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  • 平成8年度|
  • 第2章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第6 農林水産省|
  • 不当事項

補助金


(202) 農作物共済事業の共済掛金国庫負担金の交付が不当と認められるもの

会計名及び科目 農業共済再保険特別会計(農業勘定)
 (項)農業共済組合連合会等補助及交付金
部局等の名称 農林水産本省
国庫負担の根拠 農業災害補償法(昭和22年法律第185号)
事業主体 塩谷地方、小山地方、栃木地方、下都賀西部各農業共済組合(栃木県)(小山地方、栃木地方、下都賀西部各農業共済組合は、合併により、平成9年10月1日以降「栃木県南農業共済組合」)
国庫負担対象事業 農作物共済事業(水稲及び麦)
国庫負担対象事業の概要 農業者が不慮の事故によって受ける農作物や家畜等の損失を補てんするため、国が共済掛金の一部を負担し、再保険を引き受けるなどして、農業共済組合等が行う共済事業のうち水稲及び麦を対象とするもの
上記に対する国庫負担金 1,091,743,793円 (平成6年度〜9年度)
不当と認める国庫負担金 10,738,051円 (平成6年度〜9年度)
 上記の4組合において、水稲及び麦に係る農作物共済の引受けに当たり、引受面積に含めないこととなっている畦(けい)畔の面積を含めていたため、共済掛金が過大に算定されるなどしており、これに係る国庫負担金10,738,051円が過大に交付されていて不当と認められる。

1 事業の概要

(農作物共済事業)

 農作物共済事業は、農業災害補償制度(後掲の「牛に係る家畜共済事業の運営を適切に行うよう改善させたもの」参照 )の一環として、水稲、陸稲及び麦を対象として、風水害、干害、冷害等の災害により被害を受けた農業者の損失を補てんするために実施されているものである。そして、農業共済組合又は市町村(以下「組合等」という。)が事業主体となって、共済に加入した農業者(以下「組合員等」という。)から共済掛金を徴収し、被災組合員等に共済金を支払っている。また、組合等は、共済金の支払責任の一部を農業共済組合連合会の保険に付し、同連合会は、その保険責任の一部を国の再保険に付している。

 上記の共済掛金について、国はその一部に充てるため、組合等に共済掛金国庫負担金(以下「負担金」という。)を交付することとなっている。その交付に当たっては、事務の合理化を図る観点から、組合等に交付するのに代えて、その全部又は一部を国が再保険事業のために徴収すべき再保険料に充てることができることになっている。そして、負担金の額は、組合員等に係る共済金額に農作物基準共済掛金率(注1) を乗じて算出した額に、国庫負担割合(水稲・陸稲50%、麦50〜55%)を乗じて得た額となっている。また、国が徴収すべき再保険料の額は、共済金額のうち通常災害(注2) に係る額以外の異常災害(注2) に係る額に所定の再保険料率を乗じて得た額となっている。

 上記の負担金及び再保険料の算定に用いられる共済金額は、災害により生じた損害の補償限度額で、共済に付された耕作面積(以下「引受面積」という。)に所定の単位面積(10a)当たりの収穫量及び単位収穫量(kg)当たりの価格を乗ずるなどした額となっている。また、引受面積は、耕地ごとの耕作面積によることとし、水田及び畑に付随する畦(けい)畔等の非耕作地の面積は引受けの対象に含まないこととなっている。そして、組合等は、組合員等から、共済の対象作物、水田面積等を明らかにした共済細目書を提出させて、その記載内容を検討するなどして引受面積を確定することとなっている。

(注1)  農作物基準共済掛金率 農林水産大臣が過去一定年間(原則20年間)における被害率を基礎として定める率

(注2)  通常災害・異常災害 「通常災害」とは農林水産大臣が過去一定年間(原則20年間)における被害率を基礎として定める農作物通常標準被害率以下の部分をいい、この農作物通常標準被害率を超える部分を「異常災害」という。

(塩谷地方農業共済組合等の共済引受け)

 栃木県管内の塩谷地方農業共済組合ほか3組合(以下「4組合」という。)では、農作物共済事業のうち水稲を対象とするもの(以下「水稲共済」という。)において、組合員延べ54,694人から、平成6年産から8年産までの水稲の作付面積計5,695,575.4a(これに係る負担金893,622,402円)を共済の対象として引き受けていた。また、麦を対象とするもの(以下「麦共済」という。)において、組合員延べ10,194人から、7年産から9年産までの麦の水田における作付面積計942,011.8a(これに係る負担金198,121,391円)を引き受けていた。

2 検査の結果

 検査したところ、4組合では、組合員が提出した共済細目書に記載された水田面積をそのまま引受面積としていた。

 しかし、これらの水田面積は畦畔を含んだ面積であり、4組合では、その内容を十分検討することなく、共済の対象として引き受けていた。

 そして、畦畔を除いた適正な引受面積を計算すると、水稲共済では、計5,553,238.4aとなるので、142,337.0aが過大になっており、また、麦共済では、計923,837.7aとなるので、18,174.1aが過大になっていた。

 このため、4組合に対する負担金が、水稲共済の6年度分から8年度分までで21,655,179円、麦共済の7年度分から9年度分までで3,782,209円、計25,437,388円過大に算定されていた。そして、引受面積が過大になっていたことに伴い、国が徴収すべき再保険料についても、水稲共済分で14,122,296円、麦共済分で577,041円、計14,699,337円過大に算定されていた。この結果、差し引き負担金10,738,051円が過大に交付されていて不当と認められる。

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