会計検査院は、独立行政法人の財務、業務運営の状況等について、これまでも横断的に検査を実施し、その結果を検査報告に掲記するなどしている。そして、平成19年9月に会計検査院法(昭和22年法律第73号)第30条の2の規定に基づき国会及び内閣に報告した「特殊法人等から移行した独立行政法人の業務運営の状況について」及び20年11月に同法第30条の3の規定に基づき参議院に報告した「独立行政法人の業務、財務、入札、契約の状況に関する会計検査の結果について」において、「繰越欠損金を計上している独立行政法人、勘定については、その解消等に向けて計画的に取り組んでいく必要がある」ことなどを所見として記述している。
本報告書は、以上のような状況を踏まえて、独立行政法人における繰越欠損金を計上した原因、繰越欠損金の増減等の状況、廃止された勘定及び廃止が見込まれるなどしている勘定における政府出資金の状況、繰越欠損金の計画的解消等に係る目標の設定及び目標に対する評価の状況等について横断的に検査を行い、その状況を取りまとめたことから、会計検査院法第30条の2の規定に基づき、会計検査院長から衆議院議長、参議院議長及び内閣総理大臣に対して報告するものである。
令和2年12月
会計検査院
[業務遂行により発生する費用を賄うだけの十分な収益が得られていないことにより繰越欠損金を計上しているもの]
[国による実質的な財政支援を受けるなどして繰越欠損金を解消していたもの]
[国による制度の見直しなどに伴う利益の増加により繰越欠損金を解消していたもの]
[法人が繰越欠損金の計画的解消に向けた対応を行うなどした結果、繰越欠損金が減少していたもの]
[新規の事業採択等を行っていない勘定において、売上等の納付額が低額となっていて繰越欠損金を解消する見通しが立っていないもの]
[勘定の廃止に際し、政府出資金等の一部が繰越欠損金の処理に充てられたため回収されなかったもの]