)計23機、戦闘機(F-35B)計20機の機体等を調達している。そして、ケースD-SBCと同様に、各年度で新たに調達する機体等に係る調達要求品目に対応するなどのために、アメンドメントによって既存のラインより出荷予定時期が後に設定された新たなラインが追加されるなどして、最も遅いラインの出荷予定時期は、7年3月から10年3月に変更されていた。

そして、両ケースは、LOAを取り交わして以降、大臣報告では常に納期未到来ケースとして整理されていたが、両ケースのライン単位の出荷予定時期に対する受領状況をみると、6年度末までに出荷予定時期が到来しているラインは計248件あり、このうち受領が完了したラインは163件である一方、受領が完了していないライン(一部の品目を受領済のラインを含む。)は85件ある状態となっていた。

出荷予定時期が到来している248件のうち、主要なラインである戦闘機(F-35A)及び戦闘機(F-35A/B)の機体の受領状況についてみると、図表3-9のとおり、ケースD-SBCで調達した戦闘機(F-35A)の機体は出荷予定時期までの受領に一部遅れが生じていたものの、調達した40機は6年度末までに受領が完了していた。一方、ケースD-SGNで調達した戦闘機(F-35A/B)については、機体に搭載するソフトウェアの最新バージョンの開発が遅れたことなどにより6年度中に納入予定であった戦闘機(F-35A)3機及び戦闘機(F-35B)6機を予定どおりに受領することができなかったものの、戦闘機(F-35A)3機は7年4月に受領し、戦闘機(F-35B)6機のうち3機は7年8月に受領していた。

図表3-9 戦闘機(F-35A/B)に係る機体の調達、受領等の状況(令和6年度末時点)

図表3-9 戦闘機(F-35A/B)に係る機体の調達、受領等の状況画像

また、機体以外の防衛装備品の受領状況についてみると、ケースD-SBCで調達した6台のフル・ミッション・シミュレータ(注19)については、出荷予定時期の平成29年3月及び30年9月からそれぞれ大幅に遅延して令和3年2月に受領していたものの、航空自衛隊は、出荷予定時期までに受領できなかった品目は一部であったなどのため訓練等への支障は生じていないとしている。

航空自衛隊は、合衆国政府との間で行う協議の場を通じて、ライン単位の出荷予定時期を経過している理由の確認や出荷促進を引き続き行うとともに、部隊での訓練や任務等に影響が及ばないよう対処するとしている(戦闘機(F-35A/B)については、2(3)ウ及び後述3(3)イ(ア)参照)。

(注19)
フル・ミッション・シミュレータ  実機による飛行訓練に先立ち、地上において基本手順、緊急手順等の多様な訓練内容を模擬する訓練装置。FMS調達により設置され、訓練に使用される。

(1)ウのとおり、FMS中央調達において、未納入ケースについては、ケース数及び未精算額が大幅に減少しているものの、納期未到来ケースについては、ケース数は大きな変化がみられない一方で、未精算額は約2倍に増加している。そして、(ア)から(ウ)までのとおり、出荷予定時期の変更により大臣報告で納期未到来ケースとなっているライン追加ケース等があり、その中には、当初予定していた出荷予定時期に防衛装備品が納入されないことで、部隊運用への影響を抑えるための対応を執らざるを得なくなっているケースも見受けられている。

したがって、防衛省は、防衛装備品が長期間納入されないことにより部隊等の運用に支障を来さないよう、未納入ケース及び納期未到来ケースのうちのライン追加ケース等についても、引き続き、出荷促進を行うなどして合衆国政府と調整を行うことが必要である。

イ FMS地方調達に係る防衛装備品の納入の状況

(1)アのとおり、FMS地方調達では、直接発注方式により防衛装備品等を調達しており、直接発注方式の場合は、大臣報告において、調達要求書に記載された納期が便宜的に出荷予定時期とされていて、LOAに出荷予定時期が記載されない。また、直接発注方式の場合、LOAには具体的な部品名は記載されずに発注限度額等のみが記載されることから、具体的な部品名、数量等を指定する発注業務は、LOAを取り交わした後に、各自衛隊において順次行われることになる。

そこで、各自衛隊における個々の補用部品等の発注に対する受領等の状況を分析することにより、納入の状況を確認した。

(ア) 平成30年度から令和5年度までの発注実績

各自衛隊は、合衆国政府が管理するSCIP等のシステムを利用して補用部品等の発注等を行っている。

そこで、各自衛隊から発注データの提供を受けるなどして、平成30年度から令和5年度までの各年度における補用部品等の発注金額の実績をみたところ、図表3-10のとおりとなっており、陸上自衛隊については、元年度以降、オスプレイの補用部品等の調達が始まったことで、発注金額が急増していた。また、航空自衛隊については、5年度に早期警戒機(E-2C/D)用の補用部品等を約60億円発注したことなどにより、4年度から5年度にかけて倍増していた。

図表3-10 各自衛隊における補用部品等の発注の実績

(単位:百万円)

組織発注金額
平成30年度令和元年度2年度3年度4年度5年度
陸上自衛隊488163,2223,1391,497760
海上自衛隊2,2334,9032,1251,5922,1314,682
航空自衛隊2,8921,8502,5572,2714,6158,934
5,1757,5697,9047,0038,24414,377
  • (注) 「発注金額」は、発注時の単価で計算している。
(イ) 平成30年度の発注に対する受領等の状況

各自衛隊は、個々の発注について、出荷の希望時期を指定することはできないが、発注に当たり、SCIP等において、図表3-11のとおり出荷に優先順位を付けることが可能となっており、各自衛隊は、緊急性の度合いに応じた出荷に係る優先順位を付けて発注を行っている。

図表3-11 補用部品等の出荷に係る優先順位の区分

区分補用部品等の出荷に係る優先順位の区分の説明
特別緊急補用部品等の不足によって、任務達成が既に不可能である又は将来不可能になるため、非常に強い必要性を示すもの
緊急任務達成に影響が発生している又は将来発生するため、その補用部品等が必要であるもの
普通通常計画的に必要性が生ずるもの

そこで、検査対象期間のうち最も古い30年度に発注した補用部品等に対する令和5年度末時点における出荷に係る優先順位の区分別の受領等の状況をCLSSAとオムニバスの発注方法別にみたところ、図表3-12のとおり、航空自衛隊において、CLSSA及びオムニバスの特別緊急であっても22.5%及び10.3%が発注取消しとなっているなど、各自衛隊において発注取消し及び未受領となっている補用部品等が見受けられた。なお、発注取消しについては、主として、補用部品等が枯渇しているなどの合衆国政府において対応できない事由が発生したため、合衆国政府から発注が取り消されたことによるものとなっている。

図表3-12 平成30年度に発注した補用部品等に対する発注方法及び出荷に係る優先順位の区分別の受領等の状況(令和5年度末時点)

(単位:個、%)

