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  • 昭和62年度|
  • 第2章 個別の検査結果|
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補助事業の実施及び経理が不当と認められるもの


(16)-(20) 補助事業の実施及び経理が不当と認められるもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)文部本省 (項)公立文教施設整備費
(項)沖縄教育振興事業費
部局等の名称 文部本省、長野県ほか4県
補助の根拠 義務教育諸学校施設費国庫負担法(昭和33年法律第81号)等
事業主体 市4、町1、計5事業主体
補助事業 長野市立真島小学校屋内運動場増築等5事業
上記に対する国庫補助金交付額の合計 805,981,000円

 上記の5補助事業において、補助の対象とは認められないものを事業費に含めていたり、補助事業の目的を一部達していなかったりなどしていて、国庫補助金46,897,000円が不当と認められる。これを県別に掲げると別表 のとおりである。

(説明)

 この事業に係る補助金は、義務教育諸学校施設費国庫負担法に基づき、小中学校その他の公立の義務教育諸学校の施設の整備を促進するため、市町村が行うこれらの学校の建物の新増築又は既存の危険建物の改築に要する経費の一部を、また、公立学校施設整備費国庫補助要項(昭和46年文施助第7号)に基づき、公立の学校の施設の整備を行うため、市町村が行う構造上又は教育機能上不適格な建物の改築に要する経費の一部を、及び、児童生徒急増市町村公立小中学校施設特別整備事業費補助金交付要綱(昭和48年文施助第15号)に基づき、児童又は生徒が急増する市町村における小中学校の教室不足の解消を図るため、これらの市町村が行う学校用地の取得に要する経費の一部をそれぞれ国が負担し、又は補助するものである。
 しかして、この補助事業の実施及び経理について検査したところ、前記の5事業主体が実施した公立小学校屋内運動場増築等の5事業において、補助の対象とは認められないものを事業費に含めていたり、補助事業の目的を一部達していなかったりなどしていた。

 これらを不当の態様別に示すと次のとおりである。

補助の対象とは認められないものを事業費に含めているもの
3事業 不当と認めた国庫補助金 41,937,000円
補助事業の目的を一部達していないもの
1事業 不当と認めた国庫補助金 3,930,000円
補助種目の適用を誤っているもの
1事業 不当と認めた国庫補助金 1,030,000円

(別表)

県名 補助事業 事業主体 補助対象
事業費
左に対する国庫補助金 不当と認めた補助対象事業費 不当と認めた国庫補助金 摘要

(16)

長野県

真島小学校屋内運動場増築等

長野市
千円
135,721
千円
53,163
千円
9,623
千円
1,030

補助種目の適用誤り
 この事業は、昭和62年度補助事業として、真島小学校の屋内運動場を増改築したもので、同小学校の62年5月1日現在の標準学級数(注) 10学級に応ずる屋内運動場の必要面積1,092m2 から保有面積614m2 を差し引いた478m2 のうち331m2 を増築事業の補助対象面積とし、また、保有面積614m2 も天井高が低いなどのため球技等の体育実技に支障がある不適格な建物であることから、この614m2 を改築事業の補助対象面積として、これらにそれぞれ1m2 当たりの補助単価142,200円を乗ずるなどして算出した額を補助対象事業費としていた。

 しかし、長野市は、上記の保有面積に屋内運動場の一部である玄関等79m2 を誤って含めておらず、これを含めると保有面積は693m2 となる。
したがって、増築事業(補助率2分の1)の補助対象面積としていた331m2 のうち79m2 は改築事業(補助率3分の1)の補助対象面積とすべきであるから、増築事業の補助対象面積は252m2 、改築事業の補助対象面積は693m2 となり、これらにより算定すると、適正な補助金は52,133,000円となり、1,030,000円が過大に交付されていた。

 (注) 標準学級数  法律に規定する学級編制の標準により算定した学級数をいう。(参照)
 

(17) 愛媛県 番城小学校校舎増築 宇和島市 124,420 62,210 20,224 10,112 補助の対象外
 この事業は、昭和60年度補助事業として、番城小学校の校舎を増築じたもので、同小学校の60年5月1日現在の標準学級数30学級に応ずる校舎の必要面積6,157m2 に、特別な施設が含まれているために加算を認められた面積(以下「特例面積」という。)7m2 を加えた6,164m2 から保有面積5,112m2 を差し引いた1,052m2 を増築事業の補助対象面積とし、これに1m2 当たりの補助単価117,100円を乗ずるなどして算出した額を補助対象事業費としていた。

