債務負担行為 | (工事勘定) 諸設備費 |
部局等の名称 | 東京第二工事局 |
工事名 | 東海道本線新藤沢(貨)駅積卸場新設その他工事 |
工事の概要 | 貨物駅集約化の一環として大船、藤沢両駅の中間に貨物駅を新設するため、積卸場、通路等の舗装等を施工するもの |
工事費 | 38,000,000円 |
請負人 | 株式会社奥村組 |
契約年月および契約の種類 | 昭和44年3月 指名競争契約 |
しゅん功検査 | 昭和44年10月 |
この工事は、舗装基盤となる地盤の調査が適切でなかったため、必要以上の厚さの舗装を施工することになり、工事費約1040万円が不経済になったと認められる。
(説明)
この工事の主体になっている積卸場、通路8,340m2
およびモータープール敷地2,558m2
については、本件舗装工事の設計の厚さから切取りの高さを決定して土工事を実施し、引続き本件舗装工事を施工したものである。この舗装の設計にあたっては、盛土箇所の一般の路床の支持力であるCBR(注)
7を本件工事箇所の地盤の支持力と想定し、輪荷重をそれぞれ一輪当り8tおよび3tとしていた。そして、舗装の厚さを、構造物設計事務所作成の「アスファルト舗装標準(案)」により、積卸場、通路については、下層路盤の厚さ20cm、上層路盤の厚さ10cm、アスファルトコンクリートの厚さ15cm合計45cm、また、モータープール敷地については、下層路盤の厚さ12cm、上層路盤の厚さ8cm、アスファルトコンクリートの厚さ10cm合計30cmとしていた。このようにして決定した舗装の厚さにより、この工事の舗装工事費を27,324,230円としていた。
しかしながら、この舗装工事を施行した箇所の大部分は、砂質凝灰岩の岩盤を切り取った箇所であるので、この部分の舗装の設計にあたっては、一般の事例にならって、切り取った岩盤表面の不陸直し等の路盤工を施工すれば足りたと認められる。また、本件舗装箇所の一部は岩砕で盛土した箇所で、その地盤の支持力はCBR20から30と想定される。
上記のような現地の状況からみて、仮に、切り取った岩盤が砂質である点を考慮して岩盤の箇所も含めすべてCBR20として設計してみても、舗装の厚さは、積卸場および通路については25cm、モータープール敷地については15cmになる。このことからみて、舗装の設計をこのように現地の条件に即して決定し、これに基づいて前記の切取りの土工事を実施したうえ、舗装を施工すべきであったと認められる。
つぎに、上記の仮に設計した舗装の厚さについて、舗装の構成を想定すると次のとおりである。すなわち、本件工事のように地盤が強固である場合には、アスファルトコンクリートの厚さを減ずることができるとされているので、これによると、積卸場および通路については、アスファルトコンクリート10cm、路盤工15cm、モータープール敷地については、アスファルトコンクリート5cm、路盤工10cmになる。
いま仮に、この貨物駅新設の舗装の厚さを上記のように設計したとして計算すると、舗装工事費は16,868,671円になり、これに比べても本件工事費は約1040万円不経済であったと認められる。
なお、この貨物駅の建設は、会計実地検査当時、前記のとおり舗装の厚さ45cmまたは30cmから地盤の高さを決定して岩盤切取り工事をすでに完了していて、仕上り面との関係もあって、施工中の本件工事の舗装の厚さを変更することができない状態になっていた。このため、当局は、44年9月、この工事について、舗装のうちアスファルトコンクリートの厚さを減じて路盤工の厚さを増すことに設計を変更し、工事費約419万円を減額した。
(注) CBR−舗装の厚さを決める場合等に用いられる路床土支持力比