区分陸上自衛隊海上自衛隊航空自衛隊
発注取消し受領未受領発注取消し受領未受領発注取消し受領未受領
CLSSA特別緊急-
-
-
-
-
-
-
-
2,631
(100.0)
41
(1.5)
2,588
(98.3)
2
(0.0)
15,139
(100.0)
3,413
(22.5)
11,698
(77.2)
28
(0.1)
緊急-
-
-
-
-
-
-
-
7,565
(100.0)
38
(0.5)
7,527
(99.4)
-
-
28,951
(100.0)
6,663
(23.0)
22,278
(76.9)
10
(0.0)
普通-
-
-
-
-
-
-
-
7,392
(100.0)
-
-
7,392
(100.0)
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
オムニバス特別緊急-
-
-
-
-
-
-
-
3,875
(100.0)
231
(5.9)
3,637
(93.8)
7
(0.1)
2,967
(100.0)
307
(10.3)
2,626
(88.5)
34
(1.1)
緊急-
-
-
-
-
-
-
-
4,546
(100.0)
30
(0.6)
4,515
(99.3)
1
(0.0)
811
(100.0)
176
(21.7)
635
(78.2)
-
-
普通7,762
(100.0)
324
(4.1)
7,303
(94.0)
135
(1.7)
18
(100.0)
4
(22.2)
14
(77.7)
-
-
10
(100.0)
3
(30.0)
7
(70.0)
-
-
7,762
(100.0)
324
(4.1)
7,303
(94.0)
135
(1.7)
26,027
(100.0)
344
(1.3)
25,673
(98.6)
10
(0.0)
47,878
(100.0)
10,562
(22.0)
37,244
(77.7)
72
(0.1)
  • 注(1) 括弧内の計数は、発注数量に対する割合を示している。
  • 注(2) 補用部品等によって単位が異なるもの(「個」「一式」等)があるが、便宜的に全て「個」として扱って集計している。

このような状況に対して、各自衛隊は、合衆国政府に対して、連絡官と連携するなどして随時、他の調達方法の検討や出荷促進を行っている。また、航空自衛隊では、4年度に発注した早期警戒機(E-2C/D)用のエンジンに係る補用部品等について、補用部品等の出荷を待っていると部隊運用に支障を来す可能性があると判断して、6年度に調達方法をFMS調達から一般輸入調達に変更して調達するなど、各自衛隊において、必要に応じて日本側から発注を取り消して一般輸入調達に変更して調達する場合もある。

このように、各自衛隊は、補用部品等の出荷に時間を要している場合には、合衆国政府に対して随時出荷促進を行うなどしているものの、発注取消し及び未受領となっている補用部品等が見受けられる状況となっている。

このため、防衛省において、緊急性の度合いが高い補用部品等が納入されない状態が継続する場合等については、引き続き、出荷促進を行うなどして合衆国政府と調整を行うとともに、必要に応じて他の調達方法による取得を検討するなど、多角的な観点から改善策を検討することが必要である。

ウ ケースの進捗状況の管理等

FMS調達については、合衆国政府が購入契約を締結し、また、合衆国政府が確保している在庫品から払出しを行っているため、防衛省は、日米間の各種会議を通じて合衆国政府からケースの進捗状況を聴取するとともに、適宜、合衆国政府の担当者と直接又は連絡官を通じて状況の把握を行っている。

(ア) 台帳の整備状況

装備庁は、役務の提供が完了しているかどうかを適時に確認するなどのために、平成26年に有償援助訓令を改正して、全ての役務ケースについてライン単位で履行管理を行うための台帳を整備することとしている。そして、装備庁は、防衛装備品の納入遅延防止等の履行管理に資するために、令和2年に、台帳を整備する対象を防衛装備品の提供に係るケースを含む全てのケースに拡大している。

そこで、6年度末時点におけるFMS中央調達の未完了ケース1,104件に係る台帳の整備状況についてみたところ、装備庁は、584件(1,104件に占める割合52.8%)の台帳の整備を完了していた。残りの520件については、作業中のため一部の情報の入力又は更新が行われておらず、装備庁は、なるべく早期に作業を完了させるとしている。また、FMS地方調達については、各自衛隊においてSCIPのシステムデータを活用できることから、3補本は、当該データを活用するなどして台帳を整備して、補用部品等の発注、発注取消し、出荷状況の把握、出荷促進等の進捗状況の管理を行っていた。

2(1)ア(ア)のとおり、合衆国政府は、既存のケースにラインを追加するなどしてケースの件数を抑制することによりケースの集約化を図ることを防衛省に要請しており、今後、1ケース当たりのライン数が増加していく可能性がある。そのため、ライン追加ケースの進捗状況の管理のためにも、上記台帳整備の取組を着実に進めることが望まれる。

(イ) FMS中央調達に係る役務完了通知の提出状況

有償援助訓令等によれば、FMS中央調達について、受領部隊等の長は、LOAに係る役務の提供が完了したときは、直ちに支担官に役務完了通知を提出することとされている。

そこで、FMS中央調達に係る役務完了通知の提出状況をみたところ、役務完了通知の提出に当たり、合衆国政府との調整に長期間を要していたことなどにより、精算手続が速やかに行われていなかったケースが13件見受けられた。

上記について、事例を示すと次のとおりである。

<事例3> 海軍省からの技術援助に係る役務ケースについて、役務完了通知の提出に当たり、合衆国政府との調整に長期間を要していたことなどにより、精算手続が速やかに行われていなかったもの

装備庁は、海上幕僚監部(以下「海幕」という。)からの調達要求に基づき、潜水艦の対艦ミサイル発射能力の確認試験に関する海軍省からの技術援助の調達のために、平成24年度から令和3年度にかけて役務ケース計9件(5年度末時点の契約額計7億8089万余円)のLOAを取り交わしている。LOAにおいて、合衆国政府は、試験の実施完了後8か月又は12か月以内を基準に試験分析レポート(以下「レポート」という。)を提出することとなっている。そのため、海幕は、レポートを受領することにより役務の提供が完了するとして、役務完了通知の提出時にレポートを添付して装備庁の支担官に提出することにしていた。

そこで、当該役務ケース9件における役務完了通知の提出状況をみたところ、いずれのケースもLOAを取り交わしてからおおむね1年以内に試験の実施が完了していたが、9件のうち8件については、レポートに秘密情報が含まれていたため、その受領方法について合衆国政府と調整を行う必要があり、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響によりレポートを直接受領する方法が採れなくなったという事情はあるものの、試験の実施完了から役務完了通知の提出までに最長で9年4か月を要しているケースがあるなど、手続に長期間を要している状況であった。また、当該8件の中には、レポートの受領後1か月以内に支担官に役務完了通知を提出していたケースがある一方で、2件のケースについては、レポートの受領から役務完了通知の提出までそれぞれ9か月及び11か月を要していて、直ちに役務完了通知が支担官に提出されていなかった。

一方、レポートに秘密情報を含まない残りの1件については、レポートの受領日に関する資料が残っておらず、レポートの受領から役務完了通知の提出までの期間を確認できなかったものの、合衆国政府による試験の実施完了から海幕による役務完了通知の提出までに7年4か月を要していた。

これらのことから、上記の9件は、試験の実施完了から装備庁の支担官への役務完了通知の提出までに2年2か月から9年4か月を要していて、当該9件に係る前払金(5年度末時点の未精算額2億1590万余円)の精算手続が速やかに行われていなかった。

役務完了通知の提出に当たり、合衆国政府との調整に長期間を要するなどした場合、その後の前払金の速やかな精算手続の実施を妨げることになることから、受領部隊等において、適時に役務完了通知を提出するとともに、調達要求元は、台帳を整備している装備庁とも連携して合衆国政府に働きかけを行うなど適切にケースの進捗状況の管理を行い、引き続き未精算額を減少させるよう努める必要がある。

