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  • 国会からの検査要請事項に関する報告(検査要請)|
  • 会計検査院法第30条の3の規定に基づく報告書|
  • 平成27年3月

東日本大震災からの復興等に対する事業の実施状況等に関する会計検査の結果について

第2 検査の結果

2 復興等の各種施策及び支援事業の実施状況

(2) 国庫補助金により設置造成等された基金の取崩等の状況

国は、地方公共団体、公益法人及びその他団体が、基金を設置、積み増し又は充当(以下、これらを合わせて「設置造成等」という。)して、東日本大震災からの復旧・復興事業を実施する場合には、その事業に必要な資金として国庫補助金等を交付し、その交付を受けた地方公共団体、公益法人及びその他団体(以下「基金団体」という。)は、上記の国庫補助金等を既存の基金に積み増したり、新規に基金を設置したりして、復興関連基金事業を実施している。

会計検査院は、25年報告において、23、24両年度に予算措置された復興関連基金事業の24年度末の執行状況等を把握して、復興関連基金事業の実施状況について分析した。その結果、復興関連基金事業100事業のうち、既存の基金事業と復興関連基金事業とを区分して経理していないなどのため執行状況を把握できない10事業を除いた計90事業に係る国庫補助金等交付額は計2兆8674億余円、24年度末までの取崩額は計8244億余円、基金事業執行率は28.7%となっていたことなどを記述した(25年報告リンク参照)。

今回の報告においては、上記の復興関連基金事業100事業に、25年度に予算措置された復興関連基金事業12事業を加えた計112事業の25年度末における執行状況等について、8府省庁(注9)から調書を徴するなどして分析した。分析に当たっては、国庫補助金等が交付された年度別、各事業に設定された事業実施期限(以下「終了年度」という。)別に集計するとともに、東日本大震災関係経費に係る経費項目を基に区分した19項目(以下「基金事業経費項目」という。)の別に整理するなどして執行状況を把握することとした。

(注9)
8府省庁
復興庁、内閣府、文部科学、厚生労働、農林水産、経済産業、国土交通、環境各省

復興関連基金事業112事業を復旧・復興予算の区分別、基金事業経費項目別、国庫補助金等交付元府省庁等別に区分すると表68のとおりとなり、これらの事業に係る25年度末までの国庫補助金等交付額は計3兆6709億余円となっている。このうち、既存の基金事業等と復興関連基金事業とを区分して経理していない8事業及び26年8月末までに基金団体から国庫補助金等交付額の全額が国庫に返納された2事業の計10事業を除いた計102事業に係る国庫補助金等交付額は計3兆4013億余円、25年度末までの取崩額は計1兆3785億余円、基金事業執行率は40.5%となっている。

102事業の基金事業執行率別の事業数をみると、基金事業執行率100%となっている消費者行政活性化事業(事業番号8)等3事業を始めとして90%以上となっているものが12事業ある一方、0%となっている住まいの復興給付金による被災者住宅再建支援対策事業(同1)等6事業を始めとして10%未満となっているものが24事業となっている。なお、上記の12事業のうち、23年度1次補正で措置された旧鉱物採掘区域災害復旧費補助金(同61)による事業は、東日本大震災に起因して生じた多数の地盤沈下等の復旧を行う事業に補助を行うものであり、その基金事業執行率は99.8%となっているが、23年度3次補正及び24年度補正予算で措置された旧鉱物採掘区域災害復旧費補助金(同86、87)による事業の基金事業執行率は58.2%となっている。このように、同じ事業であっても復旧・復興予算の区分別に経理されている事業がある一方、23年度1次補正で交付された初等中等教育等就学支援(同10)及び23年度3次補正で交付された初等中等教育における就学支援(幼稚園から高校)(同11)のように、区分して経理されていないことから、復旧・復興予算の区分等別の執行状況を把握できない事業が18事業(国庫補助金等交付額計1兆0023億余円)ある。

また、終了年度別にみると、事業が十分実施されていないなどの理由から当初の終了年度を延長している事業が、被災者への心のケア対策等の推進事業(自殺対策)(同3)を始めとして28事業(同計7102億余円)ある。

復興関連基金事業の経費項目をみると、リンク以降で記述するように、原子力災害関係経費に関する事業として福島県特別緊急除染事業(同2)を始めとする18事業(同計7786億余円)や医療、介護、福祉等の経費に関する事業として被災地における医療提供体制の再構築(同27)を始めとする12事業(同計1572億余円)が多数となっている。

復興関連基金事業に係る国庫補助金等の国への返納状況をみると、25年度末までに基金団体から国に国庫補助金等が返納されているのは、森林整備加速化・林業再生事業(同47)を始めとして32事業(国庫返納額計1365億余円)ある。

会計検査院は、25年報告リンク参照に記載のとおり、25年7月に、復興庁及び財務省から公表された「復興関連予算で造成された「全国向け事業に係る基金」の使途の厳格化の徹底について」により、基金の使途が被災地又は被災者に対する事業に限定されたことから、復興庁及び財務省が各府省庁等に発出した「復興関連予算で造成された全国向け事業に係る基金への対応について」(平成25年7月復本第957号・財計第1690号。以下「基金使途通知」という。)において、基金からの執行を見合わせて、国へ返還することを要請された事業が、被災者への心のケア対策等の推進事業(自殺対策)(同3)を始めとして31事業(国庫補助金等交付額計1兆1570億余円)あることなどを記述した。このうち、25年度末までに基金団体から国に国庫補助金等が返納されているものは、上記被災者への心のケア対策等の推進事業(自殺対策)(同3)を始めとして22事業(国庫返納額計1294億余円)ある。

表68 平成23年度から25年度までに予算措置された復興関連基金事業の執行状況等

(単位:百万円、%)

