この特別会計は、国が施行する直轄治水事業及び多目的ダム建設工事に関する経理並びに都道府県知事が施行する治水事業に係る負担金又は補助金の交付等に関する経理を一般会計と区分して行うため設置されていたものである。
なお、同特別会計は、特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)により19年4月1日に廃止されたが、同法により、19年度の末日までの期間に限り暫定的に設置することとされていた。そして、19年度の末日において、同特別会計に所属していた権利及び義務は社会資本整備事業特別会計の治水勘定等又は一般会計に帰属するものとされた。
治水特別会計は、治水及び特定多目的ダム建設工事の2勘定に区分して経理されており、その勘定別の19年度の歳入歳出決算及び主な業務実績は次のとおりである。
ア 治水勘定
(ア)歳入歳出決算
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区分
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19年度
千円
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(18年度)
千円
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(歳入)
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徴収決定済額
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1,251,903,323
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1,259,289,740
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収納済歳入額
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1,251,010,326
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1,259,248,022
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不納欠損額
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7,254
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5,049
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収納未済歳入額
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885,741
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36,669
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(歳出)
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歳出予算現額
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1,298,897,329
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1,339,766,630
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支出済歳出額
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1,035,331,179
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1,093,530,192
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翌年度繰越額
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254,169,410
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233,848,132
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不用額
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9,396,739
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12,388,305
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翌年度繰越額の主なものは、河川事業費(歳出予算現額5616億4473万余円)の1504億7315万余円、砂防事業費(同1745億5729万余円)の341億9626万余円及び災害対策等緊急事業推進費(同240億7363万余円)の116億6715万余円である。
(イ)主な業務実績
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区分
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19年度
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(18年度)
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直轄事業
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補助事業
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直轄事業
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補助事業
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河川改修
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119河川
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666河川
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119河川
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675河川
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河川総合開発
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14ダム
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93ダム
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11ダム
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101ダム
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砂防施設の整備
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34水系
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898流域
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34水系
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929流域
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イ 特定多目的ダム建設工事勘定
(ア)歳入歳出決算
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区分
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19年度
千円
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(18年度)
千円
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(歳入)
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徴収決定済額
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223,333,807
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238,239,847
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収納済歳入額
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223,301,496
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238,238,971
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不納欠損額
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593
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−
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収納未済歳入額
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31,717
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875
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(歳出)
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歳出予算現額
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228,466,313
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240,826,117
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支出済歳出額
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185,595,695
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199,236,158
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翌年度繰越額
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41,202,400
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37,161,760
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不用額
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1,668,217
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4,428,199
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翌年度繰越額の主なものは、多目的ダム建設事業費(歳出予算現額1845億8015万余円)の373億4372万余円、沖縄多目的ダム建設事業費(同86億1576万余円)の15億3092万余円及び北海道多目的ダム建設事業費(同139億6352万余円)の13億0804万余円である。
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(イ)主な業務実績
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区分
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19年度
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(18年度)
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ダム建設
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31ダム
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34ダム
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なお、この特別会計について検査した結果、「第3章 個別の検査結果」に「道路改築事業等の実施に当たり、落橋防止システムの設計が適切でなかったため、橋りょう上部工等の所要の安全度が確保されていない状態になっているもの 」、「国庫補助事業に係る事務費の執行に当たり、虚偽の内容の関係書類を作成するなど不適正な経理処理を行って物品の購入等に係る需用費を支払ったり、補助の対象とならない用途に賃金や旅費を支払ったりしていたもの 」、「職員の不正行為による損害が生じたもの 」、「一般乗用旅客自動車乗車券の使用に当たり、使用規程に定められた所定の事項の遵守に努めて、使用状況が明確となるよう検討して、適切な管理等を行うよう意見を表示したもの 」及び「談合等に係る違約金条項について、課徴金減免制度の適用を受けて課徴金の納付を免除された事業者に対しても違約金を請求することができるよう改善させたもの 」を掲記した。