ページトップ
  • 平成23年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第11 国土交通省|
  • 意見を表示し又は処置を要求した事項

国庫補助金を交付してから一定の期間が経過した後に、補助対象事業費に含めていた消費税額に係る仕入税額控除の状況の報告を求めることなどにより、補助事業における消費税の取扱いが適切に行われるよう是正改善の処置を求めたもの


(2) 国庫補助金を交付してから一定の期間が経過した後に、補助対象事業費に含めていた消費税額に係る仕入税額控除の状況の報告を求めることなどにより、補助事業における消費税の取扱いが適切に行われるよう是正改善の処置を求めたもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)国土交通本省 (項)地球温暖化防止等対策費
      (項)住宅防災事業費
      (項)都市再生・地域再生整備事業費
部局等 国土交通本省、2県
補助の根拠 都市再生特別措置法(平成14年法律第22号)、予算補助
補助事業者
(事業主体)
県1、市1、民間事業者6、計8補助事業者
間接補助事業者
(事業主体)
民間事業者1
補助事業 船舶からのCO2 削減技術開発支援事業、地域住宅モデル普及推進事業、まちづくり交付金事業(土地区画整理事業)
補助事業の概要 CO2 排出量削減に資する船舶等に係る研究開発を促進し、もって海事産業の活性化及び国際海運における環境負荷の低減を図ることを目的として、高効率船舶等技術研究開発費補助金を交付するものなど
事業費 22億7272万余円 (平成20年度〜22年度)  
上記に対する国庫補助金交付額 7億7891万余円  
事業費のうち仕入税額控除するなどしていた消費税額 9040万余円 (平成20年度〜22年度)
上記に係る国庫補助金相当額 3121万円  

(前掲の「地域住宅モデル普及推進事業において補助の対象とならないもの及び補助対象限度額を超えていたなどのもの」「補助事業の実施に当たり、仕入税額控除した消費税額に係る補助金を返還していなかったもの」 及び「建物の移転に係る補償費の算定が適切でなかったもの」 参照)

【是正改善の処置を求めたものの全文】

 補助事業における消費税の取扱いについて

(平成24年10月26日付け 国土交通大臣宛て)

 標記について、会計検査院法第34条の規定により、下記のとおり是正改善の処置を求める。

1 制度の概要

(1) 補助事業の概要

 貴省は、国土の総合的かつ体系的な利用、開発及び保全、そのための社会資本の整合的な整備、交通政策の推進、観光立国の実現に向けた施策の推進を図ることなどを任務としている。そして、これらを達成するために、国庫補助金(負担金、交付金等を含む。以下同じ。)を交付することにより各種の補助事業(負担金事業、交付金事業等を含み、また、間接補助事業を含む。以下同じ。)を実施している。
 これらの補助事業は、地方公共団体や民間事業者等を事業主体として実施されており、貴省は、補助事業ごとに交付要綱等を制定するなどして、補助事業の目的、対象となる事業費の範囲、交付申請手続、実績報告、額の確定等の国庫補助金の交付についての手続や条件等を定めている。

(2) 消費税額の仕入税額控除の概要

 消費税法(昭和63年法律第108号)等によると、消費税(地方消費税を含む。以下同じ。)は、事業者が課税対象となる取引を行った場合に納税義務が生ずるが、生産及び流通の各段階で重ねて課税されないように、確定申告において、課税売上げ(消費税の課税対象となる資産の譲渡等)に係る消費税額から課税仕入れ(消費税の課税対象となる資産の譲受け等)に係る消費税額を控除(以下、この控除を「仕入税額控除」といい、仕入税額控除する消費税相当額を「仕入控除税額」という。)する仕組みが採られている。
 また、確定申告に当たっては、課税期間(注1) 終了後2か月以内に確定申告書を提出することなどとされている。

