社会保障・税番号制度は、社会保障・税制度の効率性・透明性を高め、国民にとって利便性の高い公平・公正な社会を実現するために、複数の機関に存在する個人情報について同一人の情報であるということの確認を行うための社会基盤である。
社会保障・税番号制度においては、国の行政機関、地方公共団体、独立行政法人、医療保険者等の各機関の間でマイナンバー(個人番号)をその内容に含む個人情報について情報照会及び情報提供を行う情報連携が予定されており、情報連携に必要となる各機関における情報システムの整備をスケジュールに沿って適切に実施していくことが重要となる。
地方公共団体では、平成28年1月からマイナンバーカードの交付が開始されたものの、地方公共団体情報システム機構の情報システムに障害が発生したことなどにより、マイナンバーカードの交付に遅れが生じた。このような状況を踏まえ、会計検査院は、地方公共団体における社会保障・税番号制度の導入に係る補助事業の実施状況等について検査を実施し、その状況を取りまとめて、29年1月に国会及び内閣に報告したところである。
一方、27年5月に日本年金機構の年金個人情報が外部に流出したことを契機として、各機関の間で行われる情報連携のうち、日本年金機構における情報連携の開始時期については延期され、未定となった。また、29年7月に開始が予定されていたその他の情報システム間での情報連携については、内閣官房及び総務省が、地方公共団体等の窓口職員の習熟のために3か月程度の試行運用期間を設けた上で、29年秋頃から本格運用を開始することとしている。
本報告書は、以上のような状況等を踏まえて、国の行政機関等における社会保障・税番号制度の導入に係る情報システムの整備や、各機関の間で行われる情報連携等の状況について検査を実施し、その状況を取りまとめたことから、会計検査院法(昭和22年法律第73号)第30条の2の規定に基づき、会計検査院長から衆議院議長、参議院議長及び内閣総理大臣に対して報告するものである。
平成29年7月
会計検査院
・本文及び図表中の数値は、表示単位未満を切り捨てている。
・上記のため、図表中の数値を集計しても計が一致しないものがある。
[業務見直し段階での業務見直し範囲、業務実施手順及び具体的な要件の検討が十分でなかったことにより要件定義に不備があったため、改修や仕様を追 加等する契約変更が必要になっていたもの]
[業務見直し段階での業務実施手順の検討が十分でなかったことにより要件定義に不備があったため、改修を行うことが必要になっていたもの]
[業務見直し段階での業務見直し範囲の検討及び関係者分析が十分でなかったことにより要件定義に不備があったため、情報システムの調達に手戻りが生ずるなどして、計画が遅延しているもの]
[データ標準レイアウトのデータ項目が情報照会に使用するものとして正確に規定されていなかったことにより、情報連携の開始時期を延期しているもの]
[正本よりも古い情報等が提供されることで、情報照会機関の業務に支障が生ずるおそれがあるもの]
[サーバー間連携の開発に必要となる仕様が必要な時期までに所管府省から提供されなかったため、サーバー間連携を導入していなかったもの]
[デジタルPMOに掲載された情報を速やかに入手するために別途独自の対応を行い、デジタルPMOを補完しているもの]