事業
番号
復旧・復
興予算区
基金事業
経費項目
基金事業名 国庫補助金
等交付元府
省庁
基金団体名 国庫補助金
等交付額
平成25年
度末まで
の取崩額
(国庫返
納額分を
除く。)
基金事
業執行
25年度末
までの国
庫返納額
(国庫補
助金等相
当額)
25年度末
に保有し
ている国
庫補助金
等相当額
当初の終
了年度
延長された終了年度
A B B/A C A-B-C
  1 25年度
補正予算
住宅関係 住まいの復興給付金による被災者住宅再建支援対策事業 復興庁 一般財団法人住宅金融普及協会 25,000 - - - 25,000 27年度
(事業開始最終年度)
  2 23年度
2次補正
原子力災害関係経費 福島県特別緊急除染事業 内閣府(内閣府本府) 福島県 17,981 8,594 47.7 - 9,387 定めていない。
3 23年度
3次補正
被災者緊急支援経費 被災者への心のケア対策等の推進事業(自殺対策) 内閣府(内閣府本府) 47都道府県 3,700 395 24年度 26年度
  4 23年度
3次補正
被災者緊急支援経費 復興支援型地域社会雇用創造事業 内閣府(内閣府本府) 一般財団法人ニューメディア開発協会 3,200 2,867 89.6 332 - 24年度
  5 23年度
3次補正
被災者緊急支援経費 新しい公共支援事業 内閣府(内閣府本府) 岩手県、宮城県、福島県 879 76 24年度 国庫返納額には、一般財源の残額も含まれている。
  6 23年度
2次補正
原子力災害関係経費 東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質の除染事業等に必要な経費 内閣府(内閣府本府) 福島県 199,999 189,827 94.9 - 10,171 定めていない。
  7 23年度
2次補正
原子力災害関係経費 東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故による被害に係る応急の対策に関する事業に必要な経費 内閣府(内閣府本府) 福島県 40,385 36,471 90.3 - 3,913 定めていない。
  8 24年度
当初予算
原子力災害関係経費 消費者行政活性化事業 内閣府(消費者庁) 岩手県、宮城県、福島県、茨城県 364 364 100.0 - - 25年度 39年度
  9 25年度
当初予算
原子力災害関係経費 消費者行政活性化事業 内閣府(消費者庁) 岩手県、宮城県、福島県、茨城県 729 363 49.7 - 366 25年度 39年度
  10 23年度
1次補正
教育支援等 初等中等教育等就学支援 文部科学省 47都道府県 11,313 27,276 66.4 - 13,781 26年度
  11 23年度
3次補正
教育支援等 初等中等教育における就学支援(幼稚園から高校) 文部科学省 47都道府県 29,744 26年度
  12 23年度
3次補正
施設費等 幼稚園等の認定こども園としての再開支援(安心こども基金) 文部科学省 岩手県、宮城県、福島県、茨城県、千葉県 1,810 1,257 69.4 - 552 24年度 26年度
(26年度中に施設整備に着手し、27年度に完了が見込まれる場合は、27年度まで)
  13 23年度
3次補正
原子力災害関係経費 低線量域における被ばく線量モニターの開発 文部科学省 福島県 625 420 67.1 - 205 定めていない。
  14 23年度
3次補正
原子力災害関係経費 放射性薬剤の研究開発・製造拠点の整備 文部科学省 福島県 11,362 3,599 31.6 - 7,763 定めていない。
  15 23年度
3次補正
原子力災害関係経費 放射性核種の生態系における環境動態調査等 文部科学省 福島県 2,245 331 14.7 - 1,914 定めていない。
  16 23年度
3次補正
原子力災害関係経費 福島県環境創造センター 文部科学省 福島県 8,042 1,150 14.3 - 6,891 定めていない。
17 23年度
3次補正
教育支援等 奨学金事業(高校生) 文部科学省 34都府県 18,946 - 26年度
  18 23年度
3次補正
教育支援等 教育研究環境整備に向けた取組支援(高等学校等) 文部科学省 岩手県、宮城県、福島県 4,487 1,938 43.2 - 2,548 26年度
  19 23年度
3次補正
教育支援等 教育研究環境整備に向けた取組支援(専修学校等) 文部科学省 岩手県、宮城県、福島県 1,934 272 14.0 - 1,662 26年度
  20 23年度
1次補正
被災者緊急支援経費 地域支え合い体制づくり事業の積み増し 厚生労働省 9県 7,020 6,333 90.2 - 687 23年度 26年度
  21 23年度
1次補正
被災者緊急支援経費 安心こども基金(地域子育て創生事業)の活用による、被災児童の生活復旧支援 厚生労働省 20都県 2,719 - 23年度 25年度
  22 23年度
1次補正
雇用対策費 重点分野雇用創造事業の拡充 厚生労働省 18都道県 50,000 46,388 92.7 - 3,611 24年度 26年度
(26年度までに開始した事業は27年度末まで)
※被災5県のみ
23 23年度
3次補正
生活福祉資金貸付事業費 生活福祉資金貸付 厚生労働省 32都道府県 15,190 11,685 76.9 293 3,211 24年度 26年度
  24 23年度
3次補正
施設費等 被災地における保育所等の複合化・多機能化による子どもを地域で支える基盤の構築(安心こども基金の追加) 厚生労働省 青森県、岩手県、福島県、茨城県、千葉県 1,553 783 50.4 - 770 24年度
(24年度中に施設整備に着手し、25年度に完了が見込まれる場合は、25年度まで)
26年度
(26年度中に施設整備に着手し、27年度に完了が見込まれる場合は、27年度まで)
25 23年度
3次補正
医療施設等防災対策費等 医療施設等の防災対策の強化 厚生労働省 15都県 15,633 4,742 30.3 656 10,235 24年度 25年度
(事業着手年度)
26 23年度
3次補正
医療施設等防災対策費等 社会福祉施設等耐震化等臨時特例基金 厚生労働省 茨城県、長野県、和歌山県、広島県、福岡県、熊本県、沖縄県 2,664 2,571 96.5 - 93 24年度 26年度
(事業着手年度)
  27 23年度
3次補正
医療、介護、福祉等 被災地における医療提供体制の再構築(既存の地域医療再生基金に積み増し) 厚生労働省 岩手県、宮城県、福島県 72,000 10,052 13.9 - 61,947 27年度
28 23年度
3次補正
医療、介護、福祉等 社会的包摂・「絆」再生事業 厚生労働省 24都府県 17,549 15,736 89.6 365 1,446 24年度 26年度
29 23年度
3次補正
医療、介護、福祉等 パーソナル・サポート・サービスモデル・プロジェクト 厚生労働省 19都道府県 2,215 1,984 89.5 81 149 24年度
30 23年度
3次補正
医療、介護、福祉等 被災生活保護受給者に対する生活再建サポート事業 厚生労働省 38都道府県 1,771 81 4.5 16 1,674 24年度 25年度
  31 23年度
3次補正
医療、介護、福祉等 介護等のサポート拠点の設置・運営等(介護基盤整備基金(支え合い事業)に積み増し) 厚生労働省 10道県 9,035 3,961 43.8 - 5,073 24年度 26年度
  32 23年度
3次補正
医療、介護、福祉等 介護基盤復興まちづくり整備事業(介護基盤整備基金(ハード)への追加) 厚生労働省 岩手県、宮城県、福島県 2,850 1,259 44.1 - 1,590 24年度 26年度
  33 23年度
3次補正
医療、介護、福祉等 被災3県の革新的医療機器創出・開発促進事業(既存の地域医療再生基金に追加) 厚生労働省 岩手県、宮城県、福島県 4,320 1,275 29.5 - 3,044 27年度
  34 23年度
3次補正
医療、介護、福祉等 被災地における保健師巡回相談等の健康支援(介護基盤整備基金への追加) 厚生労働省 岩手県、宮城県、福島県、茨城県、千葉県、長野県 2,893 1,807 62.4 6 1,079 24年度 26年度
※東北3県のみ
  35 23年度
3次補正
医療、介護、福祉等 被災者の心のケア事業(障害者自立支援対策臨時特例基金の追加、災害時等心のケア支援体制整備事業費の一部) 厚生労働省 岩手県、宮城県、福島県 2,791 1,414 50.6 1,377 - 24年度
  36 23年度
3次補正
医療、介護、福祉等 被災地障害福祉サービス基盤整備事業(障害者自立支援対策臨時特例基金の追加) 厚生労働省 岩手県、宮城県、福島県 1,521 844 55.4 677 - 24年度
37 23年度
3次補正
雇用対策費 重点分野雇用創造事業の拡充(震災対応事業の延長) 厚生労働省 47都道府県 200,000 164,657 82.3 7,314 28,027 24年度
(24年度までに開始した事業は25年度まで)
26年度
(26年度までに開始した事業は27年度末まで)
※被災5県のみ
  38 23年度
3次補正
雇用対策費 重点分野雇用創造事業の拡充(雇用復興推進事業の創設) 厚生労働省 9県 151,000 62,091 41.1 - 88,908 27年度 28年度
※被災5県のみ
39 23年度
3次補正
雇用対策費 新卒者就職実現プロジェクト事業の被災地に係る特例措置の延長等 厚生労働省 中央職業能力開発協会 23,520 10,882 46.2 7,963 4,673 23年度 24年度
(震災特例措置以外
は24年6月末まで、
震災特例措置は24年
度末まで)
  40 24年度
補正予算
雇用対策費 震災等緊急雇用対応事業 厚生労働省 9県 50,000 20,933 41.8 - 29,066 25年度
(25年度までに開始した事業は26年度まで)
26年度
(26年度までに開始した事業は27年度末まで)
※被災5県のみ
  41 24年度
予備費
医療、介護、福祉等 地域医療提供体制の再構築 厚生労働省 岩手県、宮城県、福島県、茨城県 38,000 9,144 24.0 - 28,855 27年度
  42 25年度
当初予算
医療、介護、福祉等 仮設住宅のサポート拠点運営費等 厚生労働省 宮城県、福島県 2,303 - - - 2,303 25年度 26年度
  43 25年度
補正予算
雇用対策費 産業政策と一体となった被災地の雇用支援等 厚生労働省 岩手県、宮城県、福島県、茨城県 44,800 - - - 44,800 28年度 29年度
  44 23年度
3次補正
原子力災害関係経費 農地土壌等の浄化の研究拠点施設整備調査事業(福島基金分) 農林水産省 福島県 100 10 10.3 - 89 32年度
45 23年度
3次補正
農業関係 配合飼料価格安定対策事業 農林水産省 公益社団法人配合飼料供給安定機構 9,700 - 定めていない。  
  46 23年度
3次補正
農業関係 被災者向け農の雇用事業 農林水産省 全国農業会議所 700 220 31.5 479 - 24年度
47 23年度
3次補正
森林・林業の復興 森林整備加速化・林業再生事業 農林水産省 45道府県(東京都及び神奈川県を除く。) 139,945 61,207 43.7 39,243 39,494 26年度
  48 23年度
3次補正
水産業関係 漁業・養殖業復興支援事業 農林水産省 特定非営利活動法人水産業・漁村活性化推進機構 81,753 32,392 35.0 - 59,966 28年度
  49 24年度
当初予算
水産業関係 漁業・養殖業復興支援事業 農林水産省 特定非営利活動法人水産業・漁村活性化推進機構 10,605 28年度
50 23年度
3次補正
水産業関係 漁業経営セーフティーネット構築事業 農林水産省 一般社団法人漁業経営安定化推進協会 3,980 3,905 98.1 - 74 定めていない。
  51 24年度
当初予算
農業関係 被災者向け農の雇用事業 農林水産省 全国農業会議所 422 269 63.6 - 153 25年度
  52 24年度
補正予算
農業関係 福島発農産物等戦略的情報発信事業 農林水産省 福島県 1,299 1,296 99.7 - 2 25年度 26年度
  53 24年度
補正予算
農業関係 福島県営農再開支援事業 農林水産省 福島県 23,185 2,993 12.9 - 20,191 27年度
  54 25年度
当初予算
農業関係 被災者向け農の雇用事業 農林水産省 全国農業会議所 187 10 5.6 - 176 26年度
  55 25年度
補正予算
農業関係 福島発農産物等戦略的情報発信事業 農林水産省 福島県 1,604 - - - 1,604 26年度
  56 23年度
1次補正
災害関連融資関係経費 中小企業の資金繰り支援(無利子化) 経済産業省 独立行政法人中小企業基盤整備機構 10,000 1,046 10.4 - 8,953 定めていない。
  57 23年度
1次補正
災害関連融資関係経費 中小企業の資金繰り支援(保証) 経済産業省 一般社団法人全国信用保証協会連合会 39,600 1,089 1.5 - 68,610 定めていない。
  58 23年度
3次補正
