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  • 昭和43年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第5節 各所管別の事項

農林省


第4 農林省

(一般会計)

 昭和43年度歳入歳出決算額は、収納済歳入額435億0950万余円、支出済歳出額6998億7348万余円である。
 支出済歳出額のうちおもなものは、食糧管理ほか5特別会計に対する繰入金3525億7983万余円、地方公共団体等が施行する事業に対する国庫補助金、負担金、交付金および補給金2659億4806万余円、国が直轄でまたは道県に委託して施行した土地改良等の事業費369億3552万余円である。上記の国庫補助金は203費目2328億3375万余円に上っていて、そのうち、公共事業関係は土地改良、災害復旧等の事業に対する119費目1625億3671万余円、公共事業関係以外は農業構造改善事業等に対する84費目702億9703万余円になっている。
 物品の管理については、別項記載のとおり、豚コレラシードウイルス液の処分が不当と認められるもの がある。
 公共事業関係の国庫補助金については、その事業の実施および経理につき検査したところ、別項記載のとおり、国庫補助金の経理が不当と認められるもの がある。
 公共事業関係を除く国庫補助金等については、その交付および使用の状況につき検査したところ、別項記載のとおり、農業構造改善事業等において国庫補助金の経理が不当と認められるもの農業改良資金の貸付けが不当と認められるもの がある。
 国が直轄で施行した工事については、かんがい排水事業、開墾建設事業、漁港修築事業等180億9535万余円につき検査したところ、別項記載のとおり、土地改良事業等における直轄工事の間接労務費の算定について、44年11月、農林大臣あて是正改善の処置を要求した
 なお、昭和43年発生災害復旧事業の事業費決定額を減額させたものが別項44_6 記載のとおりある。

(食糧管理特別会計)

 この特別会計において昭和43年度中に取り扱った食糧等の所要経費は、買入費1兆5757億1005万余円、集荷、運搬、保管等に要する管理費634億9374万余円ならびに食糧証券の償還および利子支払等に充てるための国債整理基金特別会計への繰入れ8889億7638万余円等総額2兆5636億9197万余円である。そして、この財源には、食糧等の売払代1兆0929億6973万余円、一般会計から受入2808億4421万余円、食糧証券収入1兆1865億円等総額2兆5694億0804万余円を充当している。
 しかして、この特別会計は、国内米管理、国内麦管理、輸入食糧管理、農産物等安定、輸入飼料、業務および調整の各勘定に区分して経理されているが、その損益についてみると、次のとおりである。

(1) 国内米管理勘定、国内麦管理勘定および輸入食糧管理勘定

(ア) 国内米管理勘定においては、国内米の買入れ1004万余t(1t当り平均136,831円)、売渡し737万余t(1t当り平均120,845円)等によって生じた売買損失1401億6196万余円と、集荷、運搬、保管および事務人件費等の費用から違約金等の収益を差し引いた額(以下「中間経費」という。)1281億3499万余円とにより、2682億9695万余円の損失を生じている。

(イ) 国内麦管理勘定においては、国内麦類の買入れ102万余t(1t当り平均大麦48,362円、はだか麦56,708円、小麦54,234円)、売渡し100万余t(1t当り平均大麦28,639円、はだか麦31,319円、小麦32,452円)等によって生じた売買損失231億1330万余円と、中間経費60億6669万余円とにより、291億7999万余円の損失を生じている。

(ウ) 輸入食糧管理勘定においては、外国米の買入れ26万余t(1t当り平均71,051円)、売渡し22万余t(1t当り平均83,779円)および外国麦類の買入れ275万余t(1t当り平均27,745円)、売渡し281万余t(1t当り平均35,928円)によって生じた売買利益255億3523万余円と、中間経費58億6008万余円とにより、差引き196億7515万余円の利益を生じている。

 上記の各勘定の利益196億7515万余円および損失2974億7695万余円を調整勘定へ移して整理した結果、2778億0180万余円の損失を生じたので、その損失相当額を一般会計から受け入れた調整資金の43年度末現在額2804億9613万余円(うち43年度受入額2785億円)から減額して処理した。

