高速増殖原型炉もんじゅは、運転の過程において、燃料として利用できる核分裂性物質の量を消費した以上に生み出しつつ発電を行うことができる高速増殖炉の原型炉として、昭和43年9月に予備設計が開始されて以降、約半世紀にわたって研究開発が継続され、その間、多額の国費が投じられてきた。しかし、国の原子力政策をめぐる状況が大きく変化し、また、保守管理の不備が多数確認される中で、平成28年12月に開催された原子力関係閣僚会議において、運転を開始することなく廃止措置に移行することが決定されており、これまでの研究開発の状況等についての適切な検証が重要となっている。
そして、今後、政府一体となった指導・監督の下で、おおむね30年をかけて、廃止措置が実施されていくこととなっており、国民の関心は高いものとなっている。
本報告書は、以上のような状況等を踏まえて、高速増殖原型炉もんじゅの廃止措置への移行決定までの研究開発に要した経費、保守管理等の動向、研究開発の成果、今後の廃止措置等について検査を実施し、その状況を取りまとめたことから、会計検査院法(昭和22年法律第73号)第30条の2の規定に基づき、会計検査院長から衆議院議長、参議院議長及び内閣総理大臣に対して報告するものである。
平成30年5月
会計検査院
図表中の数値は、原則として、表示単位未満を切り捨てているため、図表中の数値を集計しても計が一致しないものがある。
[保全プログラム導入時において、直近の点検実施日から点検間隔の起点である平成21年1月1日までの期間が、保全計画上の点検間隔を超えていたにもかかわらず、更に点検時期を延伸していたもの]
[保全計画に定めのない点検を実施し、その結果が活用されていなかったもの]
[保全計画を改訂したものの、直後に再び改訂して元に戻したり、その後更に当初の改訂を繰り返したりしていたもの]
[性能試験の実施を保留した後に新たに契約を締結していたもの]
[性能試験の実施が見込まれなくなったにもかかわらず、これについて仕様書を見直さないまま、毎年度契約を締結していたもの]