平成７年度決算検査報告
| 会計名及び科目 | 道路整備特別会計 （項）道路事業費 |
| 部局等の名称 | 福島県 |
| 補助の根拠 | 道路法（昭和27年法律第180号） |
| 事業主体 | 福島県 |
| 補助事業 | 南会津郡田島町一般国道400号道路改良 |
| 補助事業の概要 | 道路を築造するため、平成6、7両年度に暗きょ工、盛土工等を施工するもの |
| 事業費 | 101,051,240円 |
| 上記に対する国庫補助金交付額 | 55,578,182円 |
| 不当と認める事業費 | 11,796,000円 |
| 不当と認める国庫補助金交付額 | 6,487,000円 |
１ 補助事業の概要
この補助事業は、福島県が、一般国道４００号の道路改良事業の一環として、南会津郡田島町大字高野地区において、盛土構造の道路を築造するため、平成６、７両年度に、３号、４号及び５号の３本の暗きょ工、盛土工等を工事費１０１，０５１，２４０円（国庫補助金５５，５７８，１８２円）で実施したものである。
このうち５号暗きょ工延長４９mは、本件道路と交差する渓流の水を流下させるため、盛土の下部に、鉄筋コンクリート構造の工場製品で内空断面の幅、高さとも１mのボックスカルバート（以下「カルバート」という。）を２５基（長さが１mのもの１基、２mのもの２４基）設置するもので、設計図書等によると、次のように施工することとしていた（参考図参照）
。
（ア） カルバートの基礎として、地盤の上に切込砂利を敷きならし、締め固めて厚さ２０cmに仕上げた後、基礎コンクリートを厚さ１０cm、敷モルタルを厚さ３cm施工する。
（イ） 上記基礎の上に、次のようにカルバートを設置する。
〔1〕 カルバートの継手部の全周にわたって設けられた溝に接着材を塗布し、ゴム製のパッキング（幅２８mm、厚さ２０mm）を取り付ける（以下、この部分を「止水目地」という。）。
〔2〕 カルバートを外側端部の４箇所の継手金具を締め付けることにより連結し、上記基礎の上に底面が滑らかで一様な勾配になるように据え付ける。
〔3〕 カルバートの継手部の内側及び外側の溝にモルタルを充てんする（以下、この部分を「化粧目地」という。）
上記の止水目地は、カルバート内からの漏水や外周部からの侵入水によって外周部の土砂が吸い出されて空洞を生じ、カルバートや路体が変状を来すことを防止するためのものである。また、カルバート内側の化粧目地は、水の流下面を平滑にすることにより流下効力を増大させるためのものである。
２ 検査の結果
検査したところ、上記カルバートの継手部２４箇所のうち、２３箇所については止水目地のパッキングが全く施工されておらず、残りの１箇所についても、全周の一部しか施工されていなかった。
そして、このため、カルバート等が次のような状況となっていた。
（ア） ２５基のカルバート延長４９mが全体にわたって不等沈下（最大１７．０cm）しており、継手部が最大で２．５cm開口するなどしていた。そして、ほとんどの継手部において漏水し、また外周部から水が侵入していた。
（イ） カルバートの継手部２４箇所のうち、６箇所については化粧目地のモルタルがすべてはく落し、また、１４箇所については一部分がはく落し流失していた。
（ウ） カルバートの継手部１１箇所において、外周部の道路盛土が吸い出されていて空洞（奥行最大３８cm）が生じていた。
（エ） 基礎コンクリートに、１０箇所の全幅にわたるき裂（幅最大１．０m）が生じていた。
このように、５号暗きょ工のカルバートは継手部の止水目地の施工が設計と著しく相違したものとなっていて、５号暗きょ工及びその上部の盛土工（これらの工事費相当額１１，７９６，０００円）は工事の目的を達しておらず、これに係る国庫補助金相当額６，４８７，８００円が不当と認められる。