エ 物品管理簿への記録等の状況

物品管理法(昭和31年法律第113号)等によれば、国の物品については、各省各庁の長がその所管に属する物品の管理を行い、各省各庁の長からその管理に関する事務の委任を受けた職員が物品管理官として当該事務を行うこととされている。そして、物品管理官(分任物品管理官を含む。)は、物品管理簿等を備えて、その管理する物品の増減等の異動数量、現在高等を記録しなければならないこととされており、財務大臣が指定する機械、器具等(注20)(以下「重要物品」という。)については、その取得価格を物品管理簿に記録しなければならないこととされている。また、各省各庁の長は、重要物品について、毎会計年度末の物品管理簿の記録内容に基づいて、物品増減及び現在額報告書(以下「物品報告書」という。)を作成し、財務大臣に送付しなければならないこととされており、物品報告書に基づいて財務大臣が作成した物品増減及び現在額総計算書により、物品の現在額等が、内閣から国会に報告されている。

(注20)
財務大臣が指定する機械、器具等  取得価格(取得価格がない場合又は取得価格が明らかでない場合は、見積価格。以下同じ。)が50万円以上の機械、器具等。ただし、防衛省所管防衛用品の分類に属する装備訓練に必要な機械及び器具(普通自動車及び小型自動車を除く。)については、当分の間、取得価格が300万円以上の機械及び器具

FMS調達は、通常の調達と異なり、FMSで調達する物品(以下「FMS物品」という。)の内訳がLOAにおいて明確になっていないことがあり、納入の段階においてもFMS物品の物品番号、価格等の諸元が判明しない場合がある。

そのため、各自衛隊は、FMS物品について、各自衛隊で定めた規則等に基づき、必要に応じてその管理に必要な物品番号、価格等の諸元の収集を行うなどして物品管理簿への記録を行っている。

そして、会計検査院は、元年報告において、受領部隊等に物品管理簿への記録に必要な情報が速やかに示されていなかったことから、物品管理簿に取得価格等が記録されていないなどの事態を報告しており、「FMSにより調達した防衛装備品について、速やかに物品管理簿に記録し、適切に管理すること」を所見として記述している。

そこで、FMS物品の物品管理簿への記録等の状況についてみたところ、各自衛隊において、重要物品に該当するFMS物品が適切に物品管理簿に記録されていなかったことなどにより、当該FMS物品が適正に物品報告書に計上されていない事態が見受けられた。

各自衛隊は、会計検査院の指摘に基づき、7年8月までに、物品管理簿への記録を適切なものとするなどした上で、物品報告書が重要物品の現況を反映した適正なものとなるよう手続等を要領に定めるなどの処置を講じたことから、会計検査院は、令和6年度決算検査報告に「本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項」として掲記した(別図表1参照)。

物品管理簿は国の物品を管理するための基本的な帳簿であり、また、物品報告書は国民に対して物品の現況を明らかにするものであることから、FMS物品について、適切に物品管理簿に記録し、重要物品の現況を適正に物品報告書に反映させることが必要である。

(3) FMS調達に係る前払金の精算状況

ア FMS調達に係るケース単位の前払金の精算状況
(ア) 平成30年度から令和5年度までの目標時期経過ケースの状況

第1の2(2)カ(イ)のとおり、防衛省は、平成9年に新精算方式の枠組みに参加しており、合衆国政府は、日本のケースについて、未精算債務額を含めた金額に基づき最終計算書を作成して送付することによって、防衛装備品等の提供の完了後24か月以内にケースを精算することを基本的な目標としている。そして、会計検査院は、元年報告において、「装備庁は、新精算方式による精算が着実に実施されるよう合衆国政府に対して引き続き精算促進を行うこと」を所見として記述している。

そこで、防衛装備品等の提供の完了から24か月を経過しても最終計算書を受領していないケース(以下「目標時期経過ケース」という。)の件数及び未精算額について、装備庁から提供を受けた資料を基に確認したところ、図表3-13のとおり、令和5年度末時点ではFMS調達合計で314件379億余円となっており、このうちFMS中央調達の件数及び未精算額は300件368億余円で、それぞれFMS調達合計の95.5%及び97.1%を占めている状況となっていた。

図表3-13 令和5年度末時点における目標時期経過ケース等の状況

(単位:件、億円、%)

区 分FMS調達合計FMS中央調達FMS地方調達
ケース数金額ケース数金額ケース数金額
精算未完了ケース487
(100.0)
862
(100.0)
451
(92.6)
815
(94.4)
36
(7.3)
47
(5.5)
うち目標時期経過ケース314
(100.0)
379
(100.0)
300
(95.5)
368
(97.1)
14
(4.4)
10
(2.8)
  • (注) 括弧内の計数は、FMS調達合計に対する割合を示している。

さらに、FMS中央調達における目標時期経過ケースの平成30年度から令和5年度までのケース数及び未精算額をみると、図表3-14のとおり、ケース数は273件から329件、未精算額は345億余円から522億余円の間で推移しており、平成29年度の269件と比べてもケース数に大きな変化はみられないが、未精算額は30年度までは500億円程度であったものの、令和5年度には368億余円となっていて、150億円程度減少している(別図表23参照)。これは、イージス艦へのBMD(弾道ミサイル防衛)機能の付加に係るケースにおいて、元年度に最終計算書を受領し、余剰金の返還を受けたことから、未精算額が55億円以上減少していることなどが影響している。

図表3-14 FMS中央調達における目標時期経過ケース等の推移

図表3-14 FMS中央調達における目標時期経過ケース等の推移画像

なお、FMS地方調達における目標時期経過ケースについては、平成30年度から令和5年度にかけて、ケース数が10件から20件程度、未精算額が10億円から20億円程度で推移している状況となっている(別図表24参照)。

(イ) FMS中央調達における提供の完了から最終計算書を受領するまでの経過月数の状況等

(ア)のとおり、目標時期経過ケースの件数及び未精算額ともにFMS中央調達が大半を占めており、ケース数に大きな変化はみられない状況となっている。

そこで、平成30年度から令和5年度までの各年度の大臣報告で報告されているFMS中央調達のうち、5年度末までに最終計算書を受領していたケース(ケース全体が取消しになったケース等を除く。)582件(前払金額2679億余円)について、提供の完了日から最終計算書の受領までの経過月数をみたところ、図表3-15のとおり、24か月(2年)を超えるケースは、382件(同1978億余円)となっており、全体(582件)の65.6%を占めていた。そして、これらの中には、120か月(10年)を超えるケースが18件(同68億余円)あり、最長で233か月となっていた。

なお、上記582件のケース(同2679億余円)のうち、6年度末時点で577件において507億余円の余剰金が発生しており、全額が国庫に返還されていた。

図表3-15 最終計算書を受領したケースに係る提供の完了から最終計算書の受領までの経過月数

図表3-15 最終計算書を受領したケースに係る提供の完了から最終計算書の受領までの経過月数画像

一方、同様に平成30年度から令和5年度までの各年度の大臣報告で報告されているFMS中央調達のうち、5年度末時点においても最終計算書が未受領となっていたケース(ケース全体が取消しになったケース等を除く。)420件(5年度末時点の未精算額789億余円)について、5年度末時点における提供の完了日からの経過月数をみたところ、図表3-16のとおり、24か月(2年)を超えるケースは283件(同356億余円)となっており、全体(420件)の67.3%を占めていた。そして、これらの中には、120か月(10年)を超えるケースが25件(同56億余円)あり、最長で165か月となっていた。

