エネルギー政策基本法(平成14年法律第71号)によれば、国は、エネルギーの需給に関する基本的な計画(以下「エネルギー基本計画」という。)を定めなければならないとされ、平成26年4月に策定されたエネルギー基本計画によれば、資源外交の積極的な展開や独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」という。)によるリスクマネーの供給機能の強化等を通じて、官民が協力して石油・天然ガスの自主開発比率を引き上げていくための取組を進めていくこととされている。
そして、機構は、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構法(平成14年法律第94号。以下「機構法」という。)に基づき、石油・天然ガスの探鉱等に係るリスクマネーの供給に係る業務として、我が国企業の出資先である石油・天然ガスの探鉱等を行う開発会社に対して原則50%以内で出資を行うとともに、開発会社が開発等のために市中から調達する資金について債務保証を行っている。16年2月の機構発足後、上昇傾向にあった石油価格が下落するなど大きく変動した影響を受けて、世界の石油・天然ガスの資源開発は27年以降に停滞しており、我が国の石油等開発企業、商社等における資源開発投資も同様に落ち込んでいる。このため、我が国の石油等開発企業による企業買収等への支援を可能とするために、28年11月に機構法が改正され、機構の機能が強化された。この改正により、機構は、海外の資源会社の買収や資本提携への支援等をしたり、産油国の国営石油企業の株式を取得したりすることが可能となるなど、出資業務の対象等が拡充されることになった。このような状況を受けて、今後、石油・天然ガスの開発支援における機構の役割が変化することが見込まれている。
本報告書は、以上のような状況を踏まえて、リスクマネーの供給に係る予算の執行等、リスクマネーの供給を受けた自主開発権益の状況等、出資及び債務保証プロジェクトの審査状況、機構におけるリスクマネーの供給に係る財務諸表の表示及び石油公団が保有していた資産等の処理状況について検査を実施し、その状況を取りまとめたことから、会計検査院法(昭和22年法律第73号)第30条の2の規定に基づき、会計検査院長から衆議院議長、参議院議長及び内閣総理大臣に対して報告するものである。
平成30年7月
会計検査院