 課税期間  納付する消費税額の計算の基礎となる期間をいい、原則として法人は事業年度、個人事業者は暦年である。

(3) 補助事業における消費税相当額の取扱い

 補助事業の事業主体が補助対象の施設等を取得することなどは課税仕入れに該当するため、上記の仕組みにより確定申告に際して補助事業で取得した施設等に係る消費税額を仕入税額控除した場合には、事業主体は当該施設等に係る消費税額を実質的に負担していないことになる。
 このため、交付要綱等には、消費税法上の事業者が事業主体となることが予定されている補助事業であって、仕入控除税額を補助対象とすることが適切でない補助事業については、仕入控除税額を補助対象としない旨の規定が定められている。
 また、貴省は、消費税が前記のような仕組みとなっていることに鑑み、直轄事業においては「建設省の直轄の公共事業の施行に伴う損失の補償等に関する消費税及び地方消費税の取扱いについて」(平成9年建設省経整発第28号建設経済局長通達)を発出しており、貴省都市局、河川局(平成23年7月1日以降は水管理・国土保全局)、道路局及び港湾局所管の補助事業においては、これに準じて移転補償料等の補償金の算定をすることとして、各局独自に通知を発出している(以下、建設経済局長通達及び各局による通知を合わせて「損失補償通達」という。)。損失補償通達等によると、土地等の権利者等が補償金により課税資産の譲渡等を受けることを前提に算定している補償金については、消費税を考慮して適正に算定することとされている。そして、土地等の権利者等が消費税法上の事業者である場合においては、補償金により課税資産の譲渡等を受けて消費税を負担しても、当該事業者の消費税納付税額の計算上、仕入税額控除の対象となる場合は、当該事業者は実質的に消費税を負担しないこととなるため、補償金の算定に当たり消費税額を積算上考慮しないこととされている。
 そして、貴省は、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(昭和30年法律第179号)等に基づき、補助事業が適切に行われるよう、事業主体から提出される交付申請書、実績報告書等の内容を審査、調査を行うこととしており、それぞれの補助事業ごとに担当部局等がこれを実施している。そして、実績報告書の内容等が適切と認められた場合は、国庫補助金の額の確定を行い、国庫補助金を交付するなどしている。

2 本院の検査結果

 (検査の観点、着眼点、対象及び方法)

 貴省は、毎年、多数の補助事業を実施している。そして、本院は、貴省が所管する補助事業について検査を行って、補助対象事業費に係る消費税の取扱いが適切でなかったため国庫補助金を過大に受給していた事態について検査報告に不当事項として掲記しており、平成18年度から22年度までの検査報告においては計5件(指摘金額計1214万余円)を掲記している。
 そこで、本院は、合規性等の観点から、補助事業における消費税の取扱いが適切に行われているか、また、適切に行われていない事態が継続して見受けられる原因はどのようなものかなどに着眼して、貴省が所管する補助事業を対象として、交付申請書、実績報告書等の書類を確認するなどして会計実地検査を行った。

 (検査の結果)

 検査したところ、20年度から22年度までの間に8事業主体が実施した、3事業に係る12件(補助対象事業費計22億7272万余円、国庫補助金計7億7891万余円)において、次のとおり適切でない事態が見受けられた。

(1) 船舶からのCO 削減技術開発支援事業及び地域住宅モデル普及推進事業

 交付要綱等によると、これらの補助事業はいずれも、事業主体において、交付申請時及び実績報告時に仕入控除税額が明らかな場合は、これを補助対象事業費から減額すること、また、国庫補助金の交付後に確定申告により仕入控除税額が確定した場合には、国土交通大臣に報告し、国庫補助金を返還することとされている。また、前者の補助事業は21年度から、後者の補助事業は20年度補正予算により20、21両年度にそれぞれ実施されたものであり、いずれも創設されて間もない新規の補助事業である。
 そして、7事業主体(注2) は、20年度から22年度までの間に実施した11件の補助事業(補助対象事業費計21億4566万余円、国庫補助金計7億2809万余円)において、貴省に対して補助対象事業費に消費税相当額を含めて補助金交付申請書及び実績報告書を提出し、貴省は、実績報告書に基づき補助金の額の確定を行い、国庫補助金を交付していた。
 しかし、上記事業主体は、いずれも国庫補助金の交付を受けた後に消費税の確定申告を行い、補助対象事業費に含めていた消費税額を仕入税額控除していたのに、これに係る国庫補助金相当額計2881万余円について、国への報告及びその返還をしていなかった。