災害関連融資関係経費 経営安定関連保証等対策費補助事業 経済産業省 一般社団法人全国信用保証協会連合会 30,100 定めていない。
  59 23年度
1次補正
燃料安定供給対策費 石油製品販売業災害特別保証事業 経済産業省 一般社団法人全国石油協会 5,079 208 4.1 3,199 1,671 25年度 27年度
  60 23年度
1次補正
燃料安定供給対策費 特定被災地域石油製品供給支援事業 経済産業省 一般社団法人全国石油協会 910 910 定めていない。 全額国庫返納
  61 23年度
1次補正
その他 旧鉱物採掘区域災害復旧費補助金 経済産業省 宮城県(公益社団法人みやぎ農業振興公社) 248 248 99.8 - 0 27年度
  62 23年度
2次補正
原子力災害関係経費 原子力被災者の健康確保・管理関連交付金(仮称)(福島県向け) 経済産業省 福島県 78,182 - 定めていない。
  63 23年度
2次補正
中小企業等 中小企業再生支援利子補給金 経済産業省 独立行政法人中小企業基盤整備機構 18,400 1,583 8.6 - 16,816 定めていない。
  64 23年度
3次補正
原子力災害
関係経費
医療福祉機器・創薬産業拠点整備事業 経済産業省 福島県 39,493 8,467 21.4 - 31,025 定めていない。
65 23年度
3次補正
その他 被災地域等地下タンク環境保全対策促進事業(全国防災) 経済産業省 一般社団法人全国石油協会 6,986 7,066 80.8 1,443 226 24年度
(未完了の一部事業は26年度まで)
66 23年度
3次補正
その他 被災地域等地下タンク環境保全対策促進事業(被災地向け) 経済産業省 一般社団法人全国石油協会 1,749 24年度
(未完了の一部事業は26年度まで)
  67 23年度
3次補正
中小企業等 被災中小企業復興支援リース補助事業 経済産業省 日本商工会議所 10,049 2,131 21.2 - 7,917 30年度
68 23年度
3次補正
中小企業等 中小企業人材対策事業 経済産業省 全国中小企業団体中央会 2,487 1,081 43.4 1,406 - 26年度
69 23年度
3次補正
立地補助金 国内立地推進事業費補助金 経済産業省 一般社団法人環境パートナーシップ会議 295,000 41,076 13.9 21,364 232,559 26年度
  70 23年度
3次補正
立地補助金 がんばろうふくしま産業復興企業立地支援事業 経済産業省 福島県 170,000 49,038 23.3 - 161,186 28年度
  71 24年度
予備費
立地補助金 地域経済産業復興立地推進事業 経済産業省 福島県 40,224 28年度
72 23年度
3次補正
立地補助金 産業技術研究開発拠点立地推進事業費補助金(希少金属使用量削減・代替技術開発設備整備費等補助金) 経済産業省 一般社団法人環境パートナーシップ会議 8,499 174 2.0 146 8,179 26年度
(事業費の支払完了年度)
73 23年度
3次補正
立地補助金 産業技術研究開発拠点立地推進事業費補助金(先端技術実証・評価設備整備費等補助金) 経済産業省 一般社団法人環境パートナーシップ会議 26,500 2,559 9.6 5,642 18,297 28年度
(事業費の支払完了年度)
74 23年度
3次補正
節電エコ補助金等 住宅用太陽光発電導入支援復興対策基金造成事業費補助金 経済産業省 一般社団法人太陽光発電協会 86,992 61,662 70.8 - 25,330 26年度
75 23年度
3次補正
節電エコ補助金等 住宅用太陽光発電高度普及促進復興対策基金造成事業費補助金 経済産業省 一般社団法人太陽光発電協会 32,394 31,681 97.7 - 713 26年度
76 23年度
3次補正
節電エコ補助金等 エネルギー管理システム導入促進事業費補助金 経済産業省 一般社団法人環境パートナーシップ会議 30,000 16,629 55.4 12,811 559 25年度 26年度
77 23年度
3次補正
節電エコ補助金等 電力需要ピークカット蓄電池導入支援事業 経済産業省 一般社団法人環境パートナーシップ会議 20,999 10,709 50.9 8,297 1,993 25年度 26年度
78 23年度
3次補正
節電エコ補助金等 建築物節電改修支援事業費補助金 経済産業省 一般社団法人環境パートナーシップ会議 15,000 10,225 68.1 4,734 39 25年度 26年度
79 23年度
3次補正
節電エコ補助金等 再生可能エネルギー固定価格買取制度施行事業費補助金 経済産業省 一般社団法人低炭素投資促進機構 7,000 7,000 100.0 - - 定めていない。
  80 23年度
3次補正
その他 再生可能エネルギー発電設備等導入促進支援復興対策事業費補助金 経済産業省 一般社団法人太陽光発電協会 32,599 4,121 12.6 - 28,477 27年度
  81 23年度
3次補正
その他 スマートコミュニティ導入促進事業費補助金 経済産業省 一般社団法人新エネルギー導入促進協議会 8,059 459 5.6 - 7,599 27年度
  82 23年度
3次補正
その他 スマートエネルギーシステム導入促進事業費補助金 経済産業省 一般社団法人新エネルギー導入促進協議会 4,346 74 1.7 - 4,271 27年度
83 23年度
3次補正
その他 火力発電運転円滑化対策費補助金 経済産業省 一般社団法人環境パートナーシップ会議 9,000 2,836 31.5 6,163 - 定めていない。 25年度に事業終了
84 23年度
3次補正
その他 温排水利用施設整備等対策交付金 経済産業省 静岡県 995 430 43.2 324 240 定めていない。
  85 23年度
3次補正
その他 被災地域石油製品販売業再建等支援事業費 経済産業省 一般社団法人全国石油協会 2,349 492 20.9 - 1,857 定めていない。
  86 23年度
3次補正
その他 旧鉱物採掘区域災害復旧費補助金 経済産業省 岩手県(一般社団法人岩手県土木技術センター)、宮城県(公益社団法人みやぎ農業振興公社)、福島県(公益財団法人福島県農業振興公社) 495 365 58.2 - 262 27年度
  87 24年度
補正予算
その他 旧鉱物採掘区域災害復旧費補助金 経済産業省 宮城県(公益社団法人みやぎ農業振興公社) 132 27年度
88 24年度
当初予算
立地補助金 産業技術研究開発拠点立地推進事業費補助金(産業連携イノベーション促進事業費補助金) 経済産業省 一般社団法人環境パートナーシップ会議 4,000 42 1.0 32 3,924 27年度
(事業費の支払完了年度)
89 24年度
当初予算
立地補助金 産業技術研究開発拠点立地推進事業費補助金(先端技術実証・評価設備整備費等補助金) 経済産業省 一般社団法人環境パートナーシップ会議 10,000 10,000 25年度 全額国庫返納
  90 24年度
当初予算
立地補助金 国内立地推進事業費補助金(原子力災害周辺地域産業復興企業立地補助事業) 経済産業省 一般社団法人環境パートナーシップ会議 14,000 749 5.3 - 13,250 28年度
  91 24年度
予備費
原子力災害関係経費 福島県医療機器開発・安全性評価センター整備事業 経済産業省 福島県 13,390 148 1.1 - 13,242 31年度
  92 25年度
当初予算
立地補助金 津波・原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助金 経済産業省 一般社団法人地域デザインオフィス 110,000 14 0.0 - 142,985 29年度
  93 25年度
補正予算
立地補助金 津波・原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助金 経済産業省 一般社団法人地域デザインオフィス 33,000 29年度
  94 23年度
1次補正
災害関連融資関係経費 災害復興住宅融資等事業 国土交通省 独立行政法人住宅金融支援機構 52,600 4,765 9.0 - 47,834 27年度
(申込受付終了年度
  95 23年度
1次補正
災害関連融資関係経費 既往貸付者に係る返済方法の変更事業 国土交通省 独立行政法人住宅金融支援機構 3,400 1,299 38.2 - 2,100 27年度
(申込受付終了年度)
  96 23年度
3次補正
災害関連融資関係経費 災害復興住宅融資等 国土交通省 独立行政法人住宅金融支援機構 135,800 - - - 135,800 27年度
(申込受付終了年度)
  97 23年度
3次補正
災害関連融資関係経費 既往貸付者に係る返済方法の変更 国土交通省 独立行政法人住宅金融支援機構 14,900 2,391 16.0 - 12,508 27年度
(申込受付終了年度)
98 23年度
3次補正
住宅関係 住宅エコポイント 国土交通省 一般社団法人環境パートナーシップ会議 72,300 - 26年度
(ポイント交換終了年度)
  99 23年度
3次補正
住宅関係 優良住宅取得支援制度の拡充による復興の推進 国土交通省 独立行政法人住宅金融支援機構 15,900 3,360 21.1 - 12,539 24年度
(申込受付終了年度)
  100 24年度
当初予算
災害関連融資関係経費 災害復興住宅融資等 国土交通省 独立行政法人住宅金融支援機構 53,900 - - - 53,900 27年度
(申込受付終了年度)
  101 25年度
当初予算
その他 造船業等復興支援基金 国土交通省 公益財団法人日本財団 16,024 9 0.0 - 16,014 26年度
(申込受付終了年度)
  102 23年度
3次補正
災害廃棄物処理事業費 地域グリーンニューディール基金の拡充(災害廃棄物処理事業の地方支援) 環境省 10道県 67,963 67,963 100.0 - - 25年度  
  103 23年度
3次補正
原子力災害関係経費 放射性物質により汚染された土壌等の除染の実施 環境省 福島県 70,644 231,762 53.0 - 204,840 定めていない。
  104 24年度
当初予算
原子力災害関係経費 放射性物質により汚染された土壌等の除染の実施 環境省 福島県 96,119 定めていない。
  105 25年度
当初予算
原子力災害関係経費 放射性物質により汚染された土壌等の除染の実施 環境省 福島県 189,839 定めていない。
  106 25年度
補正予算
原子力災害関係経費 放射性物質により汚染された土壌等の除染の実施 環境省 福島県 80,000 定めていない。
107 23年度
3次補正
住宅関係 住宅エコポイント 環境省 一般社団法人環境パートナーシップ会議 72,300 - 26年度
(ポイント交換終了年度)
  108 23年度
3次補正
その他 グリーンニューディール基金の拡充(自立・分散型エネルギー供給等によるエコタウン化事業) 環境省 青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、仙台市 83,977 22,616 26.9 - 61,360 27年度
  109 24年度
当初予算
災害廃棄物処理事業費 震災がれき処理促進地方公共団体緊急支援基金事業(グリーンニューディール基金) 環境省 9県 30,797 23,307 75.6 - 7,489 25年度 26年度
※福島県のみ
  110 24年度
予備費
原子力災害関係経費 福島健康管理拠点の緊急整備 環境省 福島県 5,980 136 2.2 - 5,843 定めていない。
  111 24年度
補正予算
その他 福島県環境創造センター(仮称)整備事業 環境省 福島県 11,337 1,324 11.6 - 10,012 定めていない。
  112 25年度
当初予算
原子力災害関係経費 原子力被災者環境放射線モニタリング対策関連交付金 環境省(原子力規制庁) 福島県 1,306 537 41.1 - 768 定めていない。
    計(112事業) 3,670,949 135,757    
    うち102事業 3,401,311 1,378,563 40.5 124,375 1,898,372    
    うち※の小計(31事業) 1,157,025 128,697    
    うち25事業 970,078 470,631 48.5 118,302 381,144    
注(1)
※印は基金使途通知の対象とされた復興関連基金事業である。
注(2)
復興関連基金事業のうち、既存の基金事業等と復興関連基金事業とを区分して経理していないもの及び国庫補助金等交付額が国庫に全額返納されたものは、「平成25年度末までの取崩額(国庫返納額分を除く。)」、「基金事業執行率」、「25年度末に保有している国庫補助金等相当額」の欄を「/」としている。
注(3)
「当初の終了年度」の欄は、復旧・復興予算が措置された際に設定された事業の終了期限の年度を記載している。
注(4)
被災5県は、青森県、岩手県、宮城県、福島県及び茨城県である。
注(5)
復興関連基金事業数は、予算別、復興関連基金事業別に集計している。また、国土交通省及び環境省から国庫補助金等が交付されている「住宅エコポイント」は、省別に区分して国庫補助金等額を集計している。
ア 復旧・復興予算の措置年度別の執行状況

