北海道、四国、九州各旅客鉄道株式会社(以下「三島会社」という。)は、これまでの累次の閣議決定により、「経営基盤の確立等条件が整い次第、できる限り早期に完全民営化する。」こととされており、国土交通省及び独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構(以下「機構」という。)においても経営自立に向けた多額の財政支援等を行ってきている。
また、三島会社は会社発足時に、鉄道事業の営業損失を経営安定基金の運用収益で補填することとされており、平成20年にはリーマン・ショックを契機とした景気の後退もあり、鉄道収益や経営安定基金の運用収益が減少するなど、三島会社を取り巻く経営環境は変化している。
そして、九州旅客鉄道株式会社については、27年6月に完全民営化に向けた「旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律の一部を改正する法律」(平成27年法律第36号)が成立しており、同年9月には資産処分に関する答申が行われて、28年度に株式上場し、完全民営化することが見込まれている。
一方、会計検査院は、13年に旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律(昭和61年法律第88号)が改正され、東日本、東海、西日本各旅客鉄道株式会社の完全民営化は見込まれたが、三島会社は依然として日本鉄道建設公団(15年10月1日以降は機構)がその株式を全株保有していることなどを踏まえて、平成14年度決算検査報告に特定検査対象に関する検査状況として、「北海道、四国及び九州各旅客鉄道株式会社の経営状況について」(以下「14年度報告」という。)を掲記し、三島会社の経営状況、経営安定基金の運用状況等について記述している。
本報告書は、以上のような状況等を踏まえて、三島会社の経営状況、経営安定基金の運用状況等に関する14年度報告以降の状況、また、国土交通省及び機構による財政支援等の実施状況等について、多角的かつ総括的に検査を行い、その状況を取りまとめたことから、会計検査院法(昭和22年法律第73号)第30条の2の規定に基づき、会計検査院長から衆議院議長、参議院議長及び内閣総理大臣に対して報告するものである。
平成28年2月会計検査院
・本文中及び図表中の数値は、原則として、表示単位未満を切り捨てている。
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