 7事業主体  株式会社大島造船所等10会社、三井造船株式会社、新潟原動機株式会社、ナカシマプロペラ株式会社、ユニバーサル造船株式会社、株式会社川崎造船等4会社、長野県(間接補助事業者株式会社ランバーテック)

<事例>

 三井造船株式会社は、平成21年度に、船舶からのCO 削減技術開発支援事業を消費税を含めて事業費5億2366万余円(補助対象事業費同額、国庫補助金1億7455万余円)で実施し、22年3月に貴省本省に実績報告書を提出して、これにより国庫補助金の交付を受けていた。
 そして、同会社は22年5月に消費税の確定申告を行い、本件補助事業に係る消費税額2265万余円を仕入税額控除していた。
 しかし、同会社は、上記の仕入税額控除した消費税額に係る国庫補助金相当額755万余円について、所要の報告及びその返還を行っていなかった。

(2) まちづくり交付金事業(土地区画整理事業)

 浜松市は、21年度に、まちづくり交付金の交付を受けて土地区画整理事業の施行に伴い支障となる建物、工作物等の移転補償を行って、移転補償契約の相手方である学校法人に、移転補償費1億2104万余円に消費税額602万余円を加算した補償金計1億2706万余円(国庫補助金5082万余円)を支払っていた。
 しかし、同学校法人は、消費税法上の事業者に該当し、課税仕入れに係る消費税額の全額が仕入税額控除の対象となるため、損失補償通達に基づき、補償金には消費税額を含めないこととされているのに、これを含めて補償金を算定していたことから、国庫補助金240万余円が過大に交付されていた。

 (是正改善を必要とする事態)

 事業主体が国庫補助金の交付を受けた後に、消費税の確定申告により補助対象事業費に含めていた消費税額を仕入税額控除しているのに、仕入控除税額に係る国庫補助金相当額について、国への報告及びその返還を行っていないなどの事態が、過去の検査報告に不当事項として掲記されているにもかかわらず、引き続き同様の事態が見受けられることは適切とは認められず、是正改善を図る要があると認められる。

 (発生原因)

 このような事態が生じているのは、次のことなどによると認められる。

ア 前記(1)の事態が見受けられた補助事業については、
(ア) 事業主体において、交付要綱等における消費税の取扱いについての理解が十分でなかったこと、特に、新規の補助事業を実施する場合等において、その理解が十分でなかったこと。また、実績報告書の提出から最長では1年余り経過した後に消費税の確定申告を行うこととなるため、確定申告により仕入控除税額が確定した場合に仕入税額控除に係る報告書を提出しなければならないことを失念しやすいこと
(イ) 貴省において、補助事業における消費税の取扱いについての周知、指導、審査等の実施が十分でなかったこと。また、事業主体から仕入税額控除に係る報告書の提出がない場合に、補助対象事業費に含めていた消費税額について事業主体が消費税の確定申告により仕入税額控除を行っていないかなどについての確認が十分行われていないこと

イ 前記(2)の事態が見受けられた補助事業については、事業主体において、損失補償通達の内容の理解が十分でなかったこと

3 本院が求める是正改善の処置

 貴省は、今後も引き続き多数の補助事業を実施して、地方公共団体、民間事業者等を事業主体として多額の国庫補助金を交付することが見込まれる。
 ついては、貴省において、補助事業における消費税の取扱いが適切なものとなるよう、次のとおり是正改善の処置を求める。

ア 補助事業における指導、審査等を充実させるとともに、事業主体に対して、交付要綱等や損失補償通達に定められた消費税の取扱いの趣旨を周知徹底すること。特に、新規の補助事業を実施する場合等には、事業主体に対する交付要綱等の内容の周知を確実に行うとともに、関係部局に対して指導及び審査を確実に実施するよう周知徹底すること

イ 仕入税額控除に係る報告書について、必要に応じて確定申告後速やかにその内容が確認できる確定申告書等の書類とともに提出させて、国庫補助金を交付してから一定の期間を経過しても同報告書等を提出していない事業主体については、時期を定めて仕入税額控除に係る報告を求めるなどの処置を講ずることにより、国庫補助金の返還の要否を確実に確認できるようにすること