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  • 平成3年度|
  • 第2章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第11 建設省|
  • 不当事項

補助金


(205) 緊急地方道路整備事業の実施に当たり、施工が設計と著しく相違していたため、コンクリート吹付工等が工事の目的を達していないもの

会計名及び科目 道路整備特別会計 (項)地方道路整備臨時交付金
部局等の名称 長野県
補助の根拠 道路整備緊急措置法(昭和33年法律第34号)
事業主体 長野県
補助事業 北安曇郡八坂村主要地方道大町麻績インター戸倉線緊急地方道路整備
補助事業の概要 道路の災害防除のため、平成3年度に、土工、落石防止工等を施工するもの
事業費 18,725,400円
上記に対する国庫補助金交付額 9,362,700円
不当と認める事業費 16,048,000円
不当と認める国庫補助金交付額 8,024,000円
 上記の補助事業において、コンクリート吹付工の施工が設計と著しく相違していたため、工事の目的を達しておらず、これに係る国庫補助金相当額8,024,000円が不当と認められる。

1 補助事業の概要

 この補助事業は、長野県が、主要地方道大町麻績インター戸倉線の緊急地方道路整備事業の一環として、北安曇郡八坂村字大滝地区において、道路の山側法面の崩壊等を防止するため、平成3年度に、土工、落石防止工等を工事費18,725,400円(国庫補助金9,362,700円)で実施したものである。

 上記の落石防止工のうちコンクリート吹付工1,167m2 は、設計図書等によると、法面を清掃した後、次のように施工することとしていた(参考図参照)

(ア) コンクリート吹付層を補強するため、法面の全面に菱形金網(網目5cm×5cm)を布設する。金網は、吹き付けたコンクリートの層のほぼ中央に位置するよう、100m2 当たり180箇所で、アンカーピン及びスペーサを使用して支持・固定する。

(イ) コンクリートは、法面に直角に設置した検測ピンで吹付け厚さを確認しながら、圧縮空気を使用して厚さ15cm(以下「設計厚さ」という。)に吹き付ける。ただし、施工管理上、許容される最小吹付け厚さは設計厚さの50%(7.5cm)、平均吹付け厚さは設計厚さ以上とする。

(ウ) 吹付箇所に付着しないで周囲に飛び散ったはね返り材等は、コンクリートの付着を害さないよう取り除く。

2 検査の結果

 検査したところ、コンクリート吹付工で施工した法面には多数のき裂が発生していた。このため19箇所を削孔して調査したところ、次のような状況となっていた。

(ア) コンクリートの吹付け厚さは、調査したすべての箇所で設計厚さを下回っており、このうち9箇所では7.5cm未満となっていて、なかには4.4cmと著しく不足している箇所もあり、平均吹付け厚さは7.8cmと設計厚さを大幅に下回っていた。

(イ) 地山とコンクリート吹付層との間にはね返り材等が残存していて、コンクリートが地山に密着していないものが8箇所あった。

(ウ) 金網が地山に直接張り付いていたり、地山寄りに大きくずれていたりしているものが14箇所あった。

 これは、施工に当たって、検測ピンが斜めになったままコンクリートを吹き付けるなどしていて吹付け厚さの確認が十分でなかったり、はね返り材等を十分取り除かなかったりしているなど、施工が粗雑であったことによると認められる。

 このように、コンクリート吹付工1,167m2 は、その施工が設計と著しく相違したものとなっていた。したがって、本件コンクリート吹付工等(工事費相当額16,048,000円)は、工事の目的を達しておらず、これに係る国庫補助金相当額8,024,000円が不当と認められる。

(参考図)

施工概念図

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