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  • 平成7年度|
  • 第2章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第11 建設省|
  • 不当事項

補助金


(210) 道路改良事業の実施に当たり、設計が適切でなかったため橋台等が不安定な状態になっているもの

会計名及び科目 道路整備特別会計 (項)道路事業費
部局等の名称 広島県
補助の根拠 道路法(昭和27年法律第180号)
事業主体 広島県
補助事業 主要地方道千代田八千代線道路改良
補助事業の概要 道路橋を新設するため、平成5、6両年度に橋台、上部工等を施工するもの
事業費 83,809,040円
上記に対する国庫補助金交付額 41,904,520円
不当と認める事業費 42,307,230円
不当と認める国庫補助金交付額 21,153,615円
 上記の補助事業において、橋台の設計が適切でなかったため、橋台及びこれに架設された桁が不安定な状態になっており、これに係る国庫補助金相当額21,153,615円が不当と認められる。

1 補助事業の概要

 この補助事業は、広島県が、主要地方道千代田八千代線の道路改良事業の一環として、山県郡千代田町出原地区の一級河川出原川に道路橋(橋長21.7m、幅員11.0m)を新設するため、平成5、6両年度に、橋台2基の築造、プレストレストコンクリート桁の製作・架設等を工事費83,809,040円(国庫補助金41,904,520円)で実施したものである。
 このうち右岸側橋台は、底版幅3.7m、高さ5.0mの逆T式橋台で、掘削した地盤上に直接築造するものである(参考図参照)
 この橋台の設計に当たっては、構造物の安定計算を行い、基礎地盤の支持力については地盤の許容鉛直支持力(注) が鉛直力(注) を上回っていること、滑動に対する安定についてはその安全率が許容値を上回っていることなどから、本件橋台は安定計算上安全であるとしていた。

2 検査の結果

 検査したところ、本件右岸側橋台の設計が次のとおり適切でなかった。

ア 基礎地盤の支持力に対する安定について

 基礎地盤の支持力に対する安定計算に当たり、用いるべき値を次のとおり取り違えるなどしていた。

(ア) 橋台の有効根入れ深さの値としては、計画河床面から橋台底面までの深さである0.55mを用いるべきであるのに、誤って1.5mとしていた(参考図参照)

(イ) 有効根入れ層から下の地盤の土の単位重量の値としては、土が地下水位以下にあることから、その場合の値である1.1t/m3 を用いるべきであるのに、誤って地下水位の上部にある場合の2.0t/m3 としていた。

 このように、構造物の根入れの深さや地盤の土の単位重量の値を過大にすると、基礎地盤の破壊を押さえる重量や力などが過大に計算されるので、地盤の許容鉛直支持力も過大なものとなる。
 そこで、正しい値により改めて基礎地盤の許容鉛直支持力を計算すると、地震時において166tとなり、鉛直力560tを大幅に下回っている。

イ 滑動に対する安定について

 滑動に対する安定計算に当たり、橋台底面と基礎地盤との間の摩擦係数は正しい計算によれば0.431となるので、これを用いるべきであるのに、誤って0.6として安定計算を行っていた。
 そこで、正しい値により改めて滑動に対する安定の安全率を計算すると、地震時において0.95となり、許容値1.2を大幅に下回っている。
 したがって、本件右岸側橋台は設計が適切でなかったため、同橋台及びこれに架設されたプレストレストコンクリート桁(これらの工事費相当額42,307,230円)は不安定な状態になっており、これに係る国庫補助金相当額21,153,615円が不当と認められる。

 (注)  地盤の許容鉛直支持力・鉛直力 「鉛直力」とは、構造物の自重等が地盤に対し鉛直方向に働く力をいい、鉛直力を地盤が支えることのできる設計上許される限度を「地盤の許容鉛直支持力」という。

(参考図)

(参考図)

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