会計名及び科目 | 一般会計 (組織)水産庁 (項)漁港漁村整備費 |
部局等の名称 | 岩手県 |
補助の根拠 | 漁港法(昭和25年法律第137号) |
補助事業者 (事業主体) |
岩手県 |
補助事業 | 漁港修築 |
補助事業の概要 | 岸壁を築造するため、平成11年度にケーソン4函の製作を行うもの |
事業費 | 168,340,000円 |
上記に対する国庫補助金交付額 | 84,170,000円 |
不当と認める事業費 | 10,081,728円 |
不当と認める国庫補助金交付額 | 5,040,864円 |
1 補助事業の概要
この補助事業は、岩手県が、漁港修築事業の一環として、釜石漁港内において延長44mの岸壁を築造するため、平成11年度にケーソンの製作を工事費168,340,000円(国庫補助金84,170,000円)で実施したものである。
上記工事は、大型のケーソンを海上で製作するため、作業用台船としてフローティングドック(以下「FD」という。)を使用し、その甲板上で、鉄筋の加工組立及びコンクリートの打設等の作業を行い、標準函(長さ10m、高さ11.5m、幅8.5m)3函、異形函(長さ14m、高さ11.5m、幅8.5m)1函、計4函のケーソンを同時に製作するものである(参考図参照)
。
同県では、ケーソンの製作費を漁港関係工事標準歩掛(水産庁監修。以下「標準歩掛」という。)に基づき積算することとし、このうち、FDの運転費については、ケーソンの製作に要する日数(以下「製作日数」という。)を、標準函で59.8日、異形函で66.4日と算定し、これにFDの1日当たりの運転単価(人件費、燃料費及びFDの損料の合計額)を乗じて算出していた。そして、これにコンクリート打設費等を加算するなどして、ケーソン4函の製作における直接工事費を105,373,302円と積算していた。
2 検査の結果
検査したところ、ケーソンの製作費の積算が次のとおり適切でなかった。
すなわち、上記のFDの運転単価は、ケーソン製作のためにFDが実際に運転される日(以下「運転日数」という。)の1日当たりの単価となっており、一方、ケーソンの製作日数には、悪天候により作業ができない日や休日が含まれている。このため、標準歩掛では、FDの運転費の算出に当たっては、製作日数を悪天候による作業中止日等を考慮して定められた係数(本件の場合は1.65)で割り戻して運転日数を計算し、これに運転単価を乗じて算出することとなっているのに、同県では、誤って製作日数を運転単価にそのまま乗じていたため、FDの運転費が過大に算出されていた。
したがって、本件のFDの運転日数は、標準函で36.2日、異形函で40.2日となり、これに運転単価を乗じてFDの運転費を算出するなどして、ケーソン製作における直接工事費を積算すると86,959,137円となり、前記積算額は18,414,165円過大となっていた。
このような事態が生じていたのは、同県において、標準歩掛の理解及び工事費の積算に対する審査が十分でなかったことなどによると認められる。
上記により本件工事費を修正計算すると、共通仮設費においてFDの選定を誤ったため積算過小となっていた回航費9,965,265円を考慮しても、工事費総額は158,258,272円となり、本件工事費はこれに比べて10,081,728円割高となっており、これに係る国庫補助金相当額5,040,864円が不当と認められる。