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  • 第2章 個別の検査結果|
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  • 不当事項

補助金


(164)(165)災害関連緊急治山事業及び復旧治山事業の実施に当たり、施工が設計と著しく相違していたため、モルタル吹付工が工事の目的を達していないもの

会計名及び科目 (1) 一般会計 (組織)林野庁

(項)山林施設災害関連事業費(平成3年度)
(2) 国有林野事業特別会計(治山勘定)

(項)治山事業費(平成4年度)
部局等の名称 林野庁
補助の根拠 森林法(昭和26年法律第249号)
事業主体 長野県
補助事業 (1) 災害関連緊急治山
(2) 復旧治山
補助事業の概要
山側法面の崩壊から市道及び建物を保護するため、平成3年度に、モルタル吹付工、落石防止柵工等を、4年度に、モルタル吹付工を施工するもの

事業費 (1) 55,970,200円
(2) 19,724,500円
75,694,700円
上記に対する国庫補助金交付額 (1) 37,313,466円
(2) 10,848,475円
48,161,941円
不当と認める事業費 (1) 7,270,000円
(2) 9,647,000円
16,917,000円
不当と認める国庫補助金交付額 (1) 4,846,666円
(2) 5,305,850円
10,152,516円

 上記の補助事業において、モルタル吹付工の施工が設計と著しく相違していたため、工事の目的を達しておらず、これに係る国庫補助金相当額10,152,516円が不当と認められる。

1 補助事業の概要

 この補助事業は、長野県が、茅野市字南栗平地区において、山側法面の崩壊から市道及び建物を保護するため、平成3年度に、災害関連緊急治山事業の一環として、モルタル吹付工、落石防止柵工等を工事費55,970,200円(国庫補助金37,313,466円)、4年度に、復旧治山事業の一環として、同工事に隣接した箇所に、モルタル吹付工を工事費19,724,500円(国庫補助金10,848,475円)、計75,694,700円(国庫補助金48,161,941円)で実施したものである。
 このうち、モルタル吹付工の3年度施工分(以下「3年度分」という。)1,759m2 、4年度施工分(以下「4年度分」という。)1,890m2 、計3,649m2 は、設計図書等によると、次のように施工することとしていた(参考図参照)

(ア) モルタル吹付層と地山とが密着するよう、法面から浮き石、土砂、草木などを入念に取り除いて清掃する。

(イ) モルタル吹付層を補強するため、法面の全面に菱形金網(網目5cm×5cm)を布設する。

 金網は、吹き付けたモルタルの層のほぼ中央に位置するよう、100m2 当たり180箇所で、アンカーピン及びスペーサを使用して支持・固定する。

(ウ) モルタルは、法面に直角に設置した検測ピンで吹付け厚さを確認しながら、圧縮空気を使用して厚さ10cmに吹き付ける。ただし、検査基準上許容される最小吹付け厚さ(以下「許容値」という。)は5cm、平均吹付け厚さは10cm以上とする。

(エ) 吹付箇所に付着しないで周囲に飛び散ったはね返り材等は、モルタルの付着を害さないよう取り除く。

2 検査の結果

 検査したところ、モルタル吹付工で施工した法面には多数のき裂が発生していた。このため、法面3,649m2 について計124箇所3年度分64箇所、4年度分60箇所)を削孔して調査したところ、60箇所1,672.0m2 (3年度分29箇所733.5m2 、4年度分31箇所938.5m2 )については、次のような状況となっていた。

(ア) モルタルの吹付け厚さが、許容値の5cm未満となっているものが11箇所(3年度分5箇所で平均吹付け厚さ3.8cm、4年度分6箇所で平均吹付け厚さ4.0cm)あり、なかには2.6cm(3年度分)と著しく不足している箇所もあった。

(イ) 地山とモルタル吹付層との間に、土砂及びはね返り材が残存するなどしていて、モルタルが地山に密着していないものが57箇所(3年度分28箇所、4年度分29箇所)あった。

(ウ) 金網がモルタル吹付層から遊離しているものが34箇所(3年度分19箇所、4年度分15箇所)あった。

 これは、施工に当たって、吹付け厚さの確認が十分でなかったり、土砂等を十分取り除かなかったり、モルタル吹付け時に金網を所定の位置に支持・固定せずに吹き付けたりしていたなど、施工が粗雑であったことによると認められる。

 このように、モルタル吹付工3,649m2 のうち3年度分733.5m2 (工事費相当額7,270,000円)、4年度分938.5m2 (工事費相当額9,647,000円)、計1,672.0m2 (工事費相当額16,917,000円)は、その施工が設計と著しく相違したものとなっていて、工事の目的を達しておらず、

 これに係る国庫補助金相当額3年度4,846,666円、4年度5,305,850円、計10,152,516円が不当と認められる。

(参考図)

(参考図)

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