(2) 農産物等安定勘定および輸入飼料勘定

(ア) 農産物等安定勘定においては、でん粉6万余t(1t当り平均61,687円)の買入れに伴う中間経費5283万余円により、5283万余円の損失を生じたので、これを積立金5億8503万余円から減額して処理した。

(イ) 輸入飼料勘定においては、飼料用外国麦類等の買入れ180万余t(1t当り平均26,365円)、売渡し179万余t(1t当り平均27,669円)等によって生じた売買利益18億3570万余円と、中間経費21億7676万余円とにより、差引き3億4105万余円の損失を生じていて、一般会計から5億円を受け入れて、これを補てんしている。

 検査の結果、別項記載のとおり、外国麦の買入れに伴う検数について、44年11月、農林大臣あて是正改善の処置を要求した
 なお、本院の質問に対し、主務庁において処置を講じたものが別項44_8 記載のとおりある。

(農業共済再保険特別会計)

 この特別会計は、再保険金支払基金、農業、家畜、臨時果樹および業務の各勘定に区分して経理されている。そのうちおもな勘定である農業勘定の昭和43年度歳入歳出決算についてみると、次のとおりである。
 昭和43年度決算額は、収納済歳入額241億6002万余円、支出済歳出額121億6038万余円で、収納済歳入額のうちおもなものは、一般会計より受入240億3327万余円であり、支出済歳出額のうちおもなものは、農業共済組合連合会等交付金74億4377万余円、再保険金44億4053万余円である。
 損益は、利益241億0262万余円、損失121億6038万余円で、差引き119億4223万余円の利益になっている。これは、主として43年産水稲の被害が少なかったことによるものである。しかしながら、前年度繰越損失が229億2379万余円あるので、次年度への繰越損失は109億8156万余円である。
 なお、一般会計から受け入れている歳入不足補てん金の43年度末残高は229億8130万余円である。しかし、43年度においては、決算上119億9964万余円の剰余金が生じたため、これから翌年度への繰越額5963万余円を控除した119億4000万余円を一般会計へ繰り入れることにしている。
 農業共済保険事業の運営について農業共済組合等を調査したところ、別項記載のとおり、その運営が適切でないもの がある。

(国有林野事業特別会計)

 この特別会計は、国有林野事業および治山の両勘定に区分して経理されている。

(1) 国有林野事業勘定の昭和43年度の収益総額は1417億8608万余円、費用総額は1220億9665万余円で、差引き196億8942万余円の利益になっている。これを前年度利益260億0818万余円に比べると、63億1876万余円の利益の減少になっている。このように利益が減少したのは、人件費等の経費が増加したのに対し収益の伸びが少なかったことによるものである。
 43年度におけるおもな事業の実施状況をみると、販売事業では、立木1270万余m3 491億3541万余円、素材599万余m3 等838億0841万余円、計1329億4383万余円の売渡しを行ない、一方、製品生産事業では、素材591万余m3 等の生産を207億2354万余円で、造林事業では、7万余haの新植および69万余haの保育等を211億9194万余円で、林道事業では、自動車道1千余kmの新設等を212億5591万余円で、治山事業では、崩壊地復旧1千余ha等の山地治山施設の新設等を47億1302万余円でそれぞれ行なっている。

(2) 治山勘定の43年度歳入歳出決算額は、収納済歳入額250億2120万余円、支出済歳出額249億6437万余円で、収納済歳入額は、一般会計より受入242億9867万余円、地方公共団体工事費負担金収入6億0770万余円等、支出済歳出額は、直轄治山関係事業費26億0477万余円、国有林野内臨時治山事業費21億2780万余円および地方公共団体が施行する治山事業に対する国庫補助金202億3179万余円である。
 検査の結果、別項記載のとおり、公共事業に対する国庫補助金の経理が不当と認められるもの がある。

(特定土地改良工事特別会計)

 昭和43年度歳入歳出決算額は、収納済歳入額395億3425万余円、支出済歳出額343億6546万余円である。
 43年度に実施した事業は、直轄かんがい排水事業、直轄干拓事業および代行干拓事業計52地区299億2870万余円である。
 しかして、上記の事業のうち、29地区217億9729万余円について検査したところ、別項記載のとおり、土地改良事業等における直轄工事の間接労務費の算定について、44年11月、農林大臣あて是正改善の処置を要求した

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