会計名及び科目 | 一般会計 (組織)水産庁 (項)沿岸漁場整備開発事業費 |
部局等の名称 | 水産庁 |
補助の根拠 | 予算補助 |
事業主体 | 山口県 |
補助事業 | 沿岸漁場整備開発 |
補助事業の概要 | 沿岸漁場においてナマコの保護育成を図るため、平成元、2両年度に、元年度第1工区(1)及び2年度第1工区(2)においてFRP魚礁等の設置により増殖場の造成を行うもの |
事業費 | (1) | 51,191,000円 |
(2) | 53,766,000円 | |
計 | 104,957,000円 | |
上記に対する国庫補助金交付額 | (1) | 25,595,500円 |
(2) | 26,883,000円 | |
計 | 52,478,500円 | |
不当と認める事業費 | (1) | 4,766,039円 |
(2) | 2,613,860円 | |
計 | 7,379,899円 | |
不当と認める国庫補助金交付額 | (1) | 2,383,019円 |
(2) | 1,306,930円 | |
計 | 3,689,949円 | |
1 補助事業の概要
この補助事業は、山口県が、沿岸漁場整備開発事業の一環として、光・熊毛地区地先海域においてナマコの保護育成を図るための増殖場を造成するものである。そして、同県では、平成元、2両年度に、元年度第1工区及び2年度第1工区においてFRP魚礁(ガラス繊維強化プラスチック製の部材に石材を詰めた人工の魚礁)及び石材魚礁の設置工事を、それぞれ工事費51,191,000円(国庫補助金25,595,500円)及び工事費53,766,000円(国庫補助金26,883,000円)で実施している。
このうち、FRP魚礁(両年度各128基、計256基)の設置工事は、請負業者が、円筒型のFRP製の部材(外径490mmから635mm、長さ3.2m)を購入し、設置箇所付近の作業ヤードで4本の部材を組み立ててその内部に石材を詰めて魚礁とした後、これを所定の海域に運搬し、海底に設置するものである(参考図参照) 。
この工事費の積算は、水産庁の定めた「沿岸漁場整備開発事業計画設計書等の作成について」(昭和53年水産庁長官通達水漁第1592号)等に基づき行うこととなっている。これによれば、工事費は、請負業者がFRP魚礁の部材を他から購入する費用(以下「部材購入費」という。)と部材を組み立てて設置する費用(以下「設置費」という。)から構成されている。このうち、設置費に係る諸経費(共通仮設費(注1) 、現場管理費(注2) 及び一般管理費(注3) 等)の算定については、次の算式のとおり、共通仮設費及び現場管理費の算定対象額に魚礁の部材購入費を算入せず、また、一般管理費等の算定対象額には部材購入費の2分の1を算入することとされている。
(注1) 共通仮設費 請負業者の現場事務所等の仮設及び維持に要する費用
(注2) 現場管理費 請負業者の現場従業員に対する人件費など現場管理に要する費用
(注3) 一般管理費等 請負業者の本店・支店において必要な人件費や事務費及び利益
(注4) 直接工事費 魚礁の組立費、運搬費及び海底への設置に要する直接経費
2 検査の結果
検査したところ、同県では、前記両工事の積算において、設置費に係る諸経費の算定に当たり上記の算式によらず、誤って次の算式のとおり魚礁の部材購入費の全額を諸経費の算定対象とし、諸経費を、13,411,421円(元年度第1工区)、14,056,266円(2年度第1工区)、計27,467,687円と算定していた。
いま、これらの諸経費について前記の適正な算式により計算し直すと、本件積算額は、共通仮設費のうちに計上されていなかった船舶回航費20,240円(2年度第1工区)を考慮しても、7,806,199円(元年度第1工区)、8,770,538円(2年度第1工区)、計16,576,737円となる。
したがって、上記により本件両工事の工事費の積算額を修正計算すると、46,424,961円(元年度第1工区)、51,152,140円(2年度第1工区)、計97,577,101円となる。そして、本件両工事の工事費はこれに比べ4,766,039円(元年度第1工区)、2,613,860円(2年度第1工区)、計7,379,899円割高となっており、これに係る国庫補助金相当額2,383,019円(元年度第1工区)、1,306,930円(2年度第1工区)、計3,689,949円が不当と認められる。