23年度から25年度までの復興関連基金事業の事業数、国庫補助金等交付額及び基金事業執行率は、表69のとおり、23年度に予算措置された事業が69事業、国庫補助金等交付額計2兆1798億余円(基金事業執行率46.0%)、24年度に予算措置された事業が13事業、計2466億余円(同24.6%)、25年度に予算措置された事業が10事業、計2349億余円(同0.3%)であり、また、復旧・復興予算の区分等別に区分して経理されていないことから予算年度別に執行状況を把握できない事業が計10事業、国庫補助金等交付額計7398億余円(同42.3%)となっている。

表69 復旧・復興予算の措置年度別の復興関連基金事業の執行状況等

(単位:件、百万円、%)

復旧・復興予算措置年度 復興関連
基金事業
国庫補助金等
交付額
平成25年度末
までの取崩額
(国庫返納額
分を除く。)
基金事業
執行率
25年度末まで
の国庫返納額
(国庫補助金
等相当額)
25年度末に
保有してい
る国庫補助
金等相当額
A B B/A C A-B-C
23年度 69 2,179,864 1,003,359 46.0 124,342 1,052,162
24年度 13 246,677 60,711 24.6 32 185,933
25年度 10 234,955 934 0.3 - 234,020
23年度~25年度 10 739,814 313,558 42.3 - 426,255
102 3,401,311 1,378,563 40.5 124,375 1,898,372
イ 終了年度別の執行状況

復興関連基金事業は、表68のとおり、事業の終了年度が定められているものが大半となっている。そこで、前記102事業について、終了年度別の事業数、国庫補助金等交付額及びその執行状況をみると、表70のとおり、26年度が31事業、計1兆0915億余円(25年度末における基金事業執行率51.8%)と最も多くなっている。

27年度以降終了分の終了年度をみると、集中復興期間が終了する27年度が19事業と最も多く、28年度以降を終了年度としているものは15事業、終了年度未定のものは23事業となっている。これらをみると、前記のとおり、原子力災害からの復興再生が長期にわたると想定されている福島県に交付されたものや、除染事業等の原子力災害関係経費に係るものが22事業と多くなっている(リンク参照)。

また、終了年度が25年度となっている5事業の基金事業執行率をみると、4.5%から100%となっていて、復興関連基金事業によって大きな差が見受けられた。これらの事業のうち、基金事業執行率が50%以下の復興関連基金事業をみると、次のとおりである。

① 医療施設等の防災対策の強化事業(事業番号25 基金事業執行率30.3%)

病院等の医療施設が耐震工事等を実施する場合には、診療等を行いつつ工事を行う必要があることなどから、工事の工程、事業規模等の決定までに時間を要したことなどによるものである。なお、本件事業は、25年度までに工事に着手した事業を対象としていて、実際に基金から必要な経費を取り崩すのは、26年度以降の工事完了時となる。

② 被災生活保護受給者に対する生活再建サポート事業(事業番号30 基金事業執行率4.5%)

大半の地方公共団体で被災者の中に生活保護受給者等がほとんどおらず、既存の事業で十分対応できたことなどによるものである。なお、地方公共団体によっては、今後の使用見込みがない余剰金が基金に滞留していたところも見受けられる(表78)。

③ 火力発電運転円滑化対策費補助金(事業番号83 基金事業執行率31.5%)

基金使途通知に基づき、国庫補助金交付額90億円から執行済み額等を除いた7億余円が一般社団法人環境パートナーシップ会議から国に返納されていたこと、交付対象事業者の中部電力株式会社が25年10月に行った電気料金の値上げ申請を理由にその後の当該事業による国庫補助金の交付を辞退したため、交付予定であった53億余円が同会議から国に返納となったことなどによるものである。

表70 終了年度別の執行状況等

(単位:件、百万円、%)

終了年度
(平成26年度
以降は予定)
復興関連
基金事業
国庫補助金等
交付額
平成25年度末
までの取崩額
(国庫返納額
分を除く。)
基金事業
執行率
25年度末まで
の国庫返納額
(国庫補助金
等相当額)
25年度末に
保有してい
る国庫補助
金等相当額
A B B/A C A-B-C
24年度 9 58,585 28,641 48.8 12,355 17,588
25年度 5 94,791 75,892 80.0 6,836 12,063
26年度 31 1,091,584 565,935 51.8 95,984 429,664
27年度以降 34 1,268,560 209,922 16.5 8,875 1,049,763
  27年度 19 562,042 60,059 10.6 3,232 498,750
  28年度 7 494,083 146,830 29.7 5,642 341,610
  29年度 3 187,800 14 0.0 - 187,785
  30年度 1 10,049 2,131 21.2 - 7,917
  31年度 1 13,390 148 1.1 - 13,242
  32年度 1 100 10 10.3 - 89
  39年度 2 1,093 727 66.5 - 366
終了年度未定 23 887,788 498,171 56.1 324 389,292
102 3,401,311 1,378,563 40.5 124,375 1,898,372
ウ 基金事業経費項目別の執行状況

復興関連基金事業は、表68のとおり、生活福祉資金貸付事業費、被災者緊急支援経費、災害廃棄物処理事業費等の19項目(注10)で実施されている。

(注10)
19項目
「生活福祉資金貸付事業費」、「被災者緊急支援経費」、「災害廃棄物処理事業費」、「施設費等」、「災害関連融資関係経費」、「原子力災害関係経費」、「医療施設等防災対策費等」、「教育支援等」、「医療、介護、福祉等」、「雇用対策費」、「農業関係」、「森林・林業の復興」、「水産業関係」、「中小企業等」、「立地補助金」、「燃料安定供給対策費」、「節電エコ補助金等」、「住宅関係」、「その他」

そこで、23年度から25年度までに交付された復興関連基金事業に係る国庫補助金等交付額計3兆4013億余円がどのような経費項目に配分されて、どのように執行されているかなどについて分析した。

基金事業経費項目別の国庫補助金等交付額は、表71のとおりであり、このうち、5000億円以上と多額となっているのは、放射性物質により汚染された土壌等の除染に係る事業等を実施する原子力災害関係経費7786億余円、国内への新たな投資を促進して雇用を維持し創出するための事業等を実施する立地補助金7012億余円及び被災者を含め震災等の影響による全国の失業者に雇用の場を確保するための事業等を実施する雇用対策費5193億余円であり、これらの項目の合計(1兆9991億余円)で全体の約6割を占めている。

また、基金事業経費項目別の25年度末の基金事業執行率をみると、92.4%(災害廃棄物処理事業費)と高い事業がある一方、3.1%(災害関連融資関係経費)と低い事業が見受けられる。そこで、基金事業執行率が10%以下の主な経費項目をみると、次のとおりである。

① 災害関連融資関係経費(基金事業執行率3.1%)

本経費では、中小企業事業の資金繰り支援等として、無利子化事業(事業番号56)、保証事業(同57、58)、復興住宅融資に係る利子補給等(同94~97、100)を行っている。

これらのうち、無利子化事業が低率となっているのは、25年度末現在においてもなお、多くの住民が避難生活を余儀なくされていたこと、また、復旧・復興の進捗などにより、融資を受けて事業に取り組む中小企業者が少なかったことなどによるものである。なお、経済産業省によれば、今後、復興が加速化していくことに伴い、再生への取組を本格化させる事業者が増加して、執行率は伸びていくとしている。

復興住宅融資に係る利子補給等が低率となっているのは、都市再生区画整理事業や防災集団移転促進事業等の面的整備事業に時間を要していて住宅融資の申込みが少ないことなどによるものであり、資金交付戸数の予算上の規模45,000戸に対する25年度末現在の申込みは約1万3千戸などとなっている。なお、国土交通省によれば、今後、面的整備事業が進むにつれて、融資の申込みも増加するとしている。

② 住宅関係(基金事業執行率8.2%)

本経費では、被災者の住宅再建に係る消費税の負担増加に対応するために、26年4月の増税後に取得した住宅等を対象として、住まいの復興給付金による被災者住宅再建支援対策事業(事業番号1)を行うとともに、融資を実施する金融機関に対しては、金利の引下げに伴う経費に充当するための優良住宅取得支援制度の拡充による復興の推進(同99)を行っている。

なお、被災者住宅再建支援対策事業が全く取り崩されていないのは、26年4月以降に給付金が支払われることなどによるものである。また、優良住宅取得支援制度の拡充による復興の推進が低率になっているのは、住宅等の取得後の融資に対して最長35年にわたって基金を取り崩すものであり、25年度末現在では経過時間が短いためである。

表71 復興関連基金事業の基金事業経費項目別の執行状況等

(単位:件、百万円、%)

基金事業経費項目 復興関連
基金事業
国庫補助金等
交付額
平成25年度末
までの取崩額
(国庫返納額
分を除く。)
基金事業
執行率
25年度末まで
の国庫返納額
(国庫補助金
等相当額)
25年度末に
保有してい
る国庫補助
金等相当額
A B B/A C A-B-C
原子力災害関係経費 18 778,609 482,184 61.9 - 296,424
立地補助金 9 701,224 93,654 13.3 27,186 580,383
雇用対策費 6 519,320 304,954 58.7 15,278 199,087
災害関連融資関係経費 8 340,300 10,592 3.1 - 329,707
節電エコ補助金等 6 192,387 137,908 71.6 25,843 28,636
医療、介護、福祉等 12 157,252 47,561 30.2 2,525 107,165
森林・林業の復興 1 139,945 61,207 43.7 39,243 39,494
災害廃棄物処理事業費 2 98,761 91,271 92.4 - 7,489
水産業関係 3 96,339 36,297 37.6 - 60,041
教育支援等 4 47,479 29,487 62.1 - 17,992
住宅関係 2 40,900 3,360 8.2 - 37,539
中小企業等 3 30,937 4,796 15.5 1,406 24,734
農業関係 6 27,399 4,791 17.4 479 22,128
医療施設等防災対策費等 2 18,298 7,313 39.9 656 10,328
生活福祉資金貸付事業費 1 15,190 11,685 76.9 293 3,211
被災者緊急支援経費 2 10,220 9,201 90.0 332 687
燃料安定供給対策費 1 5,079 208 4.1 3,199 1,671
施設費等 2 3,363 2,040 60.6 - 1,322
その他 14 178,301 40,045 22.4 7,932 130,323
102 3,401,311 1,378,563 40.5 124,375 1,898,372
エ 復興関連基金事業に係る国庫補助金等の国への返納状況等

基金団体は、復興関連基金事業が終了して基金に残額がある場合や、使用見込みがない余剰金等がある場合には、交付要綱等により、これらに係る国庫補助金等を国へ返納することとなっている。

また、前記のとおり、基金の使途について、被災地又は被災者に対する事業に使途を限定することとなったことから、表68のとおり、31事業が基金使途通知の対象となっている。

そして、23年度の東日本大震災関係経費は、一般会計の補正予算で措置されているが、23年度3次補正により23年度内に支出されたものに係る返納金は、特別会計に関する法律の一部を改正する法律(平成24年法律第15号。以下「特会法改正法」という。)附則第3条第1号の規定に基づき、復興特会に帰属することとなっている。

そこで、国への返納金が各会計の歳入に適切に計上されているかなどに着眼して検査した。

23年度から25年度までに予算措置された復興関連基金事業112事業のうち、26年8月末までに国庫補助金等の国への返納実績があったのは、表72のとおり、35事業となっていて、25年度末までに1365億余円、26年度(26年8月末現在)に286億余円、計1652億余円が基金団体から返納されている。このうち、基金使途通知の対象となっていたのは25事業であり、26年8月末までに1581億余円が基金団体から返納されている。

