(昭和44年11月22日付け44検第266号 建設大臣あて)
建設省の直轄施行にかかわる道路改良、河川改修等の各種工事のうちには、コンクリートについて、とくに生コンクリートを使用することと指定して施行しているものが少なくない状況である。昭和43年度中に施行した諸工事のうち、1工事当り生コンクリート使用量が300m3
以上のものだけでも、1,151件、工事費約626億3000万円となっていて、これら工事における生コンクリートの使用量は、約195万m3
、93億5800万円に上っている。
しかして、生コンクリートに関する設計、積算について検査したところ、下記のとおりコンクリートの所要強度に対してセメント使用量が多すぎたり、施工の実情からみて現場管理費率が高すぎたりして適切と認められないものがある。
このような事態を生じているのは、生コンクリートの製造、販売の実態およびその工事施工の実情等を設計、積算に反映させる配慮が欠けていたことによるものと認められる。
ついては、生コンクリートの使用は次第に増加しているばかりでなく、工事費のなかに占める割合の高いものが多くなってきているから、生コンクリートの配合については、明確な取扱いの基準を作り、また、現場管理費率については、その実態を調査検討して適正な率を定め、実情にあった経済的な工事の施行を図る要があると認められる。
記
(1) 配合について
生コンクリートの使用を指定している工事のうちには、仕様書で「建設省土木工事コンクリート標準配合表」に定めた配合をそのまま適用したり、これに準じて決定した配合を指定したりして工事を施行しているものが少なくない状況である。
しかしながら、この標準配合表は、もともと小規模で、かつ、強度も高くない現場練りコンクリートに適用することとして定められているものである。このようなコンクリートの工事は多数に上っており、これらについて個々に配合設計試験を実施して適正配合を決定することおよび適切なコンクリートの品質管理を期待することが困難であるなどの事情を考慮して、前記標準配合表の配合は、所要強度等に対してセメント量を多量に使用するものとしている。
これに対し、工場で製造される生コンクリートについては、各種試験および品質管理が比較的行き届いているため、同一強度のコンクリートを製造する場合におけるセメント使用量は、前記標準配合表の配合に比べて少なくて足りているものである。そして、その配合については、各種強度に対応したものが定められているなどしていて、需要者は、所要強度に適合した配合のものを容易に調達することができる実情にある。
したがつて、生コンクリートについて前記標準配合表の配合をそのまま適用し、または、これに準じて配合を決定すれば、所要強度に対してセメント使用量は多量にすぎることとなり、不経済であると認められる。
(2) 現場管理費率について
生コンクリートの使用をとくに指定している工事の現場管理費率は、現場練りコンクリートの場合と同一として積算している。
しかしながら、生コンクリートは工場で製造し、現場まで運搬されたものを直ちに打設するものであるから、現場練りコンクリートの場合より現場管理の手数がかからず、現場管理費も少なくてすむものと認められる。
したがって、生コンクリートの使用を指定している工事の現場管理費率は施工の実情にそわず高率にすぎるものと思料される。