図表3-16 最終計算書が未受領のケースに係る提供の完了から令和5年度末までの経過月数

図表3-16 最終計算書が未受領のケースに係る提供の完了から令和5年度末までの経過月数画像

装備庁は、新精算方式が適用されていても提供の完了から最終計算書の受領までの経過月数が24か月を経過しているケースが多数見受けられていることについて、購入契約における精算の調整に時間を要していることなどが要因であるとしている。

防衛省は、装備庁長官と国防安全保障協力庁長官(以下「DSCA長官」という。)が出席する会議を筆頭とする会議体(Security Cooperation Consultative Meeting。以下「SCCM」という。)を通じるなどして、長期にわたって精算が行われていないケースを対象に精算促進を行うなど、未精算の課題の改善に努めてはいるものの、最終計算書の受領までに長期間を要しているケースが見受けられる状況となっている。

したがって、装備庁は、新精算方式による精算が着実に実施されるよう合衆国政府に対して引き続き精算促進を行うことが必要である(精算促進の取組については、後述4(1)ア及び4(2)イ参照)。

イ FMS調達に係るライン追加ケースの前払金の精算状況
(ア) 戦闘機(F-35A/B)に係るライン追加ケースの精算状況

戦闘機(F-35A/B)の機体等の調達については、調達開始時点でケースの履行期間が長期に及ぶことが予想できること、毎年度、新規にLOAを取り交わしてケースが追加されていく方法の場合、ケース数の増加により合衆国政府の管理が煩雑になることなどから、合衆国政府から複数の調達要求品目を一つのケースに集約化することが要請され、既存のケースにラインを追加するアメンドメントにより対応することが基本となっている。

一方、合衆国政府から要請された方法によると、2(1)ア(ア)のとおり、アメンドメントにより追加されたラインを含む、ケースに係る全てのラインについて防衛装備品等の提供が完了しない限り、最終計算書が合衆国政府から送付されず、前払金に係る余剰金が発生していても長期にわたり余剰金の返還を受けられない状況となる。そのため、防衛省は、戦闘機(F-35A/B)の機体等のケースにおける集約の条件として、我が国の同一予算年度の同一予算科目の調達要求品目に係る全てのラインの防衛装備品等の提供が完了となった場合、合衆国政府は、製造会社等との間で精算に係る調整作業を完了させ速やかに計算書を送付して余剰金の残高を通知すること、当該計算書で通知された余剰金の残高に基づき、防衛省はケースに係る全ての調達要求品目の提供が完了する前であっても合衆国政府に対して余剰金の返済請求(以下「余剰金の部分返済請求」という。)を行うことができることなどを合衆国政府との間で合意している(図表3-17参照)。

図表3-17 戦闘機(F-35A/B)の機体等のケースにおける余剰金の部分返済請求の流れ

図表3-17 戦闘機(F-35A/B)の機体等のケースにおける余剰金の部分返済請求の流れ画像

そこで、戦闘機(F-35A/B)の機体等のケースに係るライン単位の防衛装備品等の提供の完了の状況及び余剰金の部分返済請求の状況を確認したところ、6年度末時点において、戦闘機(F-35A)に係る全53品目208ラインのうち43品目151ラインの提供が完了しており、そのうち、2品目2ラインに係る余剰金計11億8400万余円(約861万米ドル)については、合衆国政府との合意の条件に合致するとして余剰金の部分返済請求が行われ、返還されていた。また、151ラインから上記2ラインを除いた149ラインについては、防衛装備品等の提供が完了しているものの、同一予算年度の同一予算科目の調達要求品目に係る他のラインの提供が完了していない、又は同一予算年度の同一予算科目の調達要求品目に係る全てのラインの提供が完了となっていても合衆国政府による製造会社等との精算に係る調整作業が進捗していないため、余剰金の残高が確定されず、計算書により余剰金の残高が通知されないことから、余剰金の部分返済請求を行えない状況となっていた(別図表25参照)。

なお、装備庁によると、7年度以降も引き続き合衆国政府と調整を行っており、149ラインのうち21ラインについては、合衆国政府による提供の完了の確認が行われ、このうち一部のラインにおいては余剰金の発生が見込まれる旨の連絡を受けるなどしており、余剰金の返還に向けた手続が進捗しているとのことである(戦闘機(F-35A/B)については、2(3)ウ及び3(2)ア(ウ)参照)。

(イ) 戦闘機(F-35A/B)以外のライン追加ケースの精算状況

会計検査院は、元年報告において、平成29年度末時点において精算が完了していないFMS中央調達のケースを対象に、戦闘機(F-35A)の調達に係るケース以外で既に取り交わされているLOAに調達要求品目を追加するアメンドメントを行ったケースが8件(調達要求品目を追加した後の29年度末時点における前払金額656億6980万余円)見受けられたことを報告している。

今回、当該8件について戦闘機(F-35A/B)の機体等のケースと同様に、余剰金の部分返済請求を行うことについて合衆国政府との協議等の状況を確認したところ、装備庁は、合衆国政府と余剰金の部分返済請求に向けた協議を行っていたが、合意に達していなかった。また、その他のライン追加ケースにおいても余剰金の部分返済請求を行うことについて合衆国政府と合意に達しているケースはなかった。なお、合衆国政府は、戦闘機(F-35A/B)の機体等のケースに関する合意は、事業規模の大きさなどの特殊性を踏まえたものであり、他のライン追加ケースについては、事務負担上、難しいとしている。

4 防衛省におけるFMS調達の改善に向けた取組の状況

会計検査院は、元年報告において、FMS調達の改善に向けた取組について「合衆国政府との協議等を通じてFMS調達の改善に向けた取組を引き続き推進する」ことを所見として記述している。

そこで、元年報告のフォローアップとして、防衛省と合衆国政府との協議の状況等についてみるとともに、防衛省における取組の状況をみると、次のとおりとなっていた。

(1) 合衆国政府との協議の状況等

ア 合衆国政府との協議の状況

防衛省は、FMS調達の諸問題の解決を図るために、合衆国政府との間で各種会議を開催しており、防衛大臣や装備庁長官等が出席する様々なレベルの会議で合衆国政府と協議を行っている。

防衛大臣は、アメリカ合衆国国防長官との日米防衛相会談や、外務大臣及びアメリカ合衆国国務長官も加わった日米安全保障協議委員会において日米同盟の抑止力・対処力の強化等について意見交換を行う中で、FMS調達に関する事項についても協議している。例えば、FMS調達に関する各課題のうち、価格の透明性確保(注21)、精算遅延の改善等に関する取組の強化について合衆国政府の協力が得られるよう確認するとともに、戦闘機(F-35)等の高性能なアメリカ合衆国製の防衛装備品について、防衛省が円滑に導入できるよう協力を求めるなどしていた。また、政府品質管理の実施に向けた手続の進捗状況を確認するなどしていた。

このほか、FMS調達についての実務レベルでの協議等が行われており、具体的には、装備庁において、昭和53年以降、合衆国政府と出荷促進や精算促進を協議するための会議を開催している。また、平成8年からは、毎年、合衆国政府とFMS調達全般の諸問題等について協議する会議を開催している。そして、従来の会議は担当者間で個別に行われていたが、FMS調達の金額の増加等を背景に合衆国政府と更なる情報交換や協議を行う必要があるとして、28年5月に装備庁長官とDSCA長官が署名して、SCCMが設置されている。

