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(昭和42年11月15日付42検第435号)
日本電信電話公社東京ほか8電気通信局管内各電気通信部(都市管理部、地区管理部を含む。)では、通話の質の低下を防止するため、既設電話の宅内装置のうち老朽化した屋外線、屋内線の取替えを主体とした工事を保全強化工事(整備取替工事等を含む。以下同じ。)として部外に請け負わせており、その取替件数および金額は、昭和41年度において、不良屋外線取替え約11万6千件、不良屋内線取替え約10万1千件など総額約3億2千万円となっている。
これら屋外線および屋内線の取替工事費の予定価格の積算についてみると、39年1月同公社建設局で自動改式、分局開始等の際屋外線、屋内線等宅内装置の取替工事を請負により施行する場合に適用するための標準能率表を基として作成した標準単価を準用し、屋外線または屋内線の取替えについては分局開始に伴って施行する場合に適用する工数1件当り0.53人または0.54人を基とした標準単価を採用したり、自動改式の際に電話機取替工事と同時に施行する場合に適用する工数1件当り0.34人または0.35人を基とした標準単価を採用したりなどしており、また、屋外線および屋内線の取替えを同時に施行する場合については前記標準単価のうち屋外線の取替工数1件当り0.34人を基とした標準単価に屋内線の取替工数1件当り0.35人または0.54人を基とした標準単価を加えて計算するなどしており、施行部局により積算の際使用している標準単価の基となっている工数が合理的根拠もなくまちまちとなっている実情である。
しかして、上記の標準単価は自動改式、分局開始等の際屋外線、屋内線等の取替えを施行する場合に適用するための工数を基として作成されたもので、そのうち分局開始の際の屋外線または屋内線の取替えの標準単価の基となっている工数1件当り0.53人または0.54人は屋外線または屋内線の取替えのほか、引込位置の選定、配線函、端子函相互の屋外線切替え、連絡線の作成等の作業時間および工事実施箇所の移動等のための所要時間を含めて算定されているものであり、また、自動改式の際の屋外線または屋内線の取替えの標準単価の基となっている工数1件当り0.34人または0.35人は分局開始の際の工数から工事実施箇所の移動等のための所要時間を除いて算定されているにすぎないものであるから、本件保全強化工事における取替工事のように単に既設の屋外線または屋内線を取り替えるだけの単純な工程の工事にこれを使用して積算するのは適当とは認められない。
現に、同公社において直営で施行しているこの種の保全強化工事の例についてみても、その工数をいずれも過去の実情を参考として1件当り0.3人程度と算定しており、その実績はさらにこれを下回っている状況である。
このような事態となっているのは、同公社において、従来宅内装置保全工事を請負により施行した例が少なくその標準単価が作成されていないため、各施行部局においてそれぞれ前記建設局制定の標準単価をそのまま準用するなどして積算していることによるものと認められる。
ついては、この種の保全強化工事は、今後、全国自動即時化の推進に併行して通話の質の向上を図るためその工事量が逐年増加する傾向にあることにかんがみ、各部局で施行している直営工事および請負工事の工数の実績を調査するなどして、合理的な標準工数を基とした標準単価を作成し、工事の経済的な施行を図る要があると認められる。