会計名及び科目 | 一般会計 (組織)農林水産本省 (項)北海道農地等保全管理事業費 |
部局等の名称 | 農林水産本省 |
補助の根拠 | 地すべり等防止法(昭和33年法律第30号) |
事業主体 | 北海道 |
補助事業 | 地すべり対策 |
補助事業の概要 | 地すべりを防止するため、平成4年度に、排水路工、土留工等を施工するもの |
事業費 | 50,634,800円 |
上記に対する国庫補助金交付額 | 25,317,400円 |
不当と認める事業費 | 12,863,082円 |
不当と認める国庫補助金交付額 | 6,431,541円 |
1 補助事業の概要
この補助事業は、北海道が、地すべり対策事業の一環として、厚岸郡厚岸町トライベツ地区において、牧草地として利用されている丘陵地から低地に下る沢(4箇所)における地すべりを防止するため、平成4年度に、排水路工、土留工等を工事費50,634,800円(国庫補助金25,317,400円)で実施したものである。
上記4箇所のうち2箇所(T7工区及びT10工区)については、雨水等の地下浸透による地すべりを防止するため、斜面の土留めを行うとともに、丘陵地の雨水等を流す排水路延長63,9m及び延長32mをそれぞれ築造するものである。
この排水路は、設計図書等によると、次のように施工することとしていた(参考図参照) 。
(ア) 排水路の地盤を盛土又は切土により整形し、その上に、雨水等の浸透を防止するため、ゴム製の遮水シート(長さ20m、幅1.2m、面積24m2 、厚さ1mm)を用いてT7工区は319.5m2 (延長63.9m×幅5m)、T10工区は160m2 (延長32m×幅5m)それぞれすき間なく敷き詰める。そして、継ぎ目部分は遮水シートを20cm重ねるなどして、接着剤で接着する。
(イ) 遮水シートを保護するため、その上面にテトロン製の吸い出し防止シートを2層にすき間なく敷き詰める。そして、継ぎ目部分は10cm重ねて敷く。さらに、この上に、両シートの浮上りを防止するため、ふとんかご(長さ2.0m、幅1.2m、高さ0.4m)を1段又は2段に設置し、排水路全体を形作る。
2 検査の結果
検査したところ、T7工区では排水路の一部が陥没し、T10工区では地盤が流出して排水路が原形をとどめないほど崩壊していた。そこで、T7工区の延長63.9mのうち38.3m(遮水シートの設計敷設面積194.0m2 )、T10工区全延長32m(同160m2 )のふとんかごを撤去するなどしたところ、遮水シートの施工は次のような状況となっていた。
(ア) T7工区では、排水路の38.8mについては、遮水シートを38枚(1枚0.36m2 から12.00m2 )に細断し、その継ぎ目部分の接着は全く行わないまま敷いていたり、遮水シートを敷いていなかったりしていて20cmから420cmの大幅なすき間を生じていた。この結果、遮水シートは98.71m2 敷かれていたにすぎず、設計敷設面積194.0m2 を著しく下回っていた。
(イ) T10工区では、排水路の32mについては、遮水シートを42枚(1枚0.90m2 から5.40m2 )に細断し、その継ぎ目部分の接着は全く行わないまま敷いていて、10cmから60cmの大幅なすき間を生じていた。この結果、遮水シートは138.2m2 敷かれていたにすぎず、設計敷設面積160m2 を下回っていた。
上記のとおり、両工区の排水路は、遮水シートの施工面積が著しく不足し、大幅なすき間を生じていたり、継ぎ目部分が接着されていなかったりなどしていて、雨水等が排水されずに地下に浸透する状態になっており、施工が著しく不良であったと認められる。
このように、T7工区及びT10工区の排水路等(工事費相当額12,863,082円)は、その施工が設計と著しく相違したものとなっていて、工事の目的を達しておらず、これに係る国庫補助金相当額6,431,541円が不当と認められる。