SCCMは、図表4-1のとおり、装備庁とDSCAとの間における従来の会議を取り込んだ対話の枠組みとなっており、出荷促進や精算促進の協議、FMS調達の諸問題の解決についての協議等を行う場となっている。

(注21)
価格の透明性確保  防衛省は、価格の透明性確保について、見積価格の細部情報及び根拠が合衆国政府から十分に入手できている状態及び価格精査等が適切かつ効率的に実施できている状態をいうとしている。

図表4-1 SCCMの概念図

図表4-1 SCCMの概念図画像

また、主に装備庁とDSCAとの間において協議等を行うSCCMのほか、図表4-2のとおり、精算調整会議や、Program Management Review(以下「PMR」という。)等の実務レベルの会議が行われている。

図表4-2 SCCM以外の合衆国政府との会議の概要

会議名会議の目的、主な内容出席者
精算調整会議各自衛隊と海軍省及び空軍省との間において、FMS地方調達の各課題の解決について協議等を行う会議各自衛隊、海軍省及び空軍省の担当者
PMRケースに関連する個々の防衛装備品等別に、装備庁、各自衛隊、各軍省、製造会社等が参加して、品目についての具体的な内容、ケースの進捗等について協議等を行う会議装備庁、各自衛隊、各軍省、製造会社の担当者等

そこで、SCCM、精算調整会議及びPMRにおける協議の状況等についてみたところ、次のとおりとなっていた。

(ア) SCCMにおける協議の状況等

30年度から令和6年度までのSCCMについては、図表4-3のとおり、日本又はアメリカ合衆国で各種会議が28回開催されており、装備庁長官、DSCA長官等が会議に参加して、FMS調達に関する各種の協議等が行われている。SCCM本会議は両長官が共同議長として出席して協議する会議であるのに対して、SCCM調整会議はSCCM本会議に先立って行われ、両長官以外の両国の会議参加者によってSCCM本会議よりも実務的な内容の協議が行われている。

そして、平成30年度から令和6年度までに開催されたSCCM本会議等における主な協議事項をみると、未納入及び未精算に対する取組、出荷証書と計算書の照合並びに価格の透明性確保の課題が継続的に議題として取り上げられている。また、このほか、国内企業の維持整備等への参画の促進や複数年度調達の活用の課題についても議題として取り上げられており、FMS調達の各課題に関する情報交換や協議が幅広く行われている。

図表4-3 SCCMにおけるFMS調達に係る各種会議の開催状況等

会議名開催年月会議の主な協議事項主な出席者
SCCM本会議平成31年1月
令和2年1月
3年1月
4年2月
5年1月
6年1月
7年3月
未納入及び未精算に対する取組、信託基金の状況、重要プログラム・ケース、出荷証書と計算書の照合、価格の透明性確保、国内企業参画の促進等装備庁長官、DSCA長官等
SCCM調整会議平成30年7月
令和元年7月
2年10月
3年10月
4年7月
5年7月
6年6月
重要プログラム・ケース、価格の透明性確保、複数年度調達の活用、国内企業参画の促進等装備庁担当部長、装備庁担当課長、DSCAインド太平洋軍統合地域チームリーダー、DSCA担当課長等
FMS財務管理会議(FMR)平成30年7月
令和元年7月
2年10月
3年10月
4年7月
5年7月
6年6月
未納入及び未精算に対する取組、信託基金の状況、出荷証書と計算書の照合等装備庁担当部長、装備庁担当課長、DSCA担当課長等
日米精算交渉会議(CRR)平成30年7月
令和元年7月
2年11月
3年11月
4年11月
5年11月
6年12月
長期未精算ケースの早期終結依頼、未納入ケースの納入促進依頼等装備庁担当室長、FMS連絡官、DSCA担当、DFAS担当、各軍省等担当等

未納入及び未精算の課題を解決するために、SCCM本会議において装備庁が行ったFMS中央調達における出荷促進及び精算促進の実施状況等を確認したところ、図表4-4のとおり、元年度から5年度までに出荷促進を行ったケースのうち翌年度末までに防衛装備品等の提供が完了した割合は、ケース数の割合で34.7%から81.5%、前払金額の割合で5.3%から81.1%となっていた。このうち、前払金額の割合が5.3%となっていたのは、3年1月に出荷促進を行ったケース44件に関するものであり、これは、出荷促進を行った後に陸上自衛隊のオスプレイと航空自衛隊の早期警戒機(E-2D)の機体購入等のケース2件の出荷予定時期が変更されたことにより、翌年度末までに提供の完了を求める対象ではなくなったことによるものであった。当該ケース2件に係る前払金の合計額は3年1月の会議で出荷促進を行ったケースの前払金額計1602億余円のうち1227億余円(1602億余円の76.6%)と大部分を占めていたことから、前払金額の割合でみた場合の出荷促進を行ったケースの防衛装備品等の提供完了の達成率に大きく影響していた。一方で、ケース単位でみると、出荷促進を行った44件のうち23件(44件の52.2%)のケースに係る防衛装備品等の提供が翌年度末までに完了していた。

なお、元年報告において平成29年度末時点で出荷予定時期を5年以上経過していたケースが7件見受けられたことを報告しているが、装備庁は、当該7件について、SCCM本会議等で引き続き出荷促進を行っており、そのうち6件は令和元年度までに防衛装備品等の提供が完了していた。そして、残りの1件についても合衆国政府と調整を行い、3年度末には当該ケースについても防衛装備品等の提供が完了していた。

図表4-4 SCCM本会議における装備庁による出荷促進の実施状況等

(単位:件、億円、%)

SCCM
本会議
の開催年月
提供が完了した
割合
 
(b/a)
会議において
出荷促進を行った
ケース
(a)
うち翌年度末
までに提供が完了
したケース
(b)
ケース数前払金額ケース数前払金額ケース数
の割合
前払金額
の割合
平成31年1月
令和2年1月763026221081.569.6
3年1月441602238552.25.3
4年2月465181615834.730.5
5年1月619603158450.860.8
6年1月5410544185575.981.1
2814437173189461.542.6
  • (注) 平成31年1月については、SCCM本会議において合衆国政府と協議したものの、個別ケースの出荷促進を行っていないため「-」としている。

また、平成30年度から令和5年度までに精算促進を行ったケースのうち翌年度末までに最終計算書を受領した割合は、図表4-5のとおり、ケース数の割合で19.2%から51.1%となっていた。そして、平成30年度から令和5年度までにSCCM本会議において精算促進を行い翌年度末までに最終計算書を受領したケース計217件のうち計184件(余剰金計432億余円)については、同年度末までに余剰金が返還されていた。

図表4-5 SCCM本会議における装備庁による精算促進の実施状況等

(単位:件、億円、%)

SCCM
本会議の
開催年月
会議において
精算促進を
行ったケース
(a)
うち翌年度末までに
最終計算書を受領したケース
うち翌年度末までに
余剰金の返還を受けたケース
ケース

(a)
前払金額ケース

(b)
前払
金額
(c)
精算額
(d)
余剰
金額
(c-d)
ケース
単位での
受領割合
(b/a)
ケース

(e)
前払
金額
精算額余剰金
返還額
ケース
単位での
返還割合
(e/a)
平成31年1月15142573682947446.673682947446.6
令和2年1月252293812994273620651.110688769619042.0
3年1月4617381538251332.61335211328.2
4年2月5720171146321419.2104032817.5
5年1月722428224353508530.5193252458026.3
6年1月941608334623907235.1294413756530.8
5361兆21552172295182846640.41842099166643234.3
(イ) 精算調整会議における協議の状況等

