会計検査院は、会計検査院法(昭和22年法律第73号)第30条の2の規定に基づき、平成23年10月に「国庫補助金等により都道府県等に設置造成された基金について」を国会及び内閣に報告し、国庫補助金等により地方公共団体等に設置造成された基金についての検査結果を記述している。そして、その中で、地方公共団体等の基金保有額は依然として多額であることから、基金事業の必要性、基金規模等に留意しつつ、今後も基金事業の実施状況等について引き続き注視していくこととするとしているところである。
一方、各府省は、26年4月から、国庫補助金等の交付を受けるなどして地方公共団体等に設置造成された基金について、基金別に執行状況等の点検を行い、余剰金があれば、地方公共団体に国庫納付を促すことなどとなっている。また、26年10月に、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律施行令(昭和30年政令第255号)が改正され、これまで法令上明確でなかった基金事業の性質が規定された。そして、「基金造成費補助金等の活用に関する指針について」(平成26年10月財計第2534号)によれば、各府省は基金造成費補助金等によることなく対応することが可能か不断に検討するとともに、基金の額が過大であるか否かについて不断に確認することなどとされている。
本報告書は、以上のような経緯等を踏まえて、国庫補助金等により地方公共団体等に設置造成された基金や基金事業の状況、基金規模の状況等について検査を行い、その状況を取りまとめたことから、会計検査院法第30条の2の規定に基づき、会計検査院長から衆議院議長、参議院議長及び内閣総理大臣に対して報告するものである。
平成30年12月
会計検査院
[基金によることなく事業を実施することの可否について検討する必要があると考えられるもの]
[適用対象補助金であるが、交付要綱等において基本的事項の公表が定められていなかったもの]
[各府省による基金に関する情報の公表及び地方公共団体等による基本的事項等の公表のいずれも行われていなかったもの]
[相互に配分変更することができない基金を合算して保有割合を算定していて、基金規模の妥当性を適切に確認できない状況となっていたもの]
[今後の基金の使用見込みが計画等において十分に示されておらず、過去3か年度以上において基金事業の実績がなかったもの]
[余剰金の自主納付制度が都道府県において十分に活用されているかについて十分に確認できていないなどの状況となっていたもの]