(ア) 国庫返納の事由別の状況

上記35事業のうち、25年度末までに国に国庫補助金等が返納された事業は、表72のとおり、事業番号17、74及び75を除いた32事業である。これらの32事業について、国に国庫補助金等を返納した事由を各府省から調書を徴するなどして整理したところ、①使途厳格化によるもの、②基金事業の精算によるもの及び③使用見込みがないことによるもののいずれかになっていた。

これらの事由を金額が多い順に記述すると、①使途厳格化によるもの1230億余円(18事業)、③使用見込みがないことによるもの96億余円(7事業)、②基金事業の精算によるもの38億余円(8事業)となっている。

表72 復興関連基金事業に係る国庫補助金等の返納の状況等(平成26年8月末現在)

(単位:百万円)

事業
番号
復旧・
復興予
算区分
基金事業名 国庫補助
金等交付
元府省
国庫補助金
等交付額
平成25年度末までの国庫返納額(運用益を含
む。)
25年度末に
保有してい
る国庫補助
金等相当額
26年度の国
庫返納額
(運用益を
含む。)
(26年8月
末現在)
26年8月末
までの国庫
返納額(運
用益を含
む。)
  ①使途厳
格化によ
るもの
②基金事
業の精算
によるも
③使用見
込みがな
いことに
よるもの
A       B A+B
3 23年度
3次補正
被災者への心のケア対策等の推進事業(自殺対策) 内閣府(内閣府本府) 3,700 395 395 - - - 395
  4 23年度
3次補正
復興支援型地域社会雇用創造事業 内閣府(内閣府本府) 3,200 332 - 332 - - - 332
  5 23年度
3次補正
新しい公共支援事業 内閣府(内閣府本府) 879 77 - 77 - - 77
17 23年度
3次補正
奨学金事業(高校生) 文部科学省 18,946 - - - - 1,928 1,928
23 23年度
3次補正
生活福祉資金貸付 厚生労働省 15,190 293 - - 293 3,211 - 293
25 23年度
3次補正
医療施設等の防災対策の強化 厚生労働省 15,633 656 - - 656 10,235 - 656
28 23年度
3次補正
社会的包摂・「絆」再生事業 厚生労働省 17,549 365 365 - - 1,446 - 365
29 23年度
3次補正
パーソナル・サポート・サービスモデル・プロジェクト 厚生労働省 2,215 81 - - 81 149 - 81
30 23年度
3次補正
被災生活保護受給者に対する生活再建サポート事業 厚生労働省 1,771 16 - - 16 1,674 - 16
  34 23年度
3次補正
被災地における保健師巡回相談等の健康支援(介護基盤整備基金への追加) 厚生労働省 2,893 6 - 6 - 1,079 0 6
  35 23年度
3次補正
被災者の心のケア事業(障害者自立支援対策臨時特例基金の追加、災害時等心のケア支援体制整備事業費の一部) 厚生労働省 2,791 1,384 - 1,384 - - - 1,384
  36 23年度
3次補正
被災地障害福祉サービス基盤整備事業(障害者自立支援対策臨時特例基金の追加) 厚生労働省 1,521 682 - 682 - - - 682
37 23年度
3次補正
重点分野雇用創造事業の拡充(震災対応事業の延長) 厚生労働省 200,000 7,486 7,486 - - 28,027 - 7,486
39 23年度
3次補正
新卒者就職実現プロジェクト事業の被災地に係る特例措置の延長等 厚生労働省 23,520 7,978 7,978 - - 4,673 - 7,978
  46 23年度
3次補正
被災者向け農の雇用事業 農林水産省 700 479 - 479 - - - 479
47 23年度
3次補正
森林整備加速化・林業再生事業 農林水産省 139,945 39,432 39,432 - - 39,494 - 39,432
  56 23年度
1次補正
中小企業の資金繰り支援(無利子化) 経済産業省 10,000 12 - - 12 8,953 - 12
  59 23年度
1次補正
石油製品販売業災害特別保証事業 経済産業省 5,079 3,199 - - 3,199 1,671 - 3,199
  60 23年度
1次補正
特定被災地域石油製品供給支援事業 経済産業省 910 910 - 910 - - 910
65 23年度
3次補正
被災地域等地下タンク環境保全対策促進事業(全国防災) 経済産業省 6,986 1,443 1,443 - - 226 202 1,646
66 23年度
3次補正
被災地域等地下タンク環境保全対策促進事業(被災地向け) 経済産業省 1,749
68 23年度
3次補正
中小企業人材対策事業 経済産業省 2,487 1,407 1,407 - - - 0 1,407
69 23年度
3次補正
国内立地推進事業費補助金 経済産業省 295,000 21,691 21,691 - - 232,559 12,064 33,756
72 23年度
3次補正
産業技術研究開発拠点立地推進事業費補助金(希少金属使用量削減・代替技術開発設備整備費等補助金) 経済産業省 8,499 146 146 - - 8,179 690 836
73 23年度
3次補正
産業技術研究開発拠点立地推進事業費補助金(先端技術実証・評価設備整備費等補助金) 経済産業省 26,500 5,642 5,642 - - 18,297 344 5,987
74 23年度
3次補正
住宅用太陽光発電導入支援復興対策基金造成事業費補助金 経済産業省 86,992 - - - - 25,330 11,330 11,330
75 23年度
3次補正
住宅用太陽光発電高度普及促進復興対策基金造成事業費補助金 経済産業省 32,394 - - - - 713 307 307
76 23年度
3次補正
エネルギー管理システム導入促進事業費補助金 経済産業省 30,000 12,851 12,851 - - 559 658 13,510
77 23年度
3次補正
電力需要ピークカット蓄電池導入支援事業 経済産業省 20,999 8,324 8,324 - - 1,993 863 9,188
78 23年度
3次補正
建築物節電改修支援事業費補助金 経済産業省 15,000 4,734 4,734 - - 39 19 4,753
83 23年度
3次補正
火力発電運転円滑化対策費補助金 経済産業省 9,000 6,175 790 - 5,385 - - 6,175
84 23年度
3次補正
温排水利用施設整備等対策交付金 経済産業省 995 326 326 - - 240 241 567
88 24年度
当初予
産業技術研究開発拠点立地推進事業費補助金(産業連携イノベーション促進事業費補助金) 経済産業省 4,000 32 32 - - 3,924 10 43
89 24年度
当初予
産業技術研究開発拠点立地推進事業費補助金(先端技術実証・評価設備整備費等補助金) 経済産業省 10,000 10,000 10,000 - - - 10,000
  102 23年度
3次補正
地域グリーンニューディール基金の拡充(災害廃棄物処理事業の地方支援) 環境省 67,963 0 - 0 - - - 0
計(35事業) 1,085,019 136,569 123,051 3,874 9,643 392,681 28,662 165,232
うち※の小計(25事業) 989,080 129,483 123,051 - 6,432 380,977 28,662 158,145
注(1)
※印は基金使途通知の対象とされた復興関連基金事業である。
注(2)
「25年度末に保有している国庫補助金等相当額」の欄において、「/」表示になっているのは、既存の基金事業と復興関連基金事業とを区分して経理していないもの及び国庫補助金等交付額が国庫に全額返納されたものである。
(イ) 復興関連基金事業に係る返納金の復興特会の歳入への計上

前記のとおり、23年度3次補正により23年度内に支出されたものに係る返納金は、特会法改正法附則第3条第1号の規定に基づき、復興特会に帰属することとなっている。そこで、25年度末までに返納実績があった前記の32事業に係る返納金を対象に検査したところ、次のような事態が見受けられた。

① 復興支援型地域社会雇用創造事業(内閣府所管)

内閣府は、24年2月に、一般財団法人ニューメディア開発協会(以下「財団」という。)に対して、23年度3次補正で措置された交付金32億円を交付し、交付を受けた財団は新たに社会的企業支援基金を設置造成等した。

復興支援型地域社会雇用創造事業は、同基金を取り崩して、東日本大震災からの復興を図り、地域社会における起業と雇用を創造することを目的として、地域課題を解決するための新規性のある事業を行う「社会的企業」の起業や「社会的企業」を担う人材の育成を支援する事業を行うものである。

財団は、25年6月に内閣府に事業実績報告書を提出し、同基金の残額を3億3269万余円と報告していた。これを受けて、内閣府は、同年7月に同額の交付金等を一般会計に納付させる納入告知書を送付し、財団は同月に同額を納付していた。

しかし、上記による交付金等は、特会法改正法附則第3条第1号の規定に基づき、復興特会に帰属するものであり、復興特会の歳入として収納されるべきであったと認められる。

② 新しい公共支援事業(内閣府所管)

内閣府は、東日本大震災による甚大な被害があった東北3県に対して、24年2月から3月までの間に、23年度3次補正で措置された交付金計8億7900万円(岩手県2億4900万円、宮城県2億6700万円、福島県3億6300万円)を交付し、交付を受けた東北3県は、22年度に平成22年度新しい公共支援事業交付金により設置造成等した新しい公共支援事業基金(22年度一般会計措置分(東北3県)計4億6100万円(岩手県1億4500万円、宮城県1億5700万円、福島県1億5900万円))に積増しを行った。

新しい公共支援事業は、同基金を取り崩して、「新しい公共」の拡大と定着を図り、東日本大震災からの復興を促進することなどを目的として、東日本大震災被災地域等において「新しい公共」の担い手となる特定非営利活動法人等の民間非営利組織の活動拠点の整備、買い物代行等の被災者支援活動等の事業を行うものである。

内閣府は、同基金の経理及び残額の扱いについて、交付要綱等に定めており、22年度設置造成分と23年度3次補正による積増し分を区別して経理することなく一体として管理することとし、新しい公共支援事業が終了して同事業に係る精算が終了した時点において基金に残額がある場合は、国庫に納付することとしている。

東北3県は、25年11月に内閣府に提出した基金残額及び監査等結果報告により、基金の残額を計7661万余円(岩手県3003万余円、宮城県2007万余円、福島県2650万余円)と報告していた。これを受けて、内閣府は、25年12月から26年2月までの間に同額を一般会計に納付させる納入告知書を送付し、東北3県は、25年12月から26年2月までの間に同額を納付していた。さらに、福島県は、26年3月に返納額の再確定を行い、同年4月に追加で123万余円を一般会計に追加納付していた。

そして、前記のとおり、東北3県は23年度3次補正による積増し分を区別することなく一体で管理していて、上記の返納金計7785万余円には、22年度設置造成分に係る返納金と23年度3次補正による積増し分に係る返納金が混在していたが、内閣府は全額を一般会計の歳入として収納していた。