精算調整会議は、FMS地方調達の各課題解決のために協議等を行う会議である。各自衛隊は、海軍省及び空軍省との間で、主な課題である未納入及び未精算の課題のほか、防衛装備品等の輸送方法、CLSSAの対象範囲等について協議等を行っている。

そこで、精算調整会議において各自衛隊が行ったFMS地方調達における出荷促進及び精算促進の状況等をみたところ、次のとおりとなっていた。

第1の2(2)エ(イ)のとおり、FMS地方調達はLOAに出荷予定時期等が記載されない直接発注方式により行われているため、各自衛隊は、出荷促進の対象ケースの選定に当たり、LOAを取り交わしてから一定の年数を経過したケースを対象として、合衆国政府に対して進捗状況を確認するなどしていた。

そして、元年度から6年度までに各自衛隊が出荷促進を行ったケースのうち、翌年度末までに提供が完了したケース等は図表4-6のとおりであり、海上自衛隊については、3年度に出荷促進を行ったケース6件のうち翌年度末までに提供が完了したケースは1件であったが、4年度以降も継続して出荷促進を行い、5年度末までに計4件のケースにおいて提供が完了していた。また、4年度に出荷促進を行って翌年度末までに提供が完了したケース3件(前払金額計45億余円、当該年度に出荷促進を行ったケースに係る前払金額全体の42.8%)のうち、最も前払金額が大きいケースは、イージス装置用補用部品に関するCLSSAのケースの17億余円(同16.1%)であった。

航空自衛隊については、元年度に出荷促進を行ったケース8件のうち翌年度末までに提供が完了したケースは1件であったが、3年度以降も継続して出荷促進を行い、3年度に1件、5年度に3件、6年度に2件と、6年度末までに計7件のケースにおいて提供が完了していた。また、5年度に出荷促進を行って翌年度末までに提供が完了したケース5件(前払金額計55億余円、同41.1%)のうち、最も前払金額が大きいケースは、早期警戒機(E-2C)の補用部品等に関するケースの24億余円(同18.0%)であった。

図表4-6 精算調整会議における出荷促進の実施状況等

(単位:回、件、億円、%)

組織開催年度精算調整
会議の
開催回数
提供が完了した
割合
 
(b/a)
会議において
出荷促進を
行ったケース
(a)
うち翌年度末まで
に提供が完了した
ケース
(b)
ケース数前払金額ケース数前払金額ケース数
の割合
前払金額
の割合
陸上
自衛隊
令和6年度19123
海上
自衛隊
平成30年度1
令和元年度1
  3年度169311216.613.0
  4年度1710534542.842.8
航空
自衛隊
  元年度28631412.56.4
  3年度2997
  4年度21111643836.333.3
  5年度21113555545.441.1
  6年度211115
  • 注(1) 海上自衛隊の平成30、令和元両年度については、精算調整会議が開催されたものの、個別ケースの出荷促進を行っていないため「-」としている。
  • 注(2) 陸上、航空両自衛隊が令和6年度に出荷促進を行ったケースについては、翌年度末時点の提供状況が判明していないことから、翌年度末時点の提供状況に係る欄に斜線を付している。

元年度から6年度までの精算促進の実施状況等を確認したところ、各自衛隊は、対象ケースの選定に当たり、ケースにおける全ての防衛装備品等の提供が完了してから一定の年数を経過したケースを対象として、合衆国政府に対して進捗状況を確認するなどしていた。そして、精算促進を行ったケースのうち、翌年度末までに最終計算書を受領したケース等は図表4-7のとおりであり、海上自衛隊については、3年度に精算促進を行った4件全てのケースで翌年度末までに最終計算書を受領しており、余剰金が返還されていた。また、航空自衛隊については、元年度に精算促進を行った7件のケースのうち翌年度末までに最終計算書を受領したのは2件であったが、2年度以降も継続して精算促進を行うことにより、6年度末時点で残りの5件全てのケースに係る最終計算書の受領を完了していた。

図表4-7 精算調整会議における精算促進の実施状況等

(単位:回、件、億円、%)

組織開催年度精算調整
会議の
開催回数
会議において
精算促進を
行ったケース
(a)
うち翌年度末までに
最終計算書を受領したケース
うち翌年度末までに
余剰金の返還を受けたケース
ケース

 
(a)
前払
金額
ケース

 
(b)
前払
金額
 
(c)
精算

 
(d)
余剰
金額
 
(c-d)
ケース
単位での
受領割合
(b/a)
ケース

 
(e)
前払
金額
精算
余剰
金返
還額
ケース
単位での
返還割合
(e/a)
陸上
自衛隊
令和6年度1
海上
自衛隊
平成30年度1
令和元年度1
  3年度1443443339100.0443339100.0
  4年度122811310350.011310350.0
航空
自衛隊
  元年度2721200028.5100014.2
  3年度2619496366.6342150.0
  4年度2272752100.02752100.0
  5年度2318318126100.02118266.6
  6年度2215174350.0174350.0
  • 注(1) 陸上自衛隊の令和6年度及び海上自衛隊の平成30、令和元両年度については、精算調整会議が開催されたものの、個別ケースの精算促進を行っていないため「-」としている。
  • 注(2) 航空自衛隊が令和6年度に精算促進を行ったケースについては、一部当該年度中に最終計算書を受領したケースがあったことから計数を記載している。
(ウ) PMRにおける協議の状況等

PMRは、ケースに関連する個々の防衛装備品等別に、品目についての具体的な内容、ケースの進捗等について協議等を行う会議である。

そこで、26中期防、31中期防及び整備計画においてFMSにより調達することとされているオスプレイ、イージス・システム搭載艦、早期警戒機(E-2D)、戦闘機(F-35A)、戦闘機(F-35B)、戦闘機(F-15)の能力向上、空中給油・輸送機(KC-46A)及び滞空型無人機(グローバルホーク)の8主要防衛装備品について、平成30年度から令和6年度までのPMRの開催状況を確認したところ、図表4-8のとおり、各防衛装備品に関して少なくとも年に1回以上開催されており、各防衛装備品の運用の開始前から、事業の全体計画、品目についての具体的な内容、教育訓練、整備補給等についての情報提供や調整等が行われていた。例えば、イージス・システム搭載艦については、事業全体計画、船体と武器システムの統合、試験、教育訓練計画等について情報提供を受け、又は協議等を行うなどしていた。また、滞空型無人機(グローバルホーク)については、維持整備に係る価格上昇の要因や一部の経費構成等の情報提供を受け、また、維持整備の一部を航空自衛隊の部隊による整備に移管するなどして経費の縮減を図るとともに、引き続き合衆国政府に対して経費の縮減ができる余地がないかなどの調整等を行っていた。

図表4-8 PMRの開催状況

(単位:回)

防衛装備品名〈参考〉
平成29年度
30年度令和元年度2年度3年度4年度5年度6年度
オスプレイ11111112
イージス・システム搭載艦22
早期警戒機(E-2D)33313222
戦闘機(F-35A/B)22221222
戦闘機(F-15)の能力向上213
空中給油・輸送機(KC-46A)2212212
滞空型無人機(グローバルホーク)12212322
  • (注) 戦闘機(F-35B)については、令和元年度以降、戦闘機(F-35A)と同一のPMRの中で合わせて調整等を行っている。
イ 各国との連携の状況

