租税特別措置(以下「特別措置」という。)は、国による特定の政策目的を実現するための特別な政策手段であるとされ、「公平・中立・簡素」という税制の基本原則の例外措置として設けられているものである。
特別措置に関しては、行政機関が行う政策の評価に関する法律(平成13年法律第86号)等により、法人税関係特別措置について政策評価が義務付けられた。また、租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律(平成22年法律第8号)が平成22年4月に施行され、適用法人数、適用額の総額等を把握する適用実態調査、適用実態調査により明らかとなった結果の国会への報告及び適用実態調査により得られた適用状況に関する情報の各府省庁への提供がなされることとなった。
少子・高齢化の急速な進展等経済社会の構造が大きく変化している中で、税制に関する国民の関心も高く、持続的な経済社会の活性化の実現を図る取組として、税制改革に期待が寄せられている。
また、23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震及びこれに伴う原子力発電所の事故による災害(以下「東日本大震災」という。)による被災者等の負担の軽減を図るなどのために、東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律(平成23年法律第29号)が制定され、この中で、東日本大震災の被災者等に対する税制上の対応措置(以下「震災特例」という。)が設けられて、税制以外の他の復興支援施策とともに、東日本大震災からの復興に向けた取組の一層の推進が図られている。
本報告書は、以上のような状況を踏まえて、特別措置及び震災特例の適用状況並びに関係省庁及び財務省による検証状況について検査を実施し、その状況を取りまとめたことから、会計検査院法(昭和22年法律第73号)第30条の2の規定に基づき、会計検査院長から衆議院議長、参議院議長及び内閣総理大臣に対して報告するものである。