しかし、各予算の交付額等で返納金を案分するなどして算定した6130万余円については、復興特会の歳入として収納されるべきであったと認められる。

オ 基金団体別の国庫補助金等交付額及び国庫返納額の状況

復興関連基金事業を実施するに当たって、どのような基金団体に対して国庫補助金等が交付されているか、また、国庫返納額はどのような状況となっているかに着眼して、基金団体別に復興関連基金事業数及び国庫補助金等交付額について検査した。

基金団体別の復興関連基金事業数及び国庫補助金等交付額は、表73のとおり、都道府県で64事業、計2兆1931億余円(国庫補助金等交付額の総額に占める割合59.7%)、政令指定都市である仙台市で1事業、計64億余円(同0.1%)、公益法人等で48事業、計1兆4713億余円(同40.0%)となっている。

被災9県に対する国庫補助金等の交付額をみると、計1兆8890億余円(同51.4%)となっている。このうち、甚大な被害を受けた東北3県は、計1兆7881億余円(同48.7%)であり、特に原子力災害による影響が甚大で、除染の事業等を実施している福島県は計1兆3349億余円(同36.3%)となっている。また、被災9県を除いた38都道府県に対する国庫補助金等の交付額は計3041億余円(同8.2%)となっている。

次に、基金団体別に、25年度末までに国庫返納の実績があった復興関連基金事業数及び国庫返納額をみると、都道府県が計14事業、計512億余円(国庫補助金等交付額に占める国庫返納額の割合2.3%)、公益法人等が計18事業、計853億余円(同5.8%)となっている。

また、国庫補助金等交付額に占める国庫返納額の割合は、被災9県では0.1%となっている一方、被災9県を除いた38都道府県では15.9%となっていて、47都道府県全体では2.3%となっている。

これは、前記のとおり、国が25年7月に、復興関連基金事業に係る基金の使途を被災地又は被災者に対する事業に限定することとし、それ以外の事業については当該事業に係る基金の残額を国に返納するよう都道府県等に要請したことなどによるものである。

表73 平成23年度から25年度までに交付された基金団体別の国庫補助金等交付額等

(単位:件、百万円、%)

基金団体名 復興関連
基金事業数
国庫補助金等交付額 平成25年度末までの国庫返納
  国庫補助金等
交付額の総額
に占める左の
額の割合
復興関連
基金事業数
金額(運用益を含
む。)
国庫補助金等
交付額に占め
る国庫返納額
の割合
A     B B/A
北海道 11 18,292 0.4 4 4,563 24.9
青森県※ 17 20,997 0.5 - - -
岩手県※ 35 161,732 4.4 3 623 0.3
宮城県※ 37 291,450 7.9 3 934 0.3
秋田県 11 17,931 0.4 2 1,049 5.8
山形県 11 19,218 0.5 1 841 4.3
福島県※ 59 1,334,987 36.3 4 909 0.0
茨城県※ 24 37,537 1.0 - - -
栃木県※ 15 12,922 0.3 1 6 0.0
群馬県 10 7,148 0.1 3 1,079 15.1
埼玉県 10 9,085 0.2 4 840 9.2
千葉県※ 21 9,757 0.2 3 77 0.7
東京都 12 21,004 0.5 4 3,322 15.8
神奈川県 10 9,856 0.2 3 61 0.6
新潟県※ 15 8,978 0.2 - - -
富山県 8 4,328 0.1 3 816 18.8
石川県 10 5,959 0.1 3 1,490 25.0
福井県 8 3,060 0.0 3 1,289 42.1
山梨県 9 3,928 0.1 3 315 8.0
長野県※ 18 10,681 0.2 1 4 0.0
岐阜県 8 8,527 0.2 3 2,324 27.2
静岡県 13 8,357 0.2 5 1,489 17.8
愛知県 9 8,631 0.2 3 690 7.9
三重県 9 5,595 0.1 3 1,736 31.0
滋賀県 10 3,783 0.1 3 1,138 30.0
京都府 10 10,545 0.2 4 1,045 9.9
大阪府 9 12,516 0.3 6 907 7.2
兵庫県 9 8,472 0.2 4 1,768 20.8
奈良県 7 5,568 0.1 3 1,518 27.2
和歌山県 7 4,354 0.1 3 1,577 36.2
鳥取県 6 6,291 0.1 3 1,599 25.4
島根県 10 6,557 0.1 3 775 11.8
岡山県 9 4,646 0.1 3 403 8.6
広島県 11 5,600 0.1 3 1,152 20.5
山口県 7 4,168 0.1 3 1,628 39.0
徳島県 9 6,655 0.1 3 778 11.6
香川県 8 1,492 0.0 5 183 12.2
愛媛県 7 7,252 0.1 2 1,150 15.8
高知県 9 7,898 0.2 2 729 9.2
福岡県 13 10,574 0.2 3 1,058 10.0
佐賀県 7 3,090 0.0 3 270 8.7
長崎県 8 4,517 0.1 3 1,121 24.8
熊本県 10 8,020 0.2 4 1,529 19.0
大分県 8 8,311 0.2 3 1,782 21.4
宮崎県 8 9,392 0.2 3 1,995 21.2
鹿児島県 7 8,531 0.2 2 2,155 25.2
沖縄県 11 4,939 0.1 4 468 9.4
  都道府県(計) 64 2,193,152 59.7 14 51,205 2.3
  うち※の小計(被災9県) 63 1,889,043 51.4 7 2,556 0.1
  うち東北3県の小計 62 1,788,170 48.7 4 2,467 0.1
  うち※を除いた小計(38
都道府県)
18 304,109 8.2 10 48,648 15.9
  仙台市 1 6,497 0.1 - - -
  公益法人等 48 1,471,300 40.0 18 85,364 5.8
  合計 112 3,670,949 100.0 32 136,569 3.7
注(1)
※印は、被災9県である。
注(2)
国庫補助金等交付額及び国庫返納額は、各府省庁から聴取した金額を集計している。
注(3)
基金団体が都道府県所管の公益法人その他団体の場合は、各都道府県に含めて集計している。
注(4)
都道府県(計)の復興関連基金事業数は、同一事業で複数の都道府県に国庫補助金等が交付されている場合であっても、1件として集計している。
注(5)
復興関連基金事業数は、同一事業を県及び市で行っているものがあるため、都道府県(計)、仙台市及び公益法人等の計と合計は一致しない。
カ 東北3県を除く17都県における復興関連基金事業の執行状況等

国は、前記のとおり、復興関連基金事業112事業のうち64事業を実施するに当たって、47都道府県に対して国庫補助金等を交付している。

そこで、東北3県を除く17都県を対象に会計実地検査を行い、調書を徴したり担当者から事業の実施状況に関する説明を聴取したりするなどして、復興関連基金事業の執行状況等について検査した(東北3県については、リンク参照)。

(ア) 復興関連基金事業別の執行状況

17都県における復興関連基金事業は、9基金18事業であり、これらを基金別、復旧・復興予算の区分別等に区分すると、表74のとおり、25年度末までの国庫補助金等交付額は計1207億余円となっている。

このうち、既存の基金事業と復興関連基金事業とを区分して経理していないため、執行状況を把握できない2基金2事業を除く7基金16事業に係る国庫補助金等交付額は計1122億余円、25年度末までの取崩額は計741億余円、基金事業執行率は66.0%、25年度末までの国庫返納額(国庫補助金等相当額)は197億余円、25年度末に保有している国庫補助金等相当額は183億余円となっている。

上記16事業の25年度末における執行状況をみると、基金事業執行率が100%となっている事業(社会福祉施設等耐震化等臨時特例基金事業)がある一方、1.7%となっている事業(被災生活保護受給者に対する生活再建サポート事業)があるなど、事業により執行の状況に大きな差が見受けられる。

また、前記の17都県の復興関連基金事業の9基金18事業のうち、被災地又は被災者に対する事業に限定するとした基金使途通知の対象となった地域自殺対策緊急強化基金等7基金10事業に係る国庫補助金等交付額は、計1176億余円で全体の97.4%と大部分を占めている。このうち、復興に係る基金事業執行率等を区分して把握することが困難な2基金2事業を除いた5基金8事業についてみると、国庫補助金等交付額は計1092億余円、25年度末までの取崩額は728億余円、基金事業執行率は66.7%、25年度末までの国庫返納額(国庫補助金等相当額)は197億余円、25年度末に保有している国庫補助金等相当額は165億余円となっている。

表74 17都県における復興関連基金事業別の執行状況等

(単位:百万円、%)