アメリカ合衆国では、FMSを利用する諸外国等の駐在武官及びDSCAの代表者等が参加して、FMSの制度の変更点や改善点についてDSCAから説明を受け、又はFMSに関して各国が情報共有を行うなどする外国調達グループ(Foreign Procurement Group)の会議(以下「FPG会議」という。)が平成11年頃から定期的に開催されており、防衛省は、15年4月から同グループに参加している。

30年度から令和6年度までの間におけるFPG会議への参加状況をみると、防衛省は、元年度に2回、2年度に1回、5年度に1回及び6年度に4回参加しており、DSCAの代表者等によるFMSの制度についての説明を受けるほか、各国との間でFMSに関する情報共有を行っている。また、5年度に開催されたFPG会議においては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受けて開催が困難だった時期があったことなどを背景に、6年度以降のFPG会議については、これを活性化させるべく、定期的に開催すること、四半期に1回を目途に対面で実施することなどが決められた。

(2) 防衛省における取組の状況

防衛省は、平成16年から防衛装備品等の調達の効率化、合理化及び透明性の向上を図ることなどを目的とした総合取得改革を進めており、19年10月に総合取得改革推進プロジェクトチームを設置して、20年3月にはFMS調達についての現状の課題や改善への取組の状況について報告書に取りまとめている。そして、その後も引き続きFMS調達の改善に取り組んでおり、30大綱及び31中期防において、FMS調達の合理化に向けた取組を推進することとされたことを踏まえて、FMS調達における価格の透明性確保、未納入、未精算等の各課題を改善するための各種取組を組織横断的に推進する体制の整備のために、令和元年7月、防衛省内に、FMS調達の合理化に向けた取組の推進に関するプロジェクトチームを設置している。防衛省は、当該プロジェクトチームの下で細部の検討を行うために、図表4-9のとおり、価格の透明性確保検討部会、未納入・未精算・トラストファンドの課題改善検討部会、複数年度調達の活用検討部会、国内企業参画検討部会及び契約管理費の減免検討部会の五つの検討部会を設置している。

図表4-9 FMS調達の合理化に向けた取組の推進に関するプロジェクトチームの構成

図表4-9 FMS調達の合理化に向けた取組の推進に関するプロジェクトチームの構成画像

そこで、防衛省による取組の状況として、各検討部会で取り上げられている内容、FMS調達の主な課題の改善状況等について整理すると、図表4-10のとおりとなる。

図表4-10 検討部会における防衛省の取組状況等

検討部会の名称検討部会の実施状況等防衛省の取組状況等取組の成果等
価格の透明性確保
検討部会
・FMSの見積価格の細部情報、価格の変動理由等について合衆国政府との会議の場で求める内容を検討・会議等での合衆国政府への働きかけ・PMR等を活用した見積価格の細部情報の入手
未納入・未精算・トラストファンドの課題改善検討部会 注(1)・未納入及び未精算への対応として、未納入ケース及び目標時期経過ケースの要因分析及び取組の方向性の検討
・信託基金の健全性維持についての検討
・履行管理体制の強化
・FMS調達の合理化に向けた現地部外要員の活用等の取組
・出荷促進及び精算促進に係る対象ケースの選定等
・余剰金の返済請求の取組
・信託基金枯渇問題への対応
・在米の有償援助調達スタッフを増員
・装備庁に有償援助調達調整班を新設
・アメリカ合衆国内の政府手続に精通した部外力の活用
・合衆国政府側に精算処理を含むFMS調達全般の事務手続を支援する管理要員を雇用
・出荷促進及び精算促進を働きかけるリスト等の作成、合衆国政府への要請
・新たな仕組みによる余剰金の返還
・信託基金残高の健全性の確保
複数年度調達の活用検討部会・FMS調達額の縮減に向けた一括調達の活用やケース数縮減の検討・一括調達活用の取組
・会議等での合衆国政府への働きかけ
・一括調達契約の活用による調達額の縮減
国内企業参画
検討部会
・企業参画促進に向けた方向性の検討、業界との情報交換等・企業に対する参画要望調査、マッチング支援等・インダストリーデーの開催 注(2)
契約管理費の減免
検討部会
・元年報告の所見を踏まえた検討(法令改正、課題整理等)・契約管理費減免の取組・品質管理の枠組みに署名して、品質管理費用の免除
  • 注(1) 未納入・未精算・トラストファンドの課題改善検討部会におけるトラストファンドとは、信託基金を指している(図表0-6参照)。
  • 注(2) インダストリーデーは、防衛省が日本の防衛関連企業とアメリカ合衆国軍隊及びアメリカ合衆国の防衛関連企業とのマッチング機会を創出するために開催している展示会である。

各検討部会では、FMSに関する各課題を対象として、課題解決の方策や改善の方針等について整理・検討を重ねて、その結果に基づいて装備庁等がSCCM等において合衆国政府に働きかけを行うなどしている。各検討部会での整理・検討に基づく防衛省の主な取組状況をみたところ、次のとおりとなっていた。

ア 価格の透明性確保に対する取組状況

防衛省は、価格の透明性確保について、実際に合衆国政府から提示されるFMSの見積価格の細部情報や価格の変動理由の情報では内容が十分でないなどの課題があるとして、より詳細な見積価格の細部情報等を求めて、合衆国政府との会議において協議を行うなど可能な範囲で把握に努めている。

(1)ア(ア)のとおり、防衛省は、平成30年度から令和6年度までのSCCM本会議等において価格の透明性確保の課題を継続的に取り上げて合衆国政府と協議を行っている。例えば、2年1月のSCCM本会議においては、合衆国政府に対して、価格の透明性に起因する各課題の解決に向けてDSCAの支援を求め、又はDSCAから各軍省等に対してFMSで調達する防衛装備品等の見積価格の細部情報を防衛省に十分に提供するよう指導・監督を行うことを求めており、また、6年1月のSCCM本会議においても、価格の透明性の確保に係る合衆国政府の積極的な協力を要請している。

一方で、合衆国政府は、製造会社等の占有情報の提供が援助管理マニュアル等で禁止されているなど情報開示には制限があり、全てのケースの防衛装備品等について見積価格の細部情報を提供できるわけではないため、防衛装備品等別に協議等を行うPMRの活用を提案している。

そこで、防衛省におけるPMR等を通じた価格の透明性確保に対する取組の状況についてみると、航空自衛隊は、6年度に空中給油・輸送機(KC-46A)の機体等を新規に調達する際に、PMR等を通じて合衆国政府から機体価格等の見積価格の細部情報等を入手して価格交渉に活用していた。

すなわち、航空自衛隊が機体等を調達するために合衆国政府に見積りを依頼したところ、機体価格とは別に、内訳が示されない初度の調達に係る費用であって、防衛装備品の生産等に当たり特別に必要となる費用(以下「初度費」という。)として約6億米ドルが計上されていた。この点について、航空自衛隊は、PMR等を通じて合衆国政府や製造会社に見積価格の細部情報の開示を求めて、初度費には機体の製造ラインの更新に係る費用が含まれていること、当該費用については合衆国政府に対して減免交渉が可能であることを確認した。これを踏まえて、航空自衛隊は、合衆国政府と協議を行い、既存の機体の製造ラインを使用することで初度費を減額することが可能との回答を受けた。その結果、空中給油・輸送機(KC-46A)の初度費については、当初示された約6億米ドルから約4.5億米ドルが減額され約1.5億米ドルとなった。

