平成３年度決算検査報告
| 会計名及び科目 | 一般会計 (組織)農林水産本省 (項)畜産振興費 |
| 部局等の名称 | 東北農政局 |
| 補助の根拠 | 予算補助 |
| 事業主体 | 宮城県 |
| 補助事業 | 畜産総合対策 |
| 補助事業の概要 | 家畜飼料の省力的な調製貯蔵システムの実証等を行うため、平成3年度に、半地下式サイロ等を築造するもの |
| 事業費 | 8,549,000円 |
| 上記に対する国庫補助金交付額 | 4,274,329円 |
| 不当と認める事業費 | 8,170,669円 |
| 不当と認める国庫補助金交付額 | 4,085,171円 |
１ 補助事業の概要
この補助事業は、宮城県が、畜産総合対策事業の一環として、平成３年度に、玉造郡岩出山町所在の宮城県畜産試験場において、粕類等を活用した家畜飼料の省力的な調製貯蔵システムの実証とその普及促進のため、同システムの一部として半地下式サイロの築造等を工事費８，５４９，０００円（国庫補助金４，２７４，３２９円）で実施したものである。
上記の半地下式サイロは、牧草等貯蔵用の区画３、粕類等貯蔵用の区画４、計７区画に仕切られた、短辺３．４m、長辺１４．３５m、高さ５．３mの現場打ち鉄筋コンクリート構造物で、地中の深さ４．３mの位置に設置したものである（参考図参照） 。
そして、土圧が作用するサイロ周囲の外壁（厚さ２０cm）に配置する主鉄筋については、各区画の外壁のうち最も幅が広い短辺部分の外壁の最深部（地中の深さ４．０mの位置）の両端において土圧により生じる曲げモーメント（注１） が最大となることから、その箇所の安全性を検討のうえ、次のとおりの設計とすれば外壁全体が安全であるとして、これにより施工していた。
〔１〕 鉄筋の位置は、曲げモーメントに応じて引張応力（注２） が外壁の外側に生ずることから、外側５cmの位置とする。
〔２〕 使用する鉄筋は、径16mmのものを水平方向に１５cm間隔で配置する。
２ 検査の結果
検査したところ、本件半地下式サイロのような構造物の場合、土圧により外壁に生ずる曲げモーメントに応じた引張応力は、外壁の両端部の外側だけでなく中央部の内側にも生ずるものであるから、本件各外壁については、外側だけでなく内側にも主鉄筋を配置する設計とすべきであった。
しかし、誤って、外壁の両端部に生ずる曲げモーメントの値だけを考慮して一律に外側５cmの位置に配置していて、土圧により中央部の内側にかかる引張応力に対しては、これを受ける主鉄筋が配置されない設計のまま施工されていた。
したがって、本件半地下式サイロ（工事費相当額８，１７０，６６９円）は、設計が適切でなかったため、不安定な状態になっており、これに係る国庫補助金相当額４，０８５，１７１円が不当と認められる。
（注１） 曲げモーメント 外力が部材に加わって部材を曲げようとする力
（注２） 引張応力 部材に外から力がかかったとき、そのために部材の内部に生ずる引張に抗する力
（参考図）
