昭和24年1月から12月までの間に検査の結果、国の会計事務を処理する職員に職務上の犯罪があると認め、その事件を検察庁に通告したものは3件であつて、その概要は左のとおりである。
(1) 文部省統計数理研究所事務補佐員竹内某及び雇栗原某が同研究所会計課会計主任内田某の補助者として勤務中、23年7月5日から9月24日までの間に単独又は共謀で小切手用紙及び支出官印を盗用し、小切手10枚を偽造して合計333,637円90を詐取した事実が判明したので、24年5月21日検察庁に通告したところ、7月6日両名に対して公訴が提起された。(第5章第2節第461号参照)
(2) 札幌渉外労務管理事務所事務補中川某が札幌公共労働安定所資金前渡官吏町田某、札幌渉外労務管理事務所資金前渡官吏今井某、同染野某の補助者として勤務中、23年4月9日から7月8日までの間に連合国軍労務者に対する給料、諸手当等の支払調書の数字書替、金額の追加記入又は架空人名記入等の方法による不正手段をもつて関係者を欺き、正当支払額以上の小切手を発行させ、正当支払額との差額442,503円70を横領した事実が判明したので、24年5月27日検察庁に通告したところ、中川某は行方不明のため目下そう査中である。(第5章第2節第387号参照)
(3) 広島労働基準局労働事務官佐伯某が同局庶務課において支出官岩淵某の補助者として勤務中、24年3月関係証拠書類を偽造又は変造して小切手を発行させ、正当額との差額655,095円26を費消した事実が判明したので、24年10月10日検察庁に通告したが、広島地方検察庁において目下取調中である。(第5章第2節第565号参照)