基金名 復旧・復
興予算区
基金事業名 所管省庁名 都県 国庫補助金等交付額
の計
平成25年度
末までの取
崩額(国庫
返納額分を
除く。)
基金事業
執行率
25年度末ま
でに国庫返
納額(国庫
補助金等相
当額)
25年度末に
保有してい
る国庫補助
金等相当額
当初の終
了年度
延長され
た終了年
A 全体に占
める割合
B B/A C D=A-B-C
地域自殺対策緊急強化基金 23年度
3次補正
※ 地域自殺対策緊急強化事業 内閣府(内閣本府) 17都県 1,008 0.8 202 24年度 26年度
高校生修学支援基金(被災児童生徒就学支援等臨時特例交付金) 23年度
1次補正、
23年度
3次補正
被災幼児就園支援事業 文部科学省 17都県 168 0.1 72 43.0 - 95 26年度
被災児童生徒就学援助事業 文部科学省 17都県 560 0.4 344 61.5 - 215 26年度
奨学金事業 文部科学省 7都県 26 0.0 3 12.3 - 23 26年度
私立学校授業料等減免事業 文部科学省 16都県 437 0.3 99 22.8 - 337 26年度
被災児童生徒等特別支援教育就学奨励事業 文部科学省 10都県 21 0.0 1 5.7 - 20 26年度
専修学校・各種学校授業料等減免事業 文部科学省 11都県 1,464 1.2 509 34.7 - 955 26年度
2,678 2.2 1,030 38.4 - 1,648
高校生修学支援基金(高等学校授業料減免事業等支援臨時特例交付金) 23年度
3次補正
※ 高等学校授業料減免事業等 文部科学省 15都県 7,415 6.1 - 26年度
安心こども基金 23年度
1次補正
地域子育て創生事業 厚生労働省 7都県 115 0.0 29 25.5 - 85 23年度 25年度
医療施設耐震化臨時特例基金 23年度
3次補正
※医療施設耐震化臨時特例基金事業 厚生労働省 4都県 5,099 4.2 2,128 41.7 333 2,638 24年度 25年度
(事業着手年度)
社会福祉施設等耐震化等臨時特例基金 23年度
3次補正
※社会福祉施設等耐震化等臨時特例基金事業 厚生労働省 熊本県、沖縄県 1,068 0.8 1,068 100.0 - - 24年度 26年度
(事業着手年度)
緊急雇用創出事業臨時特例基金(住まい対策拡充等支援事業分) 23年度
3次補正
※ 社会的包摂・「絆」再生事業 厚生労働省 7都県 8,232 6.8 7,338 89.1 109 784 24年度 26年度
※生活福祉資金相談等体制整備事業 厚生労働省 11都県 2,226 1.8 1,884 84.6 14 327 24年度 26年度
※パーソナル・サポート・サービスモデル・プロジェクト 厚生労働省 7都県 763 0.6 710 93.0 0 52 24年度
※被災生活保護受給者に対する生活再建サポート事業 厚生労働省 12都県 203 0.1 3 1.7 16 183 24年度 25年度
11,424 9.4 9,936 86.9 139 1,348
緊急雇用創出事業臨時特例基金 23年度
1次補正
震災等緊急雇用対応事業 厚生労働省 東京都、神奈川県 280 0.2 280 100.0 - - 24年度 25年度
23年度
3次補正
※ 震災等緊急雇用対応事業 厚生労働省 17都県 45,150 37.4 39,850 88.2 4,628 670 24年度 25年度
45,430 37.6 40,130 88.3 4,628 670
森林整備加速化・林業再生基金 23年度
3次補正
※森林整備加速化・林業再生事業 農林水産省 15県 46,471 38.4 19,867 42.7 14,693 11,910 26年度
  合 計(9基金18事業) 120,711 100.0 19,997    
うち7基金16事業(「地域自殺対策緊急強化事業」、「高等学校授業料減免事業等」を除く。) 112,288 93.0 74,192 66.0 19,795 18,301    
  うち※の小計(7基金10事業) 117,637 97.4 19,997    
うち5基金8事業(「地域自殺対策緊急強化事業」、「高等学校授業料減免事業等」を除く。) 109,214 90.4 72,851 66.7 19,795 16,567    
注(1)
※印は、基金使途通知の対象とされた復興関連基金事業である。
注(2)
基金名、基金事業名は、国庫補助金等交付先ごとに異なっていることから、代表的な名称等を記載している。
注(3)
基金名が同一であっても、基金の原資となっている国庫補助金等名が異なるなどの場合は、別の基金として集計している。
注(4)
「当初の終了年度」の欄は、復旧・復興予算が措置された際に設定された事業の終了期限の年度を記載している。
注(5)
復興関連基金事業が同一事業であっても予算別に区分経理されている場合は、別の事業として集計している。
注(6)
復興関連基金事業のうち、既存の基金事業と復興関連基金事業とを区分して経理していないものなどは、「平成25年度末までの取崩額(国庫返納額分を除く。)」、「基金事業執行率」、「25年度末に保有している国庫補助金等相当額」の欄を「/」としている。
注(7)
 緊急雇用創出事業臨時特例基金(住まい対策拡充等支援事業分)で実施されている4事業の「平成25年度末までの取崩額(国庫返納額分を除く。)」の欄の計数は、同基金の他事業へ配分変更した額を含めず集計している。
(イ) 復興関連基金事業の実施状況

17都県における復興関連基金事業の多くは、前記のとおり、基金使途通知の対象とされていることから、各基金事業の執行は適切か、交付された国庫補助金等は適切に管理されているかなどに着眼して検査したところ、次のような事態が見受けられた。

a 事業の対象となる被災者がほとんどいないことなどのため、今後の実施が見込めないもの

緊急雇用創出事業臨時特例基金(住まい対策拡充等支援事業分)(厚生労働省所管。4事業 使用見込みがない基金保有額 計11億2583万余円)

厚生労働省は、23年度3次補正により措置された緊急雇用創出事業臨時特例交付金(住まい対策拡充等支援事業分)として、17都県に対して計114億2490万余円を交付して、緊急雇用創出事業臨時特例基金(住まい対策拡充等支援事業分)を、各都県に設置造成等させている。

同省は、交付金の交付に当たり、各都県が申請した社会的包摂・「絆」再生事業(以下「「絆」事業」という。)、生活福祉資金相談等体制整備事業(以下「相談体制整備事業」という。)、パーソナル・サポート・サービスモデル・プロジェクト及び被災生活保護受給者に対する生活再建サポート事業の4事業に要する経費を基に交付額を決定しており、各都県は、申請した各事業に要する経費に基づき交付金を区分している。そして、それぞれの事業において、事業に充てられる資金が不足する場合等には、事業間で資金の配分変更ができることとなっている。

しかし、これらの4事業は、25年7月に、基金使途通知の対象とされ、事業の対象が被災者に限定されることとなったことから、これらの事業を実施することにしていた17都県のうち、13都県において、被災者に限定した事業の実施が困難であるなどとしていて、その結果、計11億2583万余円の資金が「絆」事業及び相談体制整備事業が終了する26年度末まで使用されずに保有されたままになることが見込まれる。

上記の事態について事業別に示すと次のとおりである。

① 「絆」事業(終了年度:26年度)

 「絆」事業は、厚生労働省が、23年度に、東日本大震災の影響による失業者の路上生活化の防止や生活再建を図ることを目的として、表75のとおり、7都県に交付金計82億3221万余円を交付して造成させた緊急雇用創出事業臨時特例基金(住まい対策拡充等支援事業分)により実施するものである。

表75 「絆」事業の執行状況等(平成26年8月末現在)

(単位:千円、%)

都県名 交付金交付額 平成25年度末
までの取崩額
(国庫返納額
分を除く。)
基金事業
執行率
25年度末
までの国
庫返納額
(交付金
相当額)
25年度末
までの他
事業への
配分変更
25年度末に
保有してい
る交付金相
当額
26年度の
使用見込
26年度の
他事業へ
の配分変
更見込額
26年度の
国庫返納
額(見込
額を含
む。)
26年度末
に保有見
込みの交
付金相当
A B B/A C D E=
A-B-C-D
F G H I=
E-F-G-H
東京都 4,459,206 4,179,664 93.7 97,567 3,240 178,734 - - - 178,734
神奈川県 1,686,104 1,422,636 84.3 2,130 - 261,337 - 147,548 - 113,789
石川県 70,000 3,700 5.2 - 54,440 11,860 - 11,860 - -
愛知県 1,684,589 1,379,049 81.8 - - 305,539 43,985 - - 261,554
香川県 60,000 47,100 78.5 6,753 - 6,146 - - - 6,146
熊本県 147,702 173,021 117.1 - △ 25,319
沖縄県 124,610 133,318 106.9 2,714 △ 11,422
8,232,211 7,338,489 89.1 109,164 57,680 763,618 43,985 159,408 - 560,225

(注)「25年度末に保有している交付金相当額」欄において、マイナス(△)表示の計数となっているのは、緊急雇用創出事業臨時特例基金(住まい対策拡充等支援事業分)を活用して行われる事業間で配分変更して使用できることから、他事業から配分変更した額を当該事業の取崩額として集計したことによる。また、「計」欄は、マイナス(△)表示の計数を0円として集計している。

しかし、「絆」事業は、25年7月に基金使途通知の対象となった。このため、東京都及び香川県は、路上で生活している失業者等に対する各種支援事業を行う際に、被災者かどうかの確認をして本件事業を実施することは困難であるなどとして、それ以降、新規の事業を実施していない。また、神奈川県及び石川県は、26年度に「絆」事業を実施せず、25年度末の資金残額の一部又は全額を配分変更して相談体制整備事業を実施する予定であるとし、愛知県は、従来実施している「絆」事業のうち被災者に限定したコミュニティ復興支援事業のみを継続して実施していく予定であるとしている。

その結果、5都県における25年度末の資金残額計7億6361万余円のうち、上記のように他事業に配分変更するなどしても、4都県において、計5億6022万余円の資金が26年度末の事業終了時まで使用されずに保有されたままになることが見込まれる。

② 相談体制整備事業(終了年度:26年度)

相談体制整備事業は、厚生労働省が、23年度に、被災世帯を支援するために、当面の生活に必要となる資金(以下「生活復興支援資金」という。)の貸付けに関する相談体制を整備することを目的として、都県及び市町村の社会福祉協議会の相談員に係る配置等に要する経費に充てるために、表76のとおり、11都県に交付金計22億2619万余円を交付して造成させた緊急雇用創出事業臨時特例基金(住まい対策拡充等支援事業分)により実施するものである。

表76 相談体制整備事業の執行状況等(平成26年8月末現在)

(単位:千円、%)

都県名 交付金交付
平成25年度
末までの取
崩額(国庫
返納額分を
除く。)
基金事業
執行率
25年度末
までの国
庫返納額
(交付金
相当額)
25年度末
までの他
事業への
配分変更
25年度末に
保有してい
る交付金相
当額
26年度の
他事業か
らの配分
変更見込
26年度の
使用見込
26年度の
国庫返納
額(見込
額を含
む。)
26年度末に保
有見込みの交
付金相当額
A B B/A C D E=
A-B-C-D
  F G H=E-F-G
東京都 814,499 817,739 100.3 - △ 3,240
神奈川県 271,098 292,698 107.9 - △ 21,600 147,548 147,548 - △ 169,148
石川県 51,185 105,625 206.3 - △ 54,440 22,660 22,660 - △ 77,100
岐阜県 125,566 99,845 79.5 - - 25,721 - - - 25,721
愛知県 504,421 363,663 72.0 - - 140,758 - - - 140,758
奈良県 111,718 59,641 53.3 - - 52,077 - - - 52,077
岡山県 72,800 - - - - 72,800 - - - 72,800
徳島県 51,436 51,437 100.0 - △ 1
高知県 29,800 28,733 96.4 - - 1,067 7,200 8,267 - △ 7,200
熊本県 50,675 - - 14,255 25,319 11,100 - - - 11,100
大分県 - 500 △ 500
沖縄県 143,000 64,570 45.1 - 11,422 67,007 - - - 67,007
2,226,198 1,884,452 84.6 14,255 36,741 370,531 177,408 178,475 - 369,464
注(1)
「25年度末に保有している交付金相当額」及び「26年度末に保有見込みの交付金相当額」欄において、マイナス(△)表示の計数となっているのは、緊急雇用創出事業臨時特例基金(住まい対策拡充等支援事業分)を活用して行われる事業間で配分変更して使用できることから、他事業から配分変更して使用した額も含めて当該事業の取崩額として集計している。
注(2)
「計」欄は、マイナス(△)表示の計数を0円として集計している。
注(3)
大分県は、当該事業に係る交付申請を行っていないため、交付金の交付を受けていないが、被災生活保護受給者に対する生活再建サポート事業に係る交付金 のうち、500千円を配分変更して事業を実施している。

