会計検査院は、会計検査院法(昭和22年法律第73号)第30条の3の規定に基づき、平成17年10月に「国が公益法人等に補助金等を交付して設置造成させている資金等に関する会計検査の結果について
」を、また、21年10月に「各府省所管の公益法人に関する会計検査の結果について
」をそれぞれ参議院に報告し、その中で、国庫補助金等により国所管の公益法人等に設置造成された基金についての検査結果を記述しているところである。そして、政府は「補助金等の交付により造成した基金等に関する基準」(18年8月閣議決定)を策定し、行財政改革の一環として国庫補助金等の交付により造成した基金を保有する法人の見直しを行っている。
一方、都道府県等においても、国庫補助金等により基金が設置造成されているが、その約6割は、20、21両年度の補正予算により経済対策等の一環として新規に設置造成されたもので、短期・集中的な事業の財源となっており、事業効果の早期発現が期待されているところである。また、多額の積増しが行われたり、事業期間の延長が行われたりしている基金もあり、さらに東日本大震災に関連して新たな基金が設置造成されている。
本報告書は、以上のような経緯等を踏まえて、国庫補助金等により都道府県等に設置造成された基金の設置、保有の状況や基金の運営状況等について、会計検査院法第30条の2の規定に基づき、会計検査院長から衆議院議長、参議院議長及び内閣総理大臣に対して報告するものである。
平成23年10月
会計検査院
目次
ア 執行率が低くなった結果、22年度の基金事業終了後に、交付された国庫補助金の大半が国庫に返還されることとなったもの
イ 23年度が事業終了予定とされているものの、計画どおりに事業が実施されていないため、22年度末時点における執行率が全般的に低くなっているもの
ウ 22年度末時点における執行率が、一部の基金では90%以上となっている一方で、全体としては低くなっているもの
エ 受託者が実績報告書に虚偽の記載を行うなどしたため、委託費が補助の目的外に使用されていて、結果として基金が設置目的に反して取り崩されていたもの