イ 未納入・未精算・トラストファンドの課題改善に対する取組状況

防衛省は、防衛装備品等の提供の遅延により部隊運用に支障を来す可能性があること、防衛装備品等の提供完了後の精算遅延により余剰金の返還が遅延する可能性があることなどから、未納入及び未精算に関する課題解決に継続的に取り組んでおり、未納入・未精算・トラストファンドの課題改善検討部会において、未納入及び未精算に係る課題を解決するための新たな仕組みを検討している。

(ア) 出荷促進及び精算促進に係る対象ケースの選定等

未納入及び未精算の課題について、防衛省は、SCCM本会議等を通じて合衆国政府と協議を行っている。例えば、防衛省は、2年度以降、「ケース名」「締結年度」「納入提供予定時期」「日本側納入提供完了日からの経過年月」等の情報を網羅的に備えたデータベースを基にして未納入及び未精算に係るケースのうち特に合衆国政府に協力を要請するケースを一定の金額や経過年数等を基準に抽出するなどしたリスト(以下「働きかけリスト」という。)を作成して、SCCM本会議等を通じて合衆国政府に出荷促進及び精算促進を行う際に活用することとしていた。防衛省は、未納入に係る働きかけリストについては、全体の未納入額が目標金額以下となるよう一定の金額以上のケースを対象として選定するなどし、また、未精算に係る働きかけリストについては、過去の未精算額を目安として解消すべき未精算額を設定して対象ケースを選定するほか、防衛装備品等の提供の完了から長期にわたって精算が行われていないケース等を対象ケースとして選定するなどしてそれぞれリストを作成していた。そして、これらのリストを提示するなどして会議等で合衆国政府と情報を共有する方法によって、優先度や処理スケジュールを明確にし、未納入及び未精算の縮減に向けた働きかけを行うための履行管理体制を強化して、引き続き未納入及び未精算の縮減に取り組むこととしていた。

(イ) 余剰金の返済請求の取組

第1の2(2)カ(イ)のとおり、防衛省は、平成9年から新精算方式に参加して精算手続の早期化を図っており、28年からは合衆国政府と更なる精算促進が行えるよう協議するために、SCCM本会議等においても未精算の課題解決に向けて取り組んでいる。そして、令和元年10月に、合衆国政府と未精算の課題の調整を行った際、合衆国政府から、全ての防衛装備品等の提供が完了したケースであって、合衆国政府が最終計算書の送付に一定期間を要すると判断するなどの特定のケースについて、最終計算書の送付前に合衆国政府が製造会社等との最終精算に必要な金額(Highest Financial Requirement。以下「HFR」という。)までLOAの契約額を減額するモディフィケーションを発出することなどにより、購入国が余剰金の返還を受けることができる仕組み(以下「HFRモディフィケーション」という。)があるとの提案を受けた。

これを受けて、防衛省は、3年1月のSCCM本会議において合衆国政府と協議を行い、同年3月にHFRモディフィケーションによる手続が初めて実施され、同年6月に余剰金の返済請求が行われて余剰金の返還を受けていた。

6年8月までのFMS中央調達におけるHFRモディフィケーションによる余剰金の返還額は、図表4-11のとおり、44件のケースに係る198億余円となっている。

図表4-11 FMS中央調達におけるHFRモディフィケーションによる余剰金の返還額

(単位:件、億円)

年度ケース数返還額
令和2年度(3年3月)232
  3年度1241
  4年度2082
  5年度522
  6年度(6年4月~8月)519
44198

HFRモディフィケーションは、援助管理マニュアルに平成25年に規定された仕組みであり、合衆国政府が最終計算書の送付前にLOAの契約額を減額できるかを検討して、減額が可能であると判断した場合に、余剰金の部分的な返還が行われるものである。HFRモディフィケーションの適用が受けられる場合、最終計算書の受領を待たずに余剰金の返還を受けられることから、精算促進の取組に努めてはいるものの最終計算書の受領までに長期間を要しているケース(3(3)ア(イ)参照)等について、余剰金の返還が遅延する課題の解決に向けた取組として期待される。

ウ 複数年度調達の活用に対する取組状況

1(1)イ(イ)のとおり、FMS調達の調達額は増加しており、防衛省は、複数年度調達の活用検討部会において、FMS調達額の経費の縮減に向けた一括調達の活用やケースの進捗状況の管理等に係る事務負担を軽減するためのケース数の縮減等について検討している。

(ア) 一括調達活用の取組

航空自衛隊では、31中期防等において周辺海空域(主に南西地域)の警戒監視能力を強化するために、早期警戒機(E-2D)を令和元年度から7年度までに9機増勢することとしており、経費の縮減を図るために、毎年度契約を締結して数機ずつ調達する従前の調達方法と、一括調達により9機まとめて調達する方法の経費総額を比較して、調達時点において一括調達の方が325億4224万余円の経費を縮減できるとして長期契約法に基づく長期契約による一括調達を採用することとしていた。また、同機種については、5年度から10年度までに増勢する5機についても同様に比較を行い、調達時点において一括調達の方が337億6771万余円の経費を縮減できるとして長期契約による一括調達を採用することとしていた。

(イ) 会議等での合衆国政府への働きかけ

早期警戒機(E-2D)の長期契約による一括調達の採用については、国会から安定的な調達や調達額の縮減に資することなどの要件を満たすことを強く求められたことを受けて、防衛省は、元年7月のSCCM調整会議において、(ア)のような長期契約による一括調達を継続するために、先行事例である早期警戒機(E-2D)において、納入遅延や価格上昇がないよう着実なプロジェクト管理を行うために、合衆国政府に対して協力を要請している。

エ 契約管理費の減免に対する取組状況
(ア) 契約管理費の減免検討部会の実施状況

契約管理費の減免について、会計検査院は、元年報告において、「FMS調達に係る契約額の増加に伴って、手数料の負担額も増加することに鑑み、契約管理費の減免を受けることによりFMS調達に係る契約額を低減する余地がないか検討すること」を所見として記述している。これを受けて、防衛省は、契約管理費の減免に向けた検討として、契約管理費の減免検討部会において、品質管理の枠組みの調整に必要な検討事項の洗い出し、関係法令等の改正、課題の整理等の検討を行っていた。

(イ) 契約管理費減免の取組

2(3)イ(イ)aのとおり、防衛省は、5年4月17日に品質管理の枠組みに署名して、これにより、同日以降にLOAを新規に取り交わすケースについては、政府品質管理を日本政府が無償で実施する代わりに、品質管理費用の免除を受けることとなった。

このように、防衛省は、FMS調達の諸問題の解決を図るために、合衆国政府との間で継続的に協議及び検討を行ってきており、協議の結果、改善が図られた事項等も見受けられる。一方で、FMS調達に係る未納入、未精算等の課題について改善すべき点が依然としてあることから、合衆国政府との協議等を通じてFMS調達の改善に向けた取組を引き続き推進するとともに、HFRモディフィケーションを利用した余剰金の返還の促進について引き続き合衆国政府と調整を行うなどして、未精算額を減少させるよう努める必要がある。