しかし、相談体制整備事業は、25年7月に、基金使途通知の対象となったため、25年度末現在で資金を保有している7県のうち、26年度も同事業を実施するとしていた高知県を除く6県は、被災者に限定した相談員の配置等や経費の支出は困難であるなどとして、基金を廃止するまで当面資金を保有し続けるとしている。

その結果、これらの6県において、計3億6946万余円の資金が26年度末の事業終了時まで使用されずに保有されたままになることが見込まれる。

③ パーソナル・サポート・サービスモデル・プロジェクト(終了年度:24年度)

パーソナル・サポート・サービスモデル・プロジェクトは、厚生労働省が、23年度に、様々な問題に直面している被災者の日常生活の自立、社会的自立及び経済的自立に向けて、パーソナル・サポーターが当事者のニーズに合わせた個別的かつ継続的な相談等を実施し、生活支援、就労支援等を行うことを目的として、表77のとおり、7都県に交付金計7億6309万余円を交付して造成させた緊急雇用創出事業臨時特例基金(住まい対策拡充等支援事業分)により実施したものであり、同プロジェクトは24年度末に廃止されている。

表77 パーソナル・サポート・サービスモデル・プロジェクトの執行状況等(平成26年8月末現在)

(単位:千円、%)

都県名 交付金交付
平成25年度
末までの取
崩額(国庫
返納額分を
除く。)
基金事業
執行率
25年度末
までの国
庫返納額
(交付金
相当額)
25年度末
までの他
事業への
配分変更
25年度末に
保有してい
る交付金相
当額
26年度の国
庫返納額
(見込額を
含む。)
26年度末に
保有見込み
の交付金相
当額
A B B/A C D E=
A-B-C-D
F G=E-F
東京都 64,998 48,926 75.2 - - 16,072 - 16,072
神奈川県 240,038 230,715 96.1 - - 9,323 - 9,323
岐阜県 130,000 126,774 97.5 - - 3,225 - 3,225
岡山県 21,860 9,102 41.6 - - 12,758 - 12,758
徳島県 91,723 91,721 99.9 - 1 -
香川県 34,238 34,049 99.4 188
沖縄県 180,238 168,974 93.7 - - 11,263 - 11,263
763,095 710,262 93.0 188 1 52,642 - 52,642

同プロジェクトの基金事業執行率は7都県全体で93.0%となっていて、25年度末の基金の残額は、既に残額の交付金相当額を国に返納した香川県及び残額がない徳島県を除き、5都県で計5264万余円となっている。

前記のとおり、同プロジェクトが24年度末に廃止されているのに資金を保有していることについて、5都県は、資金を緊急雇用創出事業臨時特例基金(住まい対策拡充等支援事業分)で実施している他の事業に配分変更できるとされていることなどから、それらの事業の終了年度である26年度まで保有する予定であるためとしている。

しかし、配分変更できるとされている「絆」事業や相談体制整備事業は、前記のとおり、基金使途通知の対象となったことから、多くの都県で今後の実施見込みがないなどとされている。

したがって、5都県において、計5264万余円の資金が「絆」事業及び相談体制整備事業が終了する26年度末まで保有されたままになることが見込まれる。

④ 被災生活保護受給者に対する生活再建サポート事業(終了年度:25年度)

被災生活保護受給者に対する生活再建サポート事業は、厚生労働省が、23年度に、被災した生活保護受給世帯に対して、生活再建サポーターによる巡回相談等の各種支援を行うことを目的として、表78のとおり、12都県に交付金計2億0340万円を交付して造成させた緊急雇用創出事業臨時特例基金(住まい対策拡充等支援事業分)により実施したものであり、同事業は25年度末に廃止されている。

表78 被災生活保護受給者に対する生活再建サポート事業の執行状況等(平成26年8月末現在)

(単位:千円、%)

都県名 交付金交付額 平成25年度末
までの取崩額
(国庫返納額
分を除く。)
基金事業
執行率
25年度末ま
での国庫返
納額(交付
金相当額)
25年度末ま
での他事業
への配分変
更額
25年度末に
保有してい
る交付金相
当額
26年度の他
事業への配
分変更見込
26年度の国
庫返納額
(見込額を
含む。)
26年度末に
保有見込み
の交付金相
当額
A B B/A C D E=
A-B-C-D
F G H=E-F-G
東京都 100,800 3,600 3.5 - - 97,200 - - 97,200
神奈川県 21,600 - - - 21,600 -
石川県 10,800 - - - - 10,800 10,800 - -
福井県 7,200 - - - - 7,200 - - 7,200
岡山県 7,200 - - - - 7,200 - - 7,200
高知県 7,200 - - - - 7,200 7,200 - -
佐賀県 7,200 - - 7,200
長崎県 7,200 - - - - 7,200 - - 7,200
熊本県 9,000 - - 9,000
大分県 7,200 - - - 500 6,700 - - 6,700
鹿児島県 7,200 - - - - 7,200 - - 7,200
沖縄県 10,800 - - - - 10,800 - - 10,800
203,400 3,600 1.7 16,200 22,100 161,500 18,000 - 143,500

同事業の執行状況をみると、被災した生活保護受給世帯がほとんどなかったなどの理由から、同事業を実施した都県は、東京都のみであり、基金事業執行率は1.7%と極めて低調となっていて、25年度末の基金の残額は、既に残額の交付金相当額を国に返納した佐賀県及び熊本県、他の事業に資金を配分変更した神奈川県を除いた、9都県で計1億6150万円となっている。

前記のとおり、事業が25年度末に廃止されているのに資金を保有していることについて、9都県は、パーソナル・サポート・サービスモデル・プロジェクトと同様に、資金を緊急雇用創出事業臨時特例基金(住まい対策拡充等支援事業分)で実施している他の事業に配分変更できるとされていることなどから、「絆」事業及び相談体制整備事業の終了年度である26年度まで保有する予定であるためとしている。

しかし、配分変更できるとされている「絆」事業及び相談体制整備事業は、前記のとおり、基金使途通知の対象となったことから、多くの都県で今後の使用見込みがないなどとされている。

したがって、7都県において、計1億4350万円の資金が26年度末の事業終了時まで使用されずに保有されたままになることが見込まれる。

b 基金の使途が被災者に対する事業に限定されていなかったもの

緊急雇用創出事業臨時特例基金(住まい対策拡充等支援事業分)で実施される事業のうち、相談体制整備事業(厚生労働省所管。1事業 26年度に被災者に限定しないまま使用されることが見込まれていた額 1億7847万余円)

相談体制整備事業は、前記のとおり、厚生労働省が23年度に、被災世帯を支援するため、生活復興支援資金の貸付けに関する相談体制を整備することを目的として、11都県に交付金計22億2619万余円を交付して造成させた緊急雇用創出事業臨時特例基金(住まい対策拡充等支援事業分)により実施するものである。

同事業の執行状況をみると、表76のとおり、岡山県及び熊本県は、既存の生活福祉資金貸付事業に係る相談体制で対応しているため、本件事業を全く実施していない。一方、東京都、神奈川県、石川県及び徳島県は、既に交付額の全額を執行していた。このうち、東京都、神奈川県及び石川県は、不足する事業費については、緊急雇用創出事業臨時特例基金(住まい対策拡充等支援事業分)で実施している「絆」事業等の資金の一部を配分変更して実施しており、25年度末現在の配分変更額は計7928万円となっている。

そして、相談体制整備事業は、前記のとおり、25年7月に、基金使途通知の対象となって、事業の対象者が被災者に限定されることとなったことから、岡山県及び熊本県に加えて、岐阜県、愛知県、奈良県及び沖縄県も、被災者に限定した相談員の配置等や経費の支出は困難であるなどとして、復旧・復興予算による相談員の配置等を行わず、既存の生活福祉資金貸付事業に係る相談体制で対応するなどとしている。

しかし、神奈川県、石川県及び高知県は、26年度以降も使途を被災者に対する事業に限定することなく基金を活用するなどして事業を執行する予定であるとしていて、26年度の財源として、神奈川県は「絆」事業で使用見込みがなくなった資金1億4754万余円を、石川県は「絆」事業等で使用見込みがなくなった資金2266万円を、高知県は被災生活保護受給者に対する生活再建サポート事業で使用見込みがなくなった資金720万円を、それぞれ配分変更する予定としていた。

これらの事態を踏まえて、厚生労働省は、改めて、基金使途通知等に基づき、被災地又は被災者に対する事業に限定した上で、それ以外の事業の残額や、使用見込みのない資金について速やかな国への返納を要請したとしている。

上記の要請を受けて、神奈川県、石川県及び高知県は、「絆」事業等で使用の見込みがなくなった資金を相談体制整備事業へ配分変更せず、復旧・復興予算にによる事業の執行を取りやめている。また、これらの基金事業を実施する都県は、今後の使用が見込まれない資金について、厚生労働省と調整した上で、国への返納手続を進めるとしている。

キ まとめ

復興関連基金事業は、基金団体が実施している被災地の復旧・復興事業や全国に避難している被災者等に対する各種支援事業等に必要な資金に充てるために、国が国庫補助金等を事前に交付し、交付を受けた基金団体が基金を設置造成等し、これを取り崩すなどして実施するものであることから、使い勝手がよい反面、当初の目的が達成された場合等であっても基金が廃止されるまで、資金が国に返納されないまま保有されているものも見受けられる。また、復興庁及び財務省は、25年7月に、基金の使途を被災地又は被災者に対する事業に限定し、それ以外の事業については、基金からの執行を見合わせて、国へ返還することを各基金の所管大臣に要請している。

そして、東日本大震災発生後3年11か月が経過し、復興関連基金事業の中には当初の目的を達成したり、当該事業に対する需要が低下したりして、基金事業執行率が低くなっているものや多額の資金余剰を生じているものも見受けられる。

これらのことから、国は、今後も基金団体と十分連携し、適切かつ有効に事業が実施されるよう努めるとともに、復旧・復興予算の計上や資金の交付に当たっては、基金の規模が適切なものとなっているかについて検証する必要がある。また、国は、基金団体における事業の進捗状況や基金の執行残額の状況等について適切に把握するなどして、国庫補助金等の交付が適正に行われるようにするとともに、基金団体に多額の不用額や、今後の使用が見込めない資金が保有されていたり、余剰金が生ずると見込まれたりしている場合は、これらの余剰金等を国庫に返納することを基金団体に要請するなどして、資金を適切かつ有効に活用するよう努める必要がある。