 しかし、宇和島市は、上記の30学級のうち、第2学年の5学級について、児童数を事実と相違し過大に181人として算出していたが、第2学年の正しい児童数は175人であるから、これに基づく標準学級数は4学級となる。
 したがって、同小学校の標準学級数は29学級となり、これに応ずる校舎の必要面積は5,986m2 であるから、これに特例面積7m2 を加えた5,993m2 から保有面積5,112m2 を差し引いた881m2 が補助対象面積となり、これにより算定すると、適正な補助金は52,098,000円となり、10,112,000円が過大に交付されていた。

(大蔵省 不当事項 貸付金(6)参照)
 
(18) 佐賀県 桜岡小学校校舎増築等 小城郡小城町 502,610 331,047 48,670 28,421 補助の対象外
 この事業は、昭和59年度補助事業として、桜岡小学校の校舎を増改築したもので、同小学校の59年5月1日現在の標準学級数17学級に応ずる校舎 の必要面積4,203m2 から保有面積4,001m2 を差し引いた202m2 を増築事業の補助対象面積とし、また、保有面積4,001m2 もすべて危険な校舎であることから、この4,001m2 を改築事業の補助対象面積として、これらにそれぞれ1m2 当たりの補助単価118,400円を乗ずるなどして算出した額を補助対象事業費としていた。

 しかし、小城町は、上記の17学級のうち、第2学年の3学級及び第6学年の3学級について、児童数を事実と相違し過大にそれぞれ91人として算出していたが、第2学年及び第6学年の正しい児童数はそれぞれ89人及び88人であるから、これに基づく標準学級数はそれぞれ2学級となる。
 したがって、同小学校の標準学級数は15学級となり、これに応ずる校舎の必要面積は3,796m2 であるから、上記保有面積を下回ることになって、増築事業は補助の対象とはならず、また、改築事業は4,001m2 のうち3,796m2 のみが補助対象面積となり、これにより算定すると、適正な補助金は302,626,000円となり、28,421,000円が過大に交付されていた。

(大蔵省 不当事項 貸付金(7)参照)
 
(19) 大分県 別保小学校用地取得 大分市 158,873 45,014 13,873 3,930 補助目的の一部不達成
 この事業は、昭和57年度補助事業として、別保小学校の教室不足の解消を図るのに必要な校舎の増築を行うため、大分市が同小学校用地6,848m2 を補助対象事業費158,873,000円で取得したものである。
 しかして、同市では、上記の学校用地の取得後まもない58年9月に、従前から同小学校に供用していた学校用地の一部598m2 を公民館の敷地に転用していた。

 しかし、同市が既存の学校用地では不足するとして、国庫補助金の交付を受けて新たに学校用地を取得しておきながら、いまだ学校用地の不足が解消していない状況であるのに、既存の学校用地の一部を他の用途に転用しているのは、これに相当する補助対象面積を他の用途に転用したことと同様の結果となり、本件事業により取得した用地のうち598m2 (国庫補助金相当額3,930,000円)分は補助の目的を達していない。
 なお、同年9月の転用前における同小学校の基準面積は29,009m2 で、これに対し保有面積は22,709m2 に過ぎず、6,300m2 が不足していた。その後本件転用が行われ、また、児童数が増加した結果、63年5月1日現在においても、なお10,685m2 が不足している状況である。
 

(20) 沖縄県 真嘉比小学校校舎改築 那覇市 419,397 314,547 4,539 3,404 補助の対象外
 この事業は、昭和61年度補助事業として、真嘉比小学校の危険な校舎を改築したもので、同小学校の62年4月1日の予定学級数(注) 19学級に応ずる校舎の必要面積4,604m2 から保有面積4,723m2 のうち危険でない校舎の面積1,832m2 を差し引いた2,772m2 を改築事業の補助対象面積とし、これに1m2 当たりの補助単価149,800円を乗ずるなどして算出した額を補助対象事業費としていた。

 しかし、那覇市は、上記の危険でない校舎の面積に56年9月に増築した校舎の面積30m2 を誤って含めておらず、これを含めると保有面積は4,753m2 、危険でない校舎の面積は1,862m2 となる。
 したがって、必要面積4,604m2 から危険でない校舎の面積1,862m2 を差し引いた2,742m2 が補助対象面積となるから、これにより算定すると、適正な補助金は311,143,000円となり、3,404,000円が過大に交付されていた。

 (注) 予定学級数  集団的な住宅の建設等による学級数の増加が明らかな場合に、住宅の建設戸数等により推計した事業実施年度の翌年度以降3箇年度の4月1日における児童生徒数に基づき算定した学級数のうち最大のものをいう。
 

1,341